秀山祭九月大歌舞伎・夜の部【歌舞伎座】

阿古屋

久々に拝見! 岩永左衛門って体格がイイ方がするイメージがあったので、段四郎さんを楽しみにしていました。 なんだか可愛いし、コミカルさがより際立った感じもある上「芸で大きく見せるっていうのはこういう事なんだなぁ」と思わされた岩永左衛門でした。
吉右衛門さん@秩父庄司重忠は意外にも初役との事。 度量の深い名裁きが出来る人物である事を、その佇まいだけで感じられた好演。
玉三郎さん@阿古屋は、もうあえて何も言う事も…。 胡弓の音が一番好きです、私。

身替座禅

「まぁ~た、身替座禅かぁ…」とかなりウンザリな心持ちで観劇に臨んだんですが…面白かったです! 歌舞伎は役者を観る演劇と言いますが、なるほど言い得て妙!だなと実感。
思えば私、團十郎さん@山蔭右京は初めての拝見で(13年振りとの事)、あの朴訥した愛嬌がこうも可愛らしく右京さんにハマるんだ!とビックリ~。 色気が全くナイのも新鮮でしたが、とにかくカワイイんですもの~♪
染五郎さん@太郎冠者。 私、染五郎さんのこ~ゆ~、情けな~い感じのお役って大好きなんです。 さすがにウマイっ!

二條城の清正

“清正役者”と言われた初代吉右衛門の為に書き下ろされた作品だそうで、私、この度初めて観劇。 加藤清正所持の懐刀の写しを初代が譲り受けたものを今回の舞台でも使用する事も話題。
お互いの腹の底を探り合う駆け引きの芝居なので、物語を頭の中に入れて集中しておかないと…危うく置いて行かれそうになりましたっ汗
吉右衛門さん@加藤清正は豊臣秀吉への恩を忘れず、その一子・福助さん@秀頼に病の身ながら必死に仕えるダンディでカッコいい…ヴィジュアル系爺さん(失礼!) 豊臣家の取り潰しをもくろむ左團次さん@徳川家康からの二条城への誘いに同行し、主君のピンチを救う。 その堂々たる弁舌と対応の重厚さに清政の人柄が偲ばれました
ラスト、帰途の船上での親子のような情愛が通い合う清政と秀頼にホロリ。 夜が明けて、城が見えて来る感動的なラスト(城の書割りはショボイ汗)に余韻が残る…。気になる額
で、こんな感動的な船上のラストシーンなのに、一番気になったのは福助さん@秀頼のヅラ! あの前髪…っいうか、おデコ…っていうか~冷や汗 富士額じゃなくって完全な弧を描いた前髪で…アレってどうよ? 目が釘付けになってしまって困りましたよ、あたしゃ! ちょっと前に某アイドル歌手がデジカメの広告で舞妓さんに扮していた時のヅラに感じた違和感に…似ている~。

秀山祭九月大歌舞伎・昼の部【歌舞伎座】

初代吉右衛門さんの俳名の“秀山”からその名を取った【秀山祭】。 昨年の9月に続いて今年で二回目となりまして、当代吉右衛門さんの奮闘公演を楽しみに今年もお江戸上がりとなりました。
今回も都合上、昼夜1日通し観劇…だったのですが、つ、疲れた~汗 いつも以上にヘヴィでした~汗 …というのも1つ1つの演目の上演時間が長い上、集中力を要する狂言立てだったからかと。 出演役者は豪華!演目も見応え充分!…なのに、何故かしら地味な印象だった(私は!)のは、不思議~。

