大ギンギラ博覧会2007 流通戦争スペシャル【西鉄ホール】

昨年秋に続いての【ギンギラ大陽’s 10周年記念公演】第二弾。 今回は天神~博多の流通30年史と今後の展望が題材。 当初90分の予定が内容を盛りに盛り込んでの4部構成120分の上演時間に!
恒例の上演前撮影大会では、今度北天神に大阪のダイエーが鳴り物入りで出店する!という事でそれを迎え打つ新天町の老舗店舗キャラがズラリ登場。 「私は○○です」と店舗名を名乗ってくれなきゃ…正直判らないのはご愛嬌。 私、ランドセルは祖父にこの新天町の大隈カバン店で買ってもらったので、ランドセルを背負ったピンクのウサギ・大隈カバン店さんを懐かしくパチリ☆
以下の4部構成タイトルは私が適当に付けたもので、構成内容の記憶も前後していると思いますが「おおよそ、こんな感じの構成だった」という事で、悪しからず!

第1部【迎え打つ!ダイエー】

1973年4月1日、大阪商人ダイエーさん北天神に進出。 前進が呉服店の福岡松屋さんはマツヤレディスという女ビルとしてダイエーさんに寄り添って再出発。
迎え撃つ天神の老舗商業店舗は郷土愛を強調しながら対抗するが、ダイエーさんは必死に福岡に溶け込もうと「球団が欲しいといえば買ってやり、球場が欲しいといえば作ってやり…」と涙ぐましい努力と投資で福岡の地に根を張っていく…が、しかしそれが経営母体の体力を奪う結果になり、今現在では、という気の毒な現状を披露。

第2部【博多から天神へ。そして博多で新たな誕生】

博多から天神へ意を決して進出した博多大丸さん。 天神とはいえ、賑わう北天神を横目に南の端に居を構えたうえ、ターゲット設定に難ありで苦戦を強いられる。
しかしかつて博多で一緒にしのぎを削った玉屋さん井筒屋さんの叱咤激励を受け…今では『天神の中心は南へ移動』という時流にも乗り、エルガーラという娘も出来、“マダム大丸”という勝ち組へ。
一方、博多では女ビルの鏡・玉屋姐さんの廃業と悲しいニュースもあるものの1996年にキャナルシティ博多のオープン、1999年に博多リバレインオープンとニューフェイスの誕生も。
大塚ムネト@福岡シティ劇場

第3部【負け組から勝ち組へ、勝ち組から負け組へ】

福岡一の老舗百貨店・岩田屋さん。 三越さん福岡進出に備えてZサイドを誕生させるも、大誤算により本体の経営に大きな打撃を与える結果となる。 そこで西新岩田屋くん、久留米岩田屋くんの兄弟が本店の兄さんを助ける為に尽力し、今現在の再生までの軌跡を辿る。
また一方では、エレデ博多寿屋さんユニードさんもダイエー帝国に潰される悲劇が訪れるが、そのダイエー帝国もまた外資系からの攻撃を受け弱り行く現状の悲哀を描く。

第4部【これからの流通戦争】

博多駅の建て替えに伴い、駅ビルから撤退する事になった井筒屋さん。 新たに入居が決定した阪急百貨店さん東急ハンズさん
『天神に秋葉原を!』をキャッチコピーに1989年にオープンしたユーテクプラザさん。 その後ジークス天神と名前を変えながら、自身のキャラ設定に迷走するも、LOFTさんの進出が決まりようやく安泰となるか?!
…という今現在発表されている流通業界のニュースを紹介
ギンギラ大陽’sで好きなのは…もちろん『地元民にしか判らない地域ギャグネタ満載』なんですが、いつもならそこに“ホロリ”とさせられる、先人の苦労や頑張りを教え伝え、郷土愛を強く感じさせてくれる事に私は大きな魅力を感じていたのです。 が、今回は『ここ30年くらいの福岡流通戦争』という事に絞っている為か「すでに知っている」という部分が多いうえ、「へぇ~っ」という新たな気付きがなく、お笑いに徹した感があり…4部構成にした意味、緩急がなくちょっと途中から飽きてしまったのは残念(私は)。 次回に期待!!
パソコン ギンギラ太陽’s OFFICIAL WEB SITE
カメラ 観客全員で“IMS”記念撮影!(私、ちゃんと写ってマス)

