六月博多座大歌舞伎・昼の部【博多座】

寿猩々

片砂切が鳴って幕開くと、ズラッと居並ぶお囃子方。 なんだか観ているこっちも背筋がピン!としてきて「観るぞ~!」と気合いが入ります。
梅玉さん@猩々。 抜き足や流れ足…といった足さばきが、観ていてウキウキするような面白さ♪ 水の上をほろ酔い気分で歩いている情景なんだそうですね。 ちょっとアルゼンチンタンゴっぽい素早い足さばを交互にして後ずさっていくの様にはビックリ。 梅玉さんの舞踏のイメージって、優雅にゆ~ったりと踊る…のしか拝見したことなかったので。
翫雀さん@酒売り。 うん、綺麗です!(激しく贔屓目?)

金閣寺

魁春さん@雪姫って、ホントとっても愛らしいです。 朱鷺色のお着物がとっても似合ってる♪ 縄で縛られて肩を揺らして一生懸命ほどこうとする所がかなりツボでした。  鴈治郎さん@此下東吉翫雀さん@佐藤正清が二人並んで花道登場、ってのは、すっごく嬉しかったです♪ 桜の木をスルスル…と登る鴈治郎さんに「さすがお初17才!」とその若さに感服いたしました。
信二郎さん@松永鬼藤太。 今月、信二郎さんは赤っツラのこの一役だけなので、白塗りのイイ男役でもなんぞ拝見したかったなぁと思いました~。
やはり金閣寺が大ゼリで上下するなど舞台機構や、雪のように降り注ぐ桜の花びらは生で観ると圧巻ですね! “これぞ日本の美”…という感じでウットリ~

口 上

大広間をイメージしたセットの襖、引手まで家紋があしらってあって…色も優しくて素敵です。
皆さん、ほぼ真面目なお話で「夜の部も観てね」という程度のご愛嬌。 唯一、翫雀さんが「天神や中州へのお供には是非私も連れていってください~」くらいかな? あと、孝太郎さんの口上…というか正装姿も初めて拝見しました。 今公演では魁春さんと孝太郎さんのお二人だけ女形さんの正装なので目立ってます。

お江戸みやげ

今公演って『梅玉さんが5役でフル回転』という印象は強くあったのですが、『時蔵さんが立役をされる』という事は全く頭に入っていなかったので、その登場と艶やかさに衝撃☆  時蔵さん@阪東栄紫にみとれる、芝翫さん@お辻…のように見入ってしまいました! 時蔵さんファンには嬉しい今月の博多座公演ではないかしら?
芝翫さん@お辻、富十郎さん@おゆう絶妙のコンビぶりは予想以上にかわいらしくて素敵☆  ただ…富十郎さん、プロンプ入りすぎ…。
孝太郎さん@お紺は、好きな人と二人の世界しか目が入らず、自己中心的な感じの浮かれようがとっても良く出ていたと思います。 スネたり、甘えたり…栄紫と一緒に「よしよし」と言いたくなる可愛らしさ。 その分、お辻さんのせつなさが引き立って、ラストはしんみり…しちゃいますね。

サウンド・オブ・ミュージック【博多座】

映画は大好きな作品で何度も観ているし、音楽ももちろんどれも好きで、中でも好きなナンバーは【私のお気に入り】。 JRの『そうだ、京都行こう』 キャンペーンでもいろんなアレンジがされてBGMで使われていますよね☆  今回の舞台では『私の好きなもの~♪』という歌詞で唄われていて、私的にはしっくりこなくて残念だったんですが…。
舞台は初観劇でした。 が!大地真央さんは5/25夜の部公演で“マリア役・350回目”を迎えた…という人気の舞台のようです。
私自身、今回一番の目的は今井清隆さん@トラップ大佐。 1月にはレ・ミゼラブルで博多座にご出演されたばかりで、再びご来福♪ 厳格な父親からマリアと出会って本来の自分を取り戻す…という大佐のイメージがビジュアル的にもピッタリとハマっていらっしゃいました。 でもって…やっぱり歌に聴き惚れてしまいます! 地元でオーディションで選ばれた子供達の活躍はそれは愛らしくて見事なものでしたが、やはり今井さんが唄うと『これぞミュージカル!』ってな空間になります。
大地さんは、相変わらず『私か主役よ!』オーラはさすがでお美しいのですが、私的には肝心の歌がどうしてもしっくり来なかった…。 演技も前回博多座で拝見した【マイ・フェア・レディ】のイライザと大差なく、“大地真央”でした。 ご自身のオーラが強すぎて、観劇していてもそのキャラクターとして入っていけないのかなぁ…私 。
杜けあきさんは2000年7月の博多座公演【出雲の阿国】以来の拝見でしたが、お美しい…。 お金持ちで頭も良くて、ちょっぴりプライドも高くて…というキャラクターにピッタリハマってました。
全体を通して感じた率直な感想は「もっと歌で舞台に引き込んでほしかった」。 ミュージカルですもの…さすがプロ!な歌を聴かせてほしかったです。
今回、博多座の客席には親子連れがものすご~く多かったのには驚きました! 子役さんのお友達なのか? オーディションで落選した人なのか? 客席がとっても微笑ましい博多座にニッコリな観劇でした。

