CATS 【キャッツ・シアター】

前観劇から半分くらいキャストが入れ替わっていたようです(キャスト表を見ないと判らない私)。 今回は猫が通路を走り回る様子も観たいと思って、1階通路側のお席で観劇。 蔡さん@ミストフェリーズと握手。 蔡さんは猫メイクをしていても、私が判った数少ない役者さん やっぱり彼の踊りは意識していなくても、目が惹きつけられますね。 あの跳躍の高さといったら!
猫は近いけど、ゴミが積み上げられたセットや段差が少ないため、通路側といえども死角があってちょっと残念だったかな。
今回、私はどの猫が気になるのかな?と思っていたら【マンゴジェリー&ランペルティーザ】のコソ泥カップル。 盗みをゲームとして楽しんでいる感じで、ユーモアがあって楽しい 他の猫も自身のことを語って、曲が一人歩きするくらい有名なものもあるけれど、この曲が何故だか好き 二人の物語りの言葉が素直に耳に入ってくるからかな?
他に気になったのは、金志賢さん@グリザベラ。 元娼婦だった…というのが、なるほど頷けるような艶っぽさを残し、ボロボロな容姿ながらも潤んだ瞳が色っぽく、前観劇で受けた印象とは異なるキャラクター、というか“女”という感じが強い。 【メモリー】の『私に触って…』というフレーズが哀愁がにじんでいて素敵でした。 カーテンコールの華やかな笑顔でのダンスでは“色っぽいメス猫”でした。
キャッツ・シアターの壁やセットのゴミは、美術さんが定期的にメンテナンスに入っていらっしゃるのでしょうか? 今回もじっくり“ゴミを堪能”してきました。 けど…作品的は私はハマって通ってしまうタイプのものではナイみたい…かな?

青い旗キャスト
グリザベラ:金 志賢 /ジェリーロラム=グリドルボーン:秋 夢子/ジェニエニドッツ:礒津ひろみ /ランペルティーザ:真鍋奈津美 /ディミータ:眞弓ヴァネッサ/ボンバルリーナ:池田さやか/シラバブ:荒井香織 /タントミール:滝沢由佳/ジェミマ:飛田万里/ヴィクトリア:大月 悠/カッサンドラ:大口朋子/オールドデュトロノミー:石井健三/アスパラガス=グロールタイガー&バストファージョーンズ:村 俊英/マンカストラップ:趙 宇/ラム・タム・タガー:荒川 務/ミストフェリーズ:蔡 暁強/マンゴジェリー:李 涛/スキンブルシャンクス:百々義則/コリコパット:虎尾信弘/ランパスキャット:三宅克典/カーバケッティ:丹下博喜 /ギルバート:千葉ヒカル/マキャヴィティ:上田龍雄/タンブルブルータス:齊藤 翔

KABUKI NIGHT vol.4【博多座】

チケットぴあ主宰の【KABUKI NIGHT】も今回で4回目(右近&笑也→福助&愛之助→右近&笑三郎→今回)。 司会は第1回目から地元タレント・中島浩二さん(以下ナカジー)で、回を重ねるごとに役者さんや演目に関する予習や歌舞伎に対する知識も蓄えられ、役者さんから聞いてみたいコメントを引き出してくれるようになってきて、安心(第1回目とか知らなさすぎて役者さんにあまりにも失礼で、かなり怒ってた私)
今回の会場は博多座だったので、第2回目で行われた“中村座趣向”があるかも…と期待していましたが残念ながら~ やはりアレは中村座チーム?じゃないと無理なのかも、ですね。 私は遅刻して入場したのですが、きっと最初は会場の人に「歌舞伎を何回くらい観たことある?」という挙手アンケートがあったはずで…きっと、絶対『5回以上観たことある人』への挙手が増えていた(希望)
式次第でいくと…
・【演目に沿ったトーク(初演~再演まで)】
・【舞台写真のスライドを見ながらネタバラし】
・【大向う講座】 ・【質問コーナー】 ・【プレゼント抽選会】
という感じで、約1時間半程度。 1階客席のみお客さんを入れていたのですがほぼ満席で、90%は女性だったのでは?
話しの中で面白かったのは…今回のいろいろな仕掛けの中で、染五郎さんが【欽ちゃんの仮装大賞】や【中国雑貨】にヒントを得たものがあるとか 事前にこの作品を創り上げていく染五郎さんの奮闘ぶりが【ザ・博多座】などで紹介されていましたが、あらゆる方向にアンテナを張ってらっしゃるんですね。
トークショーには清水大希くんも客席に 染五郎さんと亀治郎さんが「大希くんは僕達の子供です」というが単純に笑えました。 開演前に場内スタッフに“役者さんに対しての質問カード”提出したのですが『名前:清水大希、性別:男、職業:叡太郎(役名)』のカードが! さすが名子役! 笑いのツボを抑えてます☆
最後まで気になっていたのは、染五郎さんが亀のぬいぐるみをず~っと持っていたこと。 プレゼント…ではなかったし。

