愛、時をこえて 関ヶ原異聞【THEATER1010】

私、段治郎ファンです。 コレは結構長いです。 そして貴城けいさんファンです。 これは彼女がトップお披露目の博多座公演を観て「宝塚にもこんなに歌と芝居のバランスが取れた美人な男役が居るんだ~」と驚いて気になり…しかし、その後すぐ退団してしまったのでヅカ時代の舞台は殆ど知らないに等しいビギナーファンです(でした、に今作品でなっちゃったかな~汗
で、このなんの脈絡のナイ私の趣向を知ってか知らずか?この二人が共演!という信じられない舞台がこの度上演。 しかも吉野圭吾さんもご出演! あら?藤本隆広さん、ANZAさんも? って事はミュージカル風味も期待できちゃう?!…とあらば「もう二度とナイ顔合わせだろうし遠征決定~♪」
総括。
え~っと…、う~んと…最後まで観劇を続けるのが辛かったです冷や汗
本チラシがUPした時に感じた「ビミョ~」なヤな予感は悲しくも的中汗
宝塚×歌舞伎×ミュージカル…という異種混合がどのような化学反応を起こして…というようなフレ込みでしたが、それぞれの良い所を抽出して相乗効果が!というものではなく、それぞれが中途半端に織り込まれており、どれもものすご~く消化不良。 総体的にはカーテンコールを含めて歌舞伎色が強かったような印象。
鉛筆あらすじ
時は天下統一を成し遂げた豊臣秀吉がこの世を去り、その後天下を取ろうと徳川家康が勢力を拡大し、世は再び乱世に…という時代。秀吉の懐刀であった石田三成が、家康への憎悪をたぎらせその勢力を阻もうと画策していたある日、偶然にも出逢った“夢を売る”という旅商人から十字架が突き立った不気味な棺桶を家康に送りつけようと買い入れた。 そしてその十字架を引き抜くと封印が解け、吸血鬼ドラキュラが蘇る。ドラキュラは三成に封印を解いた礼として「そなたの望みを何なりと叶えてやろう」と、忠誠を誓う。 かくて三成はドラキュラの力を借りて家康討伐に出るのだが、家康側の家臣・細川忠興の妻であるガラシャにドラキュラが恋をしてしまった。 そこから悲劇がはじまる…。
元宝塚トップスター・貴城けい、退団後初主演舞台!という事で、彼女のヅカ時代の熱烈ファンにとっては、今回の役所“男でもナイ、女でもナイ妖かしの者”というドラキュラまた仮の姿は出雲のお国、という…男役アゲインでもあるし、和物が得意だったというヅカ時代の舞台姿に再び会えた~♪という事で満足な舞台だったかもしれません。 しかし…しかし、作品としてはあんまり!でした。
ダンジロ×かし
私、貴城けいさん(@ドラキュラ&出雲のお国)好きですけど…辛かった汗
在団中に耳障りだったビブラートをかけすぎる歌唱法(退団が決定してから過去作品を映像で観た感想)は、退団間近ではその陰は薄くなっていて、すごく聴きやすく、歌に情感を乗せるのが上手い方だなぁ…と思っていたのですが、今舞台では、あの強烈ビブラートが復活していて、歌詞が聴き取れない、聴き取れない。 演技は…この作品故に“タカラヅカ貴城けい”の延長線上なので、これからガラッと脱却した作品でもう一度拝見してみないと判らないです。
対して華城季帆さん@細川ガラシャは「こんな歌の上手い人がヅカにも居たのね…」という驚きが。 演技は思いっきりヅカ娘役のセリフ回しでしたが、今回の役所には違和感なく好演。
澤瀉屋チームは…
段治郎さん@石田三成
改めて「ダンジロさん、声がイイな…」と。 色悪のような不気味さと、敵役のような憎らしい高笑い等、声の表情はすごく良かったです。 ですが…それとは対照的に表情に変化がナイ事にすごく違和感が~。 お能の舞のシーンでは、そのお詠いぶりに「おっ♪」と思うものの…踊り、硬っ!! 腰、高っ!! 歌舞伎やってください! 今年、まだ一度も歌舞伎座に立ってナイんですよ~。 心配でなりません…悲しい
笑也さん@細川忠興
歌舞伎で立役をされたとしても前髪だったり、つっころばし系だったり…で、こんなに“男”って感じの武将系は初めてかも? セリフまわしには何の違和感もナイものの、男性としての(和物の)所作にぎこちなさがあり、特に手が気になって気になって~。
笑野さん@細川ガラシャの侍女・楓
いくら笑野さんが華奢な女形さんだからといっても、やっぱり男性ですから、華城季帆さんと並ぶと「でかっ!ごつっ!」 せっかく女性が居るのに何故あえて笑野さんが侍女なんだよ~、と思っていたら、ドラキュラに噛まれて錯乱し化身する様に海老反りや鬼女(牙を付けてクワ~ッと口を開ける様)といった歌舞伎風味が取り入れられていた故でした。 なるほど…だけど~。
そしてミュージカルチーム?は…
吉野圭吾さん@高山右近
多分、吉野さんファンには激しく消化不良だったかと怒り ドラキュラとの対決で、申し訳程度にダンスちっくな演出が入ったりしてましたけど、吉野さんがキャスティングされた意味…といいますか、なぜ吉野さんだったか?という意味が全く見い出せませんでした。 貴城さんとダンスバトルのような見せ場がある訳でもなく、歌で聴かせるソロナンバーがある訳でもなく…残念。 和物に初チャレンジいう事と…珍しい舞台に出演したな、という…ひとつの経験という事で汗
藤本隆宏さん@島左近もまた同じく。
ANZAさん@マルゲリータは賛美歌ソブラノで聴かせ所ありでした。
ん~、それにしても稀にみる…不思議な作品でした、うんしょんぼり

