五月大歌舞伎・夜の部【歌舞伎座】

恋湊博多諷 ~毛剃~

この演目を観るのは実に博多座開業公演以来!!! つまりは10年振りに“生・毛剃”です!
團十郎さん@毛剃九右衛門はやはり“でっけぇ~”。 待ってましたの「よかよか~」は相も変わらず大迫力で拍手喝采☆ やっぱり愛嬌のあるスケール感を感じさせるのは團十郎さんならでは!だよな~と再確認。 藤十郎さん@小松屋宗七ナヨナヨっぷりは最初笑える…んだけど、終いにはイライラさせられるヤサ男。 上手いなぁ~藤十郎さん(人間国宝に失礼すぎな私!)
菊之助さん@傾城小女郎艶っぽいけど“宗七の女房”然としている、肝のすわった感じがキリリと素敵☆ 秀太郎さん@奥田屋お松の女将っぷりは、やはり絶品☆大満足(ホントおばちゃんにしか見えん!)
…で~、演目としてはさほど印象に残らないのは何故だろう?汗

夕立

初めて観た演目。 私【網模様燈籠菊桐(通称:小猿七之助)】も未だ観た事がナイんです。 最後に上演されたのはいつでしょうか?
大筋を知って観る舞踏だからか?情景がすごく解りやすくてエロい。 菊五郎さん@小猿七之助時蔵さん@御守殿滝川(ってどっちも男だよ!改めて)は色悪と艶っぽい姉さんで退廃的~

神田ばやし

宇野信夫さんの作品だそうですが、この演目も私、初めて観ました。
とにかく海老蔵さん@桶屋留吉のキャラクターがツボ! 気弱でオドオドして…でもどこか憎めない気のいい青年って、こんなお役の海老蔵さんって珍しいですよね。 粋な二枚目はもう当たり前すぎ面白くないから、「へぇ~意外!」ってなこんなお役でどんどん観てみたい。…って言ったら海老蔵ファンの方には不満でしょうか?汗 コレ、機会があれば…いかにもイイ人そうな翫雀さんで拝見したいなぁ~と思ったりしたのですが、海老蔵さんだからギャップがあって楽しめたのかもしれませんね♪ 「毎日見ている顔だから、改めて見なくても~。」「そんなにイイ男じゃありませんよ。」…って、コレはやはり本当にイイ男が言って面白いセリフとして生きるんでしょうね?
人の疑いというモノは口で言うほど濃くなる』 イヤな目で人を見る…っていうのがクド過ぎで、テーマとして言わんとする所は解るけど個人的にはちょっトクド過ぎて嫌な感じを最後には受けました~。
三津五郎さん@家主彦兵衛の達者な演技にもうなりました~(早合点し過ぎだっての!!)

鴛鴦襖恋睦~おしどり~

今月の歌舞伎座公演の中で一番好きでした♪
かつて“平成の三之助”と呼ばれたお三方が久々に?そろい踏み~で、花形の美しさが堪能出来た1本。 松緑さん@股野五郎の赤っ面の力強さ。 菊之助さん@遊女喜瀬川/雌鴛鴦の精海老蔵さん@河津三郎/雄鴛鴦の精の鴛鴦の精はため息が出るほど美しくみとれてしまった~。 ホント綺麗…。 あの鳥の羽をデザインしたぶっかえり仕様の着物、色も柄もホントに素敵でした~☆ 「若いってソレだけで美しいなぁ…」と、おばちゃんは思った次第。
二人並んで三段(二段だった?)に上るラストって初めて観たような?

五月大歌舞伎・昼の部【歌舞伎座】

“歌舞伎座さよなら公演”が決まった時は「よぉ~し!コレは頑張って通うゾ!」という心づもりで懐具合を算段しながら待機していましたが…いざフタを開けてみると、あまりにも王道な演目で、鉄板な配役で…遠征の触手が動く公演が皆無冷や汗 役者の皆さんも“最後の歌舞伎座に出たい”からなのか、出演人数が多いため、例えご贔屓さんが出演されていたとしても「コレだけの為には遠征出来ないよなぁ~」なチョイ役だったりで…遠征心が動かない。
…とは言え『5月は演舞場も歌舞伎があってるし♪』って事でこの度は遠征。 しか~し! よ~く見てみると“團菊”が揃う演目はなかった…しまった汗汗汗