竜馬がゆく

ニヤリ歌江さん司馬遼太郎のベストセラー小説をベースに、坂本竜馬が勝海舟に出逢う迄を描いた新作歌舞伎。 染五郎さん@龍馬は3年前にテレビ時代劇でも演じていらっゃる上、新作という事で…昼の一演目ながら、ズシンと見応えのある「日本の夜明けが見えるぜよ!」というような爽やかでスケール感のある幕切れが印象的に好演。
染五郎さん@竜馬は、ヒョウヒョウとして人懐っこく真っすぐな夢見る若武者、という感じがとても良く出ていて、コミカルなやりとりでは客席の笑いを存分に取る楽しさ。 ただ、いつも思うのが、声をツブシやすい方のようで?今日もいささか聴き辛かったのが残念。
武士の格好をさせたら歌舞伎役者の中ではNo.1じゃないかしら?と個人的には思っている歌昇さん@桂小五郎、そして、最近次々と大きなお役で好演を重ねていらっしゃる歌六さん@勝海舟がどっしりと構えて、これから大きく動きだす日本の未来の船出を感じされる…またこの続きを観てみたい!と期待させる幕切れとなっていて面白かった♪
他には歌江さん@すぎの細かい演技にクスッと笑わされ、宗之助さん@池田寅之進の立役に驚く! 宗之助さん自体を久々に拝見したのですが、立役でも前髪と四天王、所化くらいしか拝見した事がなかったので、こんなタイプの若武者のハマりっぷりと、その声の良さに感動~! 種太郎くん@中平忠一郎の儚い感じも◎
特筆すべきはラストの舞台美術。 勝海舟の屋敷~桂浜~夜明け…というこの居所変わりは素晴らしかった~拍手

熊谷陣屋

残念ながら見所のひとつである、花道の出が見えるお席ではなかったのですが…ズッシリとドッシリと拝見。 印象としては吉右衛門さん@熊谷直実人情厚い人物像が滲み出ているような。 表情の下に感情をグッと押さえてポーカーフェイス…な直実を演じる方が多いと思うのですが、吉右衛門さん@直実は、わりと気持ちが表情に出ていて解り易い。 陣谷に押しかけてきた福助さん@相模に対する反応と対応とか、我が子を犠牲にしてしまった悲しみとか。 僧形となっての花道の引込み「十六年はひと昔…。夢だ…」とその場で泣き伏してしまいそうな表情と絞り出す声で、胸が締めつけられました~悲しい
福助さん@相模は、今まで拝見したどの相模よりもかなり積極的な…この当時の武将の奥方としてはかなりアクティブな印象を受けました。

二人汐汲

私、実は【汐汲】って観たことナイんです~。 写真などでは頻繁に目にする機会があるのに、何故だか…で、今回を通常版と比較は出来ないのですが、目に美しく楽しめる舞踏ですね。
今回は玉三郎さん@松風福助さん@村雨の海女姉妹。 どちらも腰ミノと塩汲み桶がなかったら白拍子のような美しさで、とても海女には~汗
この美人姉妹に愛された在原行平って一体どんなに魅力的プレイボーイだったんだろう?と想像しながら観るのが楽しかったです♪

レ・ミゼラブル(橋本×禅)=2回目その2【博多座】

レ・ミゼラブル(橋本×禅)=2回目その1の、橋本さとしさん@バルジャン単独考察に続きまして…
石川禅さん@ジャベール単独考察。
禅さんの熱演は…ヤリ過ぎ!くどい!となる危険性を大いにはらんでいますが(これでも禅ファンです)、本日はクドさ全開!の大熱演でありました。 全ての動きや表情に擬音語や擬態語を入れたくなるのは前観劇時もそうでしたが、今日は歌っていない所まで、勝手にセリフを付けたくなってしまう有様。 いやいや…それはそれは大熱演で、私は超感動!→タダ泣き→脱力…だったんですけどネ♪
以下、恐ろしいまでの長文はファンモード全開の痛い考察となっていますので何卒ご了承ください汗
まず、登場時はズンズンズンズン… キビキビッ!キビキビッ!
♪ぃやぁ~っを ここへ呼べぇ~ 24653~
♪ちぃ~~っがぁぁぁうっ!!!
重低音で大迫力。 有無を言わせない重圧感と威厳に凄みが。
10年後のパリ登場時でもズンズンズンズン… ピシッビシッビシッ!
♪むぁ~たぁ~もぉ~~~っ 喧嘩かっ!
もう毎度の事ながらウンザリさせられるぜ!感ありあり。 目を細めた後にカッと見開く形相は怒りブチ切れ!で恐い~。
♪ぃやぁ~めぇ~~ろぉ~ 泣ぁ~きぃ~ごぉ~と~はぁ  言い訳ぇ
すぅ~るぅ~(←ココ迄ささやき・爆発→)ぬぅなぁ~~~っ!!!
最初は同情的な表情も一瞬浮かべるのですが、切々と女々しく訴えるファンティーヌに次第に怒りがこみ上げてくる変化が。 これは自分は不幸な生い立ちでありながらソレをバネにのし上がってきた自信に裏付けされる、泣き言への嫌悪感なのでしょうか? 貧困に対する憎しみでしょうか? そういうお涙頂戴話は大嫌いなんだよ!という嫌悪感が漲ってます。
♪あいつがぁ ジャン・バル ジャンっ!!!
頭から湯気、出てます。 その怒りの迫力に、自分たちにはどんなお咎めがあるのだろうとビクビクの乞食たちの様子に、ジャベールがどのくらい恐れられている存在かよく解る。
♪おぉ~よぉ~がぁ~せ~て おいて~(ささやくように)
捕まえてやるぅぅ~~~~っ!!!(一気に怒りが沸点に達して声が上ずる)
ごぅぉ~~~~っみを 始末しろっっ! 仕事に戻れっ!

