御名残三月大歌舞伎・二部【歌舞伎座】

来月のさよなら公演がホントの最後ではありますが、私にとっては今回の遠征で現歌舞伎座が見納め。 人の多さは予想はしていたものの…ここまで多いとは!とビックリでした(幕見席の列もスゴイ事に!) 歌舞伎座前でも、館内でも写真を撮っている方が多かったのは印象的。 私もお気に入りの場所や「新しくなったらこんな所はなくなるだろうな」な場所を幕間に撮ってまわりました。 久々、筋書きも購入したし~♪

菅原伝授手習鑑・筆法伝授

記憶を辿ると…多分、おそらく、私は初見の演目のような? 【道明寺】【寺子屋】への理解がより深まる段なんですね。 すごく面白いのに、何故あまり上演されないんだろ? “学問の神様”として祀られる菅原道真が書道の大家であり、その置かれた立場等がよく理解出来ました
東蔵さん@左中弁希世がなんともラブリー♪ こんな道化役的なお役で拝見するのは珍しいのでは? 自信家で自惚れが強く、館の腰元にも手を出す様がなんと可笑しく「こんな奴に筆法伝授は誰だってイヤだよな~」な人物。 机に縛られて折檻の様は笑える。 改めて…東蔵さん、好きだわ~☆
梅玉さん@武部源蔵芝雀さん@戸浪の夫婦(=美形な夫婦) その出からして夫婦の境遇が伺え、仁左衛門さん@菅丞相との対面は固唾を飲んで見守る…といった感じ。 希世のあからさまな嫌がらせに耐えながら、筆法伝授された嬉しさでテンション↑…かと思えば、勘当は解かれず↓…と感情の揺れが激しく男泣きに悲哀がにじむ。 「伝授は伝授、勘当は勘当」厳しいです!

菅丞相を務められる…という事で1月末に太宰府参拝に来福された仁左衛門さん。 その際には地元紙に“飛梅の横でニッコリ仁左さん”な穏やかな笑みをたたえるお写真が掲載されましたが、今月の舞台にはその穏やかさは皆無で、“凛とした神々しい空気を纏う”様に目が引きつけられました。 何もセリフを語らず、佇んでいる時にはその表情や動きから菅丞相の心情が伺える…というのは凄いなぁ、と。 そして所作を含めて全てが美しい。 宮中に参内するために整えた身仕度から冠が落ちる…不吉だ。 この時まで動きが少ないだけに「ハッ」とした大きな表情の変化に惹き付けられました。 息子・管秀才を源蔵夫婦に託す様で、立場上勘当は許さないけど源蔵を信頼している様や、その心情を理解し管秀才を必死に守る夫婦に涙
それにしても時平、そして寝返った希世の奴~! ホント嫌な奴!!

弁天娘女男白浪

とにかく豪華です。 今までで観た中で一番豪華な配役です。 “歌舞伎座さよなら公演”ならではです☆
浜松屋での菊五郎さん@弁天小僧菊之助は「あ、あら~。ちょっと…かなり~」な娘ぶりで、ヴィジュアル的には予想外に相当厳し~いっ。 …ですが正体を表してからは無問題。 吉右衛門さん@南郷力丸は貫禄ありすぎやろ! 「お嬢様、お嬢様」とご機嫌を伺う様がなんだか新鮮でした。
おっちょこちょいなラブリー番頭を演じさせたらピカイチ☆な橘太郎さん@番頭・与久郎に満足、満足。 私にとって現歌舞伎座ラスト公演で橘太郎さんの番頭が拝見出来たのはすっごく嬉しかったです。
菊之助さん@浜松屋倅・宗之助團蔵さん@鳶頭の清次東蔵さん@浜松屋主人・幸兵衛…お店の中も豪華です☆
左團次さん@忠信利平梅玉さん@赤星十三郎幸四郎さん@日本駄右衛門との五人衆のつらね。 目にも耳に心地良く、セリフのひとつひとつに聞いてて首を振っちゃいそうでした。
観劇中「豪華だ…」と何度つぶやいた事か!…な一幕でした。

コルテオ【福岡千早・新ビッグトップ】

シルク・ドゥ・ソレイユの公演を観るのは2003年【キダム】、2008年【ドラリオン】に続いて3回目。 毎回その芸術的なパフォーマンスに感動や刺激を受けるので、一度母親にも観せたい!と思い、今公演の【コルテオ】に引っぱって行きました♪
イタリア語で『行列』という意味のこの公演は“道化師の世界の物語”で構成。 円形の客席のセンターを左右に分断する細長い廊下のようなステージが配され、縁者は左右(もしくは前後)に向かってパフォーマンスを展開。 客席奥からゾロゾロ登場する演者たちは行列をなしてステージに上がり、ショーの開幕。
幻想的な夢の世界を具現化してくれる圧倒的なパフォーマンスは今回も期待通り☆ …ではあったものの…個人的には以前観た作品よりも、いささか芝居かがった要素が多く、個別のパフォーマンス自体はインパクトのある目新しいものは乏しかった印象(私感ですよ!あくまでも)
しかしながら、やはり1本の芝居を観ているかのような…根底にストーリーがあって展開される構成や、衣装、ライティングなどは“日常を忘れさせてくれる空間”は『さすがシルク・ドゥ・ソレイユ!』で楽しめました。
特に印象的だったパフォーマンスは“人間空中ブランコ”的な【パライダイス】。 空を舞うパフォーマを屈強なムキムキマンがキャッチするのですが、技が決まる度に『どや!』顔でポーズをきめるのがツボでした。 そして【ボーカル・エアリアル・シルク】。 技としては以前も観たことがあるものでしたが、唄いながらなおかつパフォーマンス、ってのが驚きでした!
一度、舞浜にある常設劇場で観てみたいな。

