スウィーニー・トッド【青山劇場】

2007年からの4年振り再演です!(って前回の観劇から4年も年月が経っていたとは…愕然~)。 あれからジョニー・デップ主演の映画も公開され、作品としても有名になったので、もっと早くに再演があるかと思っていましたが…市村正親×大竹しのぶ、というビッグ主演お二人のスケジュール調整が大変だったんでしょうね?、やっとです! 主なキャスティングはアンソニーが城田優さん→田代万里生さん、タービン判事が立川三貴さん→安崎求さんの変更のみで「更に歌に期待できそう♪+初演時の興奮再びに違いない!」と遠征観劇☆
耳をつんざくような警笛の音で幕が空いた瞬間「あぁ、コレコレ。そうだった、そうだった~」と一気に暗鬱としたロンドンへ再びタイムスリップ。 作品としての印象は初演観劇時と変わらず。 ただ、キャストの“死者の怨念メイク”が全体的に薄くなっていて、皆、以前より顔色が良くなっていたのが…なんだか可笑しかったです。 初演後公開された映画を観て…また舞台を見ると、計算されたスムースな場面転換に舞台美術と演出に改めて感嘆。 気が付けば私、今年は金閣寺も観劇してるし…ちょっと亜門作品づいている?!
主演お二人はやっぱり流石!です! お二人とも全く年を取らないような…パワフルな様は拝見するだけでパワーをもらえます!
二人の微妙な絶妙な関係のかけあいに息をのみ、笑い、グイグイと引き込まれました

大竹しのぶさん@ミセス・ラヴェットなんか、さらに若々しくラブリーになっているのでは?! 歌は~初演時と変わらない印象でしたが、腹をくくってからの“逞しい女のしたたかさ”に愛嬌が増し絶品でした。 トバイアスに対する母性もしかり! ラスト、彼の妻と知りながら隠していた事がバレた時の表情が哀れで可愛くて強烈な印象として残りました。
今回キャストチェンジとなったお二人は…どうやら期待しすぎたようで、という印象で「悪くはナイ。…けど~」でした。
田代万里生さん@アンソニー歌はさすがに上手いのでしょうが、なにせソンドハイムの不協和音旋律なもので、聴いていて耳に心地良くナイ訳で…で、演技は特筆すべき事はなく。
安崎求さん@ターピンは…すごくジジィ(言葉悪くて失礼!)な感じに作ってあって、それはそれで不気味で、Tバックでお尻まで披露しての熱演でしたが…初演の立川三貴さんの方が好みでした。
キムラ緑子さん@乞食女の演出は変わっていますよね? あそこまで彼女がフューチャーされていた印象はなかったので、ラスト身の上が判明した時の衝撃がハンパなかったのですが…。 今回は最初から「彼女は何かきっと重要な役所だ」とありありと判るような演出となってるような? 顔も髪ですっかりと覆われてあそこまでハッキリ見えていなかったような~? 映画が公開され、多くの人が彼女の身の上をすでに知っているから…という変更があったのかな?
この作品で初めてミュージカル作品で拝見したソニンさん@ジョアンナはその後すっかりミュージカル女優としての地位を確率しての安定感。 あの小鳥のさえずりのような小刻みに震える高音は健在。
武田真治さん@トバイアスのキャラクターはやっぱり舞台版のこちらが好み。 地下室でひき肉器を回す演出は…初演時はミセス・ラヴェットから習ってラストまで何回かやっていたような?…違ったかな? 武田さん、美形な方だけどやっぱトートよりはこういう役所の方が活きるような♪
そして斉藤暁さん@ビードルはやっぱりあの眉毛にクスッ。 漫画のような体型もツボです。
今公演、残念ながら福岡での公演はなく…の遠征でしたが、これから公演が予定されている地域の方は是非ご観劇を! 次回の再演、があったとしても何年先か判りませんから!!

ウーマン・イン・ホワイト【青山劇場】

2004年にロンドンで世界初演後、翌2005年にブロードウェイ、そして本年についに日本!となった作品。
原作は1859年に雑誌連載として発表されたウィルキー・コリンズのミステリーで、これに名作曲家アンドリュー=ロイド・ウェバーと名演出家トレバー・ナンがタッグを組んでミュージカル作品化。 謎解きをベースとしながら、貧しい画家と彼に想いを寄せる二人の姉妹の恋愛、彼らに絡む様々な人間模様を…不協和音のようでいて、聴いていると耳について離れなくなる魅力的な音楽によって物語は展開しその世界に引き込まれていく…という不思議な魅力を持っています。
演出は松本祐子さん。 私は【ピーター・パン】でしか拝見した事がナイのですが、あれだけ場面展開が多い作品をよくココまで工夫してシーンを切り取っていったな…という、ちょっと何様な感想ですがそう思いました。 ひとつひとつの書割りだったり、セットの造りは…はっきり言ってショボイのですが、あれだけの転換をスムースにし、人物を際立たせるのには適策だったのでは?(他の上演地セットはスクリーンにデジタル映像投影らしい) オープニングの不気味さ、ロンドンの暗鬱とした街の様子、木漏れ日溢れる穏やかな森…など、充分感じる事が出来ました。 ただ…今回の演出がそうなのか? オリジナルがそうなのか? “突っ込み所満載”な作品だった事も確かです。 それもまた面白かったんですけどネ汗
以下、各キャストについて