二月花形歌舞伎・お染の七役【博多座】

筋書には“登場人物相関図”が入っていて、歌舞伎初観劇の同僚への説明に大助かり♪ コレは保存版ですな。
愛之助さんの鬼門の喜兵衛は福助さんからのご指名だったそうで、今公演が初役。 …という事でコレをお目当てに遠征の方も多かったようです♪

序幕・柳島妙見の場

この場だけで、お染→久松→竹川→小糸と早替りで一気に観客を引きつけた福助さん。 博多座の客席は素直すぎるほど、どよめく、どよめく~。 「はやっ!」「スゴっ!」…と思わず口をついて出る言葉があちこちで聞かれ、福助さんはさぞ気持ちイイだろうなぁ…と思って観ていました。
中でも一番似合うなぁ…と思ったのは芸者小糸。博多献上帯を粋に締めた、ちょっとハスっぱな感じ(失礼!)がイイ感じ。高麗蔵さん@油屋多三郎とのやり取りも一番生き生きしていたような~♪ 竹川の…足袋が最後まで気になってしかたがなかった私でした。 アノ足袋は“早替り仕様”なのかしら? 個人的には亀蔵さんのご出演に驚喜したものの、百姓久作だなんて…もったいない~と不満が残りました。橘太郎さん@番頭善六には満足。

序幕・橋本座敷の場

この場での早替りが一番大変なのでは?! 話の筋カットしても良さそうだけど、きっとお客さんの目を楽しませる場なんだろうな、と解釈。

序幕・小梅莨屋の場

土手のお六って…七役の中で出演時間が一番長いそうですね。主人公のお染ではなくって~。タバコ屋、繕い物屋、そしてゆすり屋?!といろいろな家業を営む生活の様がセットに色濃く表現されていて面白い。
愛之助さん@鬼門の喜兵衛は線は細いけれど、声にスゴ味があって◎でも私の笑うツボ「タニシの木の芽和えよぉ」というセリフは何故だか笑えず残念。亀寿さん@髪結の亀吉の手際や道具がとっても面白かった ~。毎回凝視してました!でも…亀寿さんは今公演コレだけのご出演。もったいなさすぎ!

二幕目・瓦町油屋の場

ふぐを食べて死んだと思っていた福太郎さん@丁稚久太の猛特訓?!した博多弁の聞きどころ。気のせいか初日が一番上手かったような~。 お灸を 据える橘太郎@番頭善六は♪燃焼系~ 燃焼系~ アミノ式♪ なんでだろう~ なんでだろう~ ♪ と自慢の喉をまたもや披露?!で笑いを取る。 ずっと後ろ向きで控えているお六@福助さんの肩が震えているのを見逃さなかったわ!

二幕目・瓦町油屋の座敷の場/土蔵の場

福助さん六役目の母・貞昌。ついたての陰でめまぐるしく かわるお染。袖の使い方などに感心していると…セットがガーッと上がって建物の1階部分が見える。 こういうセットの工夫が歌舞伎の大好きなところのひとつ!  どうみても喜兵衛の方が強そうだけど、久松がフニャフニャと立ち廻るのもキャラクターの違いが出ていて面白い。

