イーストウィックの魔女たち【博多座】

5日(火)夜の部と本日、計2回の観劇でした。
本日は明日が千穐楽…という事もあり、前日より博多遠征でに乗り込んだ熱烈なファンの方も多かったようで、平日の夜の部というのに大変な盛り上がりでビックリでした☆
5日は初日開けてすぐ…という事もあって「まだエンジンがかかってなかったのね」と思える部分が多々あり、印象や認識が改まった2回目の観劇。
中でも一番、パワーアップしていたのは…指揮者の塩田さんでした! オーケストラボックスであんなに激しく踊ってるなんて! 二幕目最初(アレクサンドラのシャワーシーン前)、一路さん@アレクサンドラに投げキッスをしたり、色目を使ってるなんて! 今まで観た作品でも“踊る指揮者・ノリノリ塩田明弘”は何度も目撃しているけど…一番スゴかった。 モンキーですよ!ゴーゴーですよ!  今後は“指揮・ダンサー:塩田明弘”公演ブムログラムにはそう記載した方がイイかもしれない
映画を…それこそ公開当時に1度観たきりだったので、殆どストーリーは忘れてしまっていたけど『ミュージカル化に向いてる作品だったかなぁ?』というのが観る迄の印象。 だからこのような軽いタッチ?の娯楽作品になっていた事にまず驚き。
ミュージカル作品としては、私個人としては耳や心に残る曲がなく、メインキャストである陣内孝則さん@ダリルの歌が…で残念でしたが、豪華キャスティングはどのキャラクターハマって、その豪華出演陣を観る…という楽しみ方をする作品だった、という印象は終始変わらず
性描写が多く、最後には人を殺してしまって…でもあっけらか~んと「本当の自分を見つけたわ」と歌う三人の女性 本として「それってどうよ?」と思うけど、「あ~、笑った!楽しかった!」で観劇を終えれれば、こういう作品もありかも、と思えました。
“魔法”が使われるので、セットや舞台装置、照明効果など今までのミュージカル作品では観た事がナイ斬新なモノや手法で、これがとても面白かった☆
一路真輝さん@彫刻家アレクサンドラ涼風真世さん@音楽教師ジェーン森公美子さん@新聞社OLスーキー。 各々の女優の個性がいかんなく発揮されていて、その美しさ、可愛らしさに観客はおおいに沸き、“華”を観た、という感じ
陣内孝則さん@魔法使いダリルは“軽薄な雰囲気”がハマっていましたが、ちょっと耳障りなほどの博多弁多用のセリフに途中から笑えなくなった私。 博多弁でしか笑いを取れナイというのは…どうかと。 “博多座初登場・凱旋公演”なんだけど「ミュージカルなんだから歌で湧かせてほしい」と正直思いましたね、うん。 しかしその力いっぱいの奮闘振りには大拍手に充分値する陣内さんの熱演でした。
役者さんとして一番印象に残ったのは、大浦みずきさん@町の有力者で新聞社オーナーのフェリシア。 まず次々に替わる衣装がどれも素敵で、目にも楽しく歌もバシバシ決まるダンスも! そしてヒステリックな鼻持ちならない女をコミカルに熱演で、目を奪われました。 これから彼女の舞台を拝見するのがとても楽しみに☆
他には、治田敦さん笹本玲奈さんなどもご出演…で「出演者は豪華なんだよなぁ」と最後までそのひと言はついてまわった作品であった事は確かな印象。

オンディーヌ【メルパルクFUKUOKA】 

昨年より『観たことがナイ四季作品は一度観てみよう』キャンペーン中の私は、とりあえず観た事がナイ作品がかかると可能な限り足を運んでいる現状。
ストレートプレイは【思い出を売る男】に続き2作品目の観劇。
ストーリーは、永遠に生きる水の精オンディーヌの無限の愛と、人間の…憂愁の美しい騎士ハンスのはかない悲恋の神話的な物語。 【有限と無限】、【人間と人間を超えるもの】の対立がテーマとして描かれ、移ろいやすく、愚かな人間の存在を“有限”とし、純愛を貫く永久無垢な水の姓の存在を“無限”とて表現。
水の精・オンディーヌは15歳で純粋無垢の為、その口から出る言葉は無邪気にしてもあまりにも唐突で自分中心で…のっけからドン引き冷や汗 「うわぁ…こりゃ私の苦手なタイプな演目だ」と冒頭から暗雲たちこめる観劇となる予感でしたが、舞台の進行に従ってグイグイその世界に引き込まれるような不思議な魅力があり、ラストまで一気に魅せられました
実は【思い出…】は度々気絶したし、元来ストレートプレイは苦手であります故、気絶覚悟の観劇体勢で臨んだのですが…ゴメンナサイ!でした。
オンディーヌの口から出る言葉の数々を嫌味なく、観客に納得させるよう演じるのは並大抵の事じゃないだろうなぁ…と、好演の坂本里咲さん@オンディーヌを観ながら感嘆しきり。 水の精のもつ透明感、純粋さ…これを表現できないと、そういうキャスティングでないとこの作品の全ては失敗となってしまうくらいの重要な重要なヒロイン。 素敵でした。 可憐でした。 素直に「ああ、この人は人間じゃないんだ、水の精なんだ」と説得させられるオンディーヌでした。
またこれに対等して、石丸幹二さん@騎士ハンス。 オンディーヌが初めて彼を見て言う「なんて綺麗なひと」というセリフに、観客が素直に納得する美男騎士で、人間でない水の精の心をも虜にする美しい男を嫌味なく演じるのは…石丸さんしか居ないだろうなぁ、と思わされるキャスティングでした。 オンディーヌの無邪気さに翻弄され、人間のしがらみ、愛への迷いに苦悩する騎士ハンス。 後半の苦悩し、いい知れぬ恐怖におののく様が強く印象に残りました。
三幕構成の演出にはそれぞれの幕に緩急があり、特に息が詰まりそうになったところに広瀬明雄さん@侍従とオンディーヌとの笑えるやりとりや、日下武史さん@水界の王のマジックの部分が入って一息つけ、後半の悲劇がより際立った印象。
常に湿気を感じさせる色を押さえた美術、 時代を感じる美しい衣装、とても好みで、自分自身いろいろと収穫の多い観劇となりました。
しかし作品として観客に問いかけたかったたテーマ、訴えたかった事とは…『人間とは移ろいやすく、愚かな生き物である』→『だから…?』、だからなんなのさ!と、ちょっと私的には疑問が残る作品でもありました。

青い旗キャスト
オンディーヌ:坂本里咲/騎士ハンス:石丸幹二/水界の王 :日下武史/ベルタ:大平敦子/ユージェニー:木村不時子/オーギュスト:松宮五郎/王妃イゾルデ・皿洗いの娘:大橋伸予/:山口嘉三(劇団昴)/ベルトラム:青山祐士/ 侍従 :広瀬明雄/裁判官1:川口啓史(劇団俳優座)/裁判官2:立岡 晃/ 詩人:中村啓士/ マトー:田島雅彦/サランボー:戸田愛子