寿初春大歌舞伎・夜の部【松竹座】

通し狂言 霊験亀山鉾

国立劇場での観劇の興奮からはや7年も経っていたとは~!という驚きが大きかったです。 もう、そんなに経ったの?! 私の年齢も+7才って事よね…間違いなく。 国立劇場での公演としては異例の大人気・大盛り上がりだったと聞く前公演でしたので、再演は早いと思っていましたが…7年ですかぁ。 そして関西では77年振り!だそうで、まさに幻の復活狂言!
棺桶からバーン
国立劇場って舞台写真が翌月の筋書きにチラりと入るだけだから、前公演時の写真は全く手元になく、とにかく火にかけられた棺桶から仁左衛門さんがバーンと登場したヴィジュアルインパクトに全部持っていかれて、他があまり印象に残っていないのが正直なところ汗 今回は曖昧な記憶を辿りながら「あ、そうやった、そうやった」という感じで観劇。
翫雀さん@掛塚官兵衛の愛嬌ある悪者ぶりが楽しい♪ 馴染みの扇雀さん@芸者おつまにデレデレして、他者とムキになって取り合う様など“小物のワルだなぁ”って感じがありありで笑えます。 お尋ね者の藤田水右衛門を自分と名乗ってみせ「水右衛門は鼻筋通って、目が鋭く、苦みばしったイイ男…いや、違うな!」飛脚に一蹴される様に爆笑。

扇雀さん@芸者おつまが、源之丞に本心を書状にしたためるシーンは片岡十二集のひとつ【鰻谷】のパロディ…との事ですが、私は元ネタを知らずに残念汗 天紅の書状をクルクルと広げながらサラサラと手紙を書くおつま…扇雀さん、スゴイ!達筆! 本当にサラサラと書いていらっしゃいました(扇雀さんは本当に字がお上手ですよね) “襟元の中=金のある男に従うこと”という意味は初めて知りました。
秀太郎さん@丹波屋おりき、衣紋抜き過ぎ~、前合わせ開けすぎ~汗
安倍川返り討ちの場では、人足が掘った穴を「よしよし♪」確認する翫雀さん@掛塚官兵衛に「絶対この人、自らも落ちるな」と思っていたら…期待通り! しかも川にザブ~ンのおまけ付き♪で、手を叩いて喜んじゃいました、私
愛之助さん、源之丞~袖介の早替わりは見事!ダダッと花道を走り出る勢いもあってこれは天晴れな早さで拍手~♪
水右衛門が背後から忍んでくる際には「志村ぁ後ろ!うしろ~!状態で、だんまりが始まり、段四郎さん@仏作介が初登場。 私、ご出演を知らなかったのでビックリ! 段四郎さんが大阪のお正月公演にご出演って珍しいですよね?
お決まりのじゃかになると上手の川には、本物のじゃかごが二つ。 実際のものはあんな形をしていたとは~、と初めて知った次第。
【焼き場の場】は…前回の国立公演でも本水を使った雨でしたっけ? 下にシートを敷いてあるだけでジャンジャン結構な量が降ってくるので驚きました。 油地獄のように、濡れた状態で陰惨な殺し場ってなんだか艶かしいものがあるような…何か色っぽい感じがするのが不思議でした。
火にかけられた棺桶の火がいよいよ強く『ファイヤ~!』となった時、客席が「うぉ~っ!!!!!」とボルテージが上がったのが面白かった♪ 棺桶をヴァカッ☆と砕き、中から水右衛門出てきてトドメをさしながら殺した人数を指折り数えるのはなんとも残忍で…でもカッコイイ。 これぞ色悪!
今公演で驚いたのは中幕【春寿松萬歳】。
おどろおどろしい演目にあって、箸休め的な華やかな一幕でしたが…必要でしたか? せっかくの緊張感が途切れてしまったような、残念感が私はあったのですが~汗 ご覧になった方、どのように思われましたか?
しかし、藤十郎さん@萬歳の艶やかさと若々しさには改めて驚愕し目を見張りました。 “常若(とこわか)=永遠に若々しい”という意味だそうで“一生青春”が座右の銘の藤十郎さんにふさわしい一幕ではありました。
歌舞伎の演目では『○○○の生き血を飲むと、病が平癒する』というのがよく出てくるけれど、一体どのような根拠があって、そうすれば治るって事になってるんでしょ? 「んな、バカな!」「もし命がけで生き血を提供して『あら?効かない~』だったらど死に損じゃん?!」と劇ツッコミしちゃいます汗
吉太朗くん@源次郎は、見た目は間違いなくお子様なんだけど、なんだか顔だけ大人みたいでちょっと不思議な違和感。 セリフ回しも通常の子役とはちょっと違うトーンの印象を受けました。 “手習い”はちゃんとお手本をめくってはいるものの、全く見ずに黙々と書いている所がご愛嬌♪
孝太郎さん@お松に「祝言♪祝言♪ もったいないやら、嬉しいやら~☆」とめっちゃ喜ばせておいてバーンと突き落とすのがなんとも残忍すぎるぜよ秀太郎さん@貞林尼! 「これがそなたの夫」と位牌を出すなんて…どんだけ残酷。 自らを刺してから息絶えるまでが長い、長過ぎる~。 だって肝臓刺して血を絞りだしてんだよ! 孫の足の平癒を見届けるまで…なんて凄い生命力の老婆だよ。
町並みの道具幕綺麗ですね~♪ 大詰めは傘鉾が出てきて、果たし合いの背後でその鉾が賑々しく行く買う様は【夏祭浪速鑑】の、だんじりと絡むラストに似ているような気がしました。
“仇討ち(敵討ち)”というのは目下が目上の者に対して許されたけど(ex=弟が兄の敵討ち)、その逆はNGで法律で裁くしかナイ…というのは今回初めて知りました。
こ~んなに面白い演目なのに、なんで上演機会が少ないんでしょうか?
面白かった~♪