ウエストサイド物語【四季劇場・秋】

舞台の【ウエストサイド物語】って世界中で、日本で…いろいろな興行元で上演されているでしょうけど、私は今回の劇団四季12年振りの再演が初めての観劇。 なんでも今年はブロードウェイの開幕から50年という節目の年だそうで。
まず映画にかなり忠実に舞台化されている事に驚きました! 映画…といっても、もちろんロードショーで観ている訳はなく、繰り返す映画館での再上映やTV放映で観ているのですが…。 この作品が公開されたのは1961年ですから、当時のファッションや“格好良さ”には、私が初めて観た時でさえ激しくズレがあったものの、レナード・バーンスタインの色褪せない印象的な音楽に衝撃を受けたのを覚えています(ウチの母親は公開当時大きな衝撃を受けたらしい) ミュージカル映画を語る上では外す事が出来ない、もはや古典?名作ですよね。 ですから、今回観劇時の幕間や終演時に「私【tonight】って聴いた事があるかも~」「最後、死んじゃうなんて思わなかった~」というような会話を耳にして…ビックリびっくり 【ロミオとジュリエット】をベースにしたミュージカル作品の金字塔!とも言うべきこの作品とこれらの名曲を知らないなんて~汗そんな事ってあるの~汗…と軽いショックを受けました冷や汗
舞台は「さすが劇団四季。これならチケット代金に見合った満足な舞台だわ」と思わされる歌もダンスも迫力の舞台でした。 なんと言っても生オケだし! 今月8日に開幕したばかりなので精鋭を揃えたいわゆる“開幕キャスト”続投中だった訳で納得なのですが、他の作品でも、ロングラン公演中でもこうあって欲しいものです。 観客は観劇するまでキャストが判らないまま博打観劇のリスクを科せられる劇団四季。 先日そのシステムをますます強化させた今、声を大にして言わせてもらいますよ!ホントに。 『チケット代金に見合うステージの提供を!』 第一、テープと生オケのステージが劇場が違っても同一料金ってのが絶対納得いかない!と今舞台で改めて憤りが~怒り
…と、劇団四季への不満は際限なく吐いてしまいそうなのでコレ迄にして…。
とにかく全ての曲が大好きなので、開演時の緞帳が上がるまでと、二幕が始まる前の生オケしばしの劇中メドレーは涙が出そうになりましたっ! 改めてイイ曲だなぁ~♪
演出は…トニーのキャラクターの見え方に新鮮さを感じました。 「ええっ?阿久津さん?!」と従来のトニー像からは予想も出来ないこのキャスティングに観る前はすごく驚いたのですが、この舞台ではトニーはシャーク団vsジェット団の抗争は“子供の遊び”と見なしている…「俺はもう子供は卒業したんだよ」的な、ちょっと達観していて、それでいて仲間は大切にする友情熱い青年、という設定(映画でも設定は元ジェット団リーダー(には見えない!)の非行少年→更正して真面目な勤労青年(イモ臭い兄ちゃんにしか~)ですが)、大人びた青年像が強く見えてきました。 阿久津さんでさえ(失礼!)爽やかに見えてくる~。
アニタとロザリア
俳優さんで気になった方は…
笠松はるさん@マリアは、イメージ通り! ピッタリ♪
樋口麻美さん@アニタ! これは…彼女の当たり役のひとつとなるのでは?というくらいのハマり役で好演。 樋口さんっていろいろ大役にキャスティングされる方ですが、好みの問題もありますが、どれも今ひとつピンとくるものがなく「上手いんだろうけど…」という印象の俳優さんでした。 が、アニタはイイ♪
松島勇気さん@リフ。 コーラスラインの時から比べると驚きの歌唱力UP! 西尾健治さん@アクションの血気盛んな喧嘩っ早いキャラはこれまたハマってて…でもって、この二人の水を得た魚のような踊りっぷりは観ていて気持ちが良かったです~♪ そして高倉恵美さん@グラジェラ。 綺麗! 抜群のスタイルと長い手足でダイナミックに踊る様についつい目が引き寄せられました。 セリフのある役って初めて拝見したような? 映画で、このグランジェラは青江三奈のような「一体何才なんだよ!」ってなオバちゃん髪型ですっごく印象に残っているキャラなのですが、髪型までも映画に忠実なのね~。
今観劇で唯一「これは…ちょっとなぁ~」だったのは第2幕第1場のソプラノ・ソロ。 コレだけの為に、わざわざキャスティングするんだからさぞや聴かせてもらえるのかと思いきや…残念汗
唯一のオリジナル演出の、これが本物!ぜひ四季の“本物の演出”でご覧ください…だそうですよ、ハイ。
青い旗キャスト

