六月博多座大歌舞伎・夜の部【博多座】

日の出 菅原伝授手習鑑
【加茂堤】梅玉さん@桜丸ポニーテールを揺らしながらいそいそと立ち回る様が愛らしい♪ 時蔵さん@女房八重とのアツアツ新婚ぶりは観ているこっちが照れるようで(結構きわどい夫婦の会話!)…だからこそ【賀の祝】での悲劇が引き立つ感じ。
今公演、全てにおいて「イイ!」と大注目だった梅枝くん@苅谷姫。 な~んかすごく安定感があって引きつけられるんですよね。 赤姫姿も愛らしくいじらしく、桜丸夫婦と一緒にジリジリしちゃう感じ。
松江さん@斎世親王は、眉間の皺が深く苦悩の色が…。
秀調さん@三善清行って…こんな半道敵での秀調さんを拝見したのは初めてだったので、軽快な可笑し味が新鮮。 ニマァ~と笑う表情に大爆笑!
幕開きからず~っと座って控えている牛車の前足が“横座り”なのが、すっごく気になりました汗
【賀の祝】 翫雀さん@松王丸って…翫雀さんが三つ子の一人を演じるのはすごく珍しいので目に新鮮☆ 松緑さん@梅王丸との“子供のけんか的なバトル”は『おぉ~♪W英竹対決~』で楽しく、「おいらは知らぬ~」と二人揃ってトボけるなんだか可愛らしくてニッコリ。 「お兄様を足蹴にするとは~」とブチ切れて真ん丸体でコロコロと奮起する翫雀さん、愛らしかぁ~(激しく贔屓目)…って二人ともちょっと関取みたいでしたけどネ汗 慌てすぎて二人とも女房を取り違える様がすごく自然で客席爆笑でした♪
東蔵さん@松王丸女房千代菊之助さん@梅王丸女房春が、左團次さん@白太夫の70歳の祝いの膳を整える様は、どこからみても“女房”ども。 今回は特に菊之助さんの後ろ姿が、女性にしか見えないという…人妻の色っぽさがあって感嘆☆
ここで時蔵さん@桜丸女房八重だけ着物が“お引きづり”なのは…何故なんだろう?
船乗り込みで「博多座で初めて切腹をいたします! その死に様を是非とも皆様にご覧いただきたく思います」と熱く語っていらっしゃった梅玉さん。 腹かっ斬る~自ら頸動脈へトドメ~床に突っ伏す、そしてラスト顔を上げて合唱する一連の表情に気品が漂うのは、ならでは!の魅力。 物語の悲劇性が倍増したように思いました。