徳井テナルディエの首根っこ捕まえてブッ飛ばしながら吠える迫力が凄い…。 まんまとバルジャンを取り逃がしてしまった怒りと悔しさ爆発!
ココからの【Stars】は圧巻☆ 他ジャベールでは歌の上手さに聞き惚れるソロナンバーというだけで、ジャベールの心情を汲み取るところまで気が回った事がなかったのですが…今回、禅ジャベールでそれが可能に!(これは贔屓目がかなり入っているはず~汗
空を見上げ、そして星に語りかける。目を細めて、凝らして…そして♪静かな夜を見張る~ 刑事たちだ~♪…と、ココで笑みを浮かべるのは衝撃的でした! きっと、彼は暗く不幸な生い立ちの幼少時代から辛い事があるとこのように天を見上げて語りかけていたんだろう。 決して明るくまぶしいお天道さまにではなく、夜の闇の星に対して。 その星の瞬きを自分の励ましに、心許せる友人のような存在なんだろう。 だから“刑事たちだ”という所で微笑むのは、自分にはこんなに沢山の仲間が居るんだ!という安堵の微笑みなのでは?…と思わされました。
ジャベールという人物の背景を表現する大変重要なナンバーなんですね。 “ジャベール=敵役”的な位置付けですが、このStarsで彼にも「信じる道を突き進め~!」とエールを送りたくなっちゃいます。

法廷では、市長の姿を見つけて「あ、市長、本日は傍聴にわざわざお越しで」と一礼。 市長が被告人を抱き起こすと「ん?市長、どうされました?」と軽く慌てて、正体を明かしたバルジャンに「はっ?えっ? えぇぇぇぇぇ~~~っ?!」と焼き印とバルジャン顔を交互に見て「お前がバルジャンだったのかぁ~~~っ?!」と暗転まで驚きの表情で固まる。 この場の脳内のアテレコは実に楽しい♪
病室での対決でのバルジャンとの二重奏は、大抵ならバルジャンの方が上層でよく聴き取れるのですが、本日はどちらもクリアに耳に届く感じ。 …なので ♪生まれた事が 罪そのものさ 牢獄でジャベール 俺は生まれた お前と同じ ウジ虫なのだぁ~♪という、女囚の子として生まれたジャベールの生い立ちと、何故彼がここまで正義を振りかざして貧困やそれ故の犯罪に憎悪をたぎらせ徹底的に排除するのか?という事が、よく解る重要な歌詞だと思うのです。 なので、よりジャベールに人間的な部分を強く感じる事が出来、これ以降ジャベールにも気持ちを寄せて観る事が出来ました。
一幕ラスト【One Day More】の登場時には何故だかふてくされている印象。 潜入捜査という職務ゆえだが、結局無駄な抵抗に終わる子供の遊びに付き合わさせる事にうんざりしているような感じで…これは新しい解釈に思えました! これって二幕で正体がバレた時に学生達に♪子供の遊び 学生の裁判? 笑わせるぜっ!♪と嘲る場面に自然と繋がって納得!
その砦の中でガブローシュに正体をあばかれる時のリアクション。
ピタッ ギクッ やば~ ソロリソロリ… うおぉぉぉ~っ! んぐぐぐ~っ!
と、怒濤のリアクション大王ぶりは…観てて楽しい♪
バルジャンの姿を見つけた時も更にヒートアップ!
ん? んんっ? なっ?!  なにぃ~~~~っ! 何故ココに居るんだぁ~~っ!
と表情激変し、バルジャンに目が釘付けとなります。
♪この日を待ってたなっ?(ささやくように) 復讐しろっ!
♪やぁ~るのは ナイフかぁ~(鼻で笑いながら)

