サウンド・オブ・ミュージック (初日)【キャナルシティ劇場】

劇団四季の【サウンド・オブ・ミュージック】を観るのは今回が初めて。 これなら母も興味があるかも…と思って観劇を誘うも「私はジュリー・アンドリュースの映画が最高だと思っているから観なくてイイ」との事。 誘いがいのナイ人だ…。
この週末九州は豪雨に襲われ、福岡は朝から一度もやむ事のないくらいの雨で時折ちょっと怖くなるくらいの豪雨っぷりな時もあり…ですが、初日観劇して来ました♪ 入り口は例によって招待客用のデスクが出てて、それらしき人がい~っぱい。 苦労して初日チケットを取った身としては良席確保出来なかった理不尽さを感じながらも、スポンサーが居なければ、福岡での上演も叶わないので…有り難うございます。 ロビーにはユリの香りでむせ返るほどおそろいの花スタンドがズラリ並んでて圧巻の光景。
キャスト表で確認すると予想通り、今や劇団の看板俳優のお二人九州出身の井上×芝コンビ。 トラップ家の子供達は、どんたく前夜祭で観たあの子達が(名前も顔も判別不可だけど)頑張ってるんだな♪って、ちょっと知り合いのお子さんが出るような感覚で楽しみに観劇に臨みました。
総括的な感想は『とにかく映画通り』と言った印象で、舞台ならではの演出や美術、衣装、照明などにおいて特筆すべき事はなかったけど、生歌というのはやっぱりイイですね(音楽はテープだけどさ)。 どれも耳に馴染みのある名曲ばかりですので、「あ!あの曲だ」という出会う楽しみが♪ と~っても優等生的な作品ですし、名曲ぞろいですし…で、学校等の団体観劇や家族で…という客層が多いに見込めるので、動員を頑張って次回作の誘致を期待しています☆

各々のキャスト感想は…開幕キャストを揃えているので、歌に不満がある人がひとりも居なかった! 例えチケット確保が困難でもこれが初日観劇にこだわる大きな理由です。
秋山知子さん@修道院長の声が、歌が、声量が素晴らしい! シスター達のコーラスは表情が妙に個性的だけど、素晴らしいハーモニーで心が洗われるようでした。
井上智恵さん@マリアは超安定。 登場時の裸足での熱唱では…見事な外反母趾で驚く(どこ観てるんだよ!)わりと素に近い舞台メイクの井上さんは「ん~年相応だな」な印象でしたが、久々の井上さんの歌声に聴き入りました。
芝清道さん@トラップ大佐歌い出すシーンは…それまでが女性の歌声ばかりだったので、芝さんの美声が殊更耳に響き心に染みてきました。 失礼ながら「芝さんって上手いのは知っとったばってん、ここまで上手かったとは!」的な驚きがあり、エーデルワイスでは何故かしらホロッと来てしまいました。 改めて「イイ声だぁ」
オーディションで選ばれた地元の子供たち@トラップ一家の子供たち。 セリフの言い方の不自然さは…すでに立派な四季俳優でした。 現代語の…普通の話し言葉のセリフをしゃべってるのに、歌舞伎の子役なみの不自然さを感じるの何故なんでしょう? とはいえ、この日まで厳しいオーディションを勝ち抜き、厳しいレッスンを重ねての登壇ですし、何一つミスは感じられず素晴らしい出来だったかと。 ダブル?トリプル?キャストで回していくんでしょうけど、この中から将来ミュージカル界を背負って立つミュージカルスターが出るかもしれませんね♪ 目指せ!福岡LKの池松壮亮くん@ヤングシンバ☆  私は一度観ればイイな、というキャストが変わってもリピート観劇はナイであろう作品でしたが、福岡公演に通われる方は、子役ちゃんたちの頑張りを見守る楽しみがありますね。

劇場 キャスト
マリア:井上智恵/トラップ大佐:芝 清道/修道院長:秋山知子/エルザ:田野聖子/マックス:勅使瓦武志/シュミット:はにべあゆみ/フランツ:青山裕次/ミシスター・ベルテ:久居史子/シスター・マルガレッタ:保城早耶香/シスター・ソフィア:山本志織/ロルフ:一和洋輔
フォン・トラップ家の子どもたち
リーズル:五所真理子/フリードリッヒ:水流健心/ルイーザ:中原茉鈴/クルト:東 倫太朗/ブリギッタ:辛島玲奈/マルタ:黒木理代/グレーテル:畠山和心菜

