五月大歌舞伎・夜の部【新橋演舞場】

歌舞伎座が閉場して、初めてのお江戸上がり。 故にあの建物がすっかり姿を消しているのを目の当たりにしたのも初めて。 ニュース映像を見たり、話に聞いたりはしてたけど…改めて大きな存在だったんだなぁ~と、今更ながらしんみりして新橋演舞場へ。

籠釣瓶花街酔醒

この演目、実は生の舞台では吉右衛門さん@佐野次郎左衛門しか観たことがなく“次郎左衛門=吉右衛門“な私。 今公演では明治時代から上演の絶えていた場面を百有余年ぶりに復活!…という事で観劇決定☆
で…芝居が進むにつれてなんか違和感。 ん?んんん?…「そうだった!歌六さんと歌昇さんって播磨屋になったんだ!」  昨年、新橋演舞場【秀山祭九月大歌舞伎】からの事で激しくもう今更な話題なんでしょうけど、播磨屋さんのお二人を拝見するのは私、これが初めて。
珍しい通しでの上演。 幕開きは松林でうたたね→夢落ち~。
段四郎さん@佐野次郎兵衛が、乞食に身をやつした元・妻?現・妻?の歌江さんを非情にも斬り殺す様があまりにもあっけなく驚き! 自分の奥さんがそんな状況に居る事をどうも思わないのかよ…ってこれでキャラクターが解りやすくもあるのでしょうけど。 あんまりだ!(久々力強い感じの歌江さんを拝見したのでアッと言う間の退場に涙)
秀太郎さん@高松安之進妻おとし壱太郎くん@娘お千代の母娘はそんな綺麗な格好で、こんな時間にこんな場所を通るなんて…盗賊に襲われる率100%だろ!
雲助の皆さんはいつも思うけど…ホントに臭ってきそうなくらい汚い。 これって衣装さんや床山さんの手数がかえってかかるような気もしますが、どうなんでしょう? 歌六さん@都築武助はめっちゃ弱々しいのがツボに入る~☆(最近は矍鑠とした老人ばかり拝見してたので新鮮)

久しぶりに拝見した芝翫さん@立花屋お駒声が弱々しくて小さい上にがっつりプロンプが入ってて、さっぱり聴こえず。 芝翫さんのセリフを受けて応える相手のセリフでその内容を推測する…という感じでしたが、芝居はたっぷり感があってさすがの貫禄と存在感
福助さん@八ツ橋の前板帯って、あんなに大きな…リボン結びみたいなデザインでしたけ? 花道での微笑みは「ニタァ~ッ」ってお歯黒も手伝ってなんともゾゾゾ~って鳥肌が! 捕って食われるか?と思った…怖い、怖すぎる~(今回の観劇、最後まで悩んだのは八ツ橋が福助さんだったから)
吉右衛門さん@佐野次郎左衛門の「どうか察してください~」とデレデレな様は「なんであの八ツ橋に?」と思いながらも微笑ましくって笑えます。 キセルを手の功に押し付けられてアチッ…で嬉しそうなMさは、でも冷たくしすぎるとキレる怖さも潜んでいるわけですね~。 現代の事件でも「まさかあの人が!」って人が犯人な事、多いですものね
間夫にピッタリの涼やかな良い男・梅玉さん@繁山栄之丞もなぜ彌十郎さん@釣鐘権八の言う事を疑いもせず、すっかり信じるのさ~。 今回主人思いの歌昇さん@下男治六と懐が深いイイ女・また芝雀さん@九重がすっごく良かった! 悲劇的なラストへと向かう物語の中、二人が僅かな救いでした。 対照的に魁春さん@立花屋おきつは淡々としすぎ(ビジネスライクに徹してるのか?)
ラスト屋根の上の立ち廻りは傾斜が急で観ている方もちょっとハラハラ。 火事の時用の火消し水が屋根上のタライに入っていて、それを蹴り倒し本水が流れるのは面白い演出でした。
しかし…通しで観て物語の流れの理解が深まったものの、やっぱり何度観ても後味が悪いお話だなぁ、という印象は変わらなかったです~。

あやめ浴衣

初めて観た舞踏。 夏に紅葉狩…なんて事もザラなんで、その季節にピッタリの演目が上演されると「四季がある日本ってイイな♪」と思ったりします。
芝雀さん歌昇さん錦之助さん…ってこのお三人チームの舞踏は初めて観たような?で目にすごく新鮮でとっても綺麗。
三名板付きで大セリ上がりはとても艶やかで、陰惨な幕切れだった第一部のお芝居の気分も晴れやかな打ち出し。
下手にお囃子連中と琴が控えてましたが、琴の弾き手が女性な事はよくありますが黒御簾内での演奏しか聴いたことがなかったので表舞台への登場に驚きました。
しかし…役名が“若い女”“若い男”って、どうよ?