イッセー尾形のとまらない生活 2007 春の新ネタ in 博多 【IMSホール】

春の公演、初日観劇。 しかも初めての最前列にて! 初日だったからなのか?初めての間近での拝見だったからなのか?いつもよりイッセーさんの表情が厳しく、お着替えでは「随分おヤセになったなぁ…汗(フケたなぁ)」という印象で、もしかしたら体調が悪いのかしら?と心配。 けれどひとたび舞台中央に移動して、暗転からパッと照明が付くと…その出の立ち姿だけで笑えてしまう強烈なキャラクターがいつも通りに出現! 役者・イッセー尾形です☆
今回はスーツ系+眼鏡キャラが多く、私の大好きな女性キャラが1つだけだったのが個人的には残念でしたが、楽器演奏と歌をいつにも増して堪能♪ “ご高齢キャラ”がとても愛おしく見えてくる公演でした。
2007春-1
青い旗 東京ナイツ
昭和40~50年代にかけて自称ヒット曲を飛ばした?ムード歌謡バンド“○○○○と東京ナイツ”の東京郊外のホテルラウンジにおけるライブの様子。 一番の若手メンバーが62歳(だったかな?)の熟練バンドマン達のリーダーはライブの進行役であり、マラカス、タンバリン、ハンドベルを担当。 老練な技巧でマラカスを振りながら時々挟むコーラスの一節に笑い、持ち歌のタイトルにもまた爆笑。 【ちりめん娘】って…全歌詞が知りたいなぁ。 メンバー全員の姿がハッキリと見えましたっ!
青い旗 守衛主任
とあるビルの裏門の守衛主任が、定年退職したであろう新人3人(前職=校長先生、JR職員、広告代理店社員)に対して職務の指導を行う。 老年の主任はキャリア上がりの3新人に対して主任としての虚勢を張るものの、己の立場や境遇を危惧する事となってしまう…。
体にフィットしていない制服と気弱そうな視線の定まらなさぶりが激しくツボ。 広告代理業の業務内容を全く解ってないところは就労していた者としては大いに笑いましたっ! 定年後の再就職の厳しさも、ちょっと考えさせられたり…。
青い旗 ホテルマン面接
生まれてこのかた三軒茶屋を出た事がナイらしい?今ドキの男子高校生。 ホテルの就職試験を受けた動機も「三茶にあるから」。 面接会場とその控え室、その間の歩き方や態度の豹変ぶりが面白く、控え室に待機する同級生にイキがったり、混乱させるようなアドバイスをしたりで…小学生の時には放火の前歴がある暴れん坊ぶりに爆笑!
彼は社会に出て…どんな大人になって、どんな社会になっていくのかしら?と笑いながらも不安が~。
青い旗 緊急呼び出し
自宅で入浴中に会社から緊急呼び出しがあり、駆けつけなければならない部長?さん。 同居の年老いた母親が息子を心配して夜食におにぎりを持たせようと作りながら、子供の頃から緊急事態でも常に冷静だった息子の武勇伝を語る。 「さぁ、行こう!」と自分に発破をかけるものの、なかなか腰が上がらない部長の様が可笑しい。
頼りにされるって嬉しいけど、重くもあり…ますよね、うん! イイ大人の息子を心配する母親の愛にホロリ
2007春-2
青い旗 フクロウ眼鏡店
フクロウの剥製がズラリと並ぶ不思議な店内の眼鏡店。 そこへ眼鏡を買いに来た男が、耳の遠くて仲の悪い老夫婦の店主と彼らのひ孫(女児)に翻弄される様子。 節目節目で「…と、いう夢を見た」となり、「あ、このハチャメチャな設定はこの男が見ている夢の世界なんだなぁ」と思って続きを観ていると…「ん?」と、混乱してきたりで、ちょっと話の設定への理解が難しかった汗
青い旗 ひとみちゃん(ホステス篇)
今公演唯一の女性キャラ。 “熟女パブ(キャバレー?クラブ?)”とでも言いますか…勤めている女性は、お福ちゃんだの、おカメちゃん、みすゞちゃん(とかそんな感じの名前)で、指名を受けると客の目の前で一芸を披露する“マンツーマン芸”が売りの店。 その芸も三味線や小唄、大正琴だったりで、イッセーさん演じる“ひとみちゃん”の芸はウクレレでジャズ演奏&せくしーリンボーダンス。 そうとは知らず入店してしまって悪態をつく客に強引に対し、自分ペースで芸を披露するひとみちゃんが最高にキュート☆ ラストの水中ショーは…間違いなく夢に出て来る!
女性って逞しいなぁ…と、思いつつ、こんなに可愛く年を取りたい、かな♪(ある程度の厚かましさも必要ネ)とにかく笑った、今公演一番好きだったネタ。
青い旗 ウエスタン村
ウエスタン村入り口で“ウエスタンバンドショー”を披露するバンドマン・ケンタッキー上田。 彼はアルコール依存症で入院していたがこれが退院後初仕事。 牧場に入場しようとする家族を強引に引き止め、演奏を聴いてもらう必死の様に笑いと哀愁が漂う。
これは以前、博多で新ネタとして披露された…との事で、私その時の公演拝見していましたので懐かしいのとパワーアップ(ケンタッキー上田は年数分年老いていた)の様にまたまた爆笑!
青い旗 哲学を語る大道芸人(アンコール)
彼は…哲学家で大道芸を披露しているのか?大道芸人が哲学を語っているのか?はたまた哲学的な吟遊詩人なのか?、は謎でしたがその風貌は充分に怪しく、道行く人は間違いなく一瞬足を止めたはず! 簡易リズムマシーンが奏でるリズムにのって怪しげなステップを踏んだり、ウクレレを演奏しながら哲学について歌ったり、はたまたまだ練習中だというアフリカの太鼓?と笛で呼吸困難に陥りながらも演奏を披露したり…の不思議キャラ。
かなり昔のタモリさんのネタっぽい印象を受け、アンコールとしてはもう一発ドカンと爆笑出来るモノが良かったなぁ~と個人的には思いました(私的には今ひとつ解りづらかった)
今、ファミリー劇場で【イッセー尾形の笑ートカタログ】が毎日1本づつ?放映されているので時々観ていますが…海外ドラマのような、ドリフのようなわざとらしい客席の笑い音声が耳障りで、引いてしまって笑えない~撃沈 やっぱり生の舞台です、イッセーさんは!