KABUKI NIGHT 2005

三国一夜譚【博多座】

通し狂言【三国一夜譚】は3年前の平成14年9月、大阪松竹座で初演された新作歌舞伎。染五郎さんが題材を発掘?し、中心となって若手花形のアイデアをまとめ、新進の歌舞伎作者である今井豊茂さんが脚本化、猿之助歌舞伎の重要なスタッフである奈河彰輔氏が補綴(てい)・演出し、大好評を博した…そうです(博多座往来より一部抜粋) 当然私は今回が初見でしたし、この再演時にあたって大幅に内容を変えた…との事で期待大!
公演前には、演目縁の住吉神社で成功祈願のお練り、女性記者のみを招いての記者会見、そして公演中には【KABUKI NIGHT】などイベントが催され、若い女性に歌舞伎の魅力の訴求になったのではないでしょうか? …とはいえ、私は三回観劇したのですが…いずれも宙乗りが気の毒なくらい二階客席が赤くて…涙。 『二月、八月は難しい』とは興行や商売では定説ですが…ちょっと悲しすぎました。

発端・序幕

冒頭、花道七三で物語りの発端を染五郎さんが口上。 「助けた亀に連れられて…とは、どこぞのお話で聞いたような…」と、ユーモアたっぷり。 大亀+子亀の動きも細かく、海好きの私としては一気に舞台に引き込まれた!
“雅楽”には全く馴染みがナイのだが、独特な音色と…衣装の色・柄の美しさに驚く。 染五郎さん@富士太郎愛之助さん@浅間左衛門の“雅楽・知ってるクイズ”合戦は聞いてて「?」だったが、やり込められてギリギリと悔しがる左衛門の表情が、今後の仕返しを容易に想像出来、その悪役ぶりで好演。
今回、誰しもがMVPに秀太郎さん@浅間母卯原を挙げるだろう! 息子への愛情の注ぎ方は人を殺してもなんとも思わないほどの溺愛ぶりで、極端なまでの行動は客席の笑いを誘う。 秀太郎さんご自身も、珍しい悪役を嬉々と演じていらっしゃるご様子で、観ていてホント楽しかった!
道行廻歳響仇鼓】では、富士太郎親子が父親の敵を探し求めて長い歳月を放浪する様が実によく演出されていた。 セットの移り変わりや、清水大希くん@叡太郎の成長ぶり、季節の移り変わり…。 【雪だるま→花かご】に変わるという仕掛けは“欽ちゃんの仮装大賞 ”からヒントを得た染五郎さんのアイデアらしい。 大希くんとしては博多座出演はこれで最後の公演となった(中村鶴松襲名のため)

二幕目

個人的には高麗蔵さんの博多座出演時には「高麗蔵さんなのに、もったいないっ!」と思ってしまうキャスティングでのご出演がここ数年多かっただけに、嬉しい奮闘公演。 高麗蔵さん@遊女波路は富士太郎の妹小雪でありながら、知らなかったとはいえ自分の父親の敵・浅間左衛門を愛してしまう事から悲劇が始まる。 左衛門は小雪が富士太郎の妹だと知って利用しているのだが…。
吉弥さん@遊女浪江は腕に“照様命”と彫り物をして、一途に想っている様が激しいまでの嫉妬の感情によく現れていて好演。 いつも歌舞伎の“○○命”という入れ黒子は「もうちょっとお洒落なデザインで入れればイイのに…」と思っていたが、あれは想う相手に書いてもらった…その筆跡のものを彫る、という事を後ほど知った。 想う相手が字が下手だったら…入れるのに躊躇しそうだなぁ~。
追っ手を逃れるための秘策として、卯原が左衛門に用意したのは“白髪になる薬”。 そしてその解毒剤が“疱瘡にかかった幼子の生き肝を食べる”という…なんとも突飛すぎる薬て爆笑。 卯原とはいろんな薬を調合できる薬剤師さんなのか? 「疱瘡?ほぉ~そぉ」と軽くウケてたった秀太郎さん、面白すぎ!

