五月大歌舞伎・昼の部【歌舞伎座】

“歌舞伎座さよなら公演”が決まった時は「よぉ~し!コレは頑張って通うゾ!」という心づもりで懐具合を算段しながら待機していましたが…いざフタを開けてみると、あまりにも王道な演目で、鉄板な配役で…遠征の触手が動く公演が皆無冷や汗 役者の皆さんも“最後の歌舞伎座に出たい”からなのか、出演人数が多いため、例えご贔屓さんが出演されていたとしても「コレだけの為には遠征出来ないよなぁ~」なチョイ役だったりで…遠征心が動かない。
…とは言え『5月は演舞場も歌舞伎があってるし♪』って事でこの度は遠征。 しか~し! よ~く見てみると“團菊”が揃う演目はなかった…しまった汗汗汗

海老蔵さん@鎌倉権五郎は、歌舞伎座での海老蔵襲名公演以来、実に5年振り。 その時に感じた可愛らしさ…は、すでになく、他を威圧するオーラが放出~。 セリフを言う自分に酔っているような抑揚の付け方は相変わらず何を言っているのかさっぱり聴き取れナイけれど汗見た目の美しさ“ザ・歌舞伎”な錦絵のようなヴィジュアルには見とれます。 “荒事の成田屋、ここにあり~”な存在感抜群の様式美はさすが
翫雀さん@鹿島入道震斎がラブリ~♪ 亀三郎さん@埴生五郎、やっぱ声がイイ♪

寿猩々

富十郎さん@猩々vs魁春さん@酒売り。 富十郎さん=キヒキビ舞踏、ってな印象が強い私にとって千鳥足でほろほろと陽気に踊る様が新鮮でした☆

手習子

芝翫さん@娘お駒。 う~ん…やっぱりいくら人間国宝の芸をもってしても“可憐な少女”というのには厳しいなぁ…と汗 いろは歌に合わせ華やいだ雰囲気は感じるものの…汗

盲長屋梅加賀鳶

菊五郎さん@竹垣道玄はビックリな事に初役との事。 強欲で、したたかで、ちょっぴりユーモラスな雰囲気に加えて、まとわりつくような…ネットリとした感じを受けたのは私だけ? 一度噛み付いたら離さない~みたいな。 時蔵さん@お兼って珍しくないですか? 梅枝くん@お朝はイイ娘ぶり♪ 梅玉さん@日蔭町の松蔵團蔵さん@御神輿弥太郎ってこのお二人は抜群に鳶姿が似合うなぁ~と個人的に思っています(武士姿のピカイチは歌昇さん)

戻駕色相肩

この舞踏は初めて観ました(多分)
松緑さん@浪花の次郎作菊之助さん@吾妻の与四郎さんの駕舁きコンビが、尾上右近くん@禿のたよりと一緒に廓自慢☆ …って今ひとつ印象に残っておらず…汗

博多座陽春特別公演【博多座】

直美さんは…もう何度目の博多座でしょうか? “春の博多座は藤山直美”が定番化しつつあったここ数年でしたが、昨年は残念ながら…。 で、今年は前川清さんと強力タッグを組んでの登板に『面白くナイ訳がナイっ!!』と公演が発表になってからすっごく楽しみにしていました。 私“初・生・清(←氷川ぢゃナイよ)”です♪
直美さんと清さん、二人の出会いは2006年3月にこの福岡・中洲のスナックでバッタリ☆、とのこと。  福岡がとりもつご縁となった共演は、昨年11月の大阪松竹座に続いて2度目だそうで、 クール・ファイブも芝居と歌謡ショーに花を添え“春らしい華やいだ舞台”といった感じ。 実際、芝居もショーも客席はドッカン!ドッカン!と大ウケ。 歌謡ショーでこんなに笑ったのは初めて。 清、やるなぁ~グッド

