薔薇とサムライ【赤坂ACTシアター】

劇団☆新感線30周年興行の第一弾! 新感線RX【薔薇とサムライ~GoemonRock OverDrive】。 2008年夏に上演された【五右衛門ロック】のパラレルストーリーとなる今作品は、【阿修羅城の瞳】以来7年振りの客演となる天海祐希さんを迎え、古田新太さんとの二枚看板でドカ~ンと大きな花火を打ち上げるごとく、劇団の魅力をあますところなく盛り沢山に盛り込んだ痛快冒険活劇?!
今回のLEDスクリーン…というのかな? ここまでの多用は【TOMMY】で観て以来ですが、すごく苦手意識があったので、冒頭構えてしまったのですが…あれ以降、技術も性能もUPしているんでしょうね! 色の再現や奥行きも感じられ上手~く使っていて楽しめました。 大道具といえるセットは船の船首と船尾、ドレスの山くらいで、後の殆どはすべてLEDスクリーンで表現。 ツボだったのは五右衛門ロックのメインテーマ曲の“五右衛門マン”?的なキャラクターと(あれキャラクターグッズとして作ればイイのに)マンガの擬音、擬態語、視覚効果が面白かった! 映像で歌詞を映し出すのはお馴染みですが、カラオケ映像チックに歌詞が出たり、歌や声質、歌の内容に合わせて書体も変え横書きだったり、縦書きだったり~♪ そして客席ドア~通路を使用する際には『LIVE映像○○扉付近』とハンディカメラ映像が映し出させる演出には大爆笑☆
毎度ですが、芝居のタイトルロゴのデザインはカッコイイなぁ~♪

バラ 天海祐希さん@アンヌ・ザ・トルネード
阿修羅…から7年も経っていたとは!と驚きながら当時の観劇の記憶を辿ると「天海さん仕様で歌とダンスがチラッと加味」「綺麗カッコイイなぁ~」という印象は残っているものの、“和物+殺陣”という事で市川染五郎さんの印象が圧倒的に強く、ヴィジュアル以外に今ひとつ記憶に鮮明には残ってなかったのですが…今回は『天海祐希ここにあり!』的な圧倒的な存在として君臨☆ アテ書きなので彼女の魅力をあますところなくフルスロットルで堪能できる今舞台は、大仰な衣装で歌い踊る様に宝塚時代の彼女の舞台姿を知っている方は感涙ものでしょうし、シリアス~コミカルをあの端麗な容姿でスパッと潔く立ち廻る様に『“主役の華”ってこ~ゆ~事なんだな☆』と納得させられ、グイグイと引き込まれる感じ。 あまりのカッコ良さに「惚れてしまうやないか~い!」と突っ込みたくなるような…宝塚ファンの心理がちょっと解ったような、そんな感じです。 観た事ナイ私でさえ、オスカルちっくな出で立ちには「おぉ~っ♪」と大興奮(ヅカ時代、オスカル未経験らしい…)で、とにかく取っ替え引っ替えの“コスプレ天海祐希”は目にも楽しい。 しかし【貴婦人になるための10ヵ条】だけは、矢島美容室のストロベリー(=貴さん)に見えてしまった事は内緒汗(カツラのせいよ!きっと)。 歌は、阿修羅…でチラッと聴いた時に「あら~?残念な感じ?」という印象だったのですが、地声のドスを効かせてガラっぱちに歌うのも、ミュージカル風に綺麗に歌い上げるのも…上手くてビックリ! 十字架に貼付けられての独唱【あなたが泣いてくれたから】(だっけ?)は神々しい感じさえあり聴き惚れました♪

ドクロ 古田新太さん@石川五右衛門
あえて感想を書かなくても、期待通りの…それに十二分に応えてくれる古田さん。 「何故この時代にこの国に五右衛門が?」なんて考えちゃいけません。 ただ純粋にそのドタバタを楽しめばイイんです! 新感線って客演が多すぎると、それぞれに見せ場を与えて散漫な印象になりがちですが、今回は【天海×古田】という構図が明確! 一幕最後、二人のガチンコ体勢でのライトを浴びた睨み合いの引っ込みはゾクゾクするほどカッコイイ☆
五右衛門のコスプレは全てが爆笑もので、変装してみてはその正体をバラすお約束のくだりがいちいち笑えるし、舞踏会に忍んでいくのはその格好でイイか? 牢屋でバルバを助ける一瞬の格好、それは~永井豪先生の○っ○○仮面ですよね?…って事が解ったのは何人居るか?(解る私もどうかと~) フラメンコの小刻みタップは死ぬほど笑ったし、スクリーンの小便小僧のあまりの勢いの良さに何か絡むだろうとは思ったものの…爆笑! キメる所はバシっと決める☆ イイ加減なゆる~い感じなのに、バシっと決めるとなんであんなにカッコイイんだろう? 舞台の古田さんはやはり“歌舞伎”だと思う