坊主 達陀
私は2004年3月に歌舞伎座で一度観ただけなので、群舞の迫力だけしか印象に残っておらず、今演目が発表になった時「博多座で【達陀】がかかるとは~!」という嬉しい驚きと同時に「通いそうで…怖い」と思いました。 で、結局4回汗
特筆すべきは藤十郎さん@青衣の女人! 「何故妾の名を呼び忘れ給いしそうらえか~(←不確か)」と妖しく菊五郎さん@僧集慶蛇のようにネットリと絡まり付いて、煩悩へ引きづり込もうとする“女の情念の権化”の様が圧巻。 「うわぁ~、集慶ピンチ!」「もはや堕落か?!」と思う事度々。 生々しい色香は集慶が青衣の女人の胸元に手を差し入れた時の、その両者の表情が最高潮。 よってそれを潔く振り切る重慶に青衣を投げかけ~投げかけ、再度誘惑を試みる必死の形相~鬼の形相になる女人は大迫力。 青衣の女人の濃厚さで、この修行がより大変な業である事が感じられた次第でございます~。 すっぽんからの出と引っ込みの…その纏っている空気感だけで「あ~、この女この世の者ではナイなぁ」と納得させらるさすがの存在感にうなりました。
チーム火天はリーダー團蔵さん。 ファイヤ~なメラメラと立ち上る迫力の照明の中、豪快な足踏みから発せられる「ダッダッダッ」というリズムとドラ?太鼓?のメロディに、ぐわぁ~っと体温が上がります! やはり公演を重ねるに従って、まとまりが出て来て更に心地良いですね。 團蔵さんのキリリとした気迫の表情が、このチームの迫力に大きく加担している事は間違いないっ!
チーム水天はリーダー橘太郎さん。 こちらの照明は青っぽいだけで、特に水らしい揺らぎの仕掛けはなく、チームメンバーは皆、顔色が悪く見える~汗 対照的な流涎的な動きは…優雅といよりは“可愛らしい”と感じてしまうのは、リーダーのせい?! 何故だか火天に対して、水天の踊りは短く感じたのですが…通常版でしたか? ラストのツツツ…という後ろ高速引っ込みは「よく後ろの人につまずかないもんだ!」と手に汗握ります。
そして…練行僧大集合!となった所で、天井から火の粉のキラキラ紙吹雪が惜しげもなくザンザンと降り注ぎ、さらに加熱!加速! 観ているこっちもボルテージも急加速! 「迫力の群舞も堪能したけど、一人一人も観たい」もんだから忙しい、忙しい~びっくり
梅枝くんと、そして秀調さんの踊りに安定感とキレがあって惹き付けられました(橘太郎さんは言わずもがな♪) 秀調さん、今公演では役所がバリエーション豊かだった事もあったし…今までそんなに気に留めて拝見する事がなかったので新鮮でした(奥様のお里が福岡だそうで♪)
上手に控える…唄のお姉さん方。 なんで照明があんなに怖いんですか~冷や汗 まるで顎の下から懐中電灯で顔を照らしたかのようで、暗闇にぬぼぉ~っと浮かび上がる青い3つの顔。 でもって歌い出しが「さんげぇ~、さんげぇ~、さんげぇ~」と低くオドロオドロしいもんだから、怖すぎますって汗

青りんご 弁天娘女男白浪
先月の團菊祭でベテラン五人衆を拝見していたので、当代の菊之助さんが弁天小僧菊之助を演じる今月のフレッシュ五人衆はその比較を楽しみに拝見。 それぞれに良さがあって「歌舞伎って面白い♪」と改めてその観劇の楽しさを知った次第であります。
橘太郎さん@番頭与久郎♪ 実は私、【浪速花形歌舞伎@お染の七役】【團菊祭@白浪五人男】に続いて今月…と“三ヶ月連続・橘太郎さん@番頭さん”を拝見する事に♪ ん~、やっぱりそのラブリーさにニッコリしちゃいます。 「今月の博多座大歌舞伎と、レストラン花幸さんも大入り」は、毎回同じだったようで。
菊之助さん@弁天小僧菊之助は、正体を現す時に紅を落とすだけでなく、眉も描き変えているんですね。 よりキリリと凛々しい男の子風情が際立って、鮮やかな変身ぶりに見えました。 待ってました!な名ゼリフは…ちょっと節を付け過ぎのような~、歌っているような感じというか~、艶を付け過ぎるというか~、で個人的にはちょっと耳に心地が悪かった。 「わっちゃぁ~、ほんの頭数」っいうトボケた言い回しも笑えず。 力が入り過ぎているのか?なんだか、迷いながら演じているような硬い印象。 しかしながら、松緑さん@南郷力丸との相性は良く、その掛け合いは小気味イイ☆ 引き上げ時を目で合図し合う様や、花道での“坊主持ち”の引っ込みの可笑し味は充分!
亀三郎さん@忠信利平彦三郎さんをみた! 今まで似ている…と思った事は皆無でしたが、茶で取った目の隈の顔と、声が…ソックリ~。
梅枝くん@赤星十三郎、こちらも先月お父様がされたお役を…ですね。 傘を持つ手がピタッと動かず感心。 この場だけで、赤星というキャラクターを印象付けるのはやっぱり至難かと。 声色だけでは“なよなよ君”的な印象が勝ってしまいました。
團蔵さん@日本駄右衛門って…私、初めて拝見したかも? 若者不良グループを取りまとめるリーダーの貫禄は充分なれど、如何せん細い~。

