アマデウス【博多座】

私、この舞台を映画化した【アマデウス】は大好きで大好きで、観た回数は…カウント出来ないくらい何度も観てる作品です。 ロードショー上映期間終了からちょっと経った映画を500円で観れる“センターシネマ”(福岡スポーツセンター隣=現ソラリアプラザ)でコンクリート床に新聞紙を敷いて座って観た(超満員だったので)のは学生時代のイイ思い出。 お尻の痛さを忘れるくらい夢中で観入ったよなぁ…(遠い目)
で、ウィーンミュージカル【モーツァルト!】も好きな作品なので…今舞台【アマデウス】も幸四郎さんだけど(←コラッ!)楽しみに観劇。
客席に足を踏み入れた時点で緞帳は上がっており、舞台中央には簡素なセットと車椅子に座った人が客席に背を向けて板付き状態。 そこへ他の演者が登場して芝居が始まる…という流れ(私、メインキャストの三人芝居と思っていたので他の演者登場にビックリ!) ボロボロの布を纏った廃人のように見えた老人がその布をサッと脱ぐと回想時代の…凛と立つ華麗な貴族の出で立ちの松本幸四郎さん@サリエーリ登場! 一体どのくらいの時間、微動だにせず車椅子に座ってたんだろう?(あれ、最初からず~っとホントに幸四郎さん?)
【今現在のモーツァルト暗殺を告白する老人のサリエーリ】と【回想時代の現役バリバリの宮廷楽長サリエーリ】を行き来するのですが、この変わり身の工夫がボロボロの衣装を身に付けたり~脱いだり~で瞬時と姿勢やしゃべり方まで鮮やかな緩急をつけて変る…という手法で、その度に客席から思わず「おぉ~」と声が漏れるほど秀逸。 不気味なしたたかさと…ちょいちょいコミカルな案配が絶妙なサリエーリで「幸四郎さん、もう歌舞伎はイイからこっちに専念…」。 ブツブツとつぶやくようでありながら早口でたたみかけるように話すセリフがクリアに通る…って、やっぱスゴイ役者さんなんだなぁと再認識(セリフの量もハンパない!) 「じゃ、なぜ本業の歌舞伎では…(以下割愛)」 古希近いというのにスラッとした若々しいタンディな立ち姿に、舞台映えする役者さんなんだなぁ…これまた再認識させられました。 男の嫉妬は女より怖いなぁ~という、絡み付くような支配するような空気に引き込まれました

武田真治さん@モーツァルトは、拝見する前から「ピッタリ!絶対ウマいに決まってる!」と思っての観劇。 【スウィーニー・トッド】のトバイアスや【ブラッド・ブラザーズ】のミッキーなど…こ~ゆ~タイプのお役はホント上手いですよね、武田さん! 子供のような無邪気さで周りをかき回す様は嫌みなく自然ですし、死の陰に怯え病んで行く様への移ろいは素晴らしい。 一幕はおバカ小学生で二幕は悩める美青年でした♪
内山理名さん@コンスタンツェは、イメージよりもずっとお姉さんに見えてドッシリと構えている印象。 前半はかなりしたたかな計算高い女にふってあって、サリエーリとの駆け引きでじわじわとにじり寄る所では客席、固唾を飲んでシーンと見守る感じで…スカートをたくしあげてガバッと股を広げる潔さには呆気に取られてドッと笑いが。 モーツァルトは彼女の腕の中で最期を迎える演出なんですね。 姉さん女房的にみえるので、母性でモーツァルトを包み込む…ピエタ像が頭に浮かびました
アルサンブルさんは少数精鋭☆ 舞台美術は超シンプルなセットながらも無理なく次々とシーンが移り変わっていく手法に拍手。 シルエットの群像とか様々な工夫に感心しきりでした。
いや~、幸四郎さんごめんなさい。 ホント観て良かった!面白かった♪
「またラ・マンチャかよ!」と思った来年5月博多座公演も聞けば10年振りの再演との事。 観に行きます。

錦秋博多座大歌舞伎・夜の部【博多座】

本日は着物の日。 ようやく福岡でも着物を快適に着れる季節がやって来た♪という事で、いつも以上に着物率が高かった印象の博多座でした。

葛の葉
芝雀さん@女房葛の葉・葛の葉姫を拝見するのは初めて。 姫でも女房でも、はんなりとした上品な色気でホントにお美しい♪ 別れの歌を障子に残す場での子供の抱え方が危なっかしくてヒヤヒヤしてしまいました。 歌六さん@安倍保名は包容力のある感じで素敵。

勧進帳

もう…博多座でも“またかの関”となりました。 博多座では今年こそ年に4回もある歌舞伎がありましたが、例年だと2回。 そんなに数少ない歌舞伎公演上演月というのに『何度目だ?勧進帳』。 私は計らずも9月松竹座で…これまた成田屋親子で観たばっかりだったので「またかよ!」感がなおさら~。
やっぱり團十郎さん@武蔵坊弁慶愛嬌があって好きですね。 海老蔵さん@富樫左衛門を観て「やっぱこっちの方が゜落ち着くわ」 ちょっとね、逆配役のひどかったからね…。 福助さん@源義経は品があって、慈悲深い感じがあって綺麗。 私、福助さんが苦手な要因は声なのかなぁ?

