ウィーン版エリザベート【梅田芸術劇場】

日本でも宝塚版、東宝版共に絶大な人気を誇る【エリザベート】。 それ故に、今まで何度も本場ウィーン版の来日公演が検討されてきたそうですが、複雑な舞台装置を筆頭にいろいろと問題があり実現不可能と言われていました。 が!梅田芸術劇場が上演にあたって大幅な改修を行い、出演者、オーケストラ共にベストメンバーであり、スタッフを含めると総勢100名規模がついに“奇跡の来日”。 最初で最後の豪華引越公演がこの度実現!! キャッチコピーは『ベストを超えた奇跡のメンバーが来日』 後にも先にも実現困難な貴重な公演!…だそうで、これは絶対見逃せナイ!でしょう♪
ウィーン版は以前にDVDでは観ていたので、舞台美術や演出等は分ってはいたものの…「やっぱり舞台は生で観ないと!」と改めて強く認識しました。

梅田芸術劇場は回転盆・大小4つのセリがあるそうですが…「見ろ!我が劇場のスゴさを!」と言ったかどうか知りませんが汗、この上演に際して改修も行った事もあり「うわぁ、スゴッ」と迫力ある演出効果を実現。
この公演ではセリが複雑に多用される上、更にそのセリ上に?直径5m(ぐらいはあるかな?)2台の回転ワゴンが登場し、不思議な空間としてシーンを切り取っていきます。 この舞台機構は初めてみたので「すっげぇ~!」と度肝を抜かれてしまいました! ん~、なんて言いますか…遊園地のコーヒーカップみたいな、ベースも回転するけど上に載ってるモノも回転する…って感じで。 上で演じる役者さんはバランス感覚も重要だなぁ。
貞子シシィそして、舞台上手に現れるウィーン版として象徴的なヤスリをモチーフにした大きな跳ね橋。 上下にしか動きはありませんが、舞台下手まで届きそうな大型装置で圧倒されます。
また、映像では感じる事が出来なかった感動は書割りの素晴らしさ! シーンによって緻密に描写された背景はヨーロッパの豪華な装飾が再現され、宮殿の食堂や、戴冠式など…日本版では観客のイメージによって膨らませていたものを、実際にヴィジュアルで見せてくれるのはスケール感があり圧倒的な面白さでした。 この書割りのタッチもクラシックであったり、ポップ調だったり、写真だったり…と様々なバリエーションがあってものすごく面白いっ!
照明もレーザー光線あり、情景豊かな感もあり、と工夫されており、生の舞台の醍醐味として堪能できました。
対して、期待していた衣装は…日本版の方が豪華かも。 ハプスブルグ家の人々の衣装には全て左半身に蔦のようなデザインがあしらってあります。 これは”Geschwuer”というもので日本語直訳だと“腫瘍”なんだそうです。 意図するところは『初めは小さい腫瘍が段々大きくなり体を蝕んでいく…という様を表現する狙い』らしい。 けど…見た目に美しくナイのは難点かと~汗
その他、特筆すべき演出と美術は…
プロポーズを受けたエリザベートが皇室に入る決心をするシーンは、ハプスブルク家の紋章を形どった観覧車にて。 スゴイ、スゴイです。 観覧車回ってます! 赤ロープが、ちょっとボクシングリングに見えてしまったのはご愛嬌として、ウィーンといえば映画【第三の男】に出てくる世界一古い観覧車で有名ですものね! 「ウィーンだから観覧車を使ったのか~」と、安易に納得してしたら…実はこの観覧車、皇帝フランツ・ヨーゼフI世の即位50周年を記念して作られたプラター公園のもの、という事を、私、観劇後初めて知った次第(実際に私、乗ったくせに恥ずかしい…汗 )
カフェのシーン。 噂話に花を咲かせる客たちは遊園地の電動カートに乗って舞台を縦横無尽に走り回り、観るのに忙しい!
皇太后ゾフィと側近たちがエリザベートを陥れようと画策するシーン(→マダム・ヴォルフの館へ)では、各々のキャラがチェスの駒に扮してボードの床面を動くのは…こちらは映像で観た方が素敵だったかも(意外にちゃちぃ印象で)
そして、日本版でも私が一番好きなシーン!といっても過言ではない【HASS!】
これは鳥肌立ちました。 恐いです。 やはりドイツ圏という事で、ナチスに対する思いや考えは私達日本人には到底解らないものがあると思われ、それがこの演出に繋がっているんだろうと推察。 ナチスの異様な狂気にと憎しみに押される感じ。 曲も日本版とは違うアレンジだったりで…今公演で一番印象に残ったシーン。 スゴい…。
全体を通してハプスブルク家の紋章がドーンとあしらってあり、この王家の、この時代の王制の重圧感というか、そんなものが支配している印象でした。
ちびルド君俳優さんに関しては…やはり、ちゃんと演目通りのヨーロッパの方(←語弊があればすみません)が演じているので、「シシィって言われても…どうみても日本人じゃん!」という違和感はない上、役者さんに対して馴染みもナイので、各々をそのキャラクターそのものとして観れた、という事はすごく素敵な事でした。 やはり役者さん自身を知ってしまうと“○○さんの演じる○○”となっちゃいますからね…。
各々を語ると恐ろしく長くなるので止めまして…ひとりだけ、ちびルド君を。 今公演では日本在住でドイツ国籍を持つ子役さんが数人キャスティングされていたようですが、この日はダイエル・エクホフくん7歳。 可愛いの、めちゃくちゃ可愛いの~ときめき ちびルドに関しては日本人キャストは「それ、どうみても鬘じゃん」の感はつきまとい、違和感ありあり(子役はあまり化粧で顔をつくってナイのでなおさら日本人~)で苦手な私。 初めて「そうよ、ちびルドはこうでなくっちゃ~☆」とスッキリ。 本物の子役さんか否かは不明ですが、その容姿だけで説得力あり! トートにすがる様、ママとの面会を禁じられる際の落胆ぶりは「なんてかわいそうなの~」と涙
でもってカーテンコールでは、デニス・コゼルーさん@マックスと入れ替わりに手でタッチを交わして、ラスト手を繋いでのおじきではいっちょ前の紳士ぶり。 笑顔は猛烈に可愛く…しかも前歯が抜けていたかと思われます(私の怪しい視力ではそう見えた)。 可愛いすぎ…。
あ! あとブルーノ・グラッシーニさん@ルキーニがキュッチュのリプライズ(チェス盤のシーン前だったかな?)の一節を日本語で披露。 上手いっ! やっぱり音楽に携わってる方って耳がイイんでしょうね~。 イントネーションとか完璧で普通に綺麗な日本語でビックリ! 客席拍手喝采~☆
今公演を観て「【エリザベート】やっぱり好きだなぁ~」と改めて感じました。 私、まだ観た事がナイ宝塚版が今年は上演されるそうなので観劇計画中~♪ 「こうなりゃ全ての国の演出バージョン、観てみたい!」という野望もフツフツと。

青い旗 キャスト
エリザベート:マヤ・ハクフォート/トート:マテ・カマラス/皇太子ルドルフ:ルカス・ペルマン/ルイジ・ルキーニ:ブルーノ・グラッシーニ/皇帝フランツ・ヨーゼフ:マルクス・ポール/皇太后ゾフィ:クリスタ・ヴェットシュタイン/バイエルン公爵マックス:デニス・コゼルー/ルドヴィカ公爵夫人:キャロリーネ・ザンマー/ルドルフ(子役):ダイエル・エクホフ

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