海老蔵さん@鎌倉権五郎は、歌舞伎座での海老蔵襲名公演以来、実に5年振り。 その時に感じた可愛らしさ…は、すでになく、他を威圧するオーラが放出~。 セリフを言う自分に酔っているような抑揚の付け方は相変わらず何を言っているのかさっぱり聴き取れナイけれど汗見た目の美しさ“ザ・歌舞伎”な錦絵のようなヴィジュアルには見とれます。 “荒事の成田屋、ここにあり~”な存在感抜群の様式美はさすが
翫雀さん@鹿島入道震斎がラブリ~♪ 亀三郎さん@埴生五郎、やっぱ声がイイ♪

寿猩々

富十郎さん@猩々vs魁春さん@酒売り。 富十郎さん=キヒキビ舞踏、ってな印象が強い私にとって千鳥足でほろほろと陽気に踊る様が新鮮でした☆

手習子

芝翫さん@娘お駒。 う~ん…やっぱりいくら人間国宝の芸をもってしても“可憐な少女”というのには厳しいなぁ…と汗 いろは歌に合わせ華やいだ雰囲気は感じるものの…汗

盲長屋梅加賀鳶

菊五郎さん@竹垣道玄はビックリな事に初役との事。 強欲で、したたかで、ちょっぴりユーモラスな雰囲気に加えて、まとわりつくような…ネットリとした感じを受けたのは私だけ? 一度噛み付いたら離さない~みたいな。 時蔵さん@お兼って珍しくないですか? 梅枝くん@お朝はイイ娘ぶり♪ 梅玉さん@日蔭町の松蔵團蔵さん@御神輿弥太郎ってこのお二人は抜群に鳶姿が似合うなぁ~と個人的に思っています(武士姿のピカイチは歌昇さん)

戻駕色相肩

この舞踏は初めて観ました(多分)
松緑さん@浪花の次郎作菊之助さん@吾妻の与四郎さんの駕舁きコンビが、尾上右近くん@禿のたよりと一緒に廓自慢☆ …って今ひとつ印象に残っておらず…汗

秀山祭九月大歌舞伎・夜の部【歌舞伎座】

「体力の限界!」by千代の富士…って感じで、一日通し観劇を断念。 ラストの【河内山】は泣く泣くパスして劇場を後にしてしまいました。 何度となく、経験している早朝の福岡→羽田→歌舞伎座一日通し観劇、ですが初の途中リタイア。 体調もあったのかも…ですが、恐らくは年のせいかと?悲しい

近江源氏先陣館

激しく気絶。 …以上冷や汗
…ってあんまりなので、自分の怪し気な記憶を辿って、観劇の記録を残してみることにします汗
吉右衛門さん@佐々木盛綱と玉太郎くん@小三郎。 私、この二人の並びがツボなんですよ~。 ただ並んでるだけで何故だかニッコリしちゃうんです…ってこれは重いお話ですけどね。
玉三郎さん@盛綱の妻早瀬って…“玉三郎さんと吉右衛門さんの夫婦”って、すごく珍しいですよね?! 宜生くん@小四郎。 あら?橋之助さんトコのお子さん方は皆、三越歌舞伎へのご出演かと思ってましたが…掛け持ち? 歌六さん@北條時政は安定感があって良かった…はず汗
もうホント、ごめんっ! 『時代物の名作を豪華配役で上演』って格好の機会だったのに~、何やってのよ私怒り 気絶する自分が悩ましい~汗

鳥羽絵

天王寺屋親子富十郎さん@下男の升六×鷹之資くん@ねずみ、の親子共演舞踏。 初めて観た演目でしたが…可愛いっ♪ こしらえもストーリーも、すっごく可愛い☆ 「すりこぎに羽が生えて飛ぶって…それ何?!」みたいな事は考えてはいけません。 そういえば、今年は子年でしたネ。

河内山

吉右衛門さん@河内山宗俊だったのに~汗 「体力&気力の限界!」で、観ずして帰ってきてしまいました…。 後日、幕見の気力もなく~涙悲しい

秀山祭九月大歌舞伎・昼の部【歌舞伎座】

何故かしら【秀山祭】は毎年欠かさず遠征観劇しています。 9月って台風シーズンだから、遠征ってカケなんですけど…ラッキー(実際、今回一週間後ろにズレてたら危なかった汗