美女と野獣【四季劇場・夏】

初めての夏劇場観劇で、初めて大井町に降り立ちました。 劇場そのものは…昔あった大阪MBS劇場に似ている印象(っていわゆる四季劇場の造りなんだけど)で、「新しい劇場に来た」感が全く皆無。 団体観劇のグループがいくつもいて、劇場周辺やホワイエは恐ろしく騒がしいうえ、二階は節電の為薄暗いのに人がひしめきあっている様がなんたが異様な光景でした~。
四季作品では…多分一番回数観ていると思われる“美女と野獣”ですが、観劇日を辿ると…2008年の広島公演・千穐楽以来、実に約3年振りの観劇だった事に「いつの間にそんな月日が経っていたの?!」と驚愕。 アンサンブルさんのお名前も初めてみる方ばかりの上、お目当てのキャストの登板はありませんでしたが、細部まで知り尽くした…と言っても過言ではナイ作品の久々の観劇を楽しみました♪
総括。 全体的に凄く早い!! 歌い出しとかセリフとか芝居のタイミングがなんだか全てが“巻き巻き”で進んでいるような…さっぱり余韻が残らない~。 カーテンコールまでも間を置かずしてせわしなく連続される感じで。 一体どうしちゃったんでしょう??? しかしながら【Be Our Guest】【Human Again】ではコーラスの迫力にウルッと~。 やっぱり良く出来た作品だ!

久々拝見の佐野ビーストは歌がさすがの安定感で、独唱ではその声量に劇場がビリビリと震える感じに懐かしさを覚えました。 野獣のおちゃめな可愛らしさは薄味で、芝居では物足りなさもあったものの、ラスト王子に戻った瞬間「あれ?こんなに王子様が似合ってたっけ?」と記憶にはなかった“王子様ぶり”にビックリ! 佐野さん、若返ってません?
2005年の福岡公演で百々ルミエールのデビューの日を観た私。 多分それ以降、ルミエールとしての登板回数は一番多いのでは? セリフ回しや歌い方が道口ルミエールそっくりになっていたのには驚きました!
青木コッグスワースは堅物すぎて今ひとつ笑えず残念。 広島公演デビューで一度も遭遇出来なかった小川バベットは、容姿はお人形さんのようで◎ですが“段取り通り”という感が強く芝居に心がナイ印象。 寺田ダルクは、恐ろしくメイクが怖いことになっていて、セリフの声が無駄に大きくてビックリ! 林モリースは…あんなに芝居下手でしたっけ?ってなくらい、一番残念な印象でした。
…とは言え秋山タンス夫人今まで観た歴代のタンス夫人の中において全てが最高☆☆☆ これは東京公演ならではのキャストだなぁ~と羨ましく思えました。 遠藤ミセス・ポットも満足♪
あえて書かないキャストは相変わらずの安定感、という事で【美女と野獣】やっぱり好きな作品です☆

劇場 キャスト
ビースト:佐野正幸/ベル:坂本里咲/モリース:林和男/ガストン:田島亨祐/ルミエール:百々義則/ルフウ:遊佐真一/コッグスワース:青木 朗/ミセス・ポット:遠藤珠生/タンス夫人:秋山知子/バベット:小川美緒/チップ:伊藤綾那/ムッシュー・ダルク:寺田真実

スウィーニー・トッド【青山劇場】

2007年からの4年振り再演です!(って前回の観劇から4年も年月が経っていたとは…愕然~)。 あれからジョニー・デップ主演の映画も公開され、作品としても有名になったので、もっと早くに再演があるかと思っていましたが…市村正親×大竹しのぶ、というビッグ主演お二人のスケジュール調整が大変だったんでしょうね?、やっとです! 主なキャスティングはアンソニーが城田優さん→田代万里生さん、タービン判事が立川三貴さん→安崎求さんの変更のみで「更に歌に期待できそう♪+初演時の興奮再びに違いない!」と遠征観劇☆
耳をつんざくような警笛の音で幕が空いた瞬間「あぁ、コレコレ。そうだった、そうだった~」と一気に暗鬱としたロンドンへ再びタイムスリップ。 作品としての印象は初演観劇時と変わらず。 ただ、キャストの“死者の怨念メイク”が全体的に薄くなっていて、皆、以前より顔色が良くなっていたのが…なんだか可笑しかったです。 初演後公開された映画を観て…また舞台を見ると、計算されたスムースな場面転換に舞台美術と演出に改めて感嘆。 気が付けば私、今年は金閣寺も観劇してるし…ちょっと亜門作品づいている?!
主演お二人はやっぱり流石!です! お二人とも全く年を取らないような…パワフルな様は拝見するだけでパワーをもらえます!
二人の微妙な絶妙な関係のかけあいに息をのみ、笑い、グイグイと引き込まれました