三次とお玉の恋物語

この博多座公演のために書き下ろされるお芝居だそうで、大阪の芝居小屋を舞台に狐の娘と人間の男の恋模様を描いた“狐の恩返し”って感じの笑いあり涙ありの喜劇。
前川清さん@三次郎は真面目に芸に取り組むものの、今ひとつパッとしない役者。 大成を願い稲荷神社に百日参りをしていたある夜一匹の白狐を助け、その翌日に「三次郎の贔屓だ!」と名乗る藤山直美さん@玉枝という女が尋ねてくる。 三次郎は玉枝のアドバイスにより役者としての人気と実力がメキメキと~、そして二人はお互いに想いを寄せるようになるのだが…という物語。

歌舞伎好きとしては【義経千本桜】が通しで上演されている舞台裏が観れたり、あの早見藤太の三枚目の拵えは実は玉枝のアイデアによるものだった!ってのが激しくツボでした。
清さんのとぼけた味わいが、三次郎のキャラクターにばっちりハマり、しっかり者の女房風情の懐の深いおおらかな女性を直美さんが達者な演技でガッチリと受け止め、笑わせるだけではなく要所要所でしっかりとしんみり~と観客の心をグッと掴むのはさすが!
クール・ファイブも“招き猫楽団(?!)”として芝居に登場したのには笑えたものの、それなりの時間を割く必要があったのか?間延びした印象で残念汗
でもって、またしてもW小山さんの活躍が少なかったのも残念。 客演が大物や大人数だとレギュラー陣の出番が少なくなるのは仕方がナイのかなぁ~汗

清と直美はなんばしよっと~二人のオンステージ~

直美さんは舞踏で数曲参加。 直立不動で歌う(“一坪歌手”と言われるらしい)清さんの後ろで艶やかに舞う姿に魅せられ、フィナーレは二人のデュエット曲【Love Songが聴こえない】を手をつないで熱唱。 お芝居では直美さんが前川さんを見守っていましたが、ショーでは立場が逆転していたのが印象的。 直美さん、声量もあるし、歌ウマイ~♪
清さんは飄々したトークで客席を湧かせながらクール・ファイブとともにそのヒット曲を次々と歌い上げ、改めて「歌、ホント上手いなぁ~」と聞き惚れました。 歌う際に動きが少ないから、少しでも見た目にも楽しめれば…と次々に衣装を替えるサービスぶりは何故だか笑いを誘う。 特に…1曲丸々右向きで歌う→1曲丸々左向きで歌う→正面を向くと右半身と左半身が違う色だった~!というギンギラ☆スーツには爆笑(歌っていた歌はかなり名曲だったかと~汗
失礼ながら私、 クール・ファイブのメンバーを全く存じあげなかったのですが…小林正樹さんがかなり興奮して暴走気味だったのが怖かった~冷や汗(アンチェインド・メロディーを熱唱)
いや~、歌謡ショーでこんなに笑うのって…あり?
ぜひ是非またこのコンビで博多座に! またのご出演楽しみにお待ちしております♪

ミス・サイゴン【博多座】

『博多座は10年間この作品を待っていた!!』というキャッチコピーのもと、“博多座開場10周年第1弾!初の3ヶ月ロングラン公演”を敢行。 博多座を造る際にはこの演目の上演を想定して建てられたそうですし、帝劇でしか上演が出来ないといわれた演目が初めて他の劇場へ…という事で博多座サイドは気合い入りまくり!
おかげで年末恒例だった【博多座文楽公演】は巨大セット仕込みの為に中止。 恒例の【二月博多座歌舞伎】はナシ。 伝芸ファンにとっては怒りと悲しみと「つまんなぁ~い!」3ヶ月だった方も少なくナイのでは(特に私はサイゴンが苦手演目なもんで怒りがフツフツと~)
結局、私は開幕前に手配した“月イチ観劇チケット”は増える事もなく、計3回の観劇に終わりました(1月の観劇時「あと2枚は手放そうかな?」と思ったくらい、やっぱり苦手演目な事を再認識)
キャストは極力被らないように…で考えて、それでも“月イチ観劇”で計3回。
感想は…う~ん…割愛汗