冠浦井健治さん@シャルル・ド・ボスコーニュ
ヒット!大ヒットです! 私はコメディな浦井君を今まで観たことがナイのもあるのですが(Vのアルフレッドは末見)予想の斜め上を行く好演で、今作品一番の驚きだったかも?(他の皆さんももちろん好演ですがそれは想定の範囲内、期待通りな訳で) キラッキラの王子様を思いっきり振り切ったオモシロ王子に演じてて、大爆笑。 白い歯を出してキラリ☆と笑う度に笑いが~。 歌はいわずもがな「ウマ~♪」で、殺陣の中にもチラリとダンスの決めポーズを入れてカッコ付けても見事に決まるっ☆ 自国での人気ぶりを紹介する映像で掲載雑誌の表紙や、自国の通貨の単位(河野まさとさんの下僕ぶりに爆笑)、そしてマイケルJのあのPVをパクった?クローン戦士の行進…とか、とにか笑える。 ミュージカルファンには天海さんをルドルフに見立てたエリザの【闇が広がる】のアノ振りが観れたのはたまらなくツボでした。 浦井君、恐るべし!

船 橋本じゅんさん@海賊バルバ・ネグロ
ココ数本は重厚な国崩し的なお役が多かったじゅんさんは、それはそれで素敵だったのですが…私的には「コレよ!コレよ!これでこそ、じゅんさん♪」というたまらなくチャーミングなお役で大爆発☆ 大満足♪ イイ! まさかあんなキャラに転じるとは! しかも何度も衣装替えがあってその度に笑わせてくれるとは! しかも似合っているとは~♪ めちゃめちゃ「イイんじゃな~い」
右近健一さん@ゴンザンス男爵 これまたドつぼ! 右近さんの魅力をいかんなく発揮しているお役で堪能できて私、大満足☆☆☆
森奈みはるさん@エリザベッタ 改めて歌ウマ~♪ 「なぜ歌う?」と度々アンヌに遮られながらも臆せず歌い続け、ヅカ的お姫様ドレスを着こなし、“あくまでミュージカル”な立ち位置を堅持する様も笑え…物語のシリアス部分の骨子をガッチリと支えていらっしゃった印象。 上手い!
神田沙也加さん@ポニー・デ・ブライボン ミュージカル作品では数本観ているけど、こんなにも彼女の地声に近いアイドルちっくな歌い方をするのは初めて聴きました(こ~ゆ~曲は改めてお母さんの声質だと確信) せっかくの新感線なら…もっと弾けた浦井君くらいの“新感線色の強い役”で観たかったなぁ…と。
藤木孝さん@ラーカム・デ・ブライボン大宰相 パンフレットを読むと今回のキャスティングにおける一番のヒット☆だそうですが、品ある嫌みや物腰表情がなんともハマる!
山本太郎さん@デスペラード豹之助 私にとっては未だに“メロリンQ(=天才たけしの元気が出るテレビ)”な彼ですが、生で拝見するのは初めて。 正直…必要なお役かな?と思ったのですが…ソレは置いといて…声が良くて歌もなかなか♪
高田聖子さん@マローネ粟根まことさん@ガファス・デ・ナルビオッソ将軍河野まさとさん@ピエール・ド・ボスコーニュはさすが! まさとさんの“裏がありすぎな胡散臭い小物っぷり”が毎度ツボです。
【五右衛門ロック】はどうにも都合がつかず生の舞台は観れなかったのでゲキシネ観劇だったのですが…期待し過ぎたのか、私的には今ひとつ汗 でも、今舞台を観て「生で観ていたら印象が違ったんだろうなぁ…」と思った次第。 両方ご覧になった方、いかがでしたか?
超ド派手で大爆笑の冒険活劇、大楕円でハッピーエンド☆ ミュージカル好きには歌やダンスも堪能できあ~、面白かった♪」と帰路につける作品。
きっと日替わりで楽しめるアドリブ部分も沢山あるんでしょうね? 観劇に通える方はそんなトコも堪能出来ると思うと羨ましい!

