スーパー歌舞伎II 『ワンピース』【博多座】

今年3月、約1カ月をかけて舞台装置、照明、音響をリニューアルした博多座での第一弾公演です。 かねてより前・猿之助(現・猿翁)さんが『博多座はスーパー歌舞伎に最高に適した劇場』とおっしゃっていましたが、博多座、更にパワーUPですよ! 初日4月2日(土)は猿之助さんが800回目の宙乗り達成
また、中旬には【熊本地震】が発生し、開演前には猿之助さんの『被災地へのお見舞いと復興支援の口上』、幕間には出演者が客席を回っての募金活動も行われ、なんと!11日間(17公演)で義援金22,870,539円が集まったそうです!! 千穐楽、登壇した福岡市長に託しました。

さて、私、昨年10月の新橋演舞場公演を観た…とはいえ、激しく見切れ席だったうえ、配役変更や新キャラ登場!という博多座公演を楽しみに、6日夜と千穐楽、2回観劇しました。
そして…「博多座公演前までには原作本で今度こそ予習する!」という誓いも果たさず、またしても『ワンピース知識ゼロ』で臨んだ観劇。 スッキリと解りやすくなった部分、新キャラ登場により新に追加された部分、更に膨らませてクドくなった部分…いろいろとテンコ盛りでしたが『原作ファン』には総じて好評で、博多座公演は大入り…ということで、大成功おめでとうございます♪ 10月にはシネマ歌舞伎上映決定☆

地方公演は福士誠治さんから配役変わって平岳太さん@エース。 グッと大人な感じで“心に抱えている闇が深い”印象。 スタイリッシュなニヒル兄貴です。  故に死に向かって行く突き進むかのようなラストへの意気込みと悲壮感が背後から立ち上っているような気迫に圧倒されました(福士エース=陽、平エース=陰って感じ)

尾上右近さん@マルコ/サディちゃん 博多座では初の“逆宙乗り”(3階鳥屋口〜1階花道へ)は初めての事(猿之助さんの“斜め宙乗り”も)。 演舞場ではなかった演出だったので、気が付いたら隣で浮遊してたんでビビったわ!  そして新登場のサディちゃん、右近さんの受け口にテラテラの口紅が艶かしく、ご本人ノリノリ。 意外にもムッチリとした体型に、ショッキングピンクの総スパンコール衣装は猥雑な色気もあり。 演舞場で存在しないお役だった…って事は、原作では重要キャラではナイのかな? 強烈な印象に残るポイントキャラになってました。

他に気になった役者さんは…冒頭の人魚ケイミー、ずっと猿紫さんと思ってたら猿珠さんだった!(演舞場、見切れてたからな!) どっちでも可愛い、うん。 寿猿さん@アバロ・ピサロ竹三郎さん@ベラドンナ、お二人とも“お二人じゃなきゃ”なお役じゃナイのに『若者の本気のお遊びに付き合わさせている爺二人』って感じで…お疲れさまでした。 なんか、見ててとっても申し訳ない気持ちになってしまった…。

他に演出で変わっていた点は『ハンコックが小林幸子仕様』に! うん、盛り上がるものはなんでも取り入れようという、サービス精神に溢れた心意気、イイと思う!  あと『この曲でよく宙乗りできるなぁ…』となんとも間の悪さを感じていた、ゆず曲をBGMとした宙乗りは“ライブ会場仕様”に仕立てる事で、客席のノリを煽ってクリア。 結構、一緒に歌を口ずさんでいる人もいて驚きました。
とにかく芝居がはねた後「あ〜、面白かった」と口々に言っているお客さんが多かったのは素敵☆ 「6月の古典歌舞伎も是非観てね」とこっそり思ったのでありました。

劇場
博多座
日時
■2016.4.6(水曜日)/16:30〜
■2016.4.26(火曜日)/11:00〜

幻想神空海(四月大歌舞伎)【歌舞伎座】

【四月大歌舞伎】夜の部、最後の演目を幕見。 遠征前に演目と配役を見て「幕見でイイかな…」 歌舞伎座が新しくなって幕見席はまだ体験してなかったし。
久々の幕見席は、すっごくシステム化されていて、ビックリしました! チケットもハンコをパンパン押して、定規でビリッと切って渡されていた頃を懐かしむほどの美しいプリントアウトのものになっていて…。 すみません!すごく今更な感想なんでしょうけど。

