レ・ミゼラブル(橋本×禅)【博多座】

博多座初の二ヶ月ロングラン公演です。 博多座の事前の広報活動からロビー展示~物販まで力の入れ様はスゴイものがあります! この公演が成功すれば…今後もこのような公演形態が引き継がれる可能性もある訳ですが…果たして結果はいかに?
私、2005年帝劇の2000回SP以来の観劇でしたので「あ、そうそう」「あれ?そうだっけ?」「ん?変わったような…」とか、記憶を辿る作業に予想外に追われてしまって、まるで初見のような忙しさでした。 …に加えて、今期デビューの橋本バルジャン×禅ジャベールなもんだから、も~う忙しいったらありゃしない! 目と耳がもう1セット欲しいところでした。
先にお断りしておきますが…私、禅さんファンなものでその辺りを激しく差し引いて以降ご一読いただければ幸いです。
私の初レミゼは前回の博多座公演(2004年1月)でしたので、ジャベールは内野聖陽さん、岡幸二郎さん、今拓也さん、高嶋政宏さん、そして2000回帝劇SPの鹿賀武丈さん…しか拝見した事がなく、今期は禅ジャベ以外の観劇の予定はナイので、以下は前博多座公演時との比較となりますが…
まず、今期レミゼキャストが扮装写真で出揃った時『精一杯、強面つくってみました!』的な禅ジャベールに一抹の不安が汗 お得意の?(失礼!)やり過ぎ…が危惧されて、ご覧になった方からの感想を伺うのが正直恐かったんです。 しかし帝劇の幕が開いてみれば大旨好評で、安心して?この博多座公演を楽しみに待つ事に。

石川禅さん@ジャベールとの初対面の感想は…「イイ!ときめき
やり取りの間にかい間みせる表情には、職務にひたすら忠実、だけど本当は情けの心も持ち合わせているのでは?と思わせる人間ジャベールが見てとれて新鮮。 心情の変化が解り易く、特にバリケード内でバルジャンから「君の職務だろ。恨みなどナイぞ」と言われた時の動揺ぶりは彼の心の支えがポキッと折れてしまったような痛みと悲しみが、訴えるような目から感じられて、観てて辛いほど。 「なんでそんな事、言うんだよぉ~」ってそんな声が聞こえてきそうで…だからこそラストの自殺は、心の…生きる信条としていた事を根底から覆された心の動揺がよく解り「あぁ…彼は自殺せずには居られなかったんだなぁ」と納得の最期でした。 髪を振り乱して涙目で一瞬天を仰ぎ見る様に哀しい一人の人間の弱さを観た感じ。
バルジャンを執拗に追い続け、常に彼を支配していたかのようで、実はバルジャンの世界に呪縛されていたのは自分自身だった…という事に気付いた時のショックと傷付けられた孤高のプライドでは、それを背負って生き続けるなど堪え難い屈辱だったんだろうなぁ…と。
多分、禅さんの今の年齢と声質がキャラクターと楽曲にすごくマッチしているんでしょうね。 重厚な歌ってあまり拝聴した事がなかったので耳に新鮮で、改めて歌の上手さを再認識。
ただ…禅ジャベール、今後のヒートアップ具合に危機感を抱いてしまいそうな要素も多々汗  リアクションや表情にマンガの擬態語&擬音語を付けたくなりましたもん♪「ハッ!」「なにっ?!」「ギクッ!」「わなわな」「タラリ…」とかネ。
でも間違いなく星MY BEST ジャベール星となりました(ファンである事を差し引いても、多分そうなったかと…)
伊藤グランデール

橋本さとしさん@バルジャン
男前なヴィジュアルも含めて何もかも新鮮! 特に前半のガツガツした飢餓感は◎ 全身垢まみれで表情は見えない…けれどギラギラと怒りに燃える目だけがキラリと光る、という感じがワイルド。 荒削りな感じが今後どのようにそぎ落とされ肉付けされ進化していくのか?すごく楽しみなバルジャンですね。

安崎求さん@テナルディエ
テナルディエって…お笑いシーン担当の三枚目の役所かと思ってたけど、実は一番したたかで嫌らしく空恐ろしい悪党だったんだ!」と驚かされたアプローチのテナルディエ。 決して笑わない目が恐く、歌の上手さが不気味さを増長させているような感じも。 とにかくすっごく印象に残りました。
今期から変更になったり、以前カットされていた演出が復活したり…と20年も上演されてきてもなお、そのような手直しが随時されているとは今回の観劇で驚いた事でした。

青い旗キャスト
バルジャン:橋本さとし/ジャベール:石川禅/エポニーヌ:知念里奈/ファンテーヌ:シルビア・グラブ/コゼット:富田麻帆/マリウス:小西遼生/テナルディエ:安崎求/ テナルディエ夫人:田中利花/アンジョルラス:東山義久

青い旗男性アンサンブルキャスト
グランテール:伊藤俊彦/クールフェラック:清水裕明/ジョリ:横田裕市/コンブフェール:近藤大介/フイイ:松原剛志/レーグル/司教:港 幸樹/バベ:丹宗立峰/ブリジョン:佐嶋宣美/プルベール:上野聖太/モンパルナス:田中裕悟/クラクスー:梶 雅人/ガブローシュ:荒井海人
青い旗女性アンサンブルキャスト
買入れ屋:荒井 小夜子/マテロット:折井理子/ファクトリーガール:藤咲 みどり/ジベロット:深野琴美/マダム:児玉奈々子/少年1:岡村さやか/少年2:稲田みづ紀/かつら屋:亜久里夏代/リトルコゼット:田村遥果/リトルエポニーヌ:弓木野綾架

