ウィキッド・初日【キャナルシティ劇場】

昨春、福岡から劇団四季が撤退してから1年、キャナルシティ劇場とその名を変えた劇場に劇団四季が8月迄の期間限定で戻ってきました! まさか福岡で【ウィキッド】が観れるとは思っていなかったから、大好きな演目の上演にすっごく嬉しくて初日から行ってきました♪
ロビーにはむせ返るほどズラ~リと花が並び、招待客と思われるスーツ姿の人がい~っぱい。 今日のチケットを確保する段階で判っていたとはいえ…純粋な四季ファンが後ろの席で我慢しなければならないって…やっぱり納得出来ないぞ!! とは言え、満員御礼でひしめきあうロビーと客席を目にし「この賑わいがずっと続いてくれればイイのにね~」と思ったり。
【ウィキッド】は東京開幕直後に電通四季劇場・海と昨年に大阪四季劇場で観劇してて、本日は3回目。 この巨大なセットは…福岡仕様になってたりするのかな?(この劇場は奈落が浅いらしく、よく“福岡仕様”に変更があった過去あり) 本日のキャスト、主役のお二人は前観劇時と同じ~。

沼尾みゆきさん@グリンダは前回の印象と変わらず。 あの細~い体型を維持しながら、これだけのロングラン公演を耐える体力と喉(声量)に驚かされます。 私、グリンダは沼尾さんでしか観たことがナイので、キャストチェンジがあった際には是非観劇してみたいと思います。
江畑晶慧さん@エルファバは前回全く笑えなかった「キラキラぁー、キラキラぁーっ」が◎ グリンダから口紅を塗ってもらってベタベタする様や、髪に差した花にとまどう様の堅物具合がチャーミングに自然と笑えました。 で、やはり1幕ラストはどうしても泣けます!! フィエロを救う際に夢中で魔法の呪文を唱えるシーンは鳥肌が立つ程の迫力でした。
保城早耶香さん@ネッサローズ、これって重要な役所だと思うのですが、観る度に「ん~…」という残念さが。 森以鶴美さん@マダム・モリブルは、やはかりこれくらいスラリと長身で若い魔女二人を見下ろす感じのヴィジュアルがイイですね。 でも…あんなに顔、真っ白なキャラだったっけ?!
手元には来月のチケットがあるので、福岡での進化を楽しみに観劇する予定です☆

劇場 キャスト
グリンダ:沼尾みゆき/エルファバ:江畑晶慧/ネッサローズ:保城早耶香/マダム・モリブル:森 以鶴美/フィエロ:李 涛/ボック:伊藤綾祐/ディラモンド教授:前田貞一郎/オズの魔法使い:松下武史

桜壽博多座大歌舞伎・昼の部【博多座】

磯異人館

私、初めて観た演目です…って、昭和62年歌舞伎座で初演→平成19年再演という新しくて上演回数も少ない作品なんですね。 鹿児島=九州ご当地もの、という事での上演なんでしょうね? 適材適所という配役で皆好演。
将来の希望に燃えつつも、すぐ目の前にある幸運が悲劇的な末路へ…という勘太郎さん@岡野精之介。 武士の子→職人という感じはしませんでしたが、精之介の人柄は良く伝わってきました。 早口になるとセリフが聴き取り辛いのが玉にキズ。 赤く光り輝く薩摩切子の瓶を背に切腹する様に「そんな長い刀でなら首カッ切った方が楽なんじゃ…」 生麦事件で切腹した父・岡野新助の…武士の子としての幕引きだったんでしょうね。
七之助さん@琉璃は、琉球の姫君らしい拵えが素敵。 【俊寛】の千鳥でも思うのですが…南の島の女性がこんなに華奢で生っ白い訳がないんだけどなぁ~! 可憐で儚い感じが◎ 個人的にはこの兄弟の恋人・夫婦役って苦手ですが。
猿弥さん@五代才助鹿児島県人として違和感ゼロ! 語弊があるかもしれませんが「猿弥さん、使い勝手がイイ役者さんだなぁ」と改めて今公演で思いました。 使い勝手?…ん~、なんて言うんでしょ?、声はイイし、芝居は上手いし、二の線も三の線もどちらもイケるし…なんでもソツなく上手い! 「澤瀉屋!」と大向うがかかる度に、なんだかとっても嬉しくなりました。
歌舞伎に限らず“外国人を演じる日本人俳優”が出て来る舞台って、どうしても違和感がありありで気になってしまいますね(日本が舞台でそこに外国人が…という設定時) 亀蔵さん@ハリソンは、別に面白い事をするわけでもないのに(至って頑固で気丈な英国紳士の役)…何故かしら笑ってしまう~! しまいには耳にかかる髪をかきあげる仕草に「なんですかぁ~」と聞こえてくる空耳(爆) よく面白キャラを演じられる亀蔵さん故にそうだったのか?役所がそうだったのか? 謎であります!
松也くん@岡野周三郎の出の立ち姿だけで「やっぱり太ったな、松也くん…」 血気盛んな周三郎を素晴らしく好演♪ 上から目線で失礼ですが、すっごくお芝居上手くなっていらっしゃいますよね!! 今公演ではヴィジュアルの変化に驚きつつも、芝居の上達振りに驚かされた松也くんでした。
國矢さんの悪役(役名失念!)、表情から“いかにもヤな奴”で好演。 名題になって初めての博多座ご出演?