ここ数年、更に意欲的に作品を生み出す事にチャレンジされている印象の染之助さんの新作歌舞伎【幻想神空海(げんそうしんくうかい)】、原作は夢枕獏さん。 筋を全く頭に入れずの予備知識なしで観劇に臨んだので、物語に入り込むまで「???」
と、時間がかかってしまった失態。

唐の国で留学中の染之助さん@空海松也さん@橘逸勢が、化け猫騒動からの発端に、唐王朝の秘事に係る事件に巻き込まれ、果ては雀右衛門さん@楊貴妃に行き着き…という摩訶不思議なファンタジー演目。
舞台美術が大掛かりで、唐の国の衣装が華やか、レーザーやスモークを使った演出も目新しく派手なんだけど…幻想世界だからか、舞台全体がず〜っと暗いうえ展開が遅く感じ、睡魔が…。  ラスト壁に文字を書く演出は「teamLabか?!」音楽の中華風味は言わずもがですが、なんと染五郎さん@空海が中国琵琶を弾き語りし、生歌披露のおまけ付き。
雀右衛門さん@楊貴妃を取り合っていた友人関係?の二人は、又五郎さん@白龍歌六さん@丹翁?  やたらと「貴妃を抱いたのじゃ〜」と言い合うセリフが異質に感じて違和感が〜。

観劇後「…で?」という感想が残る不思議。

劇場
歌舞伎座
日時
2016.4.22(金曜日)/18:53〜

舞台『黒子のバスケ』THE ENCOUNTER【サンシャイン劇場】

バスケは全く興味ナイんだけど、何故だか【黒子のバスケ】、すっごく好きなんです。  キッカケは「黒子って…?」という歌舞伎好き故のキーワードから引っ掛かり、アニメ→漫画でハマった…という経緯。 常々“2.5次元ミュージカル”も気になっていたところに『黒子のバスケの舞台化!』で、振付が川崎悦子さんとあらば、「これは遠征決定!」(この舞台は2.5次元…とは違うのかな?) 途中、群舞のような(あくまでも“ような”)ダンスが入っていたけど(皆、硬い…)演者が唄う訳ではナイので、ミュージカルの位置付けではナイのかな。

あまりの席の悪さと高額手数料のローソンチケットの販売手法に不満タラタラ、チケット購入後に『千穐楽・ライブビューイング』が発表され、地元映画館で観れるというオチまで付いて、遠征前にテンションただ落ちでの上京でしたが…結果、満足な観劇でした♪

驚いたのは客層。 98%女子! 女子! 女子! その中でも、多分、私が最年長だったのではナイかと〜。 考えれば演者はイケメン揃いで、皆さん、どうやらアニメキャラの具現化という事で夢を壊さない為か?、体毛を処理していらっしゃるようで…お肌ツルッツル(気になったのはソコ!)
きっと一番キャスティングが難しいであろう黒子テツヤ役が、アニメで声を担当している小野賢章さん、という事が功を奏しているようで、他も全て違和感ない絶妙なキャスティング。 特に田野アサミさん@相田リコはドンピシャ!!(この中にあって小野賢章さんがちょっとオジさんに見えてしまった事は秘密)

ストーリーは最初の出会いから、誠凛高校vs桐皇学園高校で敗退し「もっと強くなって次は絶対勝つぞ!」と、新しい光×影が誓い合うところまで。 原作を忠実に追った展開に、観客は“お気に入りのアノ場面”が目の前で展開される事に大いに湧きます。 バスケの表現は、実際のボールとゴールや光と音で実にうまく表現されていて感嘆! 大道具の出し入れ+その他大勢を担う“エンカウンターズ”の活躍は舞台作品の特徴で、黄瀬ファンの女子どもの黄色い声やウキウキ具合に爆笑! 緑間のラッキーアイテム“狸の信楽焼”は、演者が大きな被りモノをした巨大なもので、無言で動いていたのが面白かった! お好み焼きの表現もしかり!

原作はこの後も続いてるから続編への期待もしちゃうけど、紫原くん役なんて背格好から探すのが大変だろうなぁ…。
ともあれ、初めて“漫画原作の舞台化”を観劇、という体験をした満足遠征でした♪

劇場
サンシャイン劇場
日時
2016.4.20(水曜日)/19:00〜

美女と野獣・初日【キャナルシティ劇場】

福岡での上演は10年振りですって?! 上演決定のニュースを耳にした時、とにかくビックリ…あんなにバカみたいに通った公演から、そんなに年月が経っていただなんて…愕然。 先日の引越しの際、自分でも呆れる当時のチケットの束を思い出処分したところだったのに、また増えるの? 半券、たまっていくの?
初日は入り口から真っ赤なバラがズラリと並んで、お洒落に着飾った招待客もわんさと居て華やかな雰囲気。  キャナルシティ劇場になってから、2F客席ロビーにモニターは無くなってたけど、【ガストン酒場】のミニセットが組まれて写真スポットがありました♪