劇場 キャスト
晴れ1月12日
エンジニア:筧利夫/キム:新妻聖子/クリス:原田優一/ジョン:坂本健児/エレン:シルビア・グラブ/トゥイ:神田恭平/ジジ:池谷祐子/タム:三戸崇雅/アンサンブル:青組

晴れ2月20日
エンジニア:橋本さとし/キム:知念里奈/クリス:照井裕隆/ジョン:岡幸二郎/エレン:RiRiKA/トゥイ:泉見洋平/ジジ:管谷真里恵/タム:三戸崇雅/アンサンブル:赤組

晴れ3月15日・千穐楽
エンジニア:市村正親/キム:ソニン/クリス:藤岡正明/ジョン:岸祐二/エレン:鈴木ほのか/トゥイ:泉見洋平/ジジ:管谷真里恵/タム:渡美唯/アンサンブル:青組

MUSICAL NIGHT Vol.2『ミス・サイゴン』の魅力に迫る!【博多座】

昨年【エリザベート】公演時に開催されたVol.1に続いての開催。
司会は【KABUKI NIGHT】と同じく地元タレント・中島浩二で、KABUKI…の時よりリラックスしている印象(歌舞伎はやっぱ構えちゃうのか?)。 しかし、今回ばかりは進行を橋本さとしさん&岡幸二郎さんにお任せしちゃった方が盛り上がったような気が~汗 司会者もゲストもお互いに遠慮していて、せっかく面白トークが期待出来たメンバーだったのに…今ひとつ“はっちゃけ度”が足りず残念な印象。
しかしながら自称・サイゴンマニアの岡さんが披露するマニアックな小ネタに「ほぉ~♪
一階客席のみ使用していたようで、そこはほぼ埋まる客入りで8割はすでに今博多座公演を観劇済みの人、残りの2割は未観劇。 トーク中、やたらとその2割の方々を名指しで作品をアピールしていたのに笑えました♪
ラーメン藤岡
舞台はサイゴン陥落のパレード行進の場…とイイますか、両袖+正面奥に白いシャーリング幕が下ろされている状態で、上手より岡幸二郎さん浅野実奈子さん藤岡正明さん橋本さとしさんの並び。 舞台衣装での登壇と思っていた下手2人はGパン+トレーナー+スニーカーという普段着での登場に、客席から失笑が~。 いやいやお二人とも“らしく”って良かったデス♪ 舞台って、素の状態で見ると思っていたより傾斜が大きくて驚きました!
式次第は順番があやふやですが…