吉野山

清元連中の裃が成駒屋さんの緑一色な上、見台も初めて見たよ、ソレ!と驚くくらい簡素なもの。 後に上手上段に桜裃の方々が加わるのですが…なんだか満開の桜な感じがせず、寂しい印象がして不思議。
橋之助さん@佐藤四郎兵衛忠信実は源九郎狐扇雀さん@静御前亀蔵さん@逸見藤太。 うん、特筆すべきことはなし。
橋之助さん×扇雀さんが“男雛女雛”で決まった時「両成駒~!」と大向うがかかったんですが、初めて聴いた。 これってありなんですか?

俊 寛

橋之助さん@俊寛僧都は初めて拝見。 我れ先にと船に駆け寄る様や、乗船への執着は若い俊寛故か?…イイ意味で浅ましい、人間くさい感じを受けました。 故に、ラスト丘に登って遠ざかる船に手を振った後の幕が下りるまでの虚脱感、特に表情がすごく印象的。 この余韻を楽しみたいところに「大当り!」という大向うがかかって殺意を覚えました!
彌十郎さん@瀬尾太郎兼康って…こんなにデッカイ瀬尾って怖すぎる~!!(頭には+タニシで更にデッケェ~) ろくに栄養も取っていない年老いた俊寛も、よくこんな厳つい人に斬り掛かったなぁ、と驚き~! それだけ乗船したかったんだな、と解釈。
亀蔵さん@平判官康頼は…藤太の白粉を落とす時間がなかったのか?! 首だけ真っ白で違和感。 ん?この役ってコレが正解でしたっけ?
他の配役は、勘太郎さん@丹左衛門尉基康七之助さん@海女千鳥松也くん@丹波少将成経

桜壽博多座大歌舞伎・夜の部【博多座】

本日は【着物の日】の博多座でしたが、あいにくの雨。 …と言っても結構な着物比率で客席は華やか☆ 着用者へのプレゼントとして博多織のポケットティッシュケースいただきました♪
九州新幹線全線開業記念』と銘打って5年振りに勘三郎さんが博多座へ~と言うことで盛り上がりが期待されましたが、まさかの“看板が休演”という事態にガッカリ。 歌舞伎好きには「カンタが初役で団七!」という楽しみはありますが、やはりそれは…ですね。
夜の部・開演前の挨拶勘太郎さん。 勘三郎さん休演の詫びと博多座初お目見えの際の、お岩様での舞台のエピソードをご紹介。

棒しばり

猿弥さん@次郎冠者に「やっぱ山城新伍に似てる…」と改めて確信。 ふくよかだけどメッチャきびきびな猿弥さんの舞踏って大好きなうえ、こ~ゆ~愛嬌のあるお役はバッチリなんで安心して拝見していると…「いや、待てよ~。本公演でこんな大きなお役で拝見出来るって凄い事だわ!これは!」とフト思い出し、何故か段々ー緊張して観るハメに~。 「うぃ~っ…」と酔いが回って本調子で踊り出す所からは…「あれ?れ?」 最初から全力で踊っていたせいなのか?、“ここが見せ場”って感じの盛り上がりに欠けた気がしました。
七之助さん@太郎冠者は猿弥さんとの体型の対比がヴィジュアル的に面白い☆ 亀蔵さん@曽根松兵衛は手堅い。
何度も観ている舞踏だけど、博多座の客席のドッと沸く反応が楽しかった♪