観念したような投げやりな感じで、ナイフを目にしてフフンと鼻で嘲り笑いながら言い放ち、しかし目はまだバルジャンに挑んでいる感じ。
ロープを切られて(えっ?! なんで?なんで?
♪わからんぞっ?!
と困惑の表情から、また鬼警部の表情に戻って強気モードに切り替わり、自らの顔をナイフに近づけて「おらおら~殺すんだったら早く殺せよ!」と迫る。 ここから眼×眼の対決! 眼から炎ゴゴゴゴゴ~ッ!

♪取引じゃない 君の職務だろ~(→ハッ!)
恨みなどナイぞ~(→ガガガガ~~~~~~ン!)

ここから「お前なんて事言うんだよぉ~っ!」ワナワナ~と震え始めます。
バルジャンから逃げるように促されて「うわぁ~ん、お母ちゃんに言いつけちゃる~っ!」って感じで走り去るのは禅ジャベ仕様。 悠然と去って行くジャベールが殆どの中、これは激しく新鮮! この時点で彼の心の支柱にヒビが入って、崩壊が始まったんだろうな…と思われ、自殺への助走開始!です。 砦が落ちた後、死体の山から必死にバルジャンの姿を探し、途方に暮れる様に哀れさが感じられたのは初めてかも。
下水道での最後の対決は、精一杯自分を立て直して立ちはだかるものの、眼がイッている。 いっぱいいっぱいで虚勢を張っているのに、グラついている自分の心を見透すかすように、慈悲を求めるバルジャンの訴えと、その眼力に対して思わず眼をそらしてしまう。 これで彼は完敗した…。
♪あいつはどんな悪魔だぁ~っ 俺を捕らえて また逃がすとは~
もう声がうわずって、しかも涙声で、顔が真っ赤で完全に血がのぼってます! 混乱をきたしてやたらと歩き周り出し、見開いた眼は泳ぎながらも瞬きをせず…ギラギラ。 完全にイッちゃってます! この迫力は…凄い。
ジャベール尋常じゃない取り乱しっぷりに、息を呑んでいると…ガラリと落ち着きを取り戻した橋の上に一人佇む姿。 きっと彼はこの場所に辿りつくまでに、街のあちこちを彷徨ったんだろうなぁ…と思わされる、時間の流れを感じさせるのはお見事!
自分の心の拠り所の星を見上げ、心情を吐露していると…次第にその友でさえ 彼を哀れんでいるように見えてきたのか?一気にまた錯乱状態に陥ってしまう。
♪星さえ~っ 凍ぉぉぉるぅぅ~~~っ♪
涙目で見上げながら、うわずった声ながらのこの一節に「星よ、君たちまで僕の事を嘲り笑っているのか?もう俺に瞬いて応えてくれないのか?」というような大きな絶望感が! ココでは狂ったように笑うジャベールがデフォルトかと思うのですが、禅ジャベは笑いません。 【Stars】で、あんなに楽しそうに星達に語りかけていたのに、ここでは心の友というべき星達にさえも拒絶されたようでもあり…この前段の繋がりに胸がひどく痛む。
♪捉えようもなく~ 空しい世界ぃ~~~っ(声が最高調にうわずっていく)
砦の解放~自殺まで、ここまで息を呑んで見入ったのは初めて。 彼の心の乱れる様に加速が付く様子が手に取るように解る納得の自殺でした。 ジャベールが渦に飲み込まれて消えて行った後に「はぁ~っ…」と大きくひと呼吸。 手もず~っと硬く握りしめていましたので、疲労感を感じるほどの迫力に呑まれてしましました~。
いや~、チェックポイント多い上に熱風吹き付ける大熱演で、観劇後はグッタリと疲労感さえ感じる禅ジャベール。 MY BESTジャベールになったのは確かだけれど、だからこそ改めて他ジャベールを拝見してみたくなりました♪
バルジャン対決では…今期、博多座公演では残念ながら今井バルジャンとの組み合わせがなく観劇叶いませんでしたが、私は橋本バルジャンとの対決が一番好きでした☆
※【橋本×禅=2回目】の“その1”、橋本さとしさん@バルジャンのみ語り、に戻る