六月博多座大歌舞伎・昼の部【博多座】

本日は朝からかなりの雨脚で降っておりましたが…博多座は【着物の日】です。
去年もそうでしたが…私は例によって、自宅から地下鉄の駅まではビーサンで行って~駅で足袋と草履に履き替えました。 イヤ、半端ナイ雨だったんですって! 館内はさすがに着物率は低かったです。

春調娘七種

芝雀さん@静御前歌昇さん@曽我五郎錦之助さん@曽我十郎…と美男美女がそろい踏み(ってホントは美男オンリーですが) このお三方の組み合わせって珍しいですね。 襲名の舞台の幕開きにふさわしい華やかで艶やかな一幕。 歌昇さんのバーンと張った若い勢いみたいなのが溢れていて、むきみの隈がとてもお似合いで素敵☆ “仕抜き”(大勢の中から、一人あるいは二人が舞台の前に出て踊ること)では、それぞれのキャラクターがよく解る佇まいでその錦絵風情に拍手。

三人吉三巴白浪

染五郎さん@お嬢吉三は綺麗♪ 改めて、顔、小さ~い! 籠から登場の松緑さん@お坊吉三と、花道から登場の梅玉さん@和尚吉三(あのヘアスタイル“ひとつべっつい”の梅玉さんって新鮮!)に高揚。  これまた初めてみたお三方の組み合わせかと~。
しかし、今観劇はアクシデンの印象が強過ぎて、舞台そのものの記憶がフッ飛んでしまいました~。
☆アクシデント・その1
三人を襲った二人組の下手の人がトンボをきった瞬間、ヅラがポロリ!! 取れたヅラは舞台奥にゴロンゴロンと転がっていく~。 私、ジャンルを問わずいろんな舞台を観てますが、本番アクシデントでヅラが取れるというのは初めて観ました! トンボを終えるとサッと染五郎さんの後ろに回って『頭隠して尻隠さず』状態になりましたが、客席のドヨメキはしばらく尾を引きました~。 染五郎さん、笑いを必死にこらえている様子で、口元がフルフルしてるのがツボでした。
☆アクシデント・その2
お嬢の名台詞で思わぬ刺客が客席に! 演目の見せ場「こいつぁ春から縁起がイイわぇ~」で、こともあろうか!客席のおじさんが結構な大きな声で口に出して一緒に言ったんです!(怒) 私の座席の隣ブロックから聞こえましたが「あんたのを聞きにきたんじゃない! 茶の間で観てるんじゃない!」と飛び蹴りしたい衝動にかられました。
今回は夜の部の感想でも書きましたが、今公演では上演中の客席のおしゃべりが目立って、ちょっと不愉快な思いをした残念な観劇でもありました。

太刀盗人

又五郎さん@すっぱの九郎兵衛VS三津五郎さん@田舎者万兵衛です。 お二人ともシャキシャキっと小気味イイ踊りが観ていて爽快感がありますし、お二人の背もほぼ同じで細身vs太め、色白vs黒いって見た目の対比も明確で楽しいです。 オウムでの言い訳が、分っちゃいるけど笑えます~♪ 『目の鞘が外れた(鞘=瞼)=油断ならない奴』という言葉は初めて知りました。 松江さん@従者藤内、私は松江さんの冠者っぽい、正統派二枚目なのにとぼけたお役って好きなんですよね~。 このところ大仰なお役でばかり拝見していた感のある歌六さん@目代丁字左衛門の“普通の顔の役(?!)”に違和感。
今公演は夜の部も合わせて、所作事がすごく良かった印象です!!

