美女と野獣【京都劇場】

7年前に福岡シティ劇場で上演された際は、何故だか見逃してて…観たいなぁ、と思っていたところに京都劇場での千穐楽が発表されたので、この機会に無理して足を伸ばしてきました(その後、福岡公演が決まったのですが~)
舞台美術や衣装の素晴らしさは写真や話で想像はいたけど、百聞は一見にしかず! アニメーション映画を再現を忠実に行っている事と、衣装さんの職人魂を垣間見るすばらしい拵えに驚嘆 セットもおとぎ話のイメージそのままに夢見るように可愛らしく、豪華で…小さな女の子だったら「お姫さまになりたい」って思っちゃうんじゃないかな?
キャラクターの中でも田島雅彦さん@ガストンは、もうアニメーションから抜け出てきたのかと思うほど“ガストン”でビックリ あの肉体美を保つ為に…日々鍛錬も大変あだろうなぁ、とか雑念がよぎりました。
役者さんも好きだという“図書館のシーン”はホロッときちゃいました~。 圧倒的な蔵書がズラリ…美術さんの心意気が拝見できる素晴らしい本棚。 その前で通い合う二人の心。 素敵なシーンですね♪
ビースト~王子への変身シーンでは、前回私が柳瀬さんを拝見したのは神様(ジーザス・クライスト=スーパースター)だったので、“神様降臨”という神々しい印象でした。 王子様の衣装、あれが似合う日本人男性は…なかなか居ないでしょうね。
とにかく楽しくて夢見るような可愛い舞台で、終演後子供たちが口々に「面白かったね」という言葉を聞いて「5月からの福岡ロングラン公演がどうぞ成功しますように」と祈らずにはいられませんでした。

青い旗キャスト
ビースト:柳瀬大輔/ベル:坂本里咲/モリース(ベルの父):松下武史/ガストン:田島雅彦/ルミエール:青山 明/ルフウ:遊佐真一/コッグスワース:吉谷昭雄/ミセス・ポット:岩本潤子/タンス夫人:武 木綿子/バベット:竹村千穂/チップ:川良美由紀

アイ-ダ【大阪MBS劇場】

【Song&Dance2】で照明に感動していたら「だったら是非【アイ-ダ】を観てみて」と薦められたので、観劇(もともと古代エジプトものは美術的に好き)。
最初と最後が現代のシーンとしてリンクしていく部分などは映画的手法で面白いですね! 冒頭のシーンでスコーンと舞台の世界にハマりました。
濱田めぐみさん@アイーダ“ヌビアの女王”という意思の強さと凛とした気高さを感じさせ、さすがの歌唱力も圧巻だったけど、驚きだったのはそのヴィジュアル。 “ヌビア人そのもの!”…って、実際のヌビアの人を知っている訳ではないけれど、私が持っているイメージそのままで、メイクや衣装さんの力もあるんでしょうけど、やはり濱田さんの演技に負うところが多かったと思います。 特に、森川美穂さん@アムネリスの髪を梳くシーン、自分も同じ女王としての立場から彼女の気持ちに沿って語りかける時の表情が印象的でした。
実は私、森川美穂さんって、あの“歌手の森川美穂さん”って判っていなかったので(劇団四季は四季の役者さんだけかと)まず驚き、「やっぱり歌の上手い人だなぁ」という印象を新たにしました。 今後は本田美奈子さんのようにミュージカル女優として活躍の場を広げていらっしゃるのでしょうか? 楽しみです。
一番好きだったのは“お風呂のシーン” 背景の水槽のようなところで泳ぐ?侍女やその登場シーンなど、本当に暑い蒸すスチームの中に共にいるようで、彼女がつける香油の匂いが漂ってくるようで、とても好きでした。【お洒落は私の切り札】はガラッと雰囲気が変わって楽しいですね♪
舞台美術はあまりセットを作りこむ訳でもないのに、シルエットや照明でエジプトの太陽の熱や土埃、ナイルの川の匂い、石の冷たさなどを感じる事が出来(行った事はナイけどね)、感動感動 特に葦?のシルエットの前で壷を頭に乗せた侍女たちの静かな群舞は、影絵のようでエキゾチックで素敵でした。
ラストシーン、黒い幕でどんどん視界が狭くなっていく手法は、二人と一緒に埋められたような圧迫感とせつない想いが圧縮されたような効果があり見事でした! あの手法、考えた人スゴイなぁ…。
この舞台、通える劇場での上演だったら…多分、相当通ってしまう事間違いなし!