The Jets
リフ:松島勇気/トニー:阿久津陽一郎/アクション:西尾健治/A-ラブ:大塚道人/ベイビー・ジョーン:厂原時也/スノーボーイ:岩崎晋也/ビッグ・ディール:萩原隆匡/ディーゼル:朱涛/ジーター:青羽剛
グラジェラ:高倉恵美 /ヴェルマ:恒川愛/クラリス:駅田郁美/ポーリン:ソンインミ/ミニー:荒木舞/エニイ・ボディズ:磯津ひろみ
The Sharks
ベルナルド:加藤敬二/チノ:中村匠/ペペ:水原俊/インディオ:神谷凌/アンクシャス:徳永義満/ファノ:内御堂真/ニブルス:横山清崇
マリア:笠松はる/アニタ:樋口麻美/ロザリア:鈴木由佳乃/コンスェーロ:加藤久美子/テレシタ:泉春花/フランシスカ:大口朋子/エステラ:榊原央絵/マルガリータ:室井優
The Adults
ドック:立岡晃/シュランク:山口嘉三(劇団昴)/クラプキ:牧野公昭 /クラッド・ハンド:青羽剛
ソプラノ・ソロ:久保田彩佳

秀山祭九月大歌舞伎・夜の部【歌舞伎座】

阿古屋

久々に拝見! 岩永左衛門って体格がイイ方がするイメージがあったので、段四郎さんを楽しみにしていました。 なんだか可愛いし、コミカルさがより際立った感じもある上「芸で大きく見せるっていうのはこういう事なんだなぁ」と思わされた岩永左衛門でした。
吉右衛門さん@秩父庄司重忠は意外にも初役との事。 度量の深い名裁きが出来る人物である事を、その佇まいだけで感じられた好演。
玉三郎さん@阿古屋は、もうあえて何も言う事も…。 胡弓の音が一番好きです、私。

