新・三国志III ~完結篇~【博多座】

新橋演舞場の次が博多座とは~!! シリーズ完結篇という事で3、4月に新橋演舞場で上演。 例年だと博多座公演は一番最後の翌年くらいの上演が常だったのに、今回はな、なんと! 演舞場の次! 猿之助さんは『博多座は“スーパー歌舞伎座”』という気に入りよう故か? 出世(?)したもんだ、我らが博多座! 公演はちょうど“博多どんたく”で賑わうGWから始まり、祭りの時には出演者が博多座バルコニーへ出て、どんたくパレード隊に花びらを散らすパフォーマンスがありました♪(仲達は段四郎さん&金田龍之助さんの交互出演)また今回は、地元ローカルTV番組に公演PRの為に21世紀歌舞伎組の面々が大露出! これが…観劇促進となったか否かはナゾではありましたが、ファンとっては各々のキャラが如実に出て大変楽しめた番組でした♪

一幕

観劇の事前に“唄や踊りがある”という事を耳にしていたので「まさかミュージカル仕立て?!」と思わないまでも、劇中にいきなり歌い出す不自然さを警戒して構えてしまいました。 前回では『夢みる力』があまりにも連呼された為に正直言って興醒めしてしまった自分がいましたから、その二の舞いかと…(^_^;) Part1から続けてみている人にとっては耳に馴染んだ曲で、何かしらの愛着を感じているであろから違和感が少ないのでは?と思ったりもしましたが~。 セットやその仕掛けは今までのスーパー歌舞伎の要素を踏襲したものになっていて懐かしく楽しめました。 この幕最後の船出は…いつも船が出る演目では不思議なのですが、古典でもスムーズな動きですよね? 花道をもあんな動きが出るのはどういう仕掛けなのでしょう? 橋の上で王凌を見送る沢山の兵士達の…一人ひとりの悲しみの表現が面白かったです。

二幕

今回、一番好きだったのはこの幕の冒頭、魏と蜀の国境近くの竹林でのヒッピー登場シーン。 回舞台に鏡の柱がたち、その周りをポーズをとって囲み…ちょっとエキゾチックなBGM♪ とってもお気に入り☆ 馬謖の子、馬潤が成長しこのような末路になっていたとは、ちょっとショック! 父亡き後は周りの愛情を一身に受けて…素直に育ったものだとばかり勝手に思っていたから…。 そして「初めて観たわ!こんなダンジロさん!」と、ちょっと衝撃的だった“カワイイ書生・宋康”を演じる段治郎さん。 “カワイイ”という一面を見せるお役で拝見したコトがなかったので、これは嬉しかった♪ 今回は右近さん@姜維が本水での立廻り。 しかし…もう目が慣れてしまった為か、奮闘していると猿之助さん@王凌が馬に載ってアッという間に舞台手前に登場してしまう為か…何故だか陰が薄かった(^_^;)

三幕

段四郎さんor金田龍之介さん@仲達猿四郎さん@子尚延夫さん@子元の“紫親子”は今回も良かった! 今回“が”一番良かった! カッコ良かった! ヒーローとして民の心を掴んで愛される主君ではないけれど、“天下統一”という自らの執念と化した野望の為に我が子までをも巻き込んでなしとげた仲達。 最後スッポンでの「私は偉大な闇だ!」という不敵な高笑いでの引込みはゾクゾクする迫力があって大好きでした♪ 作品としての感想は…「感情移入できるキャラが一人もいなくて正直辛かった」。 Part3まで作る必要があったのかなぁ…と思いました。 しかし、8万枚の桃の花びらが客席全体に降り注ぐ宙乗りをはじめ、数々の“スーパー歌舞伎”ならではの演出、堪能しました。

猿之助(王凌・関羽)/歌六(鍾会・孫権)/右近(姜維)/笑也(春琴)/猿弥(陳寿・陸抗)/笑三郎(静華)/春猿(伊代)/段治郎(関平・宋康)/亀治郎(馬潤)/門之助(彩霞)/段四郎or金田龍之介(仲達)