夏祭浪花鑑

串田和美演出で観るのは…もう何回目だろう? 『ニューヨーク・ベルリン・大阪で熱狂の舞台 博多座へ』とキャッチコピー付きで上演するからは、ラストは“博多座バージョン”の捕物帳が期待できるのでは?と、あれこれと予想しながら観劇へ。 そしてなんといっても初役で臨む勘太郎さん@団七の頑張りに期待!!
この演目では中村座の定式幕がかかるんですね。 舞台美術も串田仕様で、運ぶ大道具さんには黒い作務衣姿の女性もいて新鮮☆
幕開きは客電が付いたまま、祭りでの喧嘩が始まり1階客席通路や空いている座席を使ったり、瓦版屋がビラを配ったり…と“らしい”幕開き。 泥場の照明は和蝋燭で、花道での見得では一点のスポットライトでシルエットを巨大に映し出し効果的でしたが…博多座の広さで果たして3階席では観えたのだろうか?という疑問も。 博多座で初登場の平場席は舞台との高低差が大きすぎて、間違いなく舞台奥での演技は観えずらかったかと~(泥水除けのシートを着用して水はかかるが演技が観えかったのでは???) 蚤取りでは、照明デザインの意図するところが解らず、ただただ観えずらかったのは残念。
だんじりのお囃子は大太鼓(+パーカッション少々)とのお二人がメインで演奏で聴き応えあり☆ 附け打ちさんが下手で打っているのは初めてみたかも?
勘太郎さん@団七九郎兵衛は「若いって…美しい!」と思わされる場が度々。 床屋からスッキリと仕上がって出て来た様に「おぉ~♪」 喧嘩っ早い、青い感じがイイように作用している気がしました。 とにかく“全身全霊で頑張ってる”という様がヒシヒシと感じるからか?それ故に凄く力を入れて観てしまうからか?観劇後、ドッと疲れました。 「カンタ、よくやった!」と何様の上から目線ですが…きっと誰もがそう言うでしょう。 いちいちの決める型は美しく、絵的にも綺麗なのですが…たたみかける、心情があれこれと交錯しながら…ついにはこうなってしまう!的な、心情の流れがセリフの中に見えずらく、ちょっと唐突に感じる部分がありました。 しかし初役でこれだと充分な及第点かと思います(何様再びスミマセン) ノド、千穐楽まで枯らさないでね~。
配役をよく確認せずに観ていたので「磯之丞、誰アレ?」 松也くんでした…。 新悟くん@傾城琴浦がよっぽど背が高くなったのね(って松也くん、顔丸くなってるよ…)  七之助さん@お辰は、鉄弓を頬に当てる迄は好演だなぁ、と思ったのですが…それ以降が「もうちょっと年配じゃナイと難しいのかなぁ」という印象(どっしりと構えた感が欲しい)。 私、この演目で一番好きなシーンと言っても過言ではナイ、お辰の「ウチの人の好くのは…」の花道での決めセリフもしかり。 バシッ☆と決まる、スパン!と言ってのける潔さが弱くて残念。 他の役者陣はいつも通りの手堅さで脇をガッチリ固めていらっしゃいました。
ラストは…あれ?それ?で?…でした。 ん~、他の仕様を知っていると物足りなく感じたのですが、初めてご覧になった方はどう感じたのでしょうか?
カーテンコールが3度ほどありましたが、しかし…やっぱりA席18,000円に見合うか?と言われれば、それはご祝儀としても高過ぎました。

金閣寺【キャナルシティ劇場】

面白かった! すっごく面白かった! 私が今までみたストレートプレイの舞台の中で一番面白かった!! 観劇で鳥肌が立ったって…どの作品以来だろう? まさかこんなに前衛的でアングラ色の強い舞台だったとは!
宮本亜門さん演出のストレートプレイって初めて観たけど「亜門さん、ミュージカルよりこっちの方が…(爆)」 いや~、とにかく演出の奇抜さや舞台美術、照明デザインの工夫が随所にあって「はぁ~、そうなるか!」「ほぉえ~、そう使うのか?」「うわぁ、頭イイ~!」と、感嘆の連続
しかし劇場が元四季劇場なだけに?…取っ組み合いのスローモーション演出に「それユタのいじめっ子では…」、上半身裸ロン毛の男性が後光を浴びて登場に「ジーザス・クライスト=スーパースターが聴こえる~」、焼け崩れた金閣寺の傾斜板上に立つ男性に「ペドロ親分の登場じゃ…」と劇団四季好きの人なら激しく同意するであろう雑念が過り困りました~。
観劇中客席は咳ひとつすることもためらわれるほどシーーーーン(携帯は2度ほど鳴ったけどな(怒)。 固唾を飲んで見入る…って感じでした(とは言え、TVの舞台中継とか録画映像で観ると集中力の持続が厳しいかと~)
実は私【金閣寺】って、遥か昔に原作を一度読んだきりだし、雷蔵さん主演の映画は録画するだけして観ていない、という作品だったのに、ストレートプレイは苦手なはずなのに…何故に観劇に至ったかと言いますと…ポスターデザインが、タイトルの筆文字が激しく好みで「コレ観たいっ!」 主演の森田剛さんは“V6のダンスの上手い小柄な人”という事と(そのダンスさえよく観たことはナイけど)「確か、新感線にも客演したことあるんだよな~」くらいの認識しかなかったのですが、何かの本で『舞台の仕事を熱望してる』というような趣旨の記事を読んで「お♪一度、森田さんの舞台観てみたいな~」と思っていたところに絶妙のタイミング☆という訳なんです。
開演前に客席に付くと緞帳は上がっており、舞台上ではすでに俳優たちが演技を。 正面に黒板のある無彩色の教室のセットの中で今っぽいラフなモノトーン衣装の男女8名が各々休み時間を過ごしているかのような…そこへ開演と同時に教師や生徒役と思われる主演俳優たちが入って来て、小説“金閣寺”の朗読を始めます。 「ええぇぇ~っ!これはまさか、時代設定を現代に…って事ですかい?!」と若干引いていると…「おぉぉぉぉっ!そう来るか!!」という手法で、一気に昭和20年代の小説の世界へ