レ・ミゼラブル(橋本×禅)=2回目その1【博多座】

禅ジャベール千穐楽の前にど~してももう一度観ておきたくて、しかも観れる日程が本日マチネしかなく、しかも「もう一度観たい!」と思った橋本バルジャンとの対決。 「迷ったら行っとけ!」という声がどこからか聞こえきて~、突発で立見。 キャスト表を見直してみると…今期、この二人の対決は今日がラストだったんですね。 それ故か?いや元からお互いだと燃え上がるのか?(←変に聞こえる?)前回観劇時(9/11ソワレ)より一層熱い、いささか熱すぎる(“暑”過ぎる?)対決でした。
カーテンコールはお互いに確かな満足いく達成感があったのか?橋本さんが、禅さんを熱烈ハグして、禅さんドギマギしてました。 離れた後に、禅さんが「うわぁ~、ビックリした!ビックリした~!」と頬をさすりながら隣に立ってた笹本さんに訴えていたのは…もしかし頬チューされたんですかい?!
今日の橋本バル×禅ジャベは…とにかく「熱かった!」 …だけでは済まされない、激烈さでなんというか~、熱波吹き荒れる灼熱の博多座、ってな感じ。 暗~い舞台なんだけど、ゴゴ~ッと炎が立ち上っているような~。 熱過ぎたので、苦手な方は苦手かも…と思いながらも、私、熱波に浮かされてラストはダダ泣き。 橋本バルジャン、11日拝見した時よりも更に深みが増していて◎
以下、書き出したら次々に書きたい事が思い出されてしまって…とんでもなく長文になってしまったので【橋本×禅=2回目】の“その1”として、橋本さとしさん@ジャン・バルジャンのみ語ります!
私は…多分、怪しげな自分の記憶を辿っても、橋本さとしさんご出演の舞台を生で拝見するのは今期レミゼが初めて、のはず。 ましてやミュージカル作品となると全く初めてでありましたので、ことのほか楽しみにしていたジャン・バルジャン♪
まず…改心するまでのギラギラとした憎しみのこもった怒りに吠える野獣のようなワイルドさが新鮮。 憧れていた自由の世界で受けた迫害対しての怒りや失望感にさいなまれていた時に出逢った司教様に対しての野生動物のような警戒ぶりに、彼の今までの不幸な境遇がみてとれる感じ。 よって司教様の慈悲ある裁きに対しての驚きと、その後に押し寄せる自責の念にもだえ苦しむ様が強く印象に残りました。
♪鎖に繋がれたぁ~っ パン1つの罪でぇ~っ♪のトコで「たったパン1個で!」というアクションが入り、その小さな罪に引き換えたあまりにも重すぎる刑罰の理不尽さを強く訴えかけて泣けます! 故に「早くこの世界から逃れて、生まれ変わるのだ」という確固たる燃えたぎる決意にエールを送りたくなります
橋本バルジャン
一転、市長としての登場の場は洗練されたダンディな紳士でのスマートさには「カッコイ~ッ!」と思わず目を見張るヴィジュアルに、新しいバルジャンの誕生をハッキリとこの目で見た!と実感。 法廷において自分の身の上を明かし、タイをはぎ取って襟元をはだきジャベールに挑むような目で見せるくだりに、挑戦状を叩き付け「来るならこい!」というような気迫があり、対決の幕が斬って落とされた、ゴングが鳴ったような感じて鳥肌が立ちました。
ゴゼットを迎えに行く黄色いコートの翻しっぷりとコゼットに接する時の笑顔にホレボレ~。 橋本バルジャンは一貫して優しさがベースに感じられます。 年老いてからも、極端な“爺さん度UP”ではなく、ダンディな香りを残しつつ…な長髪白髪で動きスマートな印象。 …なので下水道でのマリウス担ぎっぷりは、若かりし日のワイルドさを彷彿とさせるものが。
エピローグの…♪影の中に独り 今、死を待つ俺~♪ …とココはどのバルジャンでもホロリなのですが、橋本バルジャンは前場とはあきらかに極端に老いていて、独りになってからの月日の流れを感じさせられ、その孤独になお一層泣けました~
♪私は父じゃない~♪というコゼットへの告白には、「だからお前を一人の女性として愛していたんだよ…」という、何故かしら“光源氏計画的”な臭いを個人的には感じてしまったのは他バルジャンでは全くなかった事ので特筆すべきかと。 カッコ良すぎるヴィジュアルからか?“父親像”が弱く感じてしまったからかな? これは全くもって個人の感想ですけど汗
橋本バルジャンは「あ、命を終えた」という瞬間が判るのですね。 それから別の世界へと歩き出す流れがすごく自然。 長髪白髪なので、ホワイトライトを当てられてコゼットとマリウスに手をかざす様はキリストのように神々しく見えたラストは美しく印象的
橋本さんはジャベールとしてオーディションに臨んだそうですが、それも是非とも観てみたい!と思わされる好演。
※【橋本×禅=2回目】の“その2”、石川禅さん@ジャベールのみ語り、につづく…