ライオンキング【福岡シティ劇場】

2005年5月に秋劇場で観劇して以来の【ライオンキング】です。 福岡バージョンとなると…一体どのくらい振りの観劇になるんだろう?
ちなみに初めて観たのは、ここ福岡シティ劇場にて2001年5月19日ソワレ。 その時のキャストは…
ラフィキ:青山弥生/ムファサ:ひのあらた/ザズ:伊藤謙吉/スカー野中万寿夫ヤング・シンバ:池松壮亮/ヤング・ナラ:西山瑛里/シェンジ:高島田 薫/バンザイ:大塚道人/エド:中條郁司郎/ティモン:安福 毅/プンバァ川原洋一郎シンバ:坂本健児/ナラ:濱田めぐみ/サラビ:森 以鶴美
男性アンサンブルには、今公演と唯一同じ阿川健一郎さんもご出演でした。
約7年の時を経て、野中スカーと川原プンバァに再会出来た懐かしさと…そして今となってはもう観る事が叶わない良キャスに涙悲しい ヤング・シンバ役の池松壮亮くんに至っては今や俳優さんになっちゃってハリウッド映画【ラストサムライ】にまで出演してるんだから驚きです!

見る リハーサル見学会
まず客席に入る前にロビーで役者の小林英恵さんから“リハーサル見学会とは”というような説明があり一同中へ。 リハーサルの様子を小林さんが参加者に時折解説を加える…という初体験のスタイルでした(非会員でも参加可)
リハは…シンバがムファサに付いて猟りの練習(影絵)~草むら隊+パペットの親子ライオンの猟り~雌ライオンの猟り…という各シーン、だったかな? 影絵も役者さんが動かしているとは驚きました。 そう言えばスカーとの最後の対決シーンでも動く巻き幕の中で役者さんが操作してましたね。 この作品でのリハーサル見学会には初めての参加でしたが、すっごく面白かったです! 今まで参加したリハ見の中で一番見応えがあった!というと語弊がありますが(これはご贔屓役者が居ないので全体がよく観れた…という要素が強い)本篇では皆パペットを身につけているので、どういう表情や体勢を取って演じているのか?というのが「なるほど!ガッテン!」な所が多々ありました。
質疑応答参加者は小林英恵さん田中彰孝さん野中万寿夫さん遠藤珠生さん阿川健一郎さん。 印象的だったのは『四季を目指したキッカケは?』で、野中さんは大学生の時JCSを観て、田中さんは福岡シティ劇場開場公演のオペラ座の怪人を観て。 田中さんは「この辺の席に座って観てたんですよね~」って、1階席上手前方席を指してました♪

鉛筆 それでは以下、本篇の感想をば…

改めて「良く出来た作品だなぁ」とまたしても思わされました。 今回は“ファミリーゾーン”という席種も設けられている上、作品としてもお子様率がビジョ~に高い客席ですが…幼稚園児団体に遭遇したこの日も子供達の上演中の舞台観劇の集中力は素晴らしく、それだけ惹き付けて飽きさせない魅力に溢れているんでしょうね。 やっぱりこ~ゆ~タイプの作品が福岡には似合っているのかも…と開幕して数ヶ月経った平日なのにそこそこ埋まっている客席を観てそう思いました。
前回、秋劇場で観劇した時に感じた物足りなさは…やっぱりティモン&プンバァの方言による所が大きいんだなぁ、と今公演で確信。 江上健二さん@ティモンネイティブの博多弁(九州弁)だから、微塵の違和感もなくポンポンポン機関銃のように繰り出すセリフは耳に小気味良く痛快に笑えます! と~っても聞きたかった「シンバァ~、助けちゃれぇ~」を久々に聞けて嬉々♪ プンバァも博多弁だとよりお~っとりした感じが出て二人のキャラ対比が際立つような気がするのは…気のせいでしょうか?
四宮なぎさちゃん@ヤング・ナラが美人さんでビックリ! 未来の王妃たる風格がある…と言いますか? 子供ながらに“凛とした気品”がありました。
(追記:7/3マチネの保坂朱乃ちゃんもこれまた美人ナラでした☆)
特筆すべきは全体コーラスの迫力! “出演者一丸となって渾身のハーモニー”ってな感じの熱さが沸き上がってくる感じ(ソロ…となると弱いのですが) ロングラン公演にあってあの水準を保つには、あの日々の練習とリハーサルにあるんだなぁ…と思った次第です。
さて今回のロングラン公演はどのくらい続くのでしょうか? 今のところ手元にチケットはありませんが…また行く事があれば書き留めたいと思います♪