大竹しのぶさん@ミセス・ラヴェットなんか、さらに若々しくラブリーになっているのでは?! 歌は~初演時と変わらない印象でしたが、腹をくくってからの“逞しい女のしたたかさ”に愛嬌が増し絶品でした。 トバイアスに対する母性もしかり! ラスト、彼の妻と知りながら隠していた事がバレた時の表情が哀れで可愛くて強烈な印象として残りました。
今回キャストチェンジとなったお二人は…どうやら期待しすぎたようで、という印象で「悪くはナイ。…けど~」でした。
田代万里生さん@アンソニー歌はさすがに上手いのでしょうが、なにせソンドハイムの不協和音旋律なもので、聴いていて耳に心地良くナイ訳で…で、演技は特筆すべき事はなく。
安崎求さん@ターピンは…すごくジジィ(言葉悪くて失礼!)な感じに作ってあって、それはそれで不気味で、Tバックでお尻まで披露しての熱演でしたが…初演の立川三貴さんの方が好みでした。
キムラ緑子さん@乞食女の演出は変わっていますよね? あそこまで彼女がフューチャーされていた印象はなかったので、ラスト身の上が判明した時の衝撃がハンパなかったのですが…。 今回は最初から「彼女は何かきっと重要な役所だ」とありありと判るような演出となってるような? 顔も髪ですっかりと覆われてあそこまでハッキリ見えていなかったような~? 映画が公開され、多くの人が彼女の身の上をすでに知っているから…という変更があったのかな?
この作品で初めてミュージカル作品で拝見したソニンさん@ジョアンナはその後すっかりミュージカル女優としての地位を確率しての安定感。 あの小鳥のさえずりのような小刻みに震える高音は健在。
武田真治さん@トバイアスのキャラクターはやっぱり舞台版のこちらが好み。 地下室でひき肉器を回す演出は…初演時はミセス・ラヴェットから習ってラストまで何回かやっていたような?…違ったかな? 武田さん、美形な方だけどやっぱトートよりはこういう役所の方が活きるような♪
そして斉藤暁さん@ビードルはやっぱりあの眉毛にクスッ。 漫画のような体型もツボです。
今公演、残念ながら福岡での公演はなく…の遠征でしたが、これから公演が予定されている地域の方は是非ご観劇を! 次回の再演、があったとしても何年先か判りませんから!!

ウィキッド【キャナルシティ劇場】

福岡公演開幕以来2回目の観劇です♪
「初日の客席の賑わいがこのまま続けばなぁ…」と危惧していたど、本日は平日夜の部でありながら~そこそこ客席が埋まっていた印象でホッ。 専門学校等の団体観劇も多かったようです。
エルファバ以外は主要キャストが変わっていて、特にグリンダは沼尾さんしか観たことがなかったので興味津々で観劇に臨みました☆
作品として、やっぱり凄く好きです【ウィキッド】!
一幕最後のエルファバの熱唱は必ずウルッときてしまいますし、二幕の…“悪い魔女として生きる事を決意”の熱唱の「フィエ~ロォ~!」では絶対ググッと心わしづかみされてしまいます。 江畑エルファバは真面目で一本気、不器用ながら熱い情熱を秘めている女の子を好演。 ますます凄みが増している印象でした。
私、他の演目でも山本さんと意識して拝見した事がナイので、グリンダを含めて「初めまして、山本貴永さん」です。 顔立ちが和風の方なので、あのブリブリしたガーリィな衣装やお姫様ドレスは、ん~。 江畑エルファバと並ぶと“同い年・同級生・親友”と呼ぶにはかなり年上に見える印象。 北澤フィエロとの並びもしかり。 お芝居は愛嬌が薄く感じるので、前半の親友になる前のくだりはホントに意地悪な女の子にしか見えず(【キャンディ・キャンディ】のイライザみたい…例え古っ!)観客の気持ちがグッとエルファバ寄りになったような~? しかし、グリンダか気持ち的に成長した後半は良かったです。 歌は安定☆ 「他の演目でも拝見してみたいな」と思わされた山本さんでした。
かな~りお久しぶりの北澤フィエロとの再会です。 …って北澤さん自身、福岡公演の登板は約6年振りくらいだそうで。 前半の軽薄なおぼっちゃまぶりがイイです(と言ってもやっぱりフケたな、北澤さん)。 さすがの安定感でした。
やっと許容のネッサに遭えたわ~」と思えた勝間ネッサローズ。 …と思いきや総督になってからは「あら~、あなたもやっぱり…」 どうしてあんな開口バリバリで不自然なセリフ回しになっちゃうんでしょうね…。
私、確信しました。 松下オズの魔法使いは苦手です。 エルファバが自分の娘と判明してからが特に「薄っ!怒!」 このキャラクターに対して怒りを覚えるのは正解なんでしょうけど…なんかなぁ~。
今の所、手元にチケットはありませんが…閉幕前に大きなキャストチェンジがあれば突発観劇しそうです♪

