全国座長大会【嘉穂劇場】

2016・座長大会
「いつかは行ってみたい!」と思い続けて…この度、やっと初めて嘉穂劇場の【全国座長大会】に行ってきました!
今公演は【橘大五郎九州演劇協会会長襲名披露】という事で、博多新劇座で何度か拝見した事がある“橘菊太郎劇団”の座長・大五郎さんが…という事だったので「この機会に行かずして、いつ行くよ?」
しかし大衆演劇の観劇はここ数年ご無沙汰だったので、あの独特な空気感に馴染むまでしばし戸惑う〜。

2016・座長大会嘉穂劇場は他の公演で何度か行った事がありましたが『これぞ庶民がお芝居を楽しんでいる本来の姿』なんだろうなぁ〜、と思わされる客席の大らかな観劇スタイルに驚くやら、飽きれるやら、笑うやら…で忙しい。 現在、劇場での観劇時にはNGとされている事がことごとなされていて(喫煙はさすがにNG)、特に驚いたのは『舞台で役者さんが演技しているのに、その時花道が未使用時、桟敷席から花道に乗り上がって廊下として利用しちゃうお客さん』!! 「あれ役者さん出てきた?」って暗い花道に注目すると、スタスタと一般客が歩いてて、揚げ幕をバッと上げてトイレへ…って、大らか過ぎるだろ! 枡席は昔の人サイズなので小柄の私でも狭く、同じ桟敷内のおばちゃん達と決択して柵に背を付けれるように配置替え。おばちゃん大プッシュの役者さん“宝海大空”さんの魅力を解説してもらったり、気が付けば、みかんや飴をもらったり…“ならでは”の楽しみ方を満喫

2016・座長大会構成は【お披露目口上】→【舞踏ショー】→お芝居【忠臣蔵】→【舞踏ショー】
歌舞伎以外の口上って初めて見ましたが、“正装”で居並ぶ座長の化粧とヅラが「ごめん、それふざけてる?」ってなくらいの、各々が個性的過ぎるブッ飛びぶりで、しばし凝視。 おもしろい…。 最後、座長の一人が三本締めの柝を打ち、そのまま幕引きの柝まで打ち続ける…シュールだ。
舞踏ショーは、相変わらず「初めて聴いた、こんな曲」的な謎の選曲に合わせて、歌詞には全く沿わない不思議な振りと猥雑な照明、ド派手なヅラ、メイク、着物で見せるショーでは、“襲名披露”という事もあり、大五郎さんはかつて見たことがナイくらいの“おひねり”の量! お札が扇状に次々とクリップで留められてバッサバッサな胸元に。 ついには留める場所がなくなって袖口に…という具合で圧巻、盛り上がる客席! 舞台上の贔屓の役者に桟敷後方からヒタヒタと忍び寄って、おひねりをあげるお客さんは“忍者”のようで面白い。 「来た、来た、来たぁ〜!」 やんや、やんやと客席からかかる声援に、気分が高揚してきた私もかけてみたいものの、役者さんを知らないので全力の拍手で応援。
お芝居は【忠臣蔵】。 外は30℃越えですが、舞台は雪降ってます。 松の廊下での刃傷沙汰から始まったものの「えっ?!そんな脚本?」という、ビックリな端折り方に唖然! お芝居ではさすがに上手い人を揃ってる! 玄海竜二さんの息子さん、沢村菊乃助さんが三枚目の女形、舞踏ショーでは綺麗な女形で奮闘で印象に残りました。

いや〜、突っ込みどころ満載で面白かった! 久々に博多新劇座にも足を運びたくなりました♪

2016・座長大会

出演者
藤 仙太郎/荒城 照師/藤美 一馬/里見 要次郎/葵 好二郎/南条 隆/姫 春之助/滝 夢之助/宝海 大空/一条 こま/橘 大五郎/二代目・藤ひろし/大島 竜志/司 大樹/沢村 菊乃助/都 京弥/筑紫 桃之助/三代目・小林 隆次郎/姫 金之助/錦 蓮/市川 市二郎/千澤 秀/梅田 英太郎/玄海 竜二
劇場
嘉穂劇場
日時
2016.9.10(土曜日)/17:00〜