青い旗キャスト
アイーダ:濱田めぐみ /アムネリス:森川美穂/ラダメス:福井晶一/メレブ:有賀光一 /ゾーザー:大塚俊/アモナスロ:川原洋一郎/ファラオ:岩下浩(劇団民藝)

マンマ・ミーア!【大阪四季劇場】

お江戸遠征はいつもギリギリの日程しか組んでいないので、歌舞伎座と海劇場が徒歩移動も可能な距離と知りながら、なかなか観劇のチャンスがなく、無理して行こうと心に決めてみると千穐楽が決まりチケットはSOLD OUT状態! で、結局『毎年1月は松竹座で歌舞伎♪』が恒例な私、その大阪遠征に合わせて大阪四季劇場の柿落とし公演でやっと観劇する機会を得たのでした。
実はABBA好きの小学生だった私。 近所のひとつ上のお姉ちゃんが、当時カーペンターズをはじめ、ABBA、アラベスク、そしてノーランズ…と聴いていたので、その影響で最初の洋楽かぶれらしき洗礼を受ける? その後、時を経てカルチャークラブ、デュランデュラン、JAPAN(全てヴィジュアル系だな)などに移っていくんですが…と、そんな私の洋楽歴はどうでも良いですかね?
…なので日本で劇団四季が上演する前から『全曲ABBAの曲のミュージカル』という事で、えらく興奮したものでした。 まず歌詞が日本語という事に興味があったし、『舞台はエーゲ海でABBA』の曲ってのがどうしても頭の中で結びつかなかったから(スウェーデン出身=寒いイメージ)興味深々だったんです。
で、舞台は…と言いますと、観たい気持ちが高まり過ぎていたのが悪い方に作用したのか?「あれ?」という感じでした。 プロモーションビデオ等で観ていたそれぞれのシーンがようやくストーリーとして繋がったのでスッキリはしたのですが、う~ん。 主演のお三方はさすがに歌は上手く、群舞も迫力があってコメディタッチな部分、ホロリとさせられる部分…それぞれ従順に反応して、カーテンコールでは立ち上がって一緒に歌って踊って…の観劇だったのですが、観劇後時間を経てみると…「あれ?」という感じででした。
「それは何故か?」とず~っと考えていたのですが、“太陽の熱と潮の香りがしない”という事でした。 海を感じさせるセットだったり、小道具だったり、衣裳だったり…は当然あるものの、舞台からは潮の香りがしない…。 別にお話しの舞台がエーゲ海でなくても成立するストーリーのような気がして、私の中では違和感が残り、消化不良でした。

青い旗キャスト
ドナ・シェリダン:保坂知寿/ソフィ・シェリダン:樋口麻美/ターニャ:森 以鶴美/ロージー:青山弥生/サム・カーマイケル:渡辺 正/ハリー・ブライト:明戸信吾/ビル・オースティン:野中万寿夫/スカイ:鈴木涼太/アリ:沼上麻子/リサ:宮崎しょうこ/エディ:丹下博喜/ペッパー:大塚道人

コーラスライン【自由劇場】

映画も含めて…この作品、私は全くの初見でした。 【キリン一番搾り】のCMソングって、何故か【ニューヨーク・ニューヨーク】と混同してて(似てませんか?)、【ONE】がこの作品のフィナーレ曲というのは今回しっかりと認識した次第でございます。
なんとなくストーリーと、そしてラストの金ピカ衣裳のダンスくらいしか知識がなかったので、今回の観劇はとっても楽しみでした♪
加藤敬二さん@演出家ザックと、中山大豪さん@演出助手ラリーは置いといて…、オーディションの最終選考に残った17人のダンサー。 面白いです。
“人の数だけ人生はある”のでしょうけど、皆ひどくバラエティーに富んだ人生を歩んできてて、その語りは友達の悩みを立て続けに聞いている感じ
ブロードウェイが舞台で、いろんな人種がいる…という事からのキャラクター像なんでしょうけど、日本が舞台だったら…これほどバラエティーに富んだ17個の人生が語られたかな?と、ふと考えてしまいました。 これって各々の人物に注目して観たくなるし、役者さんが替われば、また観たくなるだろうし…という、ハマってしまったらとんでもなく通いそうな作品でした。 福岡での上演じゃなくて助かった~(お財布ピンチです!)
舞台は黒一色で床には、白いコーラスラインと番号が書かれているだけ。 セットはミラー板が様々な方向で回転したり、上下したり…とてもシンプルなもの。 それ故に、人物が舞台上により浮き彫りになって…とても感動!しながらも、スーパー歌舞伎の某作品の演出法を思い出したりしてました。
キャラクターで気になったのは、高城信江さん@コニー大平敦子さん@ヴァル
コニ-は中国系の小柄な女性で、その背丈ゆえに酉年(32才?)なのに今だに子供の役しか来ない事を気にしている。 身長151cmのチビっ子の私も若くみられがちですが、あんまり若く見られるのも考えものだったりするので、コニ-のように複雑です。
ヴァルは“ダンス10:ルックス3”の通り、ダンスの才能は抜群なのにルックスが原因でオーディション落選続きの女性。 美容整形で生まれ変わり今じゃイケイケよ!…という♪プリン~と ボイン~♪は笑いながらも「やっぱ見かけっちゃ大事なんやね~」と、しんみり思ったりしました。 だって、いくら美容整形したって151cmが170cmにはなりっこないもの! 要は元の良さも必要なのです。 う~ん…。
…と、こんな感じで観客はきっと自分の悩みに近いキャラクターに気持ちを寄せて観る舞台なのかしら?と思ったりもしました。
役者さんでは、八重沢真美さん@シーラのスタイルの良さに見とれてました! 綺麗、カッコイイ~♪
で…、結局ザックの選考基準って…何がポイントだったのでしょうか? 謎です~。