身替座禅

「まぁ~た、身替座禅かぁ…」とかなりウンザリな心持ちで観劇に臨んだんですが…面白かったです! 歌舞伎は役者を観る演劇と言いますが、なるほど言い得て妙!だなと実感。
思えば私、團十郎さん@山蔭右京は初めての拝見で(13年振りとの事)、あの朴訥した愛嬌がこうも可愛らしく右京さんにハマるんだ!とビックリ~。 色気が全くナイのも新鮮でしたが、とにかくカワイイんですもの~♪
染五郎さん@太郎冠者。 私、染五郎さんのこ~ゆ~、情けな~い感じのお役って大好きなんです。 さすがにウマイっ!

二條城の清正

“清正役者”と言われた初代吉右衛門の為に書き下ろされた作品だそうで、私、この度初めて観劇。 加藤清正所持の懐刀の写しを初代が譲り受けたものを今回の舞台でも使用する事も話題。
お互いの腹の底を探り合う駆け引きの芝居なので、物語を頭の中に入れて集中しておかないと…危うく置いて行かれそうになりましたっ汗
吉右衛門さん@加藤清正は豊臣秀吉への恩を忘れず、その一子・福助さん@秀頼に病の身ながら必死に仕えるダンディでカッコいい…ヴィジュアル系爺さん(失礼!) 豊臣家の取り潰しをもくろむ左團次さん@徳川家康からの二条城への誘いに同行し、主君のピンチを救う。 その堂々たる弁舌と対応の重厚さに清政の人柄が偲ばれました
ラスト、帰途の船上での親子のような情愛が通い合う清政と秀頼にホロリ。 夜が明けて、城が見えて来る感動的なラスト(城の書割りはショボイ汗)に余韻が残る…。気になる額
で、こんな感動的な船上のラストシーンなのに、一番気になったのは福助さん@秀頼のヅラ! あの前髪…っいうか、おデコ…っていうか~冷や汗 富士額じゃなくって完全な弧を描いた前髪で…アレってどうよ? 目が釘付けになってしまって困りましたよ、あたしゃ! ちょっと前に某アイドル歌手がデジカメの広告で舞妓さんに扮していた時のヅラに感じた違和感に…似ている~。

秀山祭九月大歌舞伎・昼の部【歌舞伎座】

初代吉右衛門さんの俳名の“秀山”からその名を取った【秀山祭】。 昨年の9月に続いて今年で二回目となりまして、当代吉右衛門さんの奮闘公演を楽しみに今年もお江戸上がりとなりました。
今回も都合上、昼夜1日通し観劇…だったのですが、つ、疲れた~汗 いつも以上にヘヴィでした~汗 …というのも1つ1つの演目の上演時間が長い上、集中力を要する狂言立てだったからかと。 出演役者は豪華!演目も見応え充分!…なのに、何故かしら地味な印象だった(私は!)のは、不思議~。

竜馬がゆく

ニヤリ歌江さん司馬遼太郎のベストセラー小説をベースに、坂本竜馬が勝海舟に出逢う迄を描いた新作歌舞伎。 染五郎さん@龍馬は3年前にテレビ時代劇でも演じていらっゃる上、新作という事で…昼の一演目ながら、ズシンと見応えのある「日本の夜明けが見えるぜよ!」というような爽やかでスケール感のある幕切れが印象的に好演。
染五郎さん@竜馬は、ヒョウヒョウとして人懐っこく真っすぐな夢見る若武者、という感じがとても良く出ていて、コミカルなやりとりでは客席の笑いを存分に取る楽しさ。 ただ、いつも思うのが、声をツブシやすい方のようで?今日もいささか聴き辛かったのが残念。
武士の格好をさせたら歌舞伎役者の中ではNo.1じゃないかしら?と個人的には思っている歌昇さん@桂小五郎、そして、最近次々と大きなお役で好演を重ねていらっしゃる歌六さん@勝海舟がどっしりと構えて、これから大きく動きだす日本の未来の船出を感じされる…またこの続きを観てみたい!と期待させる幕切れとなっていて面白かった♪
他には歌江さん@すぎの細かい演技にクスッと笑わされ、宗之助さん@池田寅之進の立役に驚く! 宗之助さん自体を久々に拝見したのですが、立役でも前髪と四天王、所化くらいしか拝見した事がなかったので、こんなタイプの若武者のハマりっぷりと、その声の良さに感動~! 種太郎くん@中平忠一郎の儚い感じも◎
特筆すべきはラストの舞台美術。 勝海舟の屋敷~桂浜~夜明け…というこの居所変わりは素晴らしかった~拍手