橘劇団・昼の部【博多新劇座】

この劇団公演以来の1年振りの博多座新劇座です。
連休中日という事でそれなりの賑わいは覚悟していましたが、団体予約が入っていて…当日、開場と同時に入場して…ギリギリ座れた!という大入りの客席(団体は後ほどゆっくり入場) 私がこの劇場で観劇した中で、一番の入り☆ フルキャパが270名(だったかな?)だそうで、あともうちょいだったようです(いや、これ以上は防災上危険な気が~)
舞台はお馴染みの三部構成。

顔見世ショー

…の前に若手が幕前で数名紹介があり、ショーへ突入。 もう顔を知っている役者さんも増えたので、あ、この人居たね…と確認しながらの観劇。 やはり全体通して観るとこの劇団には「これはちょっと…」という人が居ないので安心して楽しめます

遠山の金さん

お芝居はTVでお馴染みの…で期待は高まりましたが、今イチってか今サンくらい残念でした。 いわゆるお決まりの…なんで「キタキタ~」感はありましたが、本かなぁ? 観劇後、筋を思い出せないくらい印象に残りませんでした

歌と踊りのグランドショー

ラストは見応えたっぷり☆ いつも楽しみにしていた三枚目キャラの橘夫美若さんの御出演が本日は全くなく、ここでの登場を楽しみにしていましたが…残念! 若手の方がお面を付けたりして奮闘されてました。 前座長・菊太郎さんの【吾亦紅】は墓石の前でバッチリクールに決めていたと思えば…墓石をクルリと回せば【菊之墓】と。 客席のおばちゃん大爆笑! いつもこの劇場で思うのは、TVで仕込みやSEで使われる“おばちゃんの笑い声”がリアルで生で聞けるのはスゴイな、と。 ホントにあの通りに笑うんだもの~。 つられてついつい笑ってしまうのは大衆演劇ならではの楽しいところ。 現座長・大五郎さんは女形に多く挑戦されていて、どれも美しさと迫力がましていた印象。 ラストは豪華絢爛【二人花魁】。 歌舞伎に劣らない豪華絢爛の拵えを二人分揃えることが出来る劇団の力にもうなりましたが、大五郎さんの堂々とした所作に見入りました。 が、菊太郎さんの適当な所作と綺麗じゃない花魁はちょっと怒りをおぼえるほど(勘弁してくれよ…)
…とは言え「あ~、楽しかった♪」

橘菊太郎劇団・夜の部【博多新劇座】

初めて大衆演劇というのを観たのは三年前で、この橘菊太郎劇団。 それから数えてこの劇団を観るのは今回が三度目。 座長、若座長以外にも顔を覚えている役者さんが今年も奮闘中…とあらば、応援したくなるのが心情。
今回は「是非一度“生の新劇を観て欲しい”」と常々思っていた同僚二人をお連れしての観劇。 やはり最初が肝心!と、私が観た数少ない新劇の劇団の中で、平均的に安定している橘菊太郎劇団がイイだろう…と考えての事。 最初は雰囲気にのまれて戸惑っていたようでしたが「面白かった」と概ね好評。 1900円で3時間15分の毎日違う舞台…にビックリ。ホント、どうやって儲けを出しているんだろう?…といらぬ世話ですが、毎度心配になるほどのサービス満点ぶり。