大詰・向島道行の場

籠を使っての花道での早替わりに観客は動揺。ギリギリまで籠の中から客席に愛想を振りまくお染の演出にいつもながら感心。三階席から観ると手法はバレバレだけど、同じ目線で観てるとビックリだろうなぁ…。
でいきなり七つめのおなく お役・許嫁お光登場。 初めて観た人はイヤホンガイドがナイとこの人は一体何なのかは理解不可能だろう。 松緑さん@船頭長吉と亀治郎さん@女猿廻しお作の踊りは、微笑ましい。 ココでもやっぱり亀治郎さんの踊りに釘付け。

そして…待ってました!のお六の大立ち廻り。福助さんは家紋の首抜きで成駒屋と染められた着物で粋~。絡む船頭たちの手には“なりこまや”と書かれた番傘。舞台いっぱい広げられるととっても華やかでした。切口上で 「まず今日は…」でどうしても笑いが起こってしまう博多座でした~。

福助(油屋娘お染・丁稚久松・許嫁お光・芸者小糸・奥女中竹川・土手のお六・後家貞昌)
/愛之助(鬼門の喜兵衛)/亀蔵 (百姓久作)/亀三郎(山家屋清兵衛)/亀寿(髪結亀吉)/高麗蔵(油屋多三郎)/錦吾(鈴木弥忠太)/橘太郎(番頭善六)/松緑(船頭長吉)/亀治郎(女猿廻しお作)

二月花形歌舞伎・弥生の花浅草祭【博多座】

昼&夜、同一狂言…という事で、昼のみの1回公演日が多く“歌舞伎ビギナー”を対象にした楽しいイベントや、地元テレビ局へのご出演などを精力的にこなされていた花形役者の皆さん。
2/3は櫛田神社での【豆まき神事】、川端商店街での【お練り】。 その日の夜は【KABUKI NIGHT Vol.2】で福助さん&愛之助さんのトークショー、という役者さんにとってはハードな1日でしたが、歌舞伎ファンにとってはたまらなく嬉しい1日でした。 特にトークショーでは福助さんが様々な趣向をこらして企画され、ちょっと中村座ふうの演出もあって参加者は大満足の思い出に残る楽しいイベントでした。
また、昨年につづいて“子供歌舞伎教室”的な【レッツかぶきング】という催しがクローズながらも2週に渡って行われ…、また学校対象ながら【歌舞伎のみかた】というイベントも行われ、これでは亀寿さんの解説、愛之助&亀三郎&亀蔵の【茶壷】が披露されました。
今公演で間違いなく“地元歌舞伎ファン”が確実に増えたはず! 実際、私も「一度歌舞伎を生で観てみたいけど、まだ観た事がナイ」という同僚を幕見に引っ張って行き、見事“歌舞伎のぼせ”と変貌を遂げさせました?!

弥生の花浅草祭

スーパー歌舞伎以外では初めての博多座ご出演の亀治郎さん。 私自身は亀治郎さんの女形はちょっと苦手で印象が薄かったのですが、今公演ですっかり“亀治郎さん=女形”のイメージの方が強くなってしまいました。なんといっても手の、指先の動きのしなやかさに見とれてしまいました~。
松緑(武内宿禰・悪玉・国侍・獅子の精)/亀治郎 (神功皇后・善玉・通人・獅子の精)

神功皇后と武内宿禰

山車人形の“神功皇后”と“武内宿禰”。やっぱり舞踏はイヤホンガイドがナイと辛いなぁ…と思う、情景でしたが“宇美”“香椎宮”という馴染みの名を耳にしてちょっと親近感。 ココでは人形…というのは言われないと判らなかった~。

三社祭

うって変わってコミカルな楽しい舞踏。漁師の最初のフリなどから人形具合が伺える。お面は口で加えて固定させてるんですね!あんなに激しい踊りをするのに鼻でしか息が出来ないだなんて…スゴイですね。いわゆる“悪玉”という語源はココから来たとかで、実はものすごく悪人というよりは“イタズラっ子”という感じ悪玉の所作がユーモラスで可愛らしい♪

通人・野暮大臣

私、今公演の中で私的大絶賛は、この通人の亀治郎さん!もう手先、指先の動きのしなやかさ、艶やかさに大感動! つっころばしのナヨナヨ感もたっぷりと、表情もとっても豊かで、観ていてウキウキと楽しくなる感じでした。 ココでは…ごめんなさい、亀治郎さんしか観ていませんでした! … ってなくらいに釘付けでした。

石橋

やはり獅子の舞を観ると「これぞ歌舞伎って感じだなぁ…」とその迫力に圧倒されながらもウットリしちゃますね。 毛振りは…やはり松緑さんの方が体勢が安定してて、豪快で迫力がありました。