劇場 以下、今公演期間中観劇したキャストを追記予定↓
01. 月 2008.6.17(火)リハーサル見学会
ラフィキ:鄭 雅美/ムファサ:内海雅智/ザズ:岡崎克哉/スカー:野中万寿夫/ヤング・シンバ:平山 祥/ヤング・ナラ:四宮なぎさ/シェンジ:松本昌子/バンザイ:本城裕二/エド:キム リュンホ/ティモン:江上健二/プンバァ:川原洋一郎/シンバ:田中彰孝/ナラ:熊本亜記
02. 晴れ 2008.7.3(木)
ラフィキ:鄭 雅美/ムファサ:内海雅智/ザズ:岡崎克哉/スカー:野中万寿夫/ヤング・シンバ:福島滉史郎/ヤング・ナラ:保坂朱乃/シェンジ:松本昌子/バンザイ:本城裕二/エド:キム リュンホ/ティモン:江上健二/プンバァ:荒木 勝/シンバ:飯村和也/ナラ:熊本亜記

六月博多座大歌舞伎・昼の部【博多座】

博多座の歌舞伎公演は…ここ数年二月は花形、六月は大歌舞伎に定着していたのですが、昨年の六月は【NINAGAWA十二夜】だった為、幹部クラスが出演する大歌舞伎は、実に二年ぶりの博多座! も~う、ホント待ち長かったですよ~。 でもって来年は博多座初・三ヶ月ロングラン公演【ミスサイゴン】の為、二月の歌舞伎公演は消滅(本年末の文楽公演もな!)怒り 今月の公演が終わると…丸一年間も博多座で歌舞伎が観れないだなんて~悲しい 伝芸ファンをないがしろにするとは…あんまりだ博多座!悲しい 開業以来10年間ず~っと応援してきた仕打ちがコレかよ~怒り
開業間もなくから続いていた太っ腹な“イヤホンガイド無料貸出しサービス”も『10年を経て、九州への歌舞伎振興の目的を達成した』として、本公演をもって終了。 来年六月の公演から有料化に戻るそうです。 これは納得。
今年になって博多座のお隣アートリエ『博多座A席を半額!』という割引チケットが大々的に発売されて、波紋が冷や汗 日時指定、2階席、座席抽選…という条件ではあるけれども、これってどうよ? 半額となる席はかつて特B席の設定で、今現在はA席になっている所。 そんなに売れなきゃ、価格を下げるか、また特B席に戻しちゃいなよ!と思うのですが。 福岡の…九州の所得水準から言って¥18000のチケットって、やっぱり無理が~。 しかもそのチケットを正規料金で購入した人が泣きを見る…ってどういうシステムなんだ怒りと、腹立たしい事が多い、昨今の博多座歌舞伎チケット事情(タダ券バラ撒きもよく耳にするしな!)。
出演者+スタッフもろもろの滞在費などが加味されているのは重々承知しているし、遠征する事を考えれば~、ですが客が入らなきゃ、元も子もナイかと。 毎度ミョ~にカラー広告ページが多くて高い料金設定の筋書きも不満! 博多座歌舞伎公演、10年やってみて…悲しいけど、厳しい決断を下す時が来ているのかもしれないなぁ~悲しい
しかし嬉しい兆候も♪ 今公演、男性客がすごく多い印象です。 しかも若者! 何か彼らの琴線に触れる演目があるのでしょうか? 今月の客席を見ても新たなファンを開拓しているのは確実のようなので…これで丸一年も歌舞伎公演がナイだなんて、ホントにもったいナイなぁ~と思うのだけど…。
愚痴グチ、ぶちブチ~な長~い書き出しになりましたが、大満足な今公演の感想をばよ~やく…汗