レ・ミゼラブル 2000回達成記念SP【帝国劇場】

幸運にも観劇の機会を得る事が出来まして、遠征して参りました~☆ 私のお目当ては、昨年の【エリザベート】でフランツを演じていらっしゃった石川禅さん@マリウス! この公演以前に【レ・ミゼラブル コンサート】にて、禅さんがマリウスナンバー歌った際に「現役でイケる」とご覧になった方からその評判を聞いていたので、今回の企画と配役を聞いた時から楽しみでなりませんでした。
今回は「作品を観た」というよりは「役者さんを観た」という感じでしたので、役者さんごとの感想を…。

よつばのクローバー今井清隆さん@バルジャン
私の中では一番イメージ的に“しっくり”くるバルジャン像なんです。 今回は往年のキャスト陣にあって、現役バルジャンからの抜擢の奮闘は感動的でした 特にコゼットに対する、娘に対する愛情が溢れていて、臨終のシーンでは胸が締めつけられる思いで、泣いてしまいました このシーンでココまで感動したのは初めて!
よつばのクローバー鹿賀丈史さん@ジャベール
職務に忠実なあまり、法を犯す者に対しては冷酷である…というジャベルー像はさすがの感がありました 唄い方には好き嫌いがあるかもしれませんが、私は“ザ・鹿賀丈史”な感じでとっても楽しかった 印象的だったのは、自殺のシーン。 今回、鹿賀さんのを拝見して「何故ジャベールは自殺しなくてはならなかったのか?」という事が素直に納得できました。 自分自身に対する戸惑い、というのが直球で伝わってきた感じ。
よつばのクローバー島田歌穂さん@エポニーヌ
もはや“伝説のエポニーヌ ”ですから、まさか生の舞台で拝見できる機会に恵まれようとは~!と、それだけで興奮 ビジュアル、演技、声質的にも“現役エポニーヌ”で、全く遜色ありません! 自然にす~っと楽に唄っているようで…なんであんなに人の心に染み入るような歌声なんでしょう? 上手いのは当然なんですが、歌にのって、その心が聴衆に届くような… 噂には聞いていたけれど【On My Own】には、鳥肌たちました。 「歌の上手い人、っていうのはこういう人の事を言うんだ」と思った次第。
よつばのクローバー岩崎宏美さん@ファンティーヌ
娼婦までが正直つらかったです。 終始弱々しい感じでパンチがなくて、かなり物足りなさを感じていたのですが、臨終シーン、バルジャンを迎えにくるシーンは圧巻でした。 「これぞ“聖母たちのララバイ”だな」と思ったり。 演技的にコレといった印象は残りませんでしたが、神々しい聖歌を聴いているような、澄んだ気持ちにさせてくれる清らかな歌声…といいますか、が印象的。
よつばのクローバー知念里奈さん@コゼット
私はミュージカル作品では彼女は【ミス・サイゴン】に続いて2回目だったので、よく存知あげないのですが ニンですね。 臨終の父にすがって泣くシーンの熱演は、娘として強く強く父・バルジャンを愛しているのか、という想いが伝わってきて泣いてしまいました。 ここでの父娘の絆は素晴らしかったです。
よつばのクローバー石川禅さん@マリウス
正直、ビジュアル的にはちょっと辛い部分があった…かな。 私が大好きなシーン、柵を越えてコゼットに会いに行っていたマリウスが…♪誰かの足音 隠れ~るよぉ~♪…と唄いながら、また柵を越えて外に戻るシーンでは…
「あ~冷や汗 禅さん間に合わないのでは?汗
「うわっ汗 絶対間に合わない~汗
「禅さん、急いで急いで!汗
「あら冷や汗 今、足を柵の横から回してズルしたわねっ汗
「あ゛~っ、もうダメだぁ~汗
「うわ、飛び降りた…唖然

と、かなりドキドキと楽しませてくれた禅さんでした。 しかしこんな実況感想を禅さんに読まれた日にゃ~
「なぁ~んだよ!ふざけてぇ~」
と、タレ目の眩しいニッコリ笑顔で言われそうですが…いや、本気で心配したんですから!
けど…声が若い、若い、若い~♪ でも全体的に優しくてポワワ~ンとして“癒し系”といった感じで、恋人と仲間との狭間で悩む感情の揺らぎなどは、素直に伝わってきて好演。 【カフェ・ソング】が絶品だったのは言う間でもナイでしょう! 悲しさと悔しさがにじみ出て、歌詞が…マリウスという青年が心の底から叫んでいる自然なセリフとして聴こえてきたんです。 化ける役者さんだ! これからまた違った親役で拝見するのが更に楽しみになりました。
よつばのクローバー斎藤晴彦さん@ナルディエ・森公美子さん@テナルディエの妻
う~ん…特に印象的に残った、というものはなかった、かな。 です。
よつばのクローバー岡幸二郎さん@アンジョルラス
喉の調子が悪い…という事を聞いていたので、心配でしたが…なんとか。 姿が綺麗、赤いベスト、似合いますねぇ~。  指導力のある“学生のリーダー”というイメージがビジュアルだけで伝わってくる感じでした。 と言っても私が注目していたのは、結婚式でのノリノリ給仕の岡さんでした あの衣装が似合いすぎで激しくツボでした。

青い旗キャスト
バルジャン:今井清隆/ジャベール:鹿賀丈史/ エポニーヌ :島田歌穂/ファンティーヌ:岩崎宏美/コゼット:知念里奈/マリウス:石川禅/テナルディエ:斎藤晴彦/ テナルディエの妻:森公美子/アンジョルラス:岡幸二郎