金門五山桐 -石川五右衛門-【国立劇場】

今回の遠征は、まず劇団☆新感線のチケットありき!から他の観劇日程を組んだというもので、気が付けば偶然にも…歌舞伎座で吉右衛門さん赤坂ACTシアターで古田新太さん、そしてこの国立劇場で橋之助さん、という“三者三様の石川五右衛門”を観ることになった次第。 天下の大悪党でありながら、この三月に五右衛門を主役とした舞台が三つも開いている人気ぶりに改めて事にビックリ☆(計らずも三つ制覇する自分にもビックリ)
国立劇場前の桜はチラホラと開花してて、もう少し経てば皇居沿いの桜も満開で、舞台の五右衛門よろしく「絶景かな、絶景かなぁ~♪」だったんだろうなぁ…と、ちと残念。
国立劇場では34年振りの通し上演だそうすが、私自身は多分、初観劇(多分)。 石川五右衛門の生い立ち、その背景と目的等が初めて解って「ガッテン!」な部分もあり、人物像や物語の背景が深く解って観劇出来た収穫もあり。 しかし、通しという事で端折った部分も多いようで『○○実は○○』が、あの人もこの人も~、となるとあまりにも唐突に感じる部分も多く混乱してくる~。
総括としては「歌舞伎座さよなら公演に役者を取られたゃったかなぁ」と個々の奮闘は見えるものの座組の薄さがいかんともし難い。 彦三郎さん×亀三郎さん×亀寿さんの親子三人を同じ舞台で拝見するのは久々。 亀寿さんの女形も久々(華奢なんだけど顔が完全に男顔なんだよなぁ…) 橋之助さんの長男・国生君と三男・宣生ちゃんもご出演でしたが…昨日、歌舞伎座で久々に観て驚いた鷹之資君しかり「御曹司ども、ちょっと太り過ぎなんじゃ…」 気温なのか?湿度なのか?舞台機構なのか?ツケの音が割れ気味で、えらく大きく耳障りに感じたのは珍しい。

橋之助さん@宋蘇卿が紅い庵(←凄く色がキレイ!)で琴を弾くと掛け軸から白い鷹が抜け出て、息子・五右衛門にしたためた遺言を渡しますが、あそこまで大胆に差し金で鷹を操る様は初めて観ました! まさか一羽で花道引っ込みとは~!! 橋之助さん@石川五右衛門の山門にてのあまりにも有名なセリフは、五右衛門自身が処刑される賀茂川の三条河原の方角を見て言ってるんですね。 “散り際の美学”でしょうか? 宙乗りは定番のつづら抜け~鳥屋口から花道へと戻って行く珍しい手法もあり
小田春長の下で共に働いていた真柴久吉と石川五右衛門…という事で、扇雀さん@真柴久吉が五右衛門に出会って、突然態度が砕けてガラッパチになるのが面白い♪ 脇息に腰掛けるとはなにごとぞ~! 扇雀さん、三役で奮闘するも、どれも今ひとつ強く印象として残るものがなく残念。
浅葱幕前での大薩摩の演奏が下手側とは珍しいですよね! いつも思うのは三味線の足台って…三味線弾きが自分で持ってくればイイじゃん(って、何か意味があるんでしょうね)
瑠璃灯の下での大詰め立廻りの殺陣師は橋也さんと橋吾さんだそう。 大入りで斬って、三段上ってキメ☆
“石川五右衛門の通し狂言”と決して地味ではナイ題材で、相応の大掛かりなセットの大芝居…のはずなのに、何故かしら地味な印象がぬぐえなかった観劇でした。