日の出 寿曽我対面
いつも曽我兄弟に思う事。 普通、兄が一郎なら弟は二郎…って、下になるほど名前の数字は増えるのが一般的かと思うのですが、この兄弟は兄が十郎、弟が五郎なんで「あれっ?!どっちだっけ?」と毎度学習する事なくうろたえる私汗 故に最初に配役を知った時「へぇ~っ、意外~」と驚き「んな、訳なかろ~うもん!」と 自分ツッコミ汗
兄弟が父の敵の屋敷に乗り込む…ってなだけの事をここまで大仰に、様式美に満ちた華麗な一幕の芝居にしてしまうんだから、歌舞伎ってやっぱりスゴイ演劇だな、と思った今公演。 梅玉さん@工藤左衛門祐経が広間から下りて上手の台座に移動…ってだけでも、舞台中央で正座~客席に一礼(=劇場正面の櫓(幕府認可の印)に対して)って、いちいちもったいなくもたいそうな感じなんだから~汗
翫雀さん@小林朝比奈がイイ! 猿隈でコロンとまん丸体型でラブリーなヴィジュアル(←激しく贔屓目である事を自覚してます、ハイ)がお似合いで、関東なまりの猛者言葉は愛嬌た~っぷり! 朝比奈をこんなに愉快に感じた事がなかったので、これは“+翫雀さんの愛嬌”という事でしょうか? 松緑さん@曽我五郎時致とのセリフの掛け合いと間合いが快活で聴いていて気持ちがイイ! 「お!W英竹♪(by NINAGAWA十二夜)」とこれまたツボに入りましたが…このツーショットにそう思った方は多かったようで☆(夜の部・賀の祝では英竹対決☆になっとります!)
五郎はあの長袴の中にあっても足の親指は立てているそうですが、血の気の多い若者の荒々しさが松緑さんにピッタリでした♪
はべる傾城は松也くん@大磯の虎梅枝くん@化粧坂少将。 今まで松也くんの傾城ってホントに奇麗だなぁ…と見とれること度々だったのですが、今回「あらっ?」 ん~と…太りました?(傾城の下げ髪ヅラはお似合い) 梅枝くんが細面過ぎるのから対比でそう思うのか? 梅枝くんがめちゃめちゃキレイでビックリ。 まな板帯って、本来は花魁道中の時だけの着用とは今回初めて知りました。
幕開きセンターに控える左十次郎さん@大名の情けな~い顔がツボ(素顔はエエ男さんなのになぁ~)だった事は書き添えておきます♪