青りんご 笹本玲奈さん@マリアン・ハルカム
歌、上手いっちゃ知っとったばってん、ココまで上手いとは!』という驚きで、終始圧倒されました。 演技もしかり! 玲奈ちゃんにとっては実年齢よりも上の役というのは初めてとの事ですが、主役として堂々たる風格で作品を引っ張って行く力強さもあり…ホント感心しました(親戚のおばちゃんの心境汗) ただ聴いていて“疲れる”という印象を受けたのも確か。 高まる感情表現=大声(張り上げ)ではナイと思うんですよ…。 しかし、若くして芸歴が長いがとはいえ、立派でした。 今後の更なるご活躍がますます楽しみ♪
青りんご 神田沙也加さん@ローラ・フェアリー
“ミュージカル初挑戦”の上、難曲ぞろいの作品…で大変なプレッシャーだったかと素人ながらに推測出来るのですが、頑張りました! 好演です。 歌は今後場数を踏めばもっと安定していくと思いますし、演技は上手い。 ラスト、パーシバル卿に挑む所の迫力は素晴らしかったです。 嫌味ない“愛されお姫様キャラ”という存在は貴重かと。 今後もミュージカル作品へのご出演が期待出来るかも。
青りんご 別所哲也さん@ウォルター・ハートライト
改めて、歌ウマイんだなぁ…と聴き惚れました。 暖かい包み込むような歌声は二人の美人姉妹から想いを寄せられるのも納得出来るような包容力を感じさせます。 ローラへ想いを寄せる様は唐突な印象だったのですが、マリアンに対する気持ちの変化がすごく丁寧に演じられているような印象で、二人のラストはせつなくてせつなくて…素敵でした。
青りんご 石川禅さん@パーシヴァル・グライド
想定内ではありましたが…“財産目当てのDV夫”に見事に変身! 前半の善人ヅラが本性を現した時の落差があってより怖さを際立たせていた感じ。 ベースに冷酷かつ身勝手さがありながら、小心な所と大胆な所が交錯する様が面白かったです。
青りんご 山本カナコさん@ アン・キャスリック
カナコさんを意識して拝見したのは…【朧の森に棲む鬼】のラジョウの飲み屋の色っぽいおかみ(?)くらいでしたので、今作品へのご出演は観劇の楽しみのひとつでありました。 “ローラと瓜二つ”という設定ですが…違和感なし。 舞台をつんざく絶叫は作品全体を通して不安感を煽り効果的。 この役は“もっと歌える人”が良かったのか?否か?は…難しいですねぇ。
青りんご 光枝明彦さん@フレデリック・フェアリー
拝見出来た事がただただ嬉しい…悲しい 私が光枝さんご出演の舞台を拝見したのは2005年秋【アスペクツ・オブ・ラブ】以来。 再会が何の因果か同じALW作品というのはなんとも不思議~。 公演中に70歳のお誕生日を迎えられたそうですが、あの口跡の良さと歌の上手さには改めて驚くばかり。 この年齢層でこれだけ歌えて芝居が出来る役者さんって貴重な存在でしょうから…今後もいろんな作品で拝見出来る事と更に楽しみに。 で、フェアリー氏は意外にもクスッと笑える方向にキャラを振っていらっしゃった様子。
青りんご 上條恒彦さん@フォスコ伯爵
多分、ご覧になった方皆さんが上條さんを絶讃されるのではナイでしょうか?
フォスコ&パーシバル歌の素晴らしさは言うに及ばず、と~ってもチャーミングな愛すべき悪役☆ 特に「おヒゲがサボテンみたい」と言われていそいそと剃ってくる様が印象的。 玲奈さん@マリアンとのキスシーンは…役得ですネ、上條さん♪ それにしてもフォスコ伯爵の処方する薬は“激的速攻”で効きますな!
青りんご アンサンブルさん
“少数精鋭”という感じで、すごく迫力があって良かったです。 ロンドンでの追い剥ぎシーンでの威圧感には鳥肌が立ちました(これはジキハイのアンサンブルさん以来の体験!)
私の観劇は前楽のマチソワでしたが、初日からすると…その進化の過程も楽しめたんじゃないかしら?と思える魅力を持った作品でした。 再演があれば是非また観てみたいです♪