楊貴妃

なんでこれを博多座に持ってくるかなぁ~」と演目が決まった時から観た事もなく、評判しか耳にしていないながらも憤りを感じていた私。 勧進帳の時も言ったけど、博多座での歌舞伎公演の回数は少ないんだから! 新作歌舞伎よりは…まだ博多座で上演されていない歌舞伎の名作を観たいのよ! あるでしょ、他に! なんで楊貴妃…。
衣装は素敵でした。 セットも結構大掛かりで場の転換が面白かったです。  笑三郎さん@天真の一の姉のちの韓国夫人春猿さん@天真の二の姉のちの国夫人芝のぶさん@天真の三の姉のちの秦国夫人美女三姉妹が見所。 いや~、改めてお三方、綺麗! でもってやっぱり澤瀉屋さんの女形さんは背が高いんだなぁ…と。 キャラクターもありますが、芝のぶさんの華奢な可憐さが一層引き立って可愛いのなんのって! 春猿さんはドライなキャラもすっごくハマっていて好演。 ウマい♪
歌六さん@玄宗皇帝は改めて声がイイ。 拵えを観てると「おぉ♪新・三国志だ」と思い出しちゃいました。 で、福助さん@楊貴妃はほんとゴメンけど生理的に受け付けられませんでした。 海老蔵さん@高力士はなんか不思議な本心を量りかねるキャラクターでした。
再演があっても…楊貴妃が違わない限り絶対観ない演目です。

錦秋博多座大歌舞伎・昼の部【博多座】

今年の博多座での歌舞伎公演は4回も! 博多座ではその4回を制覇した方には…的なプレゼントキャンペーンをやってましたが…もうちょっと前からアナウンスした方が~(第一回目の初日開いてからの告知だったんだもの!) 『全公演A席で観劇の方』という応募資格に私があるハズもなく「一体どれだけの応募者が居たのだろう?」と疑問。
残念ながら、段四郎さん休演です(【外郎売】工藤左衛門祐経→ 歌六 【葛の葉】信田庄司→市蔵)

外郎売

あれ?こんなに面白くなかったっけ?」という印象に驚きました。 目にはと~っても華やかで一般的な“ザ・歌舞伎”というイメージそのままの絢爛さではあるのですが…なんでだろう? 外郎売の早口って、花道でツラツラと言っていたと記憶していたんですが…海老蔵さん@外郎売実は曽我五郎時致は舞台中央にどっかり腰を下ろして(これが通常でしたっけ?) 口上では要所要所に時事ネタ等はさむ度に客席が沸きましたが、私は芝雀さん+笑三郎さん+春猿さんという美女豪華傾城三人に釘付けでした。 こんな贅沢な三人で観たことナイですよ! 眼福、眼服☆
舞台セットの左右に“大入叶・南無阿弥陀仏・火の用心”などのお札をチェックするのは楽しい♪

連獅子

ここ最近で一番面白かった連獅子でした! 今公演の演目の中で一番面白かった!! 多分、親獅子と子獅子が同等の力量、同年代の役者さんで観るのが初めてだった事も大きく作用しているかと思うのですが、面白かった!! 個人的に澤瀉屋のお二人には「頑張れ~!頑張って!」と力が入って観てしまうのですが、今回はグイグイと引き込まれる感じ。 実際、澤瀉屋ファンでナイ方も「今回は連獅子が一番良かった」と感想もあり、決して贔屓目ではなかった! 花道からの毛振りで舞台中央へ移動していく猿弥さんに拍手喝采しながらも、客席にオチちゃうんじゃ~とハラハラ。 素晴らしい熱演でした、
右近さん@狂言師右近後に親獅子の精×猿弥さん@狂言師左近後に仔獅子の精は…ニン的には逆の方が良かったのでは~?と思ったのですが…どうでしょう?
蝶の差し金が登場した時に客席に笑いが起こったのには戸惑いましたけど、それだけ初めて歌舞伎をご覧になった方が多いんだろうなぁ…と嬉しくもあり。
いまだに疑問なんですが、裃後見ってヅラかぶる、かぶらないって…どういう基準なんですか? 演目によって?

与話情浮名横櫛

海老蔵さん@与三郎、木更津海岸見染の場であんなに『今から羽織落としますよ~』な準備が万端な様に萎えた事はナイ。 色白のなよなよヤサ男っぷりは笑えます。 私、海老蔵さんの三枚目やなよなよやキャラ、好きなんですよね♪
福助さん@お富は…もうただひたすらとにかく苦手としか。 新蔵さん@番頭藤八(新蔵さんですよね?)は、今ひとつ面白味に欠けたのは残念。