博多座【2003年公演】観劇記録

博多座での歌舞伎公演に関しては開場当初から、観劇記録を自分のサーバ内に残していたものの、その他の公演記録は、外部の無料WEB日記帳にUPしていたものだから…ある日突然予告も無しにドロン! 突然サービスが利用不可となり、データを救済する手立てもなく消えてしまい呆然自失!(ここでバックアッブの重要性を学ぶ。 分かっちゃいたけどさぁ…)
…という事で、記憶を辿った【博多座2003年公演】観劇記録。
2、6月の歌舞伎・舞踏公演と5月【新・三国志III】は観劇レポート個別記事にUP済み。

1月・キス・ミー,ケイト

【エリザベート】でご夫婦役のお二人が、コメディで再びご夫婦役(離婚直後)!という興味で観劇。 劇中劇【じゃじゃ馬ならし】はお得感があり、【So In Love】等、有名なあの曲はこの作品なんだ!という驚きがあるものの、今ひとつ作品の印象が残らず。 伊織さん、ヅカに在籍中のジェンヌさんが、外部の舞台に出演って珍しいですよね? 赤坂晃さんの懸垂&逆上がり&腹筋を駆使して手すりで3階まで登る荒技に客席どよめく(さすが光GENJI!) この作品もなかなか再演されませんね…。伊吹吾郎さんと太川陽介さんがギャングって!
一路真輝/鈴木綜馬/沢木順/赤坂晃/伊吹吾郎/春風ひとみ/太川陽介/伊織直加(宝塚歌劇団)

3月・細雪

テレビで見かける主演クラスの女優さんがズラリご出演でなんとも豪華。 でもって各々がとっかえひっかえ着替える着物の数々もそれはそれは豪華で! TV映像をそのまま生で観てる、って感じ。
佐久間良子/山本陽子/沢口靖子/南野陽子

道頓堀ものがたり

待ちに待った藤山直美さん博多座初お目見えです!…という方がすごく多かったようで、客席が大いに賑わって沸きました。 “舞台女優”ってこういう人の事を言うんだろうなぁ、という印象。 W小島にシビれる!
藤山直美/淡島千景/土田早苗/田村亮/松村雄基/長江健次/小島秀哉/小島慶四郎

7月・小林幸子特別公演

12日はサッちゃんの芸能生活40周年を記念しての振る舞い酒があったらしい。 二部【’03華麗なる幸子の世界】は紅白のあの衣装再びで客席どよめく。
小林幸子/田中健/穂積隆信/新田純一

8月・宝塚歌劇宙組公演:鳳凰伝/ザ・ショー・ストッパー

お芝居は、これまたさっぱり記憶に残っておらず…。 伝説化している娘役トップスター・花總まりさんが、レビューでガシガシ踊っている様が印象的だった。
和央ようか/花総まり/大和悠河

9月・放浪記

森光子さんのライフワーク作品が博多座初登場!で、チケット完売…くらいの賑わいだったかと。 観終わった後の気持ちの落ち込みようが激しくてウツ。 なんでこんなに人気作なんだろう?
森光子/樫山文代/米倉斉加年/有森也実/山本学

10月・北島三郎特別公演

サブちゃんの人情芝居は…だけど、やはり二部の【北島三郎大いに唄う】は圧巻。 曲の合間のトークも軽快♪
北島三郎/目黒祐樹/水野久美/大村昆/白木万里/白木みのる

11月・西太后

猿之助さんご夫婦共演! という事で初日開けてすぐに観劇しましたが、猿之助さんが脳梗塞で倒れ、18日より右近さん@恭親王、喜猿さん@光緒帝に変更。 この時は、まさかそんなに深刻な容体とは思わず…悲しい思い出の舞台となってしまいました。 後半の観劇ではその代役バージョンを拝見。 藤間紫さんの舞台を初めて拝見。 存在感がスゴイ!
藤間紫/市川猿之助/金田龍之介/小島慶四郎/澤瀉屋一門

12月・市民檜舞台の月【金子みすゞ物語】

“博多座オリジナル”として2001年19〜20日に初演し、今年再演。 私は今回が初観劇でしたが、豪華出演陣をズラリ揃えた【ロミオとジュリエット2001】より、ずっと良かった!
中尾裕子