歌詞はもちろんの事、もうセリフも言えるくらい知っている演目だけど、こうして久し振りに(10年前の福岡公演の後、広島と東京でも観劇した)観劇すると…ビックリ!思いがけず泣いてしまいました!! 改めて「良よく出来た演目だ」と何度も再認識させられました。

北澤裕輔さん@ビーストは初めて拝見したのですが、2階席からの観劇だったからか、体型も相まってこじんまりした感じで怖さや威圧感が薄いものの、滲み出る優しさが前面に出る印象。 城を飛び出したベルの怪我を治療してあげる様とか積極的! しかし、やっぱり王子ヅラは誰が演じてもなかなかハードルが高いようで…。
平田愛咲さん@ベルは10年前、この劇場でBBを観ていた福岡出身の方だそうで!(私も観てたんだけどなぁ)  歌に全く心配がなく、これからの進化に期待大!(残念ながら彼女のエポニーヌは観ていない)
一番の喜びは種井静夫さん@モリース!! 可愛い☆かわいい♪カワイイ! まん丸でマンガのキャラクターが抜け出たみたいなパパ! 歌うと一気に威厳+荘厳な感じさえ…なんですが、カワイイ!

他のキャストは、またの観劇時に。
そして…カーテンコールは慶太が劇団を去ってもスタイルは変わらないのね。

キャスト
ビースト:北澤裕輔/ベル:平田愛咲/モリース:種井静夫/ガストン:髙橋基史/ルミエール:岩城雄太/ルフウ:村山 剛/コッグスワース:青羽 剛/ミセス・ポット:遠藤珠生/タンス夫人:織笠里佳子/バベット:小川美緒/チップ:松木菜美/ムッシュー・ダルク:川原信弘
劇場
キャナルシティ劇場
日時
2016.3.13(日曜日)/13:00〜

放浪記【博多座】

森光子さん主演の放浪記を博多座で過去2回観劇しましたが、ストーリーがあまりにも暗く、観劇後にど~んよりした気持ちを引きずる作品なので、もう二度と観ることはナイ!…と思っていましたが、主役の芙美子をバトンタッチで演じるのが仲間由紀恵さん、とあらば「ここはマルッと観なくては!」
博多座初お目見え、私も“初・生・仲間由紀恵さん”、作品の印象も変わるのでは…と期待して観劇。

仲間さん主演という事で、周りのキャストもガラッと若返えって、以前感じた…もっとジメッとした湿気のような、救いのない僻み根性のような、人間の荒んだ気持ちを広げてみせられるような色は薄れていた印象。 それでも、舞台転換の合間にスクリーンに写し出される写真と朗読される詩に、何度も暗い気持ちに引き戻されるのだけれど…。 羽場裕一さん@白坂五郎が口にする「芙美子の詩はゴミ箱をかきまわして、ぶちまけたような作品」というのは、ウマイこと言うなぁ…と。 この詩に触れると、救いのナイ深みにどんどん沈んで浮上出来ないような暗い気持ちにされられます。

仲間由紀恵さん@林芙美子は、カラッとした陽の部分は弾ける感じで公演。 作品名物“でんぐり返し”→“側転”のシーンでは、喜び爆発の様子を体いっぱいに表現している様が自然でイイ感じ☆ だけど芙美子がブサイクな女性として揶揄される様には、どう見たって美人なだけに説得力がナイなぁ〜!
若村麻由美さん@日夏京子は好演! 私、大好きな女優さんでもあるので多少贔屓目ですが、この役柄にすごくハマってる! 次々と変わるファッションも目に楽しく、全体的にどんより〜としたカラーの作品の中にあって、鮮やかに華を添える感じ。
村田雄浩さん@安岡信雄が好演で、彼の提供する笑いに随分救われました。 窪塚俊介さん@福地貢は、体も精神も病んでいる様が見事に表現されている暴君ぶりで印象深かったです。 他の主なキャストは永井大さん@藤山武士福田沙紀さん@悠起

作品の全体的な感想は「どうしてこんなに暗い作品が何度も再演を重ねる人気作なんだろう?」と私の理解の範疇を越えるものには変わりはありませんでした。

劇場
博多座
日時
2016.1.23(土曜日)/16:30〜