基本、この教室のセットをベースに椅子、テープル、衝立て、ロッカーを使ってそれらを積み立てたり、並べたり、仕切ったり…と様々なシーンを切り取り、合わせて床に落とす照明デザインで道や廊下、屋外の木々や街の喧噪等を映し出し…様々に変る空間に違和感なく、またこれに役者が加わるとその演技が際立ち、教室の備品がソレにしか、照明がソレにしか見えない工夫に感嘆。
すごく新鮮だったのは、天井から吊ってある蛍光灯が全て床面に下りてきて、そのケーブルが雨のように、蛍光灯が縁石のように、その区切られた蛇行した道のりの表現が面白かった!!
溝口と鶴川が南禅寺の山門に上って京都の街を一望する様はピーンと一筋の光だけで表現されるのですが、金閣寺とは対局の穏やかな美しい光景を彼らと一緒に観たようで不思議な安らぎを感じました。
あとお寺での日常をケチャのような音楽にのせてダンスでキビギビと表現するのはコミカルで印象的。
また最大の関心事だった“金閣寺の表現~炎上シーン“…は、全く想像だにしない手法で驚愕。 ホーメイ歌手・山川冬樹さん“金閣寺=鳳凰”として擬人化で表現され、その肉体から発せられる音は溝口の心を支配し苦悩させ追いつめる存在として常に彼に付きまとい、ついには破滅へと先導役のようで…とにかく強烈なインパクト! 炎上のシーンでは教室のセットが分解した床面には銅板が敷かれ、それに真っ赤な照明が反射して…その圧倒的な赤の光量は客席までも染め、まるで炎の熱が感じられるかのよう。 そこに大駱駝艦の舞踏パフォーマンスを従えた山川冬樹さん@鳳凰が“ブッダの知恵の目”をイメージさせる目の映像が投影された高台に登場し、じわじわと溝口に迫り寄り飲み込む様は圧巻で鳥肌が立ちました!!!
森田剛さん@溝口 細くて小柄で猫背で丸刈り頭の彼は10代の徒弟としてなんの違和感もありませんし、常に体を丸めるようなオドオドしたような立ち姿から強い劣等感をも感じました。 吃音もわざとらしさは微塵も感じることなく、声の通りも良くセリフが聴き取り易い。 私が抱いていた溝口像はもっとモッサリとしたおっとりイメージだったのですが、今作品では全ての動きが軽やかでキレが良いうえ、瞳がギラギラとしており、特に娼婦の腹を蹴り続けるシーンではサディステックな感じにも驚きました。 森田さん、舞台役者として魅力的な方ですね! 今後も機会があれば是非彼の出演舞台を観てみたいものです。
大東俊介さん@鶴川 主演俳優お三方ともですが、すごくイメージにマッチした方ですね。 溝口とは対局の美や優しさ、純粋さ…全てを持ち合わせる“透明な美しい正の存在”として好演。 俳優さんの朗読って、読む本人が感情移入しすぎて聴いている側が引いてしまう事が多い為苦手なのですが、大東さん、高岡さん共に声が良く、状況説明の補足の手法は良かったです。
高岡蒼甫さん@柏木 「そんな柄のシャツ、何処で仕入れてきたんだよ!」と衣装さんに問いただしたいくらいの下品でやさぐれたキャラクターの様の演出に一役。 鶴川とは真逆の“怠惰でひねた悪の存在”的な雰囲気は、常に下から見上げて睨みつけるような挑むような瞳が印象的。 不自由な足ながら女が引きも切らず言い寄るフェロモン?的な雰囲気は今ひとつでしたが、好演!
中越典子さん@有為子/生け花の師匠は、はんなりとした色気と京言葉がとてもお似合い(着物姿がステキ☆)。 自らの母乳を茶に絞り出す様や、その胸を溝口に触れさせようとする様の色気は、溝口でなくともひるんでしまうような威圧感が。 花王おさむさん@副司は、瑳川哲朗さん@老師の懐の深さ・慈悲深さとは真逆のセコセコした神経質な様が絶妙。 岡本麗さん@溝口母高橋長英さん@溝口父の対比も同じく。
めちゃめちゃ長くなりましたが…それだけ面白かった☆という事で。 「観て良かった~!!

