禅・ファイヤー・フランツ!(エリザベート)

石川禅さんのフランツは…いろんな意味で目が釘付けです☆
メイクや演技で、ものすご~く化ける役者さんですが一貫して言えるのは“熱い”という事です。 度を過ぎて笑いを誘われることも度々、愛あるツッコミをしたくなる事も度々。 中でも大詰のラスト“悪夢”は、上記の要素をあますところなく堪能できる“禅さんの灼熱タイム”なのです~♪ “シシィちゃん☆LOVE”の禅フランツは最後の最期までシシィを愛しているが故の叫び…なんですけどネ汗 “絶品”なんですけど…ネ。

禅フランツの灼熱【悪夢】
あまりの熱さ…に両肩で目玉焼きだって焼けちゃうくらい湯立ってます! ふりかぶった時に前髪が“On the 眉毛”で一直線になるのもポイント♪ 最後の絶叫では“下敷きで頭をこすった”くらい髪の毛逆立ってます! 再度言いますけど…“絶品”なんですけどネ。
楽しいな、禅さん☆

ミュージカル 李香蘭【四季劇場・秋】

福岡公演時には…これまた何故か見逃していて、私、今回が初見でした(舞台中継の録画映像は観た事あり)
今年は戦後60年という節目の年…という事で、劇団四季の“昭和歴史三部作”が連続上演、という企画の第一弾(→異国の丘→南十字星)。
満州国、溥儀、川島芳子…というと、私の中では大好きな映画【ラスト・エンペラー】(半端じゃない回数観てます)の比重が大きく、舞台が進むにつれて、そのキャラクターの描かれ方にひどく拒否反応がありましたが、当時の日本人の傲慢さは、愚かさ、罪深さは良く表現されていたと思いました。
タイトルから推察するに『李香蘭=山口淑子、というその時代に翻弄された一人の女性の人生の生き様を描く物語』かと思っていたのですが(【異国の丘】の九重秀隆のように)、彼女を軸として「その時代に何が起こったのか、どんな事がなされたのかを伝える」という作品なのですね。 …なので『作品として伝えたいメッセージは充分理解できた』のですが…、で、だから『李香蘭=山口淑子という女性の生き様への解答』は?という疑問が残りました
【ミュージカル・李香蘭】ですよね? 彼女自身の体験を通して、彼女自身の口から訴えたかったメッセージというのが、その時代を生きた“歴史の証人”として、観客に投げかける言葉が欲しかったかな、と。「私は日本も中国も愛しています」という事ではなく。
一人の女性としての描かれ方としては、私の中ではむしろ、中国人・李愛蓮の強い意思を持った揺るぎない愛国心と、仲間や恋人に対する愛情の強さが印象深く残った作品でした。
役者さんとして印象に残ったのは…
五東由衣さん@李愛蓮 スーッと楽に歌っているようで、なんであんなに心に染入るような心のある歌声なんでしょう? 演技も素晴らしく、セリフのひとつひとつが“李愛蓮”という女性が話している言葉でした。 死に際の同胞に故郷の歌を唄って聴かせるシーンでは涙を流されていて、それでいて歌は力強く美しい。 きっと、どんなお役にもなりきってしまうタイプの方なのでは?と感じ、今後、五東さんが何かの作品にご出演の際には、絶対その舞台を拝見してみたい!と思いました。
末次美沙緒さん! 李夫人や声楽教師…はたまたアンサンブルでは、神出鬼没で大活躍 【マンチュリアン・ドリーム】でのミニスカート姿での熱唱は…「す、末次さんをこんな枠で使ってなんと贅沢な」と思って驚いたのは私だけではナイはず! でも、くるくる変わるお役のそれぞれを完全になりきって演じてらっしゃるのは、さすが!な感動がありました