赤りんご 京鹿子娘道成寺
藤十郎さんになって…もうかなりの回数観ている印象。 でも、その度ごとに引き込まれるのはやっぱりスゴイです、この人!(人間国宝を捕まえて失礼な汗) “坂田藤十郎喜寿記念”と銘打つのは今年3月の歌舞伎座でも拝見(團十郎さんの押し戻し付きの豪華版)していますので、ちょっと物足りなさを感じてしまった贅沢ものの私でした汗 やっぱり花道出の「観て観て~♪可愛いでしょ?キレイでしょ?」という愛らしさが大好きデス☆
気になるのはイヤホンガイドの解説! 「とても77才には見えない」「77才とは思えない若々しさの山城屋」とやたら年を強調するので、かえってその年齢を意識して観てしまう逆効果汗 これは以前、雀右衛門さんが何かにご出演の際にも感じた事。 藤十郎さんの座右の銘は『一生青春』ですから! 言われなくとも若いんです!
藤十郎さんは烏帽子を中啓に乗せて鐘をグッと睨む型ですが、こちらの方が今の女形さんは少ないのでしょうか?(福助さんや魁春さんは鐘の綱に烏帽子をかけて新月にみたてる型) 今回のラストは鬼に変わる事なく娘の顔のまま鐘上でキマリ!
チーム所化のリーダーはまたまた翫雀さんで超ラブリ~(贔屓目は分かってます) まん丸で愛らしかぁ~♪ 舞尽くしで頑張る所化メンバーをニコニコと、はたまた大袈裟すぎる相槌で盛り上げてくれます。
傘 髪結新三
博多座では初めてかかるうえ、季節的にもグッドタイミングの演目を楽しみに拝見。 そういえば今博多座公演、昼・夜の部ともに打ち出しは…江戸っ子の悪を描かせたら天下一品・河竹黙阿弥!作品ってのもなんだかスゴイな汗
時蔵さん@白子屋手代忠七。 時蔵さんって…博多座では何故かしら立役が多いような印象があるのですが、いかがでしょうか?(ま、どっちも好きなんですが汗) 雨の中、鼻緒が切れている所に冷たい態度の菊五郎さん@新三を責める口調がなんとも◎ 「こいつなんてヒドイ奴なんだ!」と新三に対して本気で怒りを覚えますもの!
菊十郎さん@鰹売りへの客席のリアクションが新鮮! 知っていても楽しみな一場面ですが、初見の方が多いのでその客席の反応が大きい、大きい。 「あら~っ」「すごかぁ~」「本物のごたぁ~ばい!」と、どよめく、どよめく~♪
東蔵さん@白子屋後家お常、イイですね、イイですねぇ~♪ この素敵さを表現するのに自分の語彙の少なさに悲しくなりますが、東蔵さんのこ~ゆ~お役、とにかく大好きなんです。
菊五郎さん@髪結新三の髪結いの手さばきにはいつも見入ってしまいますが、あの元結いの紙、当時は余りが出たらその紙は芝居の紙吹雪にリサイクル利用されていたとは!(byイヤホンガイド) 当時、日本人の全人口がほぼ元結は使っていたでしょうから、相当量あったでしょうね。 おもしろい! せっかく拉致した菊之助さん@白子屋娘お熊をしぶしぶと帰す際、その駕篭をじ~っと見据えるいやらしい目に背筋がゾゾ~ッ。 「ホントに小悪党だよ、この人!」と思わされる非道さと同時に、これほどの悪党が大家さんには丸め込まれるあたりの可笑し味の落差がやっぱり菊五郎さんの新三がピカイチ☆
松緑さん@下剃勝奴、客にお茶を入れる一連の動作が細かい、細かい! 面白い~。 「ほんに好かねぇ、おじさんさぁネェ~」と嫌みたっぷりにからかう口調に、源七と一緒にイラッとさせられちゃう上手いセリフ回し♪
團蔵さん@弥太五郎源七、悔しがり方がホント上手いなぁ~、と。
左團次さん@家主長兵衛は、改めて言うまでもなく絶妙☆ あのおとぼけっぷりがご本人そのものを彷彿とさせて可笑し味倍増!のような気がするんですが~。
右之助さん@家主女房おかくは、もっと強欲な感じが出れば良かったな…。 ちょっと弱い印象。