高野聖/将門【博多座】

高野聖

事前に原作を読んで観劇に臨んだ初観劇の演目。
個人的には劇中にスクリーン投影で情景を説明する手法は『せっかくの生モノの鮮度が落ちる』…と言いますか、ググッと物語に入り込んで観ていた気持ちがカクンと萎えると言いますか…苦手なんです。 ですが、今回は大拍手でした! すっごく上手い使い方で唸りました~!! 生の舞台と完璧に同化していて…シーンとシーンを上手く繋ぎながら、なおかつ観客をより深く物語の世界に誘う役割を果たしていたかと。 モノクロだったのも良かったのかな~。 唯一、皮膚に吸い付いた山ヒルをはがしても血が付いていないのが違和感、でしたが~(ちょっと映画【スタンド・バイ・ミー】を思い出した)
映像もですが、舞台美術や小道具も見所が多いですね! 蛇、馬、コウモリ、ムササビ、蛙、猿…って一つの歌舞伎演目でこんなに沢山の種類の動物が出て来た作品って初めて観ました! 差し金で操る方は新たにこれら動物の動きを研究されたのでしょうか? 険しい岩山の様子や山の渕の様子は回り舞台で仕切り方に変化をもたせながらスケール感を表現し、闇夜の中で青い照明が怪しく幻想的な世界を醸し出していてグイグイと引き込まれ…まるで映画を観ているような感じを受けました。

玉三郎さん@女は、今公演の演目中で一番色っぽく、艶っぽいかと。 ついと襖を開けて出たその姿だけで妖し気な色気を纏っていて、話し方が丁寧だけどあだっぽくて…獅童さん@宗朝と共についつい惹き付けられてしまう感じ。 當吉郎さん@次郎の存在も何やら不気味で、二人で暮らすこの館になにやら淫靡な雰囲気も漂っている不思議が。 次郎が食事の時に欲しがったものは…あれは何ですか?(後方席で確認出来ず~)
山の渕へ女と宗朝が二人連れ立って向かう時は客席下りがあり、二人を照らして付き添う青い照明係さんが大変そうでしたけど、闇夜に照らし出された二人の顔は大層不気味で…綺麗。 山の渕に二人して入り背中を流す場では、客席シーーーーーーン。 「玉さんが脱ぐなんて!」と、スミマセン!下世話な驚きが~(3階席から観てみたかったゾ!) なんとも官能的でした~。
“人間を獣に変える力を持つ妖女”であった…という事を翌朝旅経つ宗朝に語り聞かせる歌六さん@親仁。 ものすごい量のセリフなのに明瞭でホント聴きやすい。 今公演で改めて思った事「歌六さん、口跡鮮やか~!!」 最近は何故だか老け役が多い歌六さんですが、快活な壮年役も久々に拝見したいものです♪
いや~、ビックリ! 【高野聖】予想外に(失礼!)面白かった~☆

将 門

今公演で、初めてお囃子連中さんが舞台上に(下手に常磐津連中)
和蝋燭の灯りに照らされてすっぽんから玉三郎さん@滝夜叉姫。 客席が「ほぉ~っ」とため息をついて大拍手なのがよく判る。 「やっぱ玉三郎さん、綺麗だわ~」 クモの巣文様の打ち掛け素敵☆ 「覚悟しぃやぁ~!」との大立ち廻りでは「背筋+腹筋、すご~い!」とこれまた客席から感嘆の声が漏れ聞こえました。 玉三郎さんの紋のし菱紋を形作る所作も取り入れられ見応え充分。 ガマの造りがちょ~っとチープで(高野聖が秀逸だったので余計気になる)屋根上に姿を表した時は「よいっしょ、よいしょ」って感じで横から出て来たのに笑えた。 ラストは雷鳴が轟き大屋体崩しで大迫力☆

古典演目が1本あって良かった♪ しかし…笑三郎さん【海神別荘】だけの御出演ってもったいないなぁ~。