青い旗キャスト
李香蘭:野村玲子 /川島芳子:濱田めぐみ/李愛蓮:五東由衣/杉本:芝 清道/王玉林:芹沢秀明

九月大歌舞伎・夜の部【歌舞伎座】

平家蟹

岡本綺堂作の新歌舞伎。 冒頭には物語の背景を映像を交え白石加代子さんの語りで観客に伝える等の新演出もあり、私、初見の演目。
舞台は平家一門が滅亡し、壇の浦では生き残った官女たちが惨めな暮らしをしている…という場面から。 芝喜松さん京蔵さん芝のぶさんの三人の女官達がその日食べるものを浜で採りながら己の身の上を嘆いて舞台中央へ。 「私達も若くて美しければ“女”を使い、身を売るなどして、楽出来るものを」という趣旨をつぶやいて悲嘆にくれるのですが、「いやいや、芝のぶさんは充分イケるから、一緒にしないで!」と激しくツッコミを入れた不謹慎な私汗
え~、さて…芝翫さん@玉蟲も平家の女官で源氏への恨みを深く抱きながら暮らし、日々憎悪をたぎらせ、その容貌までも鬼気迫るものが表れているかのよう。 魁春さん@妹の玉琴の恋人(橋之助さん@那須与五郎)が源氏方の人間であると知り『女性の強い怨念と執着に、おどろおどろしさがあいまった展開』となる玉蟲の行動は『岡本綺堂が、江戸時代の草双紙からヒントを得て描いたものならでは』との事。
常軌を逸して不気味に高笑いする笑い声は耳について離れません! 私は芝翫さんの“恐い女”のお役、というのに何故だか縁がなかったので、その不気味さが強烈な印象として残りました。 舞台をうごめく平家蟹のリアルな動きとラスト海の豪快な演出は大変興味深かったです。

勧進帳

吉右衛門さん、8年振りの弁慶』という事で今月の歌舞伎座遠征を決定したほど 期待いっぱいでワクワクと観劇に臨みました☆
吉右衛門さん@弁慶×富十郎さん@富樫…とあらば、口跡ハッキリ対決というかセリフがポンポンと客席に飛んでくるような、圧してくるような感じを想像していたのですが、意外にも富十郎さんが低く抑えているような感があり、“どっしり”と重厚な印象が強い。 しかしながら、山伏問答の気迫は充分で思わず息を詰めて固唾を飲んで見入る…という感じの二人の芝居。 弁慶、富樫共に“男が惚れる男”という今月の両者だったような気がします。
弁慶の花道~舞台中央への…関所へ近づくまでの緊張感が素晴らしく、その気合いが四天王にも及んで家来連中のピリピリと神経を尖らした心臓の音がドキドキと聞こえてくるようで、弁慶の主君に対する思いが芝居ではひしひしと伝わるさすが感はあったのですが【延年の舞】など踊りの部分がちょっと淡白な印象が残りました。

植木屋

私、初めて拝見した、忠臣蔵外伝の演目でした。
上方和事の主人公にありがちな、つっころばし系のおぼっちゃんでナヨナヨしてて…でもイイ男でモテモテ、という弥七実は千崎弥五郎には梅玉さん。 カッチリと真面目な印象が強い梅玉さんでしたが、【人間万事金世中(松竹座2004年1月の宇津蔵)】から「結構笑える梅玉さん」という感が強くなり、以前よりも柔らか味が増しているような。 今後も貴公子路線に加えて…で、このようなお役を拝見する機会が増えてくるのでしょうか?
この手の主人公に絡む女性は、何故だかダメ男を一途に慕いあまり幸せでない末路を迎える事が多いですが…やっぱり!な悲しいお話なんですね。
時蔵さん@お蘭の方は、愛する弥七の役に立とうと高師直の愛妾にまでなって非業の最期を遂げるのですが…そのラストの演出が印象的
ちょっと遠くのお席からでは、あまりにもさりげなくて判りにくいのでは?と思われましたが、お蘭の方の意を決して籠へ入る表情、閉め切った籠の中で小さく叫ぶ声に、「彼女は幸せだったんだろうか?」と、自らを犠牲にする彼女の悲哀に涙しました。
前半はじゃらじゃらとして笑いところがある為、後半の悲劇性が際立つような印象でしたが、ちょっと中だるみするような気も。 私は好きな演目でした♪

エリザベート(山口×鈴木×浦井)【帝国劇場】

計らずも…自分のウッカリ!で観劇となりました本日の公演。
青りんご山口祐一郎さん@トート
全体的に押さえた印象を受けたのと、歌う音を伸ばす際の両手の動き(上下、左右)が以前にも増して目障りで気になりました。
今回の演出の意向か?デブレツィンでの【闇が広がる】の、子守唄のような歌い方に驚き! 今公演で観客が一番戸惑ったところではないでしょうか? 謎だけど笑えて好きだったルドルフとの【闇が広がる】の際の寄り目がなくなっていたのが、個人的には残念! やっぱり“なんか不思議で気になる役者さん”です、山口さんって。
青りんご鈴木綜馬さん@フランツ
前日の禅フランツは、そういうつもりでは決してナイのだけど結果的には“笑う構え”で観劇してしまったので汗、落ち着いてフランツを観れました。 久々の綜馬さんフランツ拝見です。
今公演では、結婚に至るまでの若いフランツ時代が印象的。 母親の意向に振り回されながらも、シシィは自らの意思で選び~結婚式までのくだりは、皇太子としての難しい立場がより強く伝わってきました