極付 幡随長兵衛

「これも黙阿弥の作品なんだ…」と驚いたうちのひとつ。 七五調の台詞って日本人のDNAには心地良いリズムとして刷り込まれているのでしょうか? 男伊達の潔さ…って時には“引っ込みのつかない意地の張り合い”に見えるのは私だけでしょうか?
冒頭の松山座(能舞台ですか?)における劇中劇では、大薩摩のお囃子連中も登場で小芝居をしているのがツボ。 当時は演奏時に頭巾を着用していたんでしょうか? 米吉くん@御台柏の前、可愛い~♪ 隼人くん@伊与守頼義は顔を塗った方がお父様に似ている不思議。 吉之助さん@舞台番って、当時は憧れの職業だったそうで?…どこに憧れる要素が? あの小さい、硬そうな箱の上にちょこんと正座って…痛そうだし。
客席通路から吉右衛門さん@幡随長兵衛が登場☆ 子分の染五郎さん@極楽十三松緑さん@雷重五郎松江さん@神田弥吉も客席通路から。 花道に立つ吉右衛門さんを見上げた花横席のおじいちゃん「吉右衛門、かっけぇ~!」とキラキラした眼差しで観てるのが印象的☆ 長兵衛の倅役の男の子(名前不明)が、顔を塗った七之助さんにソックリ! めっちゃ似ている! 飄々としていて芝居も上手いっ!
長兵衛宅に水野の使いが訪問時の子分達の…座布団を投げて出したり、茶をそっけなく出したりするあからさまな態度が笑える。 長兵衛と妻子の別れのシーンで、着付けを手伝う魁春さん@お時“しつけ糸”を取る…という演出の細やかさに感心。 殺される…というのが解っておきながら敵地に乗り込む度胸と、送り出す側の無念さ。 また棺桶を用意させて迎えて寄こす…という、粋というとちょっと違うかもしれませんが、その心意気といいますか。 ちょっと現代では考えられない格好良さといいますか…「早くとどめを刺さねぇか!」 ま、こんな所でカッコ付けなくてイイ思うけど~。 湯殿での立ち廻りってとか、なんか好きなんです(浮世風呂とか)。 板目の色と手前の浴衣の白×紺の色の対比がハッキリとしていて綺麗だからかな? 吉右衛門さん@幡随長兵衛vs仁左衛門さん@水野十郎左衛門というなんとも豪華で大満足な息詰る一幕でした。

六月博多座大歌舞伎・夜の部【博多座】

素晴らしいお天気に恵まれた先月末の船乗り込みを経て、中村歌昇改め三代目中村又五郎+中村種太郎改め四代目中村歌昇襲名披露公演の【六月博多座大歌舞伎】です。 親子同時襲名は歌舞伎界で30年振りとの事で実にお目出度く、豪華俳優陣が舞台に花を添えています。 仁左衛門さん、お久し振り!という認識はありましたが、三津五郎さんの博多座御出演も10年振りとの事でビックリ! 又五郎さんの次男・種之助くんは博多座初お目見え☆

時今也桔梗旗揚

鶴屋南北の時代物という事で、私は初見の演目。
梅玉さん@小田春永の出は、花道の長さいっぱいっいっぱいにズラリ家臣を従えての登場で…花横のお席で観ていたので圧巻☆ 眉尻からつり上げて引いている代赭隈のみ…って、珍しい入れ方じゃナイですか?(結構ある?) 歌昇さん@森蘭丸種之助さん@森力丸の並びはパーンと張ってて(お顔のツヤが)五月人形のよう。 若いって…それだけで惹き付けるものがあるわね~♪ 松之助さん@住職日和上人、高僧役って初めて拝見したような(坊主はよくあるけど)。 やたらとガタイが良くって目を引かれました。 友右衛門さん@園生局って、友衛門さんの女形は初めて拝見したかも! 仁左衛門さん@武智光秀の裃は茄子紺というのでしょうか? とっても綺麗な深い青のような、紫のような…憂いを含みながらもキリリとしたお顔が一層映えます。 付き従う梅丸さん@妹桔梗カワイイ!可愛い!かわいい~☆ 登場の度に目で追ってしまう可愛さ。 顔にふっくらとした丸みがあって、若い娘さんの可愛らしさそのもので…若いって…(以下同文)。 通称【馬盥の光秀】と言われている本作。 光秀が春永から馬の盥で酒を飲まされる屈辱に耐え~フツフツと沸き上がる怒り~爆発!の心理描写が細かい表情の変化でひしひしと感じ、思わず手がグーになって観入ってました。 対照的に春永はあからさまにニヤニヤと意地悪くその様を見るのではなく、表情を変えずに見下ろす様により冷酷な嫌らしさを受けました。 梅玉さんのあの声で朗々と言われると…余計に、ね。 考えてみると…梅玉さんって色悪で拝見する事はあっても、こ~ゆ~あからさまに、陰性の隈を施した敵役で拝見するのは滅多にナイ貴重な印象。 光秀が貧窮の時、妻が売った切髪を突きつけられるのですが、この時代も髪って売ってお金に換えられたんですね。 鬘の技術があったか?他に何に利用出来たのか?
【愛宕山連歌の場】のダイナミックな龍の襖絵って武家屋敷には珍しくないですか? 龍のようにグワーッと怒りに燃えて凄みを出す光秀の様を表しているのでしょうか? 錦之助さん@安田作兵衛のウェーブ鬘が気になる。 魁春さん@妻皐月って、仁左衛門さんと夫婦役ってあまりナイですよね。 いつもはドライな印象しか受けない魁春さんの演技が情感たっぷりに感じました。 辞世の句「時は今 天が下知る 皐月かな」を詠み、吉右衛門さん@四天王但馬守のラスト、戦姿のちょっと出と仁左衛門さんとのツーショットに「豪華やなぁ~」と思わずため息。 春永の上使を斬り三宝を踏み砕いて豪快に笑う幕切れは圧倒されました。 で、これがあってからの~、本能寺の変なのね~と。