劇場 キャスト

グリンダ:山本貴永/エルファバ:江畑晶慧/ネッサローズ:勝間千明/マダム・モリブル:森 以鶴美/フィエロ:北澤裕輔/ボック:伊藤綾祐/ディラモンド教授:前田貞一郎/オズの魔法使い:松下武史

博多座四月特別公演【博多座】

藤山直美さん×前川清さんコンビでは2年振り、直美さんに至っては博多座登板6回目となる今公演。 24日は昼公演1回のみでしたが、特別公演【東日本大震災復興支援チャリティーコンサート】の開催が急遽決まり完売。 “1回限り”本公演とは違う内容で催されるという事です。
“W小島”が大好き~♪な私にとって小島秀哉さんが体調不良の為休演だったは残念!

紺屋の恋女房

ここ数年の博多座における直美さんの公演ですが“直美さん×○○○さん”という二枚看板である事が多く、“ザ・藤山直美”的な…【はなのお六】のような作品を期待している私にとっては、コンビの相方に華を持たせるような役回りである事が多い演目にちょっと不満。 それが今公演のお芝居では一番顕著に感じました…。
傾城高尾にひと目惚れして…ついには女房として迎える前川清さん@紺屋職人の久造。 朴訥とした正直・真っ直ぐなキャラクターがピッタリはまって、高尾に対する純な気持ちにニッコリさせられます。 高尾を嫁として迎える際に自身の母親に啖呵を切るシーンが決まった所で思わず拍手☆ “おどおどしたイイ人”キャラを演じたらピカイチな役者さんではないでしょうか♪
藤山直美さん@傾城高尾久造に心を寄せていく心情の描かれ方が薄く、唐突感が否めません。 「え?いつの間にそんなに~?!」って感じが強い。 気位の高い傾城ながら新造たちには優しく接する様で高尾の人となりは描かれているのですが、久造の嫁として認めてもらう為の行為として紺桶に手を突っ込んで心の様を表すのは…「え?それだけで?それで認めちゃうの?!」と呆気に取られました…。 って観賞後よくよく考えてみると、蝶よ花よともてはやされ綺麗綺麗で過ごしてきた傾城が手を汚すってだけで相当な覚悟が伺えると解釈すべきなんですよね。 うん。 やはり久造が主役なので、“藤山直美の舞台を観た”という満足感がとても薄く、かなり消火不良だったのは残念(二年前の博多座公演【三次とお玉の恋物語】は二人のバランスが良かったのに~)
オープンニングの…当時の華やかな様子が垣間みれるような、遊女をはじめとする一連の舞はとても素敵でした☆

二人のスプリングコンサート

前回公演よりお二人で歌う曲数が多かった印象。 グループサウンズ特集は客層に合わせた選曲だそうで、客席も手拍子で盛り上がっていたような。
途中“前川清グッズ”の紹介がありましたが、軽妙なトークで多いに客席が沸き終演後のグッズコーナーは大混雑してしまいた。
基本、直立不動で歌唱する前川さんですが、前方席に握手を求めてステージにかけよる観客に身を乗り出してしゃがみ込んで丁寧にお辞儀をしながら対応。 しかし!声は全くブレる事なく「歌ウマ~♪」と改めて聴き入る~。 そしてスラリと長身な前川さんは改めてスタイルがイイ! 派手な演出や衣装はなかったけれど“これぞ歌手”な聴かせる歌で耳が幸せ~☆ ラストはお二人のデュエット曲【ラブソングが聴こえない】で幕。