熊谷陣屋

残念ながら見所のひとつである、花道の出が見えるお席ではなかったのですが…ズッシリとドッシリと拝見。 印象としては吉右衛門さん@熊谷直実人情厚い人物像が滲み出ているような。 表情の下に感情をグッと押さえてポーカーフェイス…な直実を演じる方が多いと思うのですが、吉右衛門さん@直実は、わりと気持ちが表情に出ていて解り易い。 陣谷に押しかけてきた福助さん@相模に対する反応と対応とか、我が子を犠牲にしてしまった悲しみとか。 僧形となっての花道の引込み「十六年はひと昔…。夢だ…」とその場で泣き伏してしまいそうな表情と絞り出す声で、胸が締めつけられました~悲しい
福助さん@相模は、今まで拝見したどの相模よりもかなり積極的な…この当時の武将の奥方としてはかなりアクティブな印象を受けました。

二人汐汲

私、実は【汐汲】って観たことナイんです~。 写真などでは頻繁に目にする機会があるのに、何故だか…で、今回を通常版と比較は出来ないのですが、目に美しく楽しめる舞踏ですね。
今回は玉三郎さん@松風福助さん@村雨の海女姉妹。 どちらも腰ミノと塩汲み桶がなかったら白拍子のような美しさで、とても海女には~汗
この美人姉妹に愛された在原行平って一体どんなに魅力的プレイボーイだったんだろう?と想像しながら観るのが楽しかったです♪

レ・ミゼラブル(橋本×禅)=2回目その2【博多座】

レ・ミゼラブル(橋本×禅)=2回目その1の、橋本さとしさん@バルジャン単独考察に続きまして…
石川禅さん@ジャベール単独考察。
禅さんの熱演は…ヤリ過ぎ!くどい!となる危険性を大いにはらんでいますが(これでも禅ファンです)、本日はクドさ全開!の大熱演でありました。 全ての動きや表情に擬音語や擬態語を入れたくなるのは前観劇時もそうでしたが、今日は歌っていない所まで、勝手にセリフを付けたくなってしまう有様。 いやいや…それはそれは大熱演で、私は超感動!→タダ泣き→脱力…だったんですけどネ♪
以下、恐ろしいまでの長文はファンモード全開の痛い考察となっていますので何卒ご了承ください汗
まず、登場時はズンズンズンズン… キビキビッ!キビキビッ!
♪ぃやぁ~っを ここへ呼べぇ~ 24653~
♪ちぃ~~っがぁぁぁうっ!!!
重低音で大迫力。 有無を言わせない重圧感と威厳に凄みが。
10年後のパリ登場時でもズンズンズンズン… ピシッビシッビシッ!
♪むぁ~たぁ~もぉ~~~っ 喧嘩かっ!
もう毎度の事ながらウンザリさせられるぜ!感ありあり。 目を細めた後にカッと見開く形相は怒りブチ切れ!で恐い~。
♪ぃやぁ~めぇ~~ろぉ~ 泣ぁ~きぃ~ごぉ~と~はぁ  言い訳ぇ
すぅ~るぅ~(←ココ迄ささやき・爆発→)ぬぅなぁ~~~っ!!!
最初は同情的な表情も一瞬浮かべるのですが、切々と女々しく訴えるファンティーヌに次第に怒りがこみ上げてくる変化が。 これは自分は不幸な生い立ちでありながらソレをバネにのし上がってきた自信に裏付けされる、泣き言への嫌悪感なのでしょうか? 貧困に対する憎しみでしょうか? そういうお涙頂戴話は大嫌いなんだよ!という嫌悪感が漲ってます。
♪あいつがぁ ジャン・バル ジャンっ!!!
頭から湯気、出てます。 その怒りの迫力に、自分たちにはどんなお咎めがあるのだろうとビクビクの乞食たちの様子に、ジャベールがどのくらい恐れられている存在かよく解る。
♪おぉ~よぉ~がぁ~せ~て おいて~(ささやくように)
捕まえてやるぅぅ~~~~っ!!!(一気に怒りが沸点に達して声が上ずる)
ごぅぉ~~~~っみを 始末しろっっ! 仕事に戻れっ!