ウィーン版エリザベート【梅田芸術劇場】

日本でも宝塚版、東宝版共に絶大な人気を誇る【エリザベート】。 それ故に、今まで何度も本場ウィーン版の来日公演が検討されてきたそうですが、複雑な舞台装置を筆頭にいろいろと問題があり実現不可能と言われていました。 が!梅田芸術劇場が上演にあたって大幅な改修を行い、出演者、オーケストラ共にベストメンバーであり、スタッフを含めると総勢100名規模がついに“奇跡の来日”。 最初で最後の豪華引越公演がこの度実現!! キャッチコピーは『ベストを超えた奇跡のメンバーが来日』 後にも先にも実現困難な貴重な公演!…だそうで、これは絶対見逃せナイ!でしょう♪
ウィーン版は以前にDVDでは観ていたので、舞台美術や演出等は分ってはいたものの…「やっぱり舞台は生で観ないと!」と改めて強く認識しました。

梅田芸術劇場は回転盆・大小4つのセリがあるそうですが…「見ろ!我が劇場のスゴさを!」と言ったかどうか知りませんが汗、この上演に際して改修も行った事もあり「うわぁ、スゴッ」と迫力ある演出効果を実現。
この公演ではセリが複雑に多用される上、更にそのセリ上に?直径5m(ぐらいはあるかな?)2台の回転ワゴンが登場し、不思議な空間としてシーンを切り取っていきます。 この舞台機構は初めてみたので「すっげぇ~!」と度肝を抜かれてしまいました! ん~、なんて言いますか…遊園地のコーヒーカップみたいな、ベースも回転するけど上に載ってるモノも回転する…って感じで。 上で演じる役者さんはバランス感覚も重要だなぁ。
貞子シシィそして、舞台上手に現れるウィーン版として象徴的なヤスリをモチーフにした大きな跳ね橋。 上下にしか動きはありませんが、舞台下手まで届きそうな大型装置で圧倒されます。
また、映像では感じる事が出来なかった感動は書割りの素晴らしさ! シーンによって緻密に描写された背景はヨーロッパの豪華な装飾が再現され、宮殿の食堂や、戴冠式など…日本版では観客のイメージによって膨らませていたものを、実際にヴィジュアルで見せてくれるのはスケール感があり圧倒的な面白さでした。 この書割りのタッチもクラシックであったり、ポップ調だったり、写真だったり…と様々なバリエーションがあってものすごく面白いっ!
照明もレーザー光線あり、情景豊かな感もあり、と工夫されており、生の舞台の醍醐味として堪能できました。
対して、期待していた衣装は…日本版の方が豪華かも。 ハプスブルグ家の人々の衣装には全て左半身に蔦のようなデザインがあしらってあります。 これは”Geschwuer”というもので日本語直訳だと“腫瘍”なんだそうです。 意図するところは『初めは小さい腫瘍が段々大きくなり体を蝕んでいく…という様を表現する狙い』らしい。 けど…見た目に美しくナイのは難点かと~汗
その他、特筆すべき演出と美術は…
プロポーズを受けたエリザベートが皇室に入る決心をするシーンは、ハプスブルク家の紋章を形どった観覧車にて。 スゴイ、スゴイです。 観覧車回ってます! 赤ロープが、ちょっとボクシングリングに見えてしまったのはご愛嬌として、ウィーンといえば映画【第三の男】に出てくる世界一古い観覧車で有名ですものね! 「ウィーンだから観覧車を使ったのか~」と、安易に納得してしたら…実はこの観覧車、皇帝フランツ・ヨーゼフI世の即位50周年を記念して作られたプラター公園のもの、という事を、私、観劇後初めて知った次第(実際に私、乗ったくせに恥ずかしい…汗 )