愛と青春の宝塚【福岡サンパレス】

2002年にフジテレビ系列にて2夜連続放映され、好評だったドラマの完全舞台化(私は末見)。 それをかつてホンモノのヅカトップだった方々がWキャストで演じる…という豪華なキャスティングの公演。
リュウタンさん
52年の歴史に幕を下ろした新宿コマ劇場で上演された最後の1ヶ月公演作品となった東京公演を終えた後、全国ツアーへ…というその福岡公演。 3公演あったのですが、私は博多座でトップお披露目をしたかと思えばアッ!という間に二人して退団してしまった“貴城けい×紫城るい”、この元宙組コンビが観たかったので(博多座【コパカバーナ】→東京宝塚劇場【維新回天・竜馬伝!】を観た)1日目の夜の部へ。
気が付けば私、紫吹淳さんは【ドラキュラ伝説】で、大鳥れいさんに至っては【松平健特別公演】【劇団四季への客演】等で数回…って事で、主演4人はすでに拝見した事がある方ばかりでした。 まるで私、めちゃめちゃヅカ好きな人みたいやないか~い汗
宝塚歌劇団に全く興味がナイので、一般常識的な知識しか持ち合わせていなかったのですが、戦時中は満州などへの慰問活動をしていた…等の、劇団の歴史はもちろん、当時の世相~人間関係~恋愛~夢など垣間みれた作品でした。