本日は三部構成で第一部は【顔見世ショー】で、団員が自己紹介よろしく曲に載せて踊りながら登場♪…でテンション↑
第二部のお芝居は【お家騒動けんか旅】。
とある武家の奥方が悪妻で、家の用心棒の“先生”と結託して自分の夫を亡き者にしようと策略。 実子である娘や主人に忠実な奴を疎み追い払い、果てはは刺客まで出すし始末。 娘と奴はこの悪事を伝えようと奔走する中、人情に厚い股旅に出会い力を借りてお家乗っ取りを阻止する…ってな感じのお話(確か。観劇から時間が経ちすぎてかなり忘却)
なんかいろいろ唐突で「は?」と驚かされる事が多かったけど、ベタベタなお話しで可もなく不可もなく。 でもやっぱりこの劇団は役者さんが揃っててお芝居は皆安定しているから観やすい印象。 本日は客席のスポンサーの○○生命の方が観劇との事で、劇中度々「生命保険は…」「保険をかけるなら…」と社名を連呼。
第三部の【魅惑のショー】では、この劇団で初めて子役ちゃんを観ました! 小学生…低学年でしょうか? 一生懸命“シナ”を作って踊る様に、子供の頃からこういう環境で役者として育っていくんだなぁとしみじみ。 橘良二さんは…なんか化粧が変に険しくなっていて残念。 前の方がよっぽど男前だったのに~。 橘大五郎さんの女形は色気が増した印象。 うん、綺麗。
特筆すべきは、本日午前中に来月の博多座サブちゃん公演記者会見の為、来福していた沢竜二さん特別出演。 劇団に対するエールを送り、三曲ほど熱唱。 シンプルな着流しにおよそ不釣り合いのキラキラキラキしためっちゃ大きな光る石を輝かせ「え~っ…と。その趣味はいかがなものか?」 しかし曲中にセリフがあるものには「さすがプロの役者」と感心! なんか…曲中のセリフって聞いてて寒い感じがしませんか? それがいっさいなくて聴き入る感じでビックリ。
そして…ラッキーだったのはショーのラストに【白浪五人男】が! 昼の部ではいろいろと手際が悪くて失敗だったらしいけど、夜の部はキマッタ! 橘歌舞伎っていうんですね~。 いわゆる土手の勢揃いは障子に名前が書かれていてそこから出てくる…というもので並びもビミョ~に違う。 でも衣装や鬘も頑張っていて遜色ナイ! 立廻りはロック調のBGMで激しく立ちさ様は新鮮☆ 日本駄右衛門が座長の為、独りすごくめだつ演出となっていましたが、捕り手達が客席から御用後用とわらわらと現れて、本格的。 めっちゃ得した気分でした!

観劇を終えて知った事。 以前、市川亀寿さんに似ている~と印象に残っていた橘浅太郎さんは今春急逝されたそうで…合掌。

近江飛龍劇団・夜の部【博多新劇座】

大衆演劇って一度観てみたいと思ってるけど…」と気になりつつも触れる機会がなく…という友人4人を引き連れて、私、4度目の博多新劇座に行ってきました♪

近江飛龍劇団に関しては何の情報もなく、劇場のチラシに掲載されたド派手な拵え写真と『ハイテンションなパフォーマンス!』というキャッチコピーで「これなら“ザ・大衆演劇”を観られそう♪」と観劇を決定!
この劇団自体、博多新劇座での公演が数年振りだそうで、初日の幕が開いた時は「誰?この役者…」というシラ~ッとした反応と冷たい目だったらしく、それからの奮起で千穐楽間近のこの日は固定客も掴んで“ハイテンション”のコピーに偽りなし!の舞台でした。
とにかくトークやお笑いのセンスがさすが大阪の劇団!ってな感じ。 芝居やショーも“笑いを取ってなんぼ”ってなトークが冴えでしゃべる、しゃべる、しゃべる~。 少ない団員は若手が多く、座長が大車輪…な劇団である印象。

三部構成で、一部は団員紹介の【舞踏ショー:1】。 男性陣がそろってガッチリムッチリ系で二枚目不在汗、でもって女性陣がヅカ男役のようなクールビューティーが揃ってる…という不思議な団員構成の印象を私は受けました。
二部はお芝居【どぶろくの辰】。 驚いたことに現代劇でした(と、いっても500円が大金の時代だから…昭和初期?) 友人には“ザ・大衆演劇”なチョンマゲ時代劇を見せたかったのでかなり残念でした~。 ストーリーは山場で働く口は悪いが根はイイ奴の辰が、借金で苦しむ同僚の為に自ら悪者となって発奮させ幸せの手助けをする…という人情芝居。 …面白くナイ。 美佳さんは声が良く“舞台女優”って感じで◎
三部は【舞踏ショー:2】。 やっぱり…座長、副座長の女形が綺麗じゃナイ…ってのは痛いなぁ~、と。 ま、そこはド派手衣装と演出でカバーなのですが。 大輔さんの赤鬼?は劇団☆新感線っぼいバリバリロックな感じの演出で見応えがありました! 「ん~、全体的にちょっと微妙だなぁ」と思っていた所に、初日に大好評だったという事でリクエストのあった【飛龍ドラゴン太鼓】で〆。 舞台に居並ぶ団員は和太鼓で脇を固め、センターの座長はドラムセットで叩きまくる圧巻の迫力。 これは凄かった~♪