大詰

行方知れずとなった息子の安否を気遣いながら、染五郎さん@富士太郎と亀治郎さん@妻桜子が楽器を演奏するのも今回の見所のひとつ。 太郎は篳篥を、桜子は琴の合奏となる訳たが…亀治郎さんの琴の演奏、恐かった。 ものすごく力強い音色で…悲しみにくれる母親、ではなかったわ。 篳篥は音を出すのも難しいらしく、上手い下手は判らないがあんな地位さな笛なのに劇場全体に聞こえる音量には驚いた(マイクで拾ってた?) で…その夫婦の合奏シーンから、何故か突如として龍宮殿にいる二人。 悲しみにくれる音色を聴いて、冒頭で太郎が助けた亀が恩返しとして、息子の行方と玉手箱を渡すため呼び寄せたのである。
ココは染五郎さん@富士太郎→龍宮の皇女亀治郎さん@妻桜子→龍宮の皇子となる数回に渡る早替わりが楽しく、客席からは驚きの歓声と拍車が起こる。 私は…海のシーンなので大満喫! 愛之助さん@亀大臣は、ニヒルな美形悪役から一転しておとぼけ爺キャラでなんともツボ! これは博多座演出で初登場らしい。

左衛門と共に逃げ、女房となった高麗蔵さん@女房お浪実は妹小雪に辛くあたる秀太郎さん@卯原のなんと憎々しいこと! もう可笑しいくらいなのだが、左衛門も一緒になって辛くあたるので「いつの世も嫁姑問題は大変なんだ」と妙にシンミリしてしまったり~(未経験ですが)

卯原の最後は壮絶! 息子の容貌を元に戻そうと疱瘡にかかった叡太郎に襲いかかるのは、大希くんが気の毒なくらい大迫力。 でもって富士太郎に首を撃ち落とされるのだが、これがまた“欽ちゃんの仮装大賞”からのアイデアで、首がストッと落ちる趣向。 しかし首を落とされてもまだしゃべっている卯原は「首が飛んでも動いてみせらぁ~」の民谷伊衛門もビックリの執念であった。

父の敵も討ち取り帰参も叶ってめでたしめでたし…なのだが、その時、門之助さん@足利義満が与えた名前『三国一富士太郎和一』に、なんだかなぁ~。 そんなセンスがナイ名前、もらって嬉しいかしら?
ラストの正面は各キャラクターにピンスポットが当たって色彩も美しく幻想的でとても印象に残った。

三回の観劇を経て思ったことは『主人公の陰が薄い』ということ。 板に載ってる時間は当然長いのですが…こんなにも印象が薄い主人公って?と不思議だった。 しかし全体としては様々な趣向が凝らされていて、作り手の心意気が感じられた楽しい作品だった…だけにもっと多くの人に観てほしかったなぁ。

美女と野獣【京都劇場】

7年前に福岡シティ劇場で上演された際は、何故だか見逃してて…観たいなぁ、と思っていたところに京都劇場での千穐楽が発表されたので、この機会に無理して足を伸ばしてきました(その後、福岡公演が決まったのですが~)
舞台美術や衣装の素晴らしさは写真や話で想像はいたけど、百聞は一見にしかず! アニメーション映画を再現を忠実に行っている事と、衣装さんの職人魂を垣間見るすばらしい拵えに驚嘆 セットもおとぎ話のイメージそのままに夢見るように可愛らしく、豪華で…小さな女の子だったら「お姫さまになりたい」って思っちゃうんじゃないかな?
キャラクターの中でも田島雅彦さん@ガストンは、もうアニメーションから抜け出てきたのかと思うほど“ガストン”でビックリ あの肉体美を保つ為に…日々鍛錬も大変あだろうなぁ、とか雑念がよぎりました。
役者さんも好きだという“図書館のシーン”はホロッときちゃいました~。 圧倒的な蔵書がズラリ…美術さんの心意気が拝見できる素晴らしい本棚。 その前で通い合う二人の心。 素敵なシーンですね♪
ビースト~王子への変身シーンでは、前回私が柳瀬さんを拝見したのは神様(ジーザス・クライスト=スーパースター)だったので、“神様降臨”という神々しい印象でした。 王子様の衣装、あれが似合う日本人男性は…なかなか居ないでしょうね。
とにかく楽しくて夢見るような可愛い舞台で、終演後子供たちが口々に「面白かったね」という言葉を聞いて「5月からの福岡ロングラン公演がどうぞ成功しますように」と祈らずにはいられませんでした。

