石川五右衛門【博多座】

ストーリーは置いといて…海老蔵がやりたい事を全て詰め込んだ“海老蔵ショー”』という、情報を得て観劇。 個人的には“澤瀉屋の市川右近としては最後の博多座出演”となる右近さんのご出演を楽しみに観劇。 ちょうど現在、テレビ東京系列“金曜8時のドラマ”で【石川五右衛門】放映中という事で、ご覧になっている方は映像がそのまま立体的に目の前で、という楽しみ方も出来てのではないでしょうか? 劇中テレビの宣伝はもちろん有り(ゴメン!一度も観たことナイ)
当日は学生の団体観劇もあり、拍手の多さやタイミングから『歌舞伎初観劇の方が多いのかな?』という、劇中は静かな客席の印象…でしたが、幕が引かれたとたん凄い拍手で大盛り上がり。「劇団四季のカテコか?!」ってなくらい、何度も繰り返されたカテコでしたが、そこに“右近さんとしては博多座最後の出演”の右近さんが居ないのは残念! 出演も1幕だけのほんのチョットだし…。
でもって、この日は二幕目から客席に横綱・白鵬が!でその登場に客席から歓声と拍手が。 そしてまさかのフィナーレで海老蔵さん@五右衛門と、龍のねぶたに乗って登場。 手を広げたり、足を踏みならしたり…と付け焼き刃で海老蔵さんに合わせてポーズを取っていたものの、いずれも「俺、どうしたらイイんだ」「間が持たないよ…」と、所在無さげで目が泳いでいる横綱が面白い。ねぶた山車を従えた前には綺麗どころのお姉さん4人が登場。劇中、上手の琴にも女性奏者がご出演で“いつもの歌舞伎とは違う”感じ。
そして三味線奏者の上妻宏光さんが今公演にご参加で嬉しい趣向!…の割には、今ひとつ演奏を堪能出来る場が少ない印象でちと残念。

ストーリーは…???なので、舞台美術と役者さんの感想を。
大道具や演出手法のひとつひとつは「おぉ!」と思わず声を上げてしまう驚きや感嘆のもがあり一興☆ 広間→海原+船の場面転換は大胆でお見事っ! しかし何故か波後見ではナイので黒子さんが目立つ、目立つ! 大小の船がバラバラ出てくる側での奮闘ぶりはよく見えるんだけど…。 で、何故、竜と戦う?どういう脈絡?(龍は迫力があって動きもなめらかでカッコイイ造形!)
分身の術】では1階客席通路や2、3階席にも五右衛門がワラワラ登場して登場して賑やかで楽しい趣向♪
見せ場のひとつである宙乗りは、今まで観た宙乗りの中で一番怖かった。 ただ凧のパネルの狭い足場に立って、手で枠を握っているだけのようで…しかもその手は花びらを掴んではまき散らし〜で離したりするし。 観てて怖かった…。
三升曲輪傘売】博多仁和加面がデザインされた半纏で可愛い。 一体何本の傘が仕込まれているの?! でもって、頭の方から傘をパッと綺麗に開くって難しそうなのに、とっても鮮やか!

度々登場しては、観客と一緒に現状を把握して物語に戻る…という狂言回し的な役回りの五右衛門子分三人衆は、今月8日に発生した“博多駅前の陥没事故”ネタも早速取り入れて時事ネタで客席を湧かせ、“ゆーとぴあ”の「よろしくぅ~ねっ!」のポーズ(←ぐぐったよ!)で走り去る〜。 猿弥さんは終始出突っ張りな印象で、ラストの舞踏ではセンターを取っていてビックリ。そして彼のお着物が、ひよこの顔に見えて仕方がナイ! 猿弥さん、毎度の感想ですが、何を演じても達者な方だなぁ。
女形さんの剣の舞が花道等で披露されるけど、すごく緩く感じる…のは、度々、澤瀉屋さんの舞台で京劇の技を観てしまっているからだろうけど。

お芝居として、なんだかよく解らなかったけど、客入りは上々のようで何より♪