竜馬がゆく【風雲篇】

昨年の上演では“第三十六回大谷竹次郎賞受賞”という事を受けての続篇。 昨年は、歌六さん@勝海舟と歌江さん@すぎの印象が強烈で…はっきり言って主役の印象があまり残っていなかった私汗
染五郎さん@坂本竜馬の登場では、バックライトがピカーッ☆で、そのシルエットが浮かび上がるド派手な登場でBGMには【必殺仕事人】のトランペットの音色でも聴こえてきそうな雰囲気で…ちょっと苦笑。
しかし、この真っ暗な舞台に明かりがつくと、大道具や書き割りにかけられていた暗幕が一斉にサッと引かれ、視界が鮮やかになる美術はお見事~☆ 新作だといろいろな冒険的手法も面白く楽しめますね。 池田屋のセットが引く→隣りの材木屋…とか◎
松緑さん@中岡慎太郎亀治郎さん@おりょうは、想定内の役作りで違和感なく好演でしたが、錦之助さん@西郷吉之助というのが意表を突かれました!
亀治郎さん@おりょうは【十二夜】の麻阿を彷彿とさせる弾けぶりで、「あたしゃ半日で後家かっ!」には大爆笑♪
今回も染五郎さん@坂本竜馬にはサラッと流れてあまり印象には残らなかったですが「生きるという事は面白いのぉ~」…だっけ?そのセリフが耳に残りました。

ひらかな盛衰記・逆櫓

多分、恐らくこの演目は私、映像も含めて初めて観た…はず。 『これぞ歌舞伎』って感じの演目でドカンと濃厚でドッシリ、なんですね。 …と言ったところで、私、激しく気絶してしまったようで記憶が今ひとつ定かではなく~(昼食後ってのも災い)汗 時間があればコレだけ幕見でガッツリと腰を据えて観てみたかった! 今月って、一つ一つの演目上演時間が長くてボリュームがありますよね。 早朝便で遠征しての一日通し観劇がこんなにも体に堪えたのは久し振り悲しい
演題の逆櫓は遠見で演じられる事が多いそうですが、この度は歌昇さん錦之助さん染五郎さんという三人の船頭、という豪華バージョン☆ その後一気になだれ込む大立ち廻りには豪快で見応え充分!
吉右衛門さん@船頭松右衛門実は樋口次郎兼光の形相は「いつもよりより多めに流しております」ってなくらいの流血ぶりに迫力が増し引き込まれました。
歌六さん@漁師権四郎。 近年、吉右衛門さんと共演されている際に際立つ上手さ“歌六さんキラリ”度がツボなんですが、今回も好演。 でも…しかしながら何故かしら年寄りキャラが多くなっているので、ちょっと残念でもあります。

日本振袖始

これは…京都の春秋座杮落とし公演の映像しか観たことがなく(猿之助さん@岩長姫実は八岐大蛇×玉三郎さん@稲田姫)生では初観劇。 上演自体も十年ぶりとの事。 近年、玉三郎さんのこ~ゆ~舞踏演目は激しく能チックに寄っていたので「高尚で美しいんだろうけど…面白くはナイなぁ」という印象だったので、久々手に汗握る迫力に大満足。 面白かった!
福助さん@稲田姫。 思えば玉三郎さん×福助さんのバトル舞踏自体も珍しいのでは? 思いのほか(失礼!)稲田姫が楚々として儚げな雰囲気で美しく、玉三郎さん@岩長姫実は八岐大蛇の妖しく冷たく美しい不気味さ、その迫力が際立つ感じ。
気を失って長い間舞台に伏している稲田姫って…寝ちゃわないのかな?っな長さ。
7人のスネークズを従えて二段上でのクワッとした鬼女の見得は、美しくてカッコイイ~っ♪
こんなに面白いのにあまり上演されないのは何故なんだろう?と不思議に思った久々の観劇でした。