カフェのシーン。 噂話に花を咲かせる客たちは遊園地の電動カートに乗って舞台を縦横無尽に走り回り、観るのに忙しい!
皇太后ゾフィと側近たちがエリザベートを陥れようと画策するシーン(→マダム・ヴォルフの館へ)では、各々のキャラがチェスの駒に扮してボードの床面を動くのは…こちらは映像で観た方が素敵だったかも(意外にちゃちぃ印象で)
そして、日本版でも私が一番好きなシーン!といっても過言ではない【HASS!】
これは鳥肌立ちました。 恐いです。 やはりドイツ圏という事で、ナチスに対する思いや考えは私達日本人には到底解らないものがあると思われ、それがこの演出に繋がっているんだろうと推察。 ナチスの異様な狂気にと憎しみに押される感じ。 曲も日本版とは違うアレンジだったりで…今公演で一番印象に残ったシーン。 スゴい…。
全体を通してハプスブルク家の紋章がドーンとあしらってあり、この王家の、この時代の王制の重圧感というか、そんなものが支配している印象でした。
ちびルド君俳優さんに関しては…やはり、ちゃんと演目通りのヨーロッパの方(←語弊があればすみません)が演じているので、「シシィって言われても…どうみても日本人じゃん!」という違和感はない上、役者さんに対して馴染みもナイので、各々をそのキャラクターそのものとして観れた、という事はすごく素敵な事でした。 やはり役者さん自身を知ってしまうと“○○さんの演じる○○”となっちゃいますからね…。
各々を語ると恐ろしく長くなるので止めまして…ひとりだけ、ちびルド君を。 今公演では日本在住でドイツ国籍を持つ子役さんが数人キャスティングされていたようですが、この日はダイエル・エクホフくん7歳。 可愛いの、めちゃくちゃ可愛いの~ときめき ちびルドに関しては日本人キャストは「それ、どうみても鬘じゃん」の感はつきまとい、違和感ありあり(子役はあまり化粧で顔をつくってナイのでなおさら日本人~)で苦手な私。 初めて「そうよ、ちびルドはこうでなくっちゃ~☆」とスッキリ。 本物の子役さんか否かは不明ですが、その容姿だけで説得力あり! トートにすがる様、ママとの面会を禁じられる際の落胆ぶりは「なんてかわいそうなの~」と涙
でもってカーテンコールでは、デニス・コゼルーさん@マックスと入れ替わりに手でタッチを交わして、ラスト手を繋いでのおじきではいっちょ前の紳士ぶり。 笑顔は猛烈に可愛く…しかも前歯が抜けていたかと思われます(私の怪しい視力ではそう見えた)。 可愛いすぎ…。
あ! あとブルーノ・グラッシーニさん@ルキーニがキュッチュのリプライズ(チェス盤のシーン前だったかな?)の一節を日本語で披露。 上手いっ! やっぱり音楽に携わってる方って耳がイイんでしょうね~。 イントネーションとか完璧で普通に綺麗な日本語でビックリ! 客席拍手喝采~☆
今公演を観て「【エリザベート】やっぱり好きだなぁ~」と改めて感じました。 私、まだ観た事がナイ宝塚版が今年は上演されるそうなので観劇計画中~♪ 「こうなりゃ全ての国の演出バージョン、観てみたい!」という野望もフツフツと。