青い旗キャスト
バルジャン:橋本さとし/ジャベール:石川禅/エポニーヌ:笹本玲奈/ファンテーヌ:シルビア・グラフ/コゼット:富田麻帆/マリウス:小西遼生/テナルディエ:徳井優/ テナルディエ夫人:瀬戸内美八/アンジョルラス:東山義久

青い旗男性アンサンブルキャスト
グランテール:伊藤俊彦/クールフェラック:清水裕明/ジョリ:横田裕市/コンブフェール:近藤大介/フイイ:松原剛志/レーグル/司教:港 幸樹/バベ:丹宗立峰/ブリジョン:佐嶋宣美/プルベール:上野聖太/モンパルナス:田中裕悟/クラクスー:梶雅人/ガブローシュ:横田剛基
青い旗女性アンサンブルキャスト
買入れ屋:荒井小夜子/マテロット:折井理子/ファクトリーガール:藤咲みどり/ジベロット:深野琴美/マダム:児玉奈々子/少年1:岡村さやか/少年2:稲田みづ紀/かつら屋:亜久里夏代/リトルコゼット:荒木真夕/リトルエポニーヌ:須田あす美

レ・ミゼラブル トークショー(山口×禅×塩田)【博多座】

14日マチネ公演後にジャン・バルジャン役の山口祐一郎さん、ジャベール役の石川禅さん、指揮者の塩田明弘さん…というお三方によるトークショーが開催されました。 40分程度でしたが、文字にすると膨大になりますし、すでに参加された方のレポートが多数WEB上に上がっていると思いますので(人任せですんまっせん!)、当方では“禅さんに絞って”おぼえ書き
最近、しゃべる機会が増えてきたので自称“しおもんた”と名乗ってる…という塩田さんのよどみのナイしゃべりと仕切りっぷりに、このメンバー設定に納得。 祐一郎さんと禅さん二人だけ…なんて、考えただけでも話が全く進まなそうだもの~汗(それもグダクダで楽しそうだけど)
しかし博多座ったら失礼~冷や汗 水を用意するのはイイけれど床に直接ペットボトルって…普通に考えてありえない~汗 ま、おかげで…置き場がなくて困った禅さんが股間に挟んで「こんなんでどうでしょ?」とニッコリで…祐一郎さんに「ヤメなさいっ!」って突っ込まれてたナイスリアクションが見れたけど。
トークショーの禅さん
禅さんはジャベール最期の衣装(コートなし)で登場!だったのですが、途中で「ちょっとコレ、失礼して脱いでイイですか?暑くて、暑くて~」と、おもむろにアノ不思議ジャケットを脱ぎ出すと…手がかかるらしく、祐一郎さんと塩田さんが手伝う事に汗 「これ、ジャベールは(この当時の人は?)こんなの一人で脱ぎ着出来てたんですかね~?」とニコニコ笑顔で脱がせてもらいながら語る禅さん。 下は白シャツ+黒タイ+サスペンダー+パンツ。 劇中では見れないジャベールの衣装に「おぉ~っ」と客席から声が。 決して禅さんの生着替えがセクシーだったからではありません汗(そんなの解りますね、ハイ)  大の男が二人がかりで、これまた大の男のジャケットを脱がしている光景は…何故だか微笑ましいんだから不思議です。 しかし、あのジャケットの上にロングコートを羽織る場面もある訳だから…そりゃ暑かろうと、舞台上でのご苦労も伺えた一面。 そのジャベールパンツにはウエストにグレーの切り替え部分(サッシュベルト?)があって、デザインのポイントになっている上、細く見える効果があるらしく「ソレ、いいなぁ~、僕のも付けて欲しい」と、黒一色パンツなバルジャンはうらやましがってました。