清く、正しく、美しく!…傷付き悩みながら、でも夢に向かって強く前進していくジェンヌ達の傍観者的(ストーリーテラー的)な人物として佐藤アツヒロさん@オサムというキャラクターの存在が面白い。 これって手塚治虫さんがモデルですよね? カテコまで元・光GENJIの佐藤さんとは全く気が付いてなかった私汗 とにかく、ジェンヌさんしか気に留めてなかったものだから、石井一孝さん@影山航の登場に「あら?カズさん…?」 元・劇団四季の小林アトムさん谷本充弘さんを発見して「おっ、こんな所で♪」という…男性キャストに対して、非常に失礼な観劇態度で臨んでいた私汗
お話の舞台が戦争前~戦時中~戦後…なので仕方がナイのですが、きらびやかなスターさん達勢揃い☆なのに衣装の大半がモンペ。 せっかくの美人さん顔にも煤メイクで汚しているので、ヴィジュアル的には非常に残念~、ってストーリー的には何も間違ってナイんですけど、ね汗 でも『元トップ大集合!』なんで、キラキラした艶やかさを期待しちゃうじゃナイですかっ!
紫吹淳さん@嶺野白雪(リュータン)は…私、観劇中ず~っと“牛タン”かと思ってました。 「ジェンヌなのになんて夢のないニックネームなんだ?!」→「でも“すき焼き”好きだからかぁ」と冷や汗 歌はやっぱり不安定なものの、苺を持って登場した高飛車ゴージャス女っぷりはすっごく華があって紫吹さんにピッタリだな、と。 こ~ゆ~、ちょっと気が強い…けど可愛い女性ってハマりますね。 欲を言えば、あの生身の人間離れした抜群のスタイルを堪能出来るお衣装で拝みたかったです…。
貴城けいさん@橘伊吹(タッチー)は、耳障りなほどだった強烈ビブラートが緩和されていて「あ、やっぱり歌うまい」と再認識。 芝居は…ん~、可もなく不可もなく。 けど、紫城るいさん@紅花ほのか(ベニ)との並びには、なんだかジ~ンと感慨深いものが、にわかファンながらもありました。 で、その紫城さんは、一歩間違えばかなりうっとおしい難しいお役かと思うのですが、ぎりぎりキュート、で収まっていたかと
大鳥れいさん@星風鈴子(トモ)は、4人の並びでは何故だか凄~くお姉さんに見えた違和感を覚えたのですが、しかしトモの芝居はとっても良かったです。 改めて歌も芝居もお上手な上「美人さんやなぁ~」と見とれてしまいました。 大鳥さん、映像の方のお仕事はされないのでしょうか?
ラストはカーテンコールを兼ねた10分程度のダンスレビューショーのおまけつき♪
ガシガシと華やかに踊る4トップに満足、満足☆

劇場 キャスト
嶺野白雪(リュータン):紫吹淳/橘伊吹(タッチー):貴城けい/星風鈴子(トモ):大鳥れい/紅花ほのか(ベニ):紫城るい

ラ★カージュ・オ・フォール【北九州芸術劇場】

今公演が発表された時から『9年振りの再演』『市村ザザ☆ファイナル!』に加えて、相手役のジョルジュが鹿賀丈史さん、とあって大人気公演間違いなし!と容易に予測は出来たものの、それをはるかに上に行く、初日~千穐楽まで連日スタンディングオベーションの大盛り上がりだったと聞く東京公演を経ての北九州公演。 よっ、待ってましたっ!
マジーハンナ…と、言っても実は個人的には真島茂樹さん@ハンナが一番のお目当て♪ 以前より事あるごとにマジーはこの作品のこの役について語る事が多く「それほど愛着のあるキャラクターって一体どんな役なんだろう?」と常々気になっていたもので「やっと観れる♪」と期待大☆
幕が上がり【ありのままの私たち】が静々と…でも何かものすごいワクワクする期待感が沸き上がってくるような、不思議な高揚感を感じました。 が、まだこの物語の入り口に立ったばかりなので、グロイ顔が凄い形相で(失礼!)でガバッと振り返っても、まだニガ笑いで戸惑う感じ汗 でも舞台が進むに連れて、どのダンサーさんも最高にチャーミングに見えてくる不思議♪ 新納慎也さん@シャンタルって一体何頭身?! めっちゃ脚線美人さんで華やかで目が奪われちゃいます。
鹿賀丈史さん@ジョルジュ、私、今まで拝見した鹿賀さんのダンディ系のお役の中で一番好きかも♪ 長年、夫婦として連れ添ったアルバンの…彼女?彼?の可愛いわがまま振りも甘んじている様にニッコリ。 アルバンへの眼差しがなんとも愛が溢れていて素敵です。 彼女をなだめて、おだててて、奮い立たせて~、「愛してるんだなぁ」とよく解る♪