青い旗キャスト
ザック:加藤敬二 /ラリー:中山大豪/ダン:高 栄彬 /マギー:上田亜希子 /マイク:望月龍平/コニー:高城信江/グレッグ:武藤 寛 /キャシー:高久 舞/シーラ:八重沢真美/ボビー:荒川 務/ビビ:石倉康子/ジュディー:八田亜哉香/リチー:西尾健治/アル:川口雄二/クリスティン:村中ちえ/ヴァル:大平敦子/マーク:藤原大輔/ポール:田邊真也/ディアナ:木村花代/フランク:品川芳晃/ロイ:金田暢彦 /トム:内御堂 真/ブッチ:塚下兼吾/ビッキー:滝口律子/ロイス:宮内麻衣/トリシア:金井紗智子

異国の丘【福岡シティ劇場】

劇団四季オリジナルミュージカル“昭和三部作”の第一弾(→ミュージカル李香蘭→南十字星)。
舞台は第二次世界大戦後、極寒のシベリア この地において抑留されていた日本の首相の御曹司、九重秀隆が日中の和平工作に奔走した過去を回顧し“シベリア抑留”“戦争”という日本が経験してきた事実を語るストーリー。
私自身は、劇場という空間には【非日常的な夢を見せてくれる空間 = 楽しい場所】という事を期待しているだけに「教えられなかったから、知らなかった…では済まさせれないこと。自分の国の歴史は知っておくべきだと思う」という石丸さんのコメントに、かなり構えての観劇となりました。
当然、シベリア抑留のシーンは痛いまでに凍てつく大地で、辛い労働や人々の辛い心情が語られ胸が痛くなりましたが、深見正博さん@西沢の関西弁や川原洋一郎さん@大森の九州弁(何弁の設定かしら?)のもつ言葉の柔らかさで、緩和されているように思われ「方言って、お国言葉ってイイなぁ」と思わされました
維田修二さん@長老・平井の遺言は…やっぱり泣いた。 泣きました! 母親、妻、子供それぞれに対しての遺言の中で、特に妻のくだりで泣けました。 唯一血が繋がってないじゃないですか、妻は。 に、対して最後にあんなふうに夫から思われ言葉を託されるこの女性はどんなに素敵な人なんだろう、と想像させられました。 平井さん自身もそんなふうに思える心の持ち主、という事があるんでしょうけど、とっても素敵なご夫婦だっただなぁ…と。
一転して、石丸幹二さん@九重秀隆のアメリカ留学時代の回想シーンは歌やダンス、そして中国の高官令嬢・佐渡寧子さん@宋愛玲との出遭いがあり、とても美しく華やか☆ バックスクリーンに映し出される背景が次々と替わり、舞台がいろんな場面へとスムーズに転換していく手法がとても面白かった。 期待していた船上シーンは…船の動きがあまりにも速くて「高速船か?!」とビビリました(1階席観劇時。2階席からだと…ちょっとマヌケな船でしたが~)
今回、拝見できるのをと~っても楽しみにしていた佐渡寧子さん@宋愛玲、綺麗ですね 歌声も素敵…だけど、ラストの親書を届ける4人のコーラスの時など、皆と合わせると一人だけで唄っているような、一人の声だけ飛び出して聴こえてくるような印象が私は強かったです。
あと早口でたたみかけるようなセリフまわしの時って“四季ふう”ですね。 アレって独特ですねぇ あと四季って【じんせぇ~え~(=人生)】【うんめぇ~え(=運命)】って唄うのがいつも気になります(母音法の為か?)。 「そこは“い”だろ!い」と。 唄いやすいのか?響きが綺麗に聴こえるからなのか? いつもナゾです。
…と、真摯な気持ちで観ていたのにもかかわらず、英国総領事館のパーティーシーンのジョージ六世の肖像画が、どうしても巨人の星の、星一徹にソックリの俳優さん(名前ド忘れ)にしか見えず困った事と、木村不時子さん@アグネス・フォーゲル夫人が岸田今日子に見えて仕方がなかった事が密かなツボだったりしました。 ラブシーンも延々と謎な演出だったし…。
客層は、ご年配の方が多くいらっしゃってて、中にはご自身がシベリア抑留体験をされた方もいらっしゃったのかもしれません。 そんな客席を見ながら、この作品の重さを感じた観劇でした。

劇場 キャスト
九重秀隆:石丸幹二/宋愛玲:佐渡寧子/吉田:中嶋 徹/神田:深水彰彦/西沢:深見正博/大森:川原洋一郎/杉浦:宮川政洋/平井:維田修二/宋美齢:武 木綿子/李花蓮:坂本里咲/劉玄:栗原英雄/宋子明:日下武史/蒋賢忠:青山祐士/九重菊麿:山口嘉三(劇団昴)/アグネス・フォーゲル夫人:木村不時子/クリストファー・ワトソン:青木 朗/メイ総領事:高林幸兵/ナターシャ:西田有希 (劇団俳優座)