青い旗キャスト
トート:山口祐一郎/フランツ:鈴木綜馬/ルドルフ:浦井健治

エリザベート(内野×禅×浦井)【帝国劇場】

今回は“禅フランツ”目的の観劇です(キッパリ!)
2004年版で、かなりハマってしまった“禅フランツを再び”で、チケット発売日はほぼ終日電話をかけ続け、携帯電話本体が熱をもってものすごく熱くなり火を噴くんじゃないか?!と思ったほどかけ続け…ようやく確保した1枚。 けど…夕方ようやくかかって案内してもらったお席は(8日ソワレ)ヒドく悪くて「じゃ翌9日マチネも1枚!」と勢いで購入。 し、しかし…チケットが手元に届いたさらに数日後にようやく気が付きました! 勢いで追加した1枚は『禅フランツではなかった!』と冷や汗 かくして計らずも、Wトート&Wフランツを今公演でも拝見する事となりました(両日共ルドルフは浦井さん)
久々の【エリザベート】にもっと興奮するかと思っていましたが、幕が上がり舞台が進行しても、何故かひどく冷静に観劇している自分に驚きました。 観劇…というよりは観察に近い感じでしょうか?(どこが変わったのかな?とチェックしているというか)
演出の舞台セットや衣装を含む基本は2004年版で、大不評だった電光掲示板は姿を消し、背景スクリーンにその情景(イラスト)を映し出すものに変更。 ヘレネが皇太子とお見合いをする旨を親戚一同に発表するシーンなどでは、林の人影がどんどん増えていったり…と画面に奥行きが出たり、大好きな【夜のボート】では海の情景と冷たい月を映すことで、よりあの世界を悲しく、心に響く歌として伝わってきた印象を受けました(シシィが木から落ちるシーンは前回とさほど変わらず)
しかし【ミルク】で、冷静に観ていた自分の気持ちにスイッチオン☆ 「これよ、これっ!コレが観たかったのよぉ~」! そして【HASS!】~【闇が広がる】の大好きな流れになると以前の興奮状態の観劇の感覚が完全復活♪ あ~、やっぱり私は【エリザベート】という作品が好きなんだなぁと再確認しましたね。
初風さんの代役として今回初参加の寿ひずるさん@ゾフィー すでに出来上がったカンパニーに大役で初参加とは、大変なご苦労があったかと思われますが…素晴らしい☆ 初風さん@ゾフィーは観過ぎてすでに愛着のようなものがあったので「そんなに意地悪で恐くてもホントはイイ人よね?」的な思いで観ていたのですが、初めて拝見する寿ゾフィーは「こ、こわい~っ」。 威圧感がものすごくあって、エリザベートを憎んでいる感じすら。 二幕目以降のフケっぷりも素晴らしく、でも臨終の歌には息子と国を憂う愛に溢れ…と涙を誘われました

青りんご一路真路さん@エリザベート
シシィ時代が…ツラかったです、かなり。 可愛く作ろうとしているのに、ひどく無理がありわざとらしい感じが目立ちました。 コレは今までは感じたことがなかったので、今回は特に“可愛らしく・純粋で・奔放で”という意図があったのでしょうか?
青りんご内野聖陽さん@トート
もはや歌に関してドキドキと心配する事はナイですね! 昨年から比べても歌の上達ぶりが(エラそうに)またまた素晴らしくて驚きました! 歌い方もさらなる工夫が感じられて『常に進化と工夫と努力を重ねる役者さんだなぁ』と感心しきり
青りんご浦井健治さん@ルドルフ
こちらも目を見張るような歌の上達ぶりでビックリ! ダンスも更にキレがよく、形のひとつひとつが綺麗でジャンプが高いっすっごく☆ 以前から馬車から飛び降りる姿にはホレボレするものがありましたが「トォーッ!」と戦隊ものヒーローのような擬音を付けたくなるような飛びっぷりに「カックイイ~っ」。 今後、違ったお役でも拝見してみたくなりました。
青りんご石川禅さん@フランツ
お久しぶりです! 素敵です☆ 面白いです?! 熱いです! 【悪夢】は灼熱です! いや~、禅フランツに関してはココでは書ききれないので別レポート“禅・ファイヤー・フランツ”に記しますが、「観に来てヨカッタ…」と心底思いました。 楽しい時間をアリガトウ、禅さん♪

青い旗キャスト
トート:内野聖陽/フランツ:石川 禅/ルドルフ:浦井健治