美女と野獣(7)千穐楽【広島・ALSOKホール】

今年2月17日開幕から約4ヶ月間、総公演回数105回で12万人もの動員達成したそうで、本日【美女と野獣】広島公演千穐楽を迎えました。
私的には3月中旬から思いがけずの広島通いで、よ~やく本日にて解放。 近隣(←もはやこの感覚が怖い~)での公演が終わってしまって寂しいけれど…財政が破綻しかけていたので、ホッとした…というのが正直なところ汗
結局、終わってみれば、危惧していた通り福岡BB時投資金額を軽~くオーバー冷や汗 総決算は怖すぎるのでヤメておきます汗 10回観劇。
広島BB千穐楽
前回観劇時には「あら~」な寂しい客席でしたが、ロビーには真っ赤なバラが沢山に飾られていて千穐楽独特の熱気を帯びた華やかで満席の客席は、ひとつひとつが打てば響くような反応で熱い!重厚! 大半が熱心なリピーターでしょうけど、初見の方もいらっしゃるのか?新鮮な素直な反応もあり、ひとつひとつのナンバーへの拍手が大きくて長い! この空間で一緒に観劇していて「楽しい♪」「嬉しい☆」  舞台って、演じ手と観客が一体となって作り出す空間なんだなぁ…と改めて思った次第。 客席の熱さが明らかに演じ手をノセて…の相乗効果が本当にスゴかったもの!
福岡BB千穐楽ではアクシデント続発でしたが汗(これはこれで思い出深いものが~)、本日は田島ガストンがちょこっとセリフを噛んだくらいで、他は目立ったミスもなく~♪

この広島公演、プリンシパルの柳瀬大輔さん@ビースト織笠里佳子さん@ミセス・ポット、そしてアンサンブルさんも何人か完投されたようで…お疲れさまでした。 柳瀬ビーストは、期間後半は歌が残念な事になってましたが、演技が素晴らしく更に深~くなり、織笠ポットは福岡BBのタンス夫人デビュー時の「硬っ汗」が嘘のような、自然な演技の成長ぶりは(何様発言失礼!)目を見張るものがありました。 織笠さん、若いのにすっかり母親路線ですが…もはや貴重な存在に成長されたかと。 ただ最後まで「どうしたらイイか分からん!」というビーストに駆け寄る時の歩みが高速ダッシュ!の機敏さで若者ぶりを隠せませんでしたけど~。
今公演でデビューされた方で唯一、小川美緒さん@バベットが拝見出来なかったのが残念でしたが(中島徹さん@ルフウも今期デビュー?だったらこちらも拝見叶わず~)、他のキャストは全て観劇叶いまして様々なバリエーションで楽しめました♪ 夏の静岡~秋の仙台公演では、皆さん更に進化されるでしょうし、新キャストデビューがあるでしょうから…気になる所ではありますが『広島公演、悔いなし!』なので、本日の千穐楽をもって私“2008年BB納め”となりました~。 道口瑞之さん@ルミエール×青羽剛さん@コッグスワースのコンビネーションがすっごく良くなっているので、その進化の過程を追いたい…のが本音ではありますが汗
通常カーテンコールの後、再び幕が上がると『ありがとう広島・千秋楽 2008.6.8』のパネルをセンターにして居並ぶキャスト。 割れるような拍手の中、道口さんが一歩前に進み出てご挨拶~、あ、ごあいさつ~♪ イベント満載だった福岡BBでは、司会&挨拶役=ルミエールが常だったので、人間ルミエール姿で話す道口さんは見慣れた光景でしたが、本公演では初遭遇だったので、私テンション↑(他に挨拶しそうなキャスト多数だったし) 途中、大きな拍手に「あっ、有り難うございます」と笑顔ペコリ…でしたが淀みなく述べる口上に更に感動~。 道口さん、遊佐さんはユタ千穐楽→広島BBと休みなく移動の~楽まで完投でしたから…本当にお疲れさまでした!
何度も続くカーテンコールではBOGもあり、本篇では観る事が出来ない王子やガストン&ルフウ、モリースが歌い踊る姿がなんとも可愛らしい♪ 最後のキメ☆のポーズで田島亨祐さん@ガストンは通常カテコのキメポーズ、遊佐真一さん@ルフウも両襟を左右に引っ張って寄り目~と、最後までキャラを演じていたのが印象的でした♪
作品としてやっぱり大好き【美女と野獣】

劇場 キャスト
ビースト:柳瀬大輔/ベル:坂本里咲/モリース:喜納兼徳/ガストン:田島亨祐/ルミエール:道口瑞之/ルフウ:遊佐真一/コッグスワース:青羽 剛/ミセス・ポット:織笠里佳子/タンス夫人:竹原久美子/バベット:有永美奈子/チップ:川良美由紀/ムッシュー・ダルク:田辺 容