青い旗 キャスト
エリザベート:マヤ・ハクフォート/トート:マテ・カマラス/皇太子ルドルフ:ルカス・ペルマン/ルイジ・ルキーニ:ブルーノ・グラッシーニ/皇帝フランツ・ヨーゼフ:マルクス・ポール/皇太后ゾフィ:クリスタ・ヴェットシュタイン/バイエルン公爵マックス:デニス・コゼルー/ルドヴィカ公爵夫人:キャロリーネ・ザンマー/ルドルフ(子役):ダイエル・エクホフ

浪花花形歌舞伎・第三部【松竹座】

夏祭浪花鑑

初役で臨まれる方が多いので、ものすご~く楽しみに観劇! まさに“フレッシュな”という、浪花花形歌舞伎ならでは!の試みで楽しい、楽しい~♪ しかし…休憩なしのノンストップ2時間は、集中力維持が厳しかった~。
翫雀さん@三婦娑婆へ出て来る団七を迎えようと、身支度一式整えて迎えにやってくる翫雀さん@釣船三婦。 「翫雀さんが三婦さん?!」と配役を知った時、あまりの意外さに思わず声が出たほどでしたので…楽しみ半分、心配半分。 役としてのイメージは大柄でドッシリと構えていて、家内で着替えるアノ粋な昇り龍の派手な麻?の着物をバシッと着こなす体躯…という感じだったので、果たして~。 しかし、ならではの三婦さん像でこれまたイイ!(贔屓目すご~く入ってますから!) 声はすれども姿が見えず「どこじゃい?」と探す団七に「ココじゃわい♪」と床屋の暖簾から顔だけバァ~って出すのがキュートで私、壊れましたっ!
今公演唯一?持ち役としてドーンと受け止める竹三郎さん@おつぎとの夫婦ぶりも、すごく微笑ましくって、焼きもちやくおつぎさんもいつもより…若妻?
薪車さん@磯之丞は、大柄なのでナヨナヨとしたか細い線を出すのが難しそうな印象で「実はしっかり者なんじゃ…」と勘ぐりたくなる感じ。 対して千壽郎さん@琴浦は大抜擢に応える好演。 実はココまでセリフがあるお役で拝見したのは初めてで、姿の美しさについ目で追う女形さんでしたが、遊女のはんなりとした色気(しかも瑞々しい!)が漂っていて素敵でした。
そして…愛之助さん@団七九郎兵衛。 もちろん初役であり筋書きには「死ぬ気で頑張ります」との事で、体当たり全力投球の奮闘ぶり。 今公演の愛之助さん、すべての部において大役ばかりで精神的にも大変な負担があったかと思われますが、観客として拝見できるのは素直に喜ばしい事でした♪ 私、上方の役者さんがこの演目というのは観ていて説得力があり、耳にも心地良いので大好きなんです。
全編通しての好演はもちろんですが、特筆するとしたら…釈放時の親子のやり取り。 迎えにきた孝太郎さん@女房お梶松坂大地くん@倅市松とのやり取りが微笑ましくてニッコリ。 大地くん、スッキリ美形で…ちょっと愛之助さんに似てませんでしたか?
そしてやはりラストの泥場。 綺麗です。 カチッカチッと型通り、という感がいなめませんでしたが「しもた~」「悪い人でも舅は親、おやじどん許してくだんせ~」というセリフには、計らずも舅を手にかけてしまった戸惑いや後悔の念にあふれ、気が動転しての引込みに強い説得力を感じました! ぜひ是非また拝見したい素敵な団七でした♪