口 上

下手より…梅玉・三津五郎・種之助・歌六・歌昇・又五郎・吉右衛門 ・魁春・友右衛門・染五郎・松緑・芝雀・東蔵・仁左衛門
【又五郎】も【歌昇】も、どちらもまだ先代のイメージが強く残っている大きなお名前を襲名するお二人の重責と期待を、一観客なのになぜかしらヒシヒシと感じ「応援するけんね!」という気持ちにさせられました。 東蔵さんの「又五郎さんとお兄さんの歌六さんは“仲良し兄弟コンクール”があれば1位だろう」というお話にニッコリし、中央にズラリと居並ぶ播磨屋一門のご活躍を心から楽しみに思った口上でした。
襖絵の上部は“青空に浮かぶ白い雲と蝶の紋”でオシャレ~♪ 友右衛門さんの裃姿って初めて拝見したかも?デザインが目に新鮮で印象に残りました。

毛谷村

「ま~た、毛谷村かよ!」(ご当地ものだから特に上演が多い印象)と思いながら観劇しつつ、又五郎さん@毛谷村六助はピッタリで『六助とはこんな人物』のお手本のような?好演で魅せられました。
日下部大智くん@弥三松がキョトンとしてて可愛い♪ 花道の出は小走りか?!と思うほど高速で歩いて通り過ぎ、あっと言う間に舞台中央へ。 わがままを言って六助を困らせる様に嫌みがナイがゼンマイ仕掛けの人形のようで面白い☆ 「お獅子パクパク~♪お獅子パクパク~♪」六助さん、お疲れさまです! 東蔵さん@お幸は期待したほど、小判を投げ合う様にキレがない。 けど「やっぱ東蔵さん、好きだわ~」な存在感。 芝雀さん@お園は…あれ?芝雀さん、太りましたね。 誰よりも汗をかいていた印象で、今ひとつ女房ぶりを見せて豹変する可笑しみに欠けて印象。 母親を梅玉さん@微塵弾正に殺された吉右衛門さん@杣斧右衛門。 これぞ贅沢!な配役と眉毛が上下するコミカルな動きと大袈裟な泣きの演技に客席が湧く~! 騙されたと知って怒る六助が庭の岩を踏みつけて埋める仕掛けに「おぉ~っ!」と素直にどよめく客席に笑う。

寿靱猿

三津五郎さん(坂東流家元)×染五郎さん(松本流家元)×松緑さん(藤間流家元)…と踊りの家元三人が共演での所作事なんて超贅沢☆ さすが襲名披露公演の豪華さ! 目を皿のようにして見入りました!!!
松緑さん@女大名三芳野がカワイイ!デカイ! 松緑さんの女形って初めて拝見しましたが…目がパッチリでお顔がふくふく丸いので可愛らしくてビックリ!(デッケェけど) また表情がおしゃまな感じでなんとも愛嬌があって◎ 弓を構えると途端に勇ましいし、小猿ちゃんの可愛らしさに心が折れる様も乙女♪(デッケェけど) 染五郎さん@奴橘平は美しく安定、三津五郎さん@猿曳寿太夫は観ていて気持ちの良い小気味良さと、小猿ちゃんとの愛情溢れるやり取りにニッコリ。 で、この舌間綿花満ちゃん@小猿ちゃんが、めちゃめちゃ可愛い! 表情も動きも、なんとも可愛くて惹き付けられます!【寿靱猿】今月、これは通ってしまいそう~♪
で、残念だったのは…客席のおしゃべりの多い事怒る 歌の間はしゃべってイイと思っているのか?演者がセリフを言うまで、ずーっとおしゃべりしている人が目立ちました怒る 歌やお囃子を目的に観劇している人だっているのに!!
襲名披露公演ってのは、やっぱり豪華だな!と思ったのと…「歌舞伎って、やっぱり面白い!」と改めて思った夜の部でした。 後日の昼の部、すっごく楽しみです!!