染模様恩愛御書【日生劇場】

日生劇場で歌舞伎公演を観るのは私、初めてです。 ちゃんと花道もあって、しかも三階席からでも七三どころか六四くらいまで見えるし…すっごく観やすいですね! 歌舞伎座がお休みになったら、日生劇場での公演も今以上に増えるかも?ですね。
平成18年10月松竹座公演を観ましたが、再演まで4年もかかったとは意外でした(好評だったのですぐに再演されるかと)。 その分、薄れつつある当時の観劇記憶の紐解きと改訂された箇所もあるであろう発見を楽しみに観劇。 今回、松竹は今公演の特設サイトまで作る力の入れよう。 宣伝写真はお名前を見てやっぱり!な劇団☆新感線公演でお馴染みの野波浩さん。 私、野波さんの作品大好きなんです♪ しかし開幕前に“段治郎さん休演→門之助さん”との発表がありガッカリ…涙。 細川越中守は予想外に懐の深い、どっしりと構えた貫禄あるお殿様で好演だったので、今好演で再会できる事をめちゃめちゃ喜んだのに~。 ダンジロさん、舞台復帰のその日を首を長~くしてお待ちしてますから! 先月、博多座公演を休演された猿弥さんは予定通りの御出演でホッ。
舞台は松竹座より奥行きがあるのでしょうか? 左右袖から階段状の櫓の基本的セットの構造は変わらずも、前回より役者の動線が豊かで場面転換もスムースな印象+バリエーションが感じられました。 シーンのイメージを補う杜若畑がカーテン越しに奥に広がりを見せ、浅草寺や赤八門はカーテンに描かれて奥に配し上手く空間を切り取って場の説明がスムースな印象。 照明デザインもまたしかり! 障子の格子のシルエットで屋内を、木々のシルエットで屋外を…等々、板の上でも花道でも情景表現に一役。 印象的だったのは、舞台(数馬):花道(友右衛門)=青:赤の照明でキッパリと分けて照らし出した所。 二人の気持ちを表していたのでしょう…ね? 鮮やかで綺麗だったなぁ~。
大詰、火事場のセットは大幅にパワーアップ☆していたのでは? セットや大音響は劇団☆新感線を彷彿とさせます! 階段落ちは…前もあったっけ? 「銀ちゃん、カッコイイ…(by蒲田行進曲)」って呟きたくなってしまった。 前回大ブーイングだった、腹かっ捌いて臓物を取り出し『肝臓、腎臓、腸…これがホントの勧進帳!』ってのはなくなり、その分、緊迫感のあるド派手な見せ場として成立していた印象

役者さんの感想は…
染五郎さん@大川友右衛門猿弥さん@横山図書吉弥さん@細川奥方照葉は殆ど印象は変わらず。 今回参加の門之助さん@細川越中守は、個人的にはなんか、人物像の捉え方?にちょっと違和感。
愛之助さん@小姓印南数馬は…愛之助さん、ちょっと太りました? なんかガタイがむっちりと良くて、染五郎さんより見た目が逞しくて…ってか、染五郎さんが華奢なのか? 今ひとつ…前回感じた「守ってあげたい」という感が薄く感じたのは…私だけでしょうか?
春猿さん@腰元あざみは、残念な事に“女のいやらしさ”が薄くなっている印象で、恋敵として友右衛門を敵視する様が弱かったのは残念。 ジリジリと嫉妬する様がすごく笑えた…と記憶してたんだけどなぁ。 自害は…今回の変更ですよね?
観劇前に全く情報がなかったのですが、芝のぶさん@横山妻いよ+大川妹きくは続投だったんですね! 嬉しい~っ♪ 特にいよは夫のDVに耐える様がなんとも不憫で不憫で「病に閉じられ…」という表現は不謹慎ですが綺麗な表現だな、と。 久々の同期共演(春猿さん、休演の段治郎さん)も観ていてなんだか嬉しい。
今回も前宣伝ではBL色を強く出していましたが、肝心のラブシーンは…苦笑、というより大爆笑の明るい客席なのがツボでした。 恋文を渡すのしかり、帯ア~レ~のしかり、シルエットロマンスしかり…クスクスって笑いじゃなくって、アッハッハ~だもんな。
さて…次の再演はあるのでしょうか?

御名残三月大歌舞伎・一部【歌舞伎座】

遠征二日目の本日は第一部を観劇。 コート不要の陽気で「暑い!」。 歌舞伎座館内は軽く冷房が入ってましたが、立見も出るほどのぎゅうぎゅうな幕見席は「蒸す」感じだったのでは?!
当初、さよなら公演記念品として“歌舞伎座記念切手シート”を買う気マンマンだったのですが…ふと冷静になって「切手シートって…買ってどうするよ?」と思い、迷いに迷って“ザ歌舞伎座”な手ぬぐいを購入。
大好きな“おめで鯛焼き”は連日賞味で食べ納め。 工事で閉館中はどこぞで営業しないのかしら? 大好きなんです、コレ。

加茂堤

何故かしら観る度に梅玉さん@桜丸×時蔵さん@八重の夫婦です。 いやこのご夫婦の組み合わせ、すっごく好きなんで嬉しいんですけど。
友右衛門さん@斎世親王×孝太郎さん@苅屋姫カップルを微笑ましく、しかもイライラとジレて「たまらん、たまらん!」と夫婦して熱に当てられて浮かれる様が毎度笑えます。 ラスト、時蔵さん@八重が牛車の牛を懸命に引っぱる様には牛とのかけあいに毎度ニッコリ♪
秀調さん@三善清行の道化ぶりも笑えるだけに、この後に起こる悲劇への落差が大きく、改めてより残酷に思えました

楼門五三桐

吉右衛門さん@石川五右衛門です! でっけぇ~! 圧倒的な存在感で、もうそこに鎮座しているだけで満足♪
歌六さん@右忠太×歌昇さん@左忠太の兄弟でチラッと出演の捕り手を…だなんて、なんて贅沢☆ 菊五郎さん@真柴久吉