スクリーンを使っての人物相関図の説明~舞台写真数点を使っての見所シーンの説明帝劇と博多座の違い(小屋と観客)~自分の役を漢字一文字に例えると(ジョン=優、エレン=温、クリス=闇、エンジニア=自)~他の役をするとしたら(岡=ジジ、浅野=エンジニア、藤岡=キム、橋本=酒場のダンサー姉ちゃん)~博多での過ごし方+オフショットの一枚披露質問コーナープレゼントクイズ大会…と約1時間半程度のイベントでした。
博多でのオフショットを披露した藤岡くんは“ラーメンを食べている写真”だったのですが、この一枚に対して「一口に対しての麺の量が多すぎる!味わってないだろ!」「まず最初はスープを一口飲んでから麺に行くのが作法だ!チャーシューの動きで飲んでナイ事が判る」「眼鏡が曇ってる!まず視覚でもラーメンを味あわないと」と岡さんと司会者から矢継ぎにダメ出しで大笑い♪
全体を通して印象深かったのは二幕冒頭のジョン【ブイドイ】の場に対して「後ろのスクリーンには“本物”が映っているのに対して、その前に“嘘”…というか演技をするという事がものすごく難しい」というお話。 リアルを背後に映写しながら、その前で“演技”という嘘の世界と人物を演じる事を、観客に対して違和感を抱かせない…という事が難しいとの事でした。
同じような手法で、劇団四季【夢から醒めた夢】という作品中に、戦争をはじめとする世界中の悲しい出来事に苦しむ子供の姿をスクリーンに映写し、その惨状を演者が歌う…というシーンがあるのですが、あれは…あまりにも空々しくて、いつも目を伏せてしまう苦手シーンなんです、私。 なので同じ用な手法での【ブイドイ】に、嫌悪感を抱く事なく見入ってしまった自分に驚きを感じていたのですが、お話を聴いて「なるほど、納得~」でした。
日本では帝国劇場と博多座でしか上演する事が出来ない巨大セットの今作品。 歌謡ショーでの巨大神輿が目玉☆北島三郎公演でさえトラック12台分に対して、なんと!28台分との事で「そりゃ~、年末の文楽公演を中止してセットを組まなきゃ間に合わないわなぁ」と、驚きながらも、またしても恨みがましく思ってしまいました汗 公演がナイ時はオーストラリアにある倉庫に丸ごと保管しているとは…どこまでもスケールがでっかい作品です!

寿初春大歌舞伎・昼の部【松竹座】

鳥居前

なんだか…何故だかここ最近、頻繁に観ている印象の鳥居前。
伏見稲荷の鳥居の赤が凄く鮮やかで、正月公演の華やぎにピッタリ☆
孝太郎さん@静御前は…というか、孝太郎さんの赤姫って久々に拝見した印象が。 なんか以前より色気が増しているようで、赤姫にしてはムンムンしているような気がしたのは私だけでしょうか?汗
狐翫雀
薪車さん@武蔵坊弁慶、ヒゲ濃過ぎます~!青々です~! 泣きに愛嬌が今ひとつ足りず、客席に笑いが起こらず残念。
翫雀さん@佐藤忠信実は源九郎狐は、意外や意外に初役との事。 やっぱりこの演目では個人的には翫雀さんは“king of 藤太”と思ってますから…そう言われれば、初めて観るわ、こりゃ♪
登場時から「わ♪コロコロ、丸々~」「狐には見えな~い」と、失礼な楽しみっぷりで拝見。
幕外、飛び六法の引っ込み…に、ファンとしてはちょっとウルッと来るものがありました

良弁杉由来

「坊主、少なっ汗」…な二月堂でした。
我當さん@良弁大僧正×秀太郎さん@渚の方の兄弟共演。 今公演は…せっかく松嶋屋三兄弟が揃ってのご出演なのに、同じ場に居並ぶ演目がナイのはちと残念
秀太郎さんの渚の方は、細~いヴィジュアルがそれまでの苦労がにじんでいるようで、ラスト輿に乗せられての笑みは「ホントに良かったね~」と心を寄せて拝見。

吉田屋

扇雀さん@伊左衛門×藤十郎さん@夕霧…という、こってり~な親子吉田屋でした。
座敷に通された後「若旦那様には勘当を受け…」と言われとぼけた顔で伊左衛門火鉢にあたる表情がナイスです。
夕霧を探しまわって次々と開け放つ襖絵が南天に雪~鶴~紅白梅…とおめでたい絵柄で、室内に飾られている餅花もお正月公演らしさ満点。
竹三郎さん@吉田屋女房おきさ、イイですね、佇まいが素敵です♪
居所替わりでスライドで引っ込む門松に多いに客席が湧いて笑えました~。

お祭り

いわゆるオーソドックスな【お祭り】は久々に観たかも?
仁左衛門さん@鳶頭×孝太郎さん@芸者の親子共演。
福笹、獅子舞、ひょっとこ×おかめ…など小道具にもお正月気分で華やかなれど~、立廻りが…みなさんちょっとお疲れの印象でした。