きのこオレンジ クワトロキャストについて
「組む相手によって芝居も変わってきて大変では?」という話に「やっぱり人柄が出ますよね。警棒をピシッ!と当てながらも目は『大丈夫かなぁ~?』って人も居るし…」と祐一郎さんがおっしゃっていたのは…隣でニコニコしているこの人ですか? 「しかも禅さんは来月、また違うキャラクターを~」と塩田さんから話をふられ…「再び大変な挑戦がやってまいります!
ジャベールとマリウスの切替は全然大変な作業ではナイらしい…ですが、体力的な大変さはあるとの事。 柵越え、頑張ってね。

きのこオレンジ 舞台での失敗談
本日の自殺シーンで、柵に足をかける場所を間違って、歩数が音楽と合わなくなってアセった~との事(客席にはその間違いに気付いた人も居た、スゴイ…)
あとは…帝劇の時もお話されていた、2幕目冒頭のハケ場所間違い

きのこオレンジ MAとレミゼ
ルイ16世を演じた時に、レミゼの時代へと繋がるフランスの歴史の勉強をいやが上にもする事になって、それが役立っている(延々と語り続けそうになるが…空気を察知して強引に話を〆汗

きのこオレンジ レミゼで他に演じてみたい役
アンジョルラス。 やっぱりカッコイイから…でも盆が周りながら、その上で荷台で赤い旗をブンブン振り回すのは、あの遠心力に耐えれなさそう~、との事。
その後は観客から事前に集めた質問状から数点。 各々がその質問状を読み上げて、自分でソレに答える…という形式。

きのこオレンジ 1月のMAの時のルイとは全く違うキャラクターで、いつもその変身ぶりにビックリ!なのですが、どうやって切り替えていらっしゃるんですか?
私はルイとジャベールって、全く違うとは思ってナイんですね。 それぞれ同じ人間で、それぞれに喜怒哀楽もある訳だし…
と、ココから更に深く語ろうとする禅さんに「あ~、また真面目に語っちゃってるよ」「話長くなりそうだなぁ…」と祐一郎さんと塩田さんが斜めに構えはじめ…ソノ視線に気付いて慌てた禅さんは「…そんな感じです!」と強引に話を〆。
変身!禅さん
前段のトークですでに“ジャベールとマリウスの切替は大変な作業ではナイ”とのくだりがあったので、重複するような質問になっちゃったのですが…
コレ、私の書いた質問でした汗 ビックリした~~~っびっくり このようなイベントで何度となく質問状を書いた事はあれど、採用されたのは初めて。 しかも急いで書いたアノ小汚い字が本人の目に触れて、しかもご本人に読み上げられるとは~冷や汗 恥ずかしい…。 これには“ほわわ~ん”なルイと“キビギビ”なジャベのイラストも落書きしてたんですけど…実は(※マリウスは永遠に卒業しないでください)と無謀な希望も欄外に小さく書き添えてました(当然読まれませんでしたけどネ) 柵越えは…年齢に合せた演出に変えるとかもアリじゃないですか? ちゃっかり合鍵を作ってて、堂々と門から入るとか…ネ汗 来月、マリウスでの博多座ご帰還、本当に楽しみでなりません♪
きのこオレンジ レミゼを色で表すと?
グレー。 灰色の厚い雲がかかったどんよりと暗い空から一筋の光がスッと差し込むイメージ、だそうです
その後、座席番号抽選でサイン入りポスターが当たる抽選会もあり、ラストは質問状に『三本締めを一緒にしてみたい』とあったリクエストに応えて客席全員参加でお開きに。 博多なので…ココは“ 博多手一本”で締めたかったなぁ~(全員揃うのは難しそうだけどネ)
あと1点書き添え。 世界中いろいろな所でレミゼが上演されているにもかかわらず、作曲家・シェーンベルクさんが博多座初日観劇の為にわざわざ来日されたのは「日本に博多座という音響効果が素晴らしい劇場がある!という噂を聞いた」からとの事で観劇後には「信じられない!こんな素敵な劇場を持っているこの土地の人たちは幸せだ!」とおっしゃっていた…とは祐一郎さんからご紹介エピソードでした♪