平成中村座歌舞伎公演・昼の部【平成中村座】

昨年の大阪・扇公園での平成中村座の感動を期待して、二度目の平成中村座、行って参りました! 今年は歌舞伎発祥四百年という記念の年、の上、江戸開府四百年。ということで今回は浅草一帯が テーマパークのようになっていて 平成中村座も境内の一角に建つという嬉しい趣向。 前公演ほど、役者衆が客席や小屋周辺にこしらえで出没する趣向やおふざけ(語弊が あったらご容赦、あえてそう言う)はなかったけど、やっぱり中村座の雰囲気はなん だかワクワクさせられる♪
翌日の千穐楽は小屋の裏手から岩藤浮遊の舞台裏を目撃!

加賀見山再岩藤

勘九郎さん望月弾正、鳥井又助、奥方梅の方、岩藤の亡霊…と四役を兼ねる。 加賀見山再岩藤って私自身は、猿之助さんのしか拝見した事がなかったので、串田さんの演出も含め、ことのほか楽しみに観劇。 会場に足を踏み入れると薄暗く、舞台や花道の上には動物の屍がゴロゴロと置いてあり、すでに不気味な雰囲気をかもし出していて、舞台が始まる前のワクワク感が いっそう高まった。 他の演出の中でもガラス…というか、鏡をつい立に使っての巧みな早替りの演出は面白かった。
見どころのひとつ桜満開の岩藤の亡霊の空中散歩【花の山の場】。 遠見のお子様も愛らしく下手から 上手へ…そして勘九郎さんが花道七三で振り返るとパッと華やぎ、自分の企てにウットリしながら自信満々の花道引っ込みの表情がすごく印象に残った。

浅野川々中船中の場では、舞台上設けられたプールでクロールを披露する勘九郎@又助さん。 大奮闘に客席は大喝采。 クロールって…あの時代、日本でもメジャーな泳法だった のね♪

多賀家奥殿草履打の場。 草履打ち、最大の侮辱行為だけに打つ方も、打たれる方も気迫のこもった真剣勝負の場なので、いつも気が付けば手を力いっぱい握り拳で観ているなぁ。

鳥井又助切腹の場今回の志賀市は清水大希くん。 全然知らなかったので、ビックリ嬉しい♪ 志賀市といえば琴を弾きながら歌うという難役。 それをあんなに小さかった大希くんが演じるだなんて~(親戚のおばちゃん状態)花道での苛められながらの出、もうそれだけでウルウルしてしまった。 志賀市の『妹背川』、案の定ボロボロ泣いてしまった。 公演パンフレットにも勘九 郎さんの大希くんに対するベタ褒めのコメントが載っていて、なんだか感動してしまった。
扇雀さん@花房求女。 私、今まで 今イチ扇雀さんの立役って馴染めなかったんだけど、今回、スコーンと私の中ではハマりました! 声、姿とも品良く美しかった。 今の今まで、七之助さん@おつゆと固めの杯を交わしたというのに、勘違いから態度 を豹変させるところは、「きちんと確かめろよなぁ…」と毎度の事ながら呆れながら 腹立たしい求女という男ぶりがよく出ていたと思う。
主人のために良かれと思ってした事が裏目に出てしまう哀しい男、又助。  勘九郎さんの四役の中でやはり一番ハマっていたと思う。ラストは舞台奥が開いて、クレーンに乗った岩藤の亡霊が客席上を浮遊。 まさに串田演出、という感じで あろうが「やっぱりね…」と「もっともっと」とソレ以上を望むものだなぁ…と演じる側にはちょっと残酷な気がした。

平成中村座歌舞伎公演・夜の部【平成中村座】

今回は1泊2日の遠征で、観劇予定を2日に分けていたけれど…チケットが取れず、昼&夜の通し。 夜はさすがに冷えて、貸出の毛布を借りて、腰~足をにしっかり巻き付けて観劇しました♪ 終演後は恒例の振舞い酒をいただき「来年、またこの小屋に来るわよ~」と誓って、 小屋を後にしました。

弁天娘女男白浪

個人的には七之助さん@弁天小僧菊之助は、線が細すぎてなんだかちょっと痛々し かった。 これは全く個人的な感想なのでご容赦。 お嬢様ぶりは小さな小屋で間近で見ても、と~っても美しく、綺麗♪

稲瀬川勢揃いの場

では、各々花道入って最 初のキメ!では花横のお席だった私の真横で五人が、私の為に見得を切ってくれたようで舞い上がってしまいました~。
何度観ても台詞回しの心地良さと歌舞伎の様式美にウットリ。 小屋が 小さい分間近で迫ってくる迫力が今までよりもあって、良かった…ホント、良かっ た~。

本朝廿四考・奥庭狐火の場

改めて、文字にしようと舞台を思い出してみると…あれ?思い出せない。 子役が演 じる小狐ちゃんがエラく可愛かった印象はあっても、福助さん@八重垣姫は…。

人情噺文七元結

坂東新悟くん@お久。 私は今回が舞台での新悟くんを初めて観たけど…変声らしく、声がヒドク聞きづらく不快。 弥十郎さんに似て、背が思いっきり高くなりそうな感じだから、もしからしたら今回は貴重な女形を見れたのかもしれない。 勘九郎さん@左官長兵衛が、七之助さん@文七の自殺を止める場面。 客席から度々笑 いも起こるけど、やっぱり胸にジーンと来るシーンだ。 「死んじゃいけねぇよ。死 ぬんじゃないぞぉ~」と、走りながらの花道の引っ込み。 文七が渡されたものが本 当のお金だと判って「親方ぁ~っ!」と絶叫するシーンはウルウル来てしまった。 そしてそして、今回特質すべきは扇雀さん@女房お兼! 今までは、どちらかというと、オロオロした気弱なお兼像しか観た事がなかった私。 ヒステリックにギャンギャンと騒ぎたてるお兼に衝撃、そして初めて観た“汚いおばちゃん役”の扇雀さんにまたまた衝撃。 上手いっ! 昼・夜の部を通して、今回は扇雀さんの新しい一面が観れた、芸域の幅を観れた舞台 だったなぁ…と思った。