大衆演劇というのは劇団によってカラーやその力量が大きく違うものなんだなぁ、と感じた今観劇でした。

橘菊太郎劇団・昼の部【博多新劇座】

私が大衆演劇観劇デビューしたのは2007年夏。 その時の劇団がこの【橘菊太郎劇団】で、それ以来のこの博多新劇座での劇団公演(多分…)。
初めて観た!と言う事で強烈な印象が残っていたのが一番の原因ですが、森山未来、坂東亀寿、市川染五郎…に、顔や雰囲気、声が似てる!(と勝手に思って観劇中に大盛り上がり)団員さんが居て「また観たい☆」と思っていた劇団でしたので、楽しみに観劇♪
久々の博多新劇座は開場前からディープな雰囲気が漂い「そう!そう!この感じ♪」と観劇前からテンションが上がる~☆
客席は桟敷を含めて満席で、おばちゃん達の笑い声もドッカン!ドッカン! まるで通販番組や海外ドラマの“笑い屋”か?ってな笑い声がリアルで聞ける空間って…そうそうナイですもん。

本日の構成は三部。
一部は【若手顔見世+ミニショー】。 頭は羽二重のまま、襦袢姿のまま?な感じでズラリと居並んだ若手団員達の自己紹介。 これは本格的に舞台の前にある事によって「あ!さっきのアノ人」ってな感じで親近感を持って観れるという効果あり。 “中国マフィアの物真似”はナイス!
二部は芝居【出世茶碗】。 茶屋を営む夫婦が、腹を空かせ行き倒れ寸前のお薦(=乞食)姿の兄弟二人(実は大店の跡取り息子だった)に、無償でうどんを振る舞った事からはじまる物語。 恩義を感じた兄弟は各々に身を立て直し五年後に再会と御礼を果たそうと奮闘。 二人は立ち直る気持ちを鼓舞する為の品のとして、振る舞われたうどんの茶碗を茶店の主人から貰い受け…という人情芝居。
若座長・大五郎さんが三枚目の茶屋の亭主を演じていたのですが、これが上手い! 嫌みのナイ達者な演技で客席の笑いを誘う。 兄弟の兄役・良二さん(森山未来似)はスッキリ、キリリと二枚目で芝居も上手い。 弟役・浅太郎さん(坂東亀寿似)は…芝居が口跡が…残念。 奉公先の娘役は、もうちょっと初々しい女優さんが良かったかと~汗
とにかく若座長の芸達者ぶりに湧いた客席でした。
三部は【レビュー・ショー】。 演者を紹介する手天の声・進行役の独特な節回しは健在で、テンションが上がります♪
本日は筑紫桃太郎一座より座長がゲストで出演(濃すぎて…“私は”かなり苦手なタイプ汗
若座長・大五郎さんがリリースしている持ち歌では「大ちゃぁ~ん♪」と氷川きよしライブよろしく客席からコールが。 いゃ~、めっちゃ楽しい☆
舞踏ではヅカの羽扇子のような大扇子を手にした二組のカップルを従えて、女形で妖艶に踊る大五郎の舞が印象的でした。 あのアゲ嬢のような重たそうなズラで、アレだけの海老ぞりは立派! カッコイイ立ち廻りにそぐわないBGM3連発でノリノリの若座長。 ナイスで~す♪
そして…前回、フル回転の活躍だった夫美若さん(=声が市川染五郎似)は、本日は芝居での登板は全くなく、ワンマンショーも一曲のみで残念。 しかしそれは期待通りの色物でハイテンションの弾けっぷり☆ 免疫なかった人はちょっと引き気味だったようで~汗
いや~、やっぱこの劇団は粒ぞろいで楽しい♪と思った観劇でした。 ホント楽しかった☆
パソコン 橘菊太郎劇団