ポール・ポッツ【福岡シンフォニーホール】

ポール・ポッツさんの【Nessun Dorma(誰も寝てはならぬ)】で私、“歌を聴いて泣く”…という体験を初めてしました! イギリスのタレント発掘オーディション番組【Britain’s Got Talent】の第1シーズン(2007年)で優勝し、携帯電話のセールスマンから一躍トップスターへ☆ その初戦で披露したパフォーマンスをYoutubeで初めて観た時、鳥肌が立ち、涙がジワ~ッと出てきて…とにかく凄い衝撃と、感動と、勇気をもらいました! 今でも、何か迷ったりした時に動画を観ては『勇気を持って』『自分を信じて』と自分を鼓舞しています。
そのポールさんが日本で5都市7公演を開催!…という事で福岡公演、行ってまいりました~♪
総勢13名のオーケストラは指揮者とピアニストが本国からの参加のようで、他は日本人メンバー。 ポールさんご自身は蝶ネクタイのタキシードでビシッ!と…ですが、オーディション当初の印象からは全く変わらず…で、衣装替えもなく。 歌ごとに背景のスクリーンにはイメージビデオが流れ、その前にスタンドマイクを立てて朗々と歌い上げるポールさん。 奥のサイドテーブルには大きなグラス2個に注がれた水とマグカップが用意されて歌い終わる毎にかなりの量を摂取。 圧倒的な声量は体全体で共鳴させてホール全体に放出される感じ…なんで、かなりの体力を消耗するんだろうなぁ、と推察。
ライブは間20分の休憩をはさんでの二部構成で、アンコールを含め22曲を熱唱。 最新アルバム【パッシオーネ~燃ゆる想い】からのものが中心で、日本版のみ特別に収録されたという【Amazing Grace】もそのエピソードを交え披露。 朴訥としたトークからはその人柄が伺え、度々周りへの感謝の言葉を述べていたのが印象的。 特に、彼の奥さんに対する感謝の言葉はいつもジ~ンとさせられます(このツアーには同行させていないのかな?) ポールさんより上手い歌手は沢山いるでしょうけど、私にはポールさんの歌が特別心に響いて感動させられるのは彼の人柄とバックヤードによる所が大きいんだなぁ…と思った次第。
ソプラノ歌手・半田美和子さんがゲスト出演で、デュエット曲を2曲、ソロで4曲ほど披露。 その分、ポールさんの歌を聴かせてほしい…と思ったのは正直な感想ですが、やはりあれだけの声量で唄い続けるには適度に休息も入れないと…なんだろうな、と勝手に納得。
特に印象に残った曲は、イタリア語で唄ったミュージカルCAT’Sの【Memory】と【Summertime】…とそして、やっぱり【誰も寝てはならぬ】。 なんか…な~んか、ウルウルくるんですよね。 感動☆

終演後はパンフレット購入者にはロビーにてサイン会が。 ライブで相当疲れているでしょうに、かなりの人数の購入者一人一人に対し、丁寧に対応されていたようでニッコリ。
なんでも、ポールさんの半生を描いたハリウッド映画が米パラマウント・ピクチャーズのもとで制作されることが決定しているとか。 スクリーンで観れる日はまだまだ先のようですが、その日が楽しみ♪(企画倒れになりませんように…)
以下、セットリストです。

【第一部】
01:Overture / Various
02:Granada / Augustin Lara
03:Piano (Memory) / Lloyd Webber
04:Che Gelida Manina / Puccini
05:La Prima Volta / Ewan McColl
06:Duet – Libiamo (Brindisi) / Gioachino Rossini
07:Quando me’n vo’
08:Summertime
09:Core’n Grato / Salvatore Cardillo
10:I’m Yours / Romano Musumarra
11:Tristesse / Chopin
12:Caruso / Lucio Dalla
【第二部】
13:E Lucevan Le Stelle / Puccini
14:Mario Lanza Medley / Sigman Romberg
15:Dein Ist Mein Ganzes Herz / Franz Leher
16:Il Bacio
17:Ave Maria
18:Duet – Sei Con Me / Charly Ricanek
19:Une Giorno Per Noi / Nimo Rota
20:Amazing Grace / John Newton
21:Time to Say Goodbye / Quattro Satore
【アンコール】
22:Nessun Dorma / Puccini