キッチンからエプロン姿で登場の市村正親さん@アルバン(ザザ)は…おばちゃん、にしか見えない。 しかもと~っても可愛いオバちゃん(めっちゃ褒めてます!) でもジョルジュに対しての甘えっぷりは、未だに乙女☆で見ているこっちが照れちゃうくらい汗アルバン
ザザに変身しながら歌う【マスカラ】では、つけまつ毛を事も無げにサッと付ける様に見入っちゃいました!(私、付けた事ナイんで) 手慣れていてスゴイ…。
パンツスーツを着ていても、どこからみてもオバちゃん。 しかも、いちいち可愛いオバちゃん(褒めてます) だからこそ愛する息子ジャン・ミッシェルの真っすぐな言葉に傷つく様に涙が誘われました。
衝立てを隔て、ジャン・ミッシェルと婚約者アンヌの両親が来るパーティーへの欠席をジョルジュからお願いされる時、着替えの衣装が次々に衝立てに掛けられるそのテンポで、アルバンの心の同様っぷりが解り「一体どんな顔をしてるんだろう?」とせつなくなる。 「僕はその晩だけ彼ら向きの人間になる…」と、辛そうに振り絞って言うジョルジュの表情も苦く、トドメはジャン・ミッシェルの純真無垢な「アルバン、ごめんなさいっ!」という一言で落涙。 続く【ありのままの私】で心情を吐露するかのように気丈に歌うザザの姿に一気に心を鷲掴みにされました。 涙、涙…。
だからこそ後半の無理無理感のある“アルバン叔父さん”とノリノリの“アルバンママ”のコミカルさが抜群に活きるんだろうな♪ 観ていて顔が自然とほころんじゃいます。
ジャクリーヌの店でのジョルジュ&ジャン・ミッシェルの…アルバンママをはらはらと見守る親子っぷりがなんともイイ! 「ママ…やった方が良さそうだよ…」と観念してつぶやく息子の頭をバチコーン☆と思いっきり叩く父親に爆笑。 そしてまたまただからこそ【見てごらん(リプライズ)】が泣ける、泣ける~。 なんて素敵な親子なんだ!!! 心が綺麗な人たち…っていう感じを受けました。
他キャストについて…
山崎育三郎さん@ジャン・ミッシェルは、すっごくイイですね♪ 純真無垢で真っすぐな好青年が嫌み無くピッタリで、歌もかなり上達されたのでは?という驚きがありました(私、レミゼのマリウスしか拝見してませんが) エクボ、可愛いし♪ 今後のご活躍がすご~く楽しみ。
真島茂樹さん@ハンナは…そ~ゆ~お役でしたかぁ~。 鞭は本格的にバチバチ打っててビックリ! サバンナの女王?ショーでのハイレグ+美半ケツにビックリ! めちゃめちゃ輝いた表情で生き生きと演じていらっしゃる様に元気をもらいました。 マジー、最高♪ 満足、満足☆
香寿たつきさん@ジャクリーヌは、パンフのキャスト紹介扮装と全く違ったので、最初「誰?」 スタイルいい~♪ そして思いっきりパーンと弾ける明るさで素敵にノリノリ☆ 香寿さん、更に好きになっちゃいました。
今井清隆さん&森公美子さん@ダンドン夫妻は想定内のハマリっぷり。 島谷ひとみさん@アンヌは…いろいろ残念。 花井京乃助さん@ジャコブはセリフが聴き取りにくく、一人で芝居をしている感が否めず、うるさく感じてしまったのが残念。
やっぱり素敵な舞台に出逢えると“仮想世界を疑似体験”って解っちゃいるけど…本当にハッピーな気持ちになれます☆ ♪泣いた~ 笑った~ そして~感動~(ん?作品が違ってきてる汗