女 暫

2007年の團菊祭で萬次郎さん@巴御前での観て以来の観劇。 あまりかからない演目なうえ、玉三郎さん@巴御前という事でものすっごく楽しみに観劇。 三階席からの観劇だったので、残念ながらせっかくの花道での楽しいいろいろが全く観えませんでしたが、そこは脳内変換で補う私
板の上はそれはそれは豪華で~♪ 個人的には松緑さん@轟坊震斎×菊之助さん@女鯰若菜が嬉しい。 そして個人的なサプライズは寿猿さん@根井行親! 寿猿さんがまさかこの座組に御出演とは思いもよらなかったので「ん?寿猿さんに似てるけど…?寿猿さん?!」な驚きと嬉しさがありました。
玉三郎さん@巴御前のツラネは耳に心地良い♪ 今月は覚寿を先に拝見していたので、その艶やかさも一層際立って見えました。
吉右衛門さん@舞台番辰次です! 引かれた幕内からススッと進み出るとドヨッと客席が揺れました。 六方の踏み方を戸惑いながらも習って披露し…恥ずかしがっての引っ込み。 豪華で楽しい、楽しかった♪
それでは現歌舞伎座よ、私はこれにておさらばでございます~

御名残三月大歌舞伎・三部【歌舞伎座】

菅原伝授手習鑑・道明寺

十三代目・片岡仁左衛門十七回忌】+【十四代目・守田勘弥三十七回忌】の追善狂言という事での上演。 故に玉三郎さん@覚寿という配役にテンション↑ そして仁左衛門さん@菅丞相、秀太郎さん@立田の前、我當さん@判官代輝国と兄弟そろい踏み+孝太郎さん@苅屋姫=松嶋屋ぷちオールスターズ☆
丞相と苅屋姫の親子対面をさせたいと様々に立ち回る秀太郎さん@立田の前の必死の様や、申し訳なさから流罪の原因となった娘・苅屋姫を折檻する玉三郎さん@覚寿。 どちらの気持ちもすごく良く解るだけに悲しくなってくる…と同時に、結果的には「軽卒だった」と批判される苅屋姫の恋にも同情してしまう。
苅屋姫、そして彼女を庇う立田の前と二人の娘を涙ながらに杖で打ち付ける覚寿。 悔しさと申し訳なさと…まるで自身を打ち付けているかのような苦悶の表情と絞り出す声には惹き付けられました。 玉三郎さんの老け役って最近よく拝見するようになりましたが、覚寿の気品と風格はさすがだなぁ~と。
丞相の木像って、丞相自らが彫ったものだったんですね!…という事は、何度も観ているくせに初めて知りました。 書も彫りも…って芸術的才能も豊な方なんだ。 後にこの木像を形見とし、後世まで残すもの…という芸術作品まで昇華させているんですもの。
時平から菅丞相殺害の命を受けた彌十郎さん@立田の前の夫・宿禰太郎市蔵さん@贋の迎い弥藤次。 元女房の立田の前をアッサリと殺す非道ぶりに驚く~! “鶏が水中の死骸の上で鳴く習性”って…ホントですか?! 残忍な場ですが、ここの美術の工夫が面白かった♪
序幕からひたひたと迫る幾つもの“別れ”が毎回ズシーンと胸に迫る一幕ですが、豪華配役で殊更心に響いた今観劇でした。

石 橋

鷹之資くんは、この演目で平成13年4月の歌舞伎座で初舞台(当時・中村大)を踏んだ思い出の演目でしょうし、あれから9年後、現歌舞伎座さよなら公演で上演とはこれまた大きな思い出となる事でしょうね。 一観客の私がこんな気持ちになるんですから、お父様の富十郎さんはいかばかりかと~。
能の【石橋】をベースとした舞踏劇。 しっかりと丁寧にピシッ、ピシッと踊る鷹之資くん@童子実は文珠菩薩の姿に「お稽古、相当頑張ったんだろうなぁ」と感心させられましたが、ピタッと静止する事が出来ずにグラグラ~と度々なるのはちと残念でした。 影のようにピッタリと寄り添って踊る富十郎さん@樵人実は獅子の精との“連れ舞”っていうのかな?見応えがありました。
他は松緑さん@男某錦之助さん@修験者幸四郎さん@寂昭法師
しかし…鷹之資くん、ちょっと太り過ぎじゃ~(後日、国立劇場で奮闘する橋之助さんのご子息にも同じ感想)