團菊祭五月大歌舞伎・昼の部【歌舞伎座】

船 渡海屋・大物浦
今年の博多座【二月花形歌舞伎】獅童さんで拝見したばかりなので演目の記憶も新しく、その比較を楽しみながらの観劇となりました。
夜の部の弁天“浜松屋宗之助”で、むず痒いものを感じていた海老蔵さんですが…「海老蔵さんはこうでなくっちゃ!」というスカッとさせられる錦絵のようにキリリと美しい渡海屋銀平実は新中納言知盛の最期でした。 ファンではないけれど、こ~ゆ~お役で見得を切る海老蔵さんは本当に奇麗で見とれちゃいます。 私の席そばで外国の方が数人観劇されていたのですが、海老蔵さんが豪快な見得を切る度に身を乗り出してはち切れんばかりの拍手をされていたのが印象的でした(前のめり観劇はNGですが見ててコレは微笑ましかった♪) 白装束の血だらけ具合はものすご~くリアルで、口に含んだ血糊もセリフを言う度にゴホッと吹き出て…迫力満点! 鬼気迫るものがありました。
魁春さん@女房お柳実は典侍の局は…、こ~ゆ~石持女房(って言葉はナイけど)はピカイチ☆だと思います。 対して典侍の局は無念の色が色濃く出ていて◎
博多座ではすご~く珍しい四天王で強烈な印象でしたが汗こちらは若手イケメン四天王で(男女蔵さん亀寿さん亀鶴さん松也さん)知盛を追いつめる勢いと迫力は十分。 團蔵さん@武蔵坊弁慶のラストの髪型。 そのモミアゲだけ残して剃るのはさぞ大変だろうから…もう全部剃っちゃいないヨ!と思っちゃいました。 あのホラ貝の音って黒御簾の方がライブで…ですよね? イイ音に「我も出陣!」と思わず走り出したくなっちゃいます?!
最近、やたら葵太夫さんの髪型について書いてますが…今回は“あぜ道カット”でした! 演目によってご自身の中で髪型を決めていらっしゃるのでしょうか? 気になります~汗

桜 喜撰
三津五郎さん@喜撰法師のユーモラスさはいわずもがな絶品。 楽しげで軽快で、観ていて顔がほころんじゃいます♪  時蔵さん@祗園のお梶の艶っぽさに法師と共にうっとりしながらの観劇。 残り10分でゾロゾロ出てくる豪華メンバーの所化たちに加え、下手に清元連中+舞台奥に長唄囃子連中がズラ~リの大所帯に「さすが歌舞伎座!」の贅沢さに酔いました

熱燗 幡随長兵衛
市川新七さん改め新十郎さん@舞台番でお披露目。 あの固い台の上でまんじりともせず正座しているのは大変だろうなぁ~と思うのと同時に口跡の良さに驚かされましした。 おめでとうございます♪
珍しく上手客席通路を使った登場があるんですね! 珍しいといえば、團十郎さん@幡随院長兵衛×坂田藤十郎さん@長兵衛女房お時という組み合わせ。 これは『江戸歌舞伎の市川團十郎と上方歌舞伎の坂田藤十郎が歌舞伎座で共演』と話題となった今年三月公演で、藤十郎さんが喜寿記念として【京鹿子娘道成寺】を踊った際に團十郎さん@大館左馬五郎照剛で花を添えたお返し…との事。 どっしり構えて何もかも吞み込んで夫を送り出す女房の懐の深さと、玉太郎くん@倅長松の愛らしさが別れの切なさを倍増。 袴は必ず左足から履くものなんですね。
長兵衛の後ろに控える子分たち(海老蔵さん松緑さん権十郎さん松江さん亀寿さん亀鶴さん松也さん)に加え、三津五郎さん@出尻清兵衛梅玉さん@唐犬権兵衛。 全員が全員、縞の着物なのに全て色とその縞具合が違っていて、デザインのバリエーションに驚かされ「着物ってオシャレだなぁ~」と思いました。 血気盛んで喧嘩っ早い風情の子分たち風情がとっても良く出ていて面白かったです。 この子分達をまとめる親分の気苦労はいかばかりかと~汗
菊五郎さん@水野十郎左衛門不気味な敵役ぶりに、狡猾に仕掛ける罠に真っ向から立ち向かってゆく團十郎さん@幡随院長兵衛の勇壮さと人物の大きさが際立つ感じ。 とても彦三郎さん@近藤登之助のゆる~い一撃で倒されるようには見えないんだけど~汗 自分の棺桶を持って子分達に迎えに来させる…だなんて、なんて腹の座った男なんだよ!と感動しなから、風呂のセットに「浮世風呂、観たいなぁ~」と思ったりもしてました~汗
いや~、今年の團菊祭、特に見応えがあって面白かったです♪