徳井テナルディエの首根っこ捕まえてブッ飛ばしながら吠える迫力が凄い…。 まんまとバルジャンを取り逃がしてしまった怒りと悔しさ爆発!
ココからの【Stars】は圧巻☆ 他ジャベールでは歌の上手さに聞き惚れるソロナンバーというだけで、ジャベールの心情を汲み取るところまで気が回った事がなかったのですが…今回、禅ジャベールでそれが可能に!(これは贔屓目がかなり入っているはず~汗
空を見上げ、そして星に語りかける。目を細めて、凝らして…そして♪静かな夜を見張る~ 刑事たちだ~♪…と、ココで笑みを浮かべるのは衝撃的でした! きっと、彼は暗く不幸な生い立ちの幼少時代から辛い事があるとこのように天を見上げて語りかけていたんだろう。 決して明るくまぶしいお天道さまにではなく、夜の闇の星に対して。 その星の瞬きを自分の励ましに、心許せる友人のような存在なんだろう。 だから“刑事たちだ”という所で微笑むのは、自分にはこんなに沢山の仲間が居るんだ!という安堵の微笑みなのでは?…と思わされました。
ジャベールという人物の背景を表現する大変重要なナンバーなんですね。 “ジャベール=敵役”的な位置付けですが、このStarsで彼にも「信じる道を突き進め~!」とエールを送りたくなっちゃいます。

法廷では、市長の姿を見つけて「あ、市長、本日は傍聴にわざわざお越しで」と一礼。 市長が被告人を抱き起こすと「ん?市長、どうされました?」と軽く慌てて、正体を明かしたバルジャンに「はっ?えっ? えぇぇぇぇぇ~~~っ?!」と焼き印とバルジャン顔を交互に見て「お前がバルジャンだったのかぁ~~~っ?!」と暗転まで驚きの表情で固まる。 この場の脳内のアテレコは実に楽しい♪
病室での対決でのバルジャンとの二重奏は、大抵ならバルジャンの方が上層でよく聴き取れるのですが、本日はどちらもクリアに耳に届く感じ。 …なので ♪生まれた事が 罪そのものさ 牢獄でジャベール 俺は生まれた お前と同じ ウジ虫なのだぁ~♪という、女囚の子として生まれたジャベールの生い立ちと、何故彼がここまで正義を振りかざして貧困やそれ故の犯罪に憎悪をたぎらせ徹底的に排除するのか?という事が、よく解る重要な歌詞だと思うのです。 なので、よりジャベールに人間的な部分を強く感じる事が出来、これ以降ジャベールにも気持ちを寄せて観る事が出来ました。
一幕ラスト【One Day More】の登場時には何故だかふてくされている印象。 潜入捜査という職務ゆえだが、結局無駄な抵抗に終わる子供の遊びに付き合わさせる事にうんざりしているような感じで…これは新しい解釈に思えました! これって二幕で正体がバレた時に学生達に♪子供の遊び 学生の裁判? 笑わせるぜっ!♪と嘲る場面に自然と繋がって納得!
その砦の中でガブローシュに正体をあばかれる時のリアクション。
ピタッ ギクッ やば~ ソロリソロリ… うおぉぉぉ~っ! んぐぐぐ~っ!
と、怒濤のリアクション大王ぶりは…観てて楽しい♪
バルジャンの姿を見つけた時も更にヒートアップ!
ん? んんっ? なっ?!  なにぃ~~~~っ! 何故ココに居るんだぁ~~っ!
と表情激変し、バルジャンに目が釘付けとなります。
♪この日を待ってたなっ?(ささやくように) 復讐しろっ!
♪やぁ~るのは ナイフかぁ~(鼻で笑いながら)

観念したような投げやりな感じで、ナイフを目にしてフフンと鼻で嘲り笑いながら言い放ち、しかし目はまだバルジャンに挑んでいる感じ。
ロープを切られて(えっ?! なんで?なんで?
♪わからんぞっ?!
と困惑の表情から、また鬼警部の表情に戻って強気モードに切り替わり、自らの顔をナイフに近づけて「おらおら~殺すんだったら早く殺せよ!」と迫る。 ここから眼×眼の対決! 眼から炎ゴゴゴゴゴ~ッ!