青い旗キャスト
ビースト:柳瀬大輔/ベル:坂本里咲/モリース(ベルの父):松下武史/ガストン:田島雅彦/ルミエール:青山 明/ルフウ:遊佐真一/コッグスワース:吉谷昭雄/ミセス・ポット:岩本潤子/タンス夫人:武 木綿子/バベット:竹村千穂/チップ:川良美由紀

壽初春大歌舞伎・夜の部【松竹座】

一條大蔵譚

鴈治郎さん@一條大蔵長成初役だそうで、これまた坂田藤十郎襲名対する意気込みが伺えます! 想像していたよりも“抑えた阿呆ぶり”でしたが、ニコニコと相手の顔を覗き込んだり、相手に合わせて踊ってみたり…その愛嬌は想像通り。
秀太郎さん@常盤御前翫雀さん@鬼平次女房お京はあまり拝見したことがないタイプのお役で楽しめました。 今回の舞台を拝見し、鴈治郎さんの一條大蔵長成は今後も繰り返し演じられるのでは…と思いました。

吉田屋

孝太郎さん@夕霧初役で、今回の遠征で楽しみにしていたひとつでした。
扇雀さん@伊左衛門はあり拝見したことがなかったのですが…う~ん、あまり好きではありませんでした(個人的な感想ですので失礼します)。 夕霧に対するスネ方が、なんかただの意地悪にしか見えなくって、ラストの勘当が許されてるノー天気ぶりには「良かったね~」と一緒に喜べなかったなぁ。 愛嬌が…ナイ。
対して夕霧はスネられてもスネられても、癇癪ひとつおこさず伊左衛門にすがるのが…「なんで~?」と思え、その感情が不自然な印象。 この演目の伊左衛門というお役の難しさを改めて感じた、今回の吉田屋でした。

幸助餅

松竹新喜劇の狂言を今回初めて歌舞伎の世話物として、関西を中心に活躍する役者さんを中心に上演。 翫雀さんの希望が叶ったとあって私も期待大で拝見! この演目に関しては、私見が激しく入った偏った感想になるので…まずお断りを。
翫雀さん@幸助は私が、翫雀さんファンになった角力場の山崎屋与五郎を彷彿とさせる、関取に入れあげる阿呆な若旦那ぶりで、私、頬がゆるみっぱなし。
孝太郎さん@女房おきみは、相撲にうつつをぬかす幸助を戒めるしっかり女房で【翫雀さん@頼りない夫+孝太郎さん@しっかり女房】のカップルが大好きな私には「たまらんかったとです!」
幸助が入れあげる弥十郎さん@関取雷五良吉、デッケェ!(たぶん2mはあったわ) カッコいいっ 花道の出、私は花横のお席だったので思いっきり見上げる形となって、大迫力(たぶん3mはあったかと…)。 カッコいいっす~っ♪
恩を受けた幸助の現状を知ってわざと悪役をかって出る、雷。 そうとは知らずに雷に対する憎しみの気持ちだけで、人生を立て直すことが出来た幸助。 ラストに真実を知る幸助と、苦しかった胸の内を明かす雷の二人の男泣きにもらい泣き
大好きな役者さんが揃いも揃ってニンに合ったお役でひとつの演目で新年早々拝見できるとは「こいつぁ春から“演技”がいいわぇ~。」
この演目はこれから是非上演を重ねていただきたいです! 翫雀さんの売るお餅、美味しそうでした~♪