浪花花形歌舞伎、総括。
1日で三部通して拝見したのですが、休憩時間が少な過ぎ! ま、私のような無茶な観劇スケジュールで観る人の方が稀なんでしょうけど、それにしても食事のタイミングとか難しくなかったですか? 次回からもうすこし配慮してくれると嬉しいなぁ…。
ま、しかしやっぱり楽しい“浪花花形歌舞伎”! 私、どの公演よりも毎年の発表を楽しみにしているかも? 是非ぜひ末永く続けて欲しいものです♪

浪花花形歌舞伎・第二部【松竹座】

雨の五郎

実は…この演目もなぜだか縁がなく、映像も含めて今回が初めて観たんです。
デフォルト拵えは黒ですが、進之介さん@曽我五郎時致は白でして、この時期の明るく華やかな雰囲気に合っていてとても綺麗でした。
廓通いの優美さと荒事の勇壮さの両方が魅力の舞踏ではありますが、え~っと…そのどちらかも汗

色彩間苅豆

2001年の六月博多座大歌舞伎以来の孝太郎さん@かさね。 私、コレで孝太郎さんファンになったので(この時は一体何回博多座に通ったんだろう…汗)今公演はその再会で観劇前からものすごくテンション上がってましたっ!
かさね前半のクドキがすごく濃厚な印象で、特に妊娠を告げるくだりはゾクッとくるほど。 なんというか…愛之助さん@与右衛門じゃなくても、こんなに想いが重すぎる女はウザイと思うよなぁ~、という印象のクドキぶり。 「こんなに貴方の事を想っている私を捨てられるはずがナイわ~」と、その気迫が与右衛門にトグロを巻いて絡み付くような~。 可憐な腰元が好きな人を一途に慕ってその想いを切々と…というよりは成熟した女性が「あんたは私から逃れられないのよ」というような濃厚さ。
ですから、後半の与右衛門の残忍な仕打ちに対して「かさねちゃん、かわいそ~う!」という感じが私は薄く感じられたかも。
しかしながら、私が前回、孝太郎さん@かさねに特にハマった“鏡で己の変わり果てた顔を観て驚き嘆く”シーンは期待通りで涙。 ココで一気にかさねに気持ちが沿っていきます。
以外にも?怨霊となってからの引き戻には前半のクドキほど絡み付くような情念は感じられませんでしたが…でも、うん! やっぱり孝太郎さん@かさねは好きだわ♪
愛之助さん@与右衛門は…ニンだと思いますが印象に残らず。 もう少し色っぽい感じがあればイイなぁ、と思いました。

曽根崎心中

今公演の演目が発表になった時「また曽根崎かぁ…」というのが正直な感想でしたが、翫雀+扇雀兄弟が家の芸を継承、という事で今まで気がつかなかった事がいろいろと見えてきて面白かったです!
扇雀さん@天満屋お初。 出から…初々しい恋する乙女19歳、ってな感じがなく、大人の女がブリッ子(←古っ!)している感じで厳しい。 と、いう事で改めて藤十郎さん@お初の可愛らしさが驚異的である事を再認識。 「きゃ~っ、徳さま素敵~☆」って手をたたいて喜ぶところなんか、まさしく“恋する乙女19歳”だもんなぁ~。
ラストの道行では、すべて事情を飲み込んで意を決した女性として凛としたものがあり、扇雀さん@お初、独自の工夫を垣間みたような気がしました。
でもって、今公演で特筆したいのは、なんと言っても亀鶴さん@油屋九平次! もちろん今までもこのお役で何回か拝見していますが、「亀鶴さん、ウマイっ!」とうなったのは今公演が初めてでした。 あの底意地の悪いヤな感じが所作や表情の細部まで行き届いていて「なんでそんなに翫雀さん(←違います!徳兵衛です!)を虐めるとよ!」と、本気でムカつく悪党振り。
何様ですが…「亀鶴さん、いつの間にそんなに上手くなったんのよ~」と驚きの好演でした。
浪花花形歌舞伎という事で思った事。
鴈治郎家の芸、であるこの演目ですが…だからこそのこのような機会にもっと思いきった配役は出来なかったのかしら?と。 今配役は後々は本公演で幾度となく上演されるでしょうから、正直、いろんな方のお初&徳兵衛を観てみたいです。 「また曽根崎…」には、狂言としては面白くても、いつも配役が変わらないという事も大きな原因かと思いますから。 …と言う私は関西成駒屋(って言い方あり?)のファンなのですが汗