♪取引じゃない 君の職務だろ~(→ハッ!)
恨みなどナイぞ~(→ガガガガ~~~~~~ン!)

ここから「お前なんて事言うんだよぉ~っ!」ワナワナ~と震え始めます。
バルジャンから逃げるように促されて「うわぁ~ん、お母ちゃんに言いつけちゃる~っ!」って感じで走り去るのは禅ジャベ仕様。 悠然と去って行くジャベールが殆どの中、これは激しく新鮮! この時点で彼の心の支柱にヒビが入って、崩壊が始まったんだろうな…と思われ、自殺への助走開始!です。 砦が落ちた後、死体の山から必死にバルジャンの姿を探し、途方に暮れる様に哀れさが感じられたのは初めてかも。
下水道での最後の対決は、精一杯自分を立て直して立ちはだかるものの、眼がイッている。 いっぱいいっぱいで虚勢を張っているのに、グラついている自分の心を見透すかすように、慈悲を求めるバルジャンの訴えと、その眼力に対して思わず眼をそらしてしまう。 これで彼は完敗した…。
♪あいつはどんな悪魔だぁ~っ 俺を捕らえて また逃がすとは~
もう声がうわずって、しかも涙声で、顔が真っ赤で完全に血がのぼってます! 混乱をきたしてやたらと歩き周り出し、見開いた眼は泳ぎながらも瞬きをせず…ギラギラ。 完全にイッちゃってます! この迫力は…凄い。
ジャベール尋常じゃない取り乱しっぷりに、息を呑んでいると…ガラリと落ち着きを取り戻した橋の上に一人佇む姿。 きっと彼はこの場所に辿りつくまでに、街のあちこちを彷徨ったんだろうなぁ…と思わされる、時間の流れを感じさせるのはお見事!
自分の心の拠り所の星を見上げ、心情を吐露していると…次第にその友でさえ 彼を哀れんでいるように見えてきたのか?一気にまた錯乱状態に陥ってしまう。
♪星さえ~っ 凍ぉぉぉるぅぅ~~~っ♪
涙目で見上げながら、うわずった声ながらのこの一節に「星よ、君たちまで僕の事を嘲り笑っているのか?もう俺に瞬いて応えてくれないのか?」というような大きな絶望感が! ココでは狂ったように笑うジャベールがデフォルトかと思うのですが、禅ジャベは笑いません。 【Stars】で、あんなに楽しそうに星達に語りかけていたのに、ここでは心の友というべき星達にさえも拒絶されたようでもあり…この前段の繋がりに胸がひどく痛む。
♪捉えようもなく~ 空しい世界ぃ~~~っ(声が最高調にうわずっていく)
砦の解放~自殺まで、ここまで息を呑んで見入ったのは初めて。 彼の心の乱れる様に加速が付く様子が手に取るように解る納得の自殺でした。 ジャベールが渦に飲み込まれて消えて行った後に「はぁ~っ…」と大きくひと呼吸。 手もず~っと硬く握りしめていましたので、疲労感を感じるほどの迫力に呑まれてしましました~。
いや~、チェックポイント多い上に熱風吹き付ける大熱演で、観劇後はグッタリと疲労感さえ感じる禅ジャベール。 MY BESTジャベールになったのは確かだけれど、だからこそ改めて他ジャベールを拝見してみたくなりました♪
バルジャン対決では…今期、博多座公演では残念ながら今井バルジャンとの組み合わせがなく観劇叶いませんでしたが、私は橋本バルジャンとの対決が一番好きでした☆
※【橋本×禅=2回目】の“その1”、橋本さとしさん@バルジャンのみ語り、に戻る