六月大歌舞伎・昼夜【歌舞伎座】

四代目・松緑襲名披露”で【蘭平物狂】がかかる!と判った時に遠征を即決し、観劇出来る日を首を長~くして待っていました! ですので蘭平に重きを置いての感想を…

蘭平物狂

初めて観ました! 事前に大筋を頭に入れて1日目は幕見をしたものの、一場に関してはかなり「?」な部分が多いうえ、二場での大立ち廻りに圧倒されて記憶がフッ飛んでしまいまして、ますます「?」。 翌日はイヤホンガイドを借りて「ガッテン!」とようやくなったのでございます~。
菊五郎さんが10日まで、この演目の“与茂作(実は大江音人)”を休演されていたので菊之助さんが代役を務められていました。 計らずも遠征中に2バージョンも拝見できてラッキーでした♪

一場は、雀右衛門さん@女房おりく(実は妻明石)の、松風を装い何を聞かれても「はいはい、さようさよう」と言う様が実に愛らしい♪ しかもピンクのお着物が似合うだなんて…なんで? どうしてあんなに若いの~?! そして、やっぱり特筆すべきは岡村研祐くん@一子繁蔵の芸達者な事でしょう! 堂々としてて、動きのひとつひとつが綺麗に決まってて…ちょっと的確に表現する言葉が見つかりませんが、とにかく「すごく上手いっ!」 松緑さん@奴蘭平(実は伴義雄)の子煩悩なパパぶりは、ちょっと意外でしたがなかなか良かったです。

二場は、「あら? なんでいきなりそうなってるワケ?」と大筋は解っているものの戸惑いましたが、30人ほどの花四天たちと蘭平が繰り広げるアクロバット的な大立ち廻りに圧倒され興奮の連続! 花道七三で梯子の上での見得には鳥肌が立ちましたし、その後、梯子の上に跨がったまま回転する技にもビックリ! スピーディーかと思えば、どんたっぽに乗って優雅だったり…と、その緩急がついたあたりもたまらなく魅力的でした! 梯子は様々な箇所に用いられ、蘭平が屋根に登る際には“まるでエレベーター”。 花四天の皆さんも「立ち廻りの技術を全て披露します!」って感じで、もう息つく暇もナイくらい、それはそれは素晴らしいモノを観せていただきました。 感動~!(T-T) しかし…襲名披露公演は始まったばかり。 怪我する事なく無事に務められますように…と祈らずにはいられません~(-m-)

昼の部

君が代松竹梅 松緑襲名を祝う長唄の御祝儀舞踏。 新&菊之助の間で踊る芝雀さん@梅の姫、キレイ…
弁慶上使 久々に吉右衛門さんの舞台を拝見しました! 鴈治郎さん@おさわの義太夫にのったリズミカルなセリフまわしが心地よく、 積極的な女性という印象が強くて驚きましたが…やっぱりこの役は好きじゃないです。 娘が死にかけてるのに~! で、その、娘しのぶ(卿の君も兼)は扇雀さん。  命を差す事を決意し殺されるまでが、とても丁寧な感じを受け、素晴らしかったです。
其小唄夢廓 團十郎さんはこの為に体重を絞ったそうで…「團十郎さんって美形~」って初めて思いました(失礼!)  刑場から仲の町の場の鮮やかな転換に「わぁっ!」と感嘆の声をあげてしまいました。
蘭平物狂 上記参照

夜の部

鬼次拍子舞 新&菊之助さん。 綺麗だった…けど…う~ん。
口上 全体的に真面目なコメント。 田之助さんが若かかりし頃、蘭平の花四天でトンボを切ったコトがある…というお話には驚きました!
船弁慶 松緑さん@静御前は思ったよりカワイイ(失礼!)でしたが、声がやっぱり残念でした…。 知盛の霊では、勢いがあって豪快! 3階席での観劇だったので、気迫の引込みが見れなかったのか悔やまれます~(T-T) 吉右衛門さん@舟長三保太夫、こんな軽~い感じのお役も素敵♪
魚屋宗五郎 昼の部は菊五郎さんが10日まで休演されていた事もあり心配でしたが…問題なし! 田之助さん@女房おはま、イイなぁ…。 一本気な旦那に振り回されてあたふたする女房って、ほんとハマるんですね、田之助さん♪

六月大歌舞伎・夜の部【博多座】

車引

当初、桜丸の出で仮花道を使用する予定があったのですが、諸事情により中止となりまして非常に残念!
仁左衛門さん@松王丸左團次さん@梅王丸梅玉さん@桜丸。 三つ子の各々の個性の違いをハッキリとみてとる事が出来き“動く錦絵”とはよく言ったものだなぁ…と、その様式美に見入ってしまいました。 履物を脱いだ後、両足の親指をずっとピーンと立てていた仁左衛門さん@松王丸。 気が付けば…自分の足の指がツリそうになってしまいました( ̄∇ ̄*)ゞ “仁左さまの荒事”って、私、初めて拝見しました! 個人的には梅玉さん@桜丸の優雅な動きと歌うようなセリフ回しが好きでした。 そして…牛車の“牛の足”をされているお二人!!「アレで足がシビれていたら、シャレにならないだろうなぁ…」と毎回注目するんだけど、それはいらん心配でスタスタスタと~。大変なお役ですよね~(*o*)
仁左衛門(松王丸)/左團次(梅王丸)/愛之助(杉王丸)/亀鶴(金棒引藤内)/彦三郎(藤原時平)/梅玉(桜丸)

身替座禅

富十郎さん@山陰右京は…人間国宝に向って大変失礼ながら 今回も言わせていただきます「うまいっ!」  ラストの逃げの引込みの時、長袴のさばきは打掛をまたぎ ながらも少しも踏まず、打掛も乱れずお見事!(*o*)  玉の井への言い訳では『太宰府天満宮へ行って来た』と、 ご当地ネタで大爆笑♪
彦三郎さん@玉の井は…ヌ~ッとした感じと、立ちはだかる 大きさがあります。 ただ…恐いってだけで右京さんへの 愛情はみてとれなかった、かな? 亀寿さん@千枝には、お父様@玉の井と向かい合って踊る 心境を伺ってみたいものです (* ̄m ̄)プ! 信二郎さん@太郎冠者、先月の【素襖落】の鈍太郎に引き続き “ラブリー路線”に変更か?ってな感じでハマってます♪  自分の恋仲の娘に「宜しく言って…」と右京とウフウフする 所はニッコリです(*^-^*)
富十郎(山陰右京)/信二郎(太郎冠者)/亀寿(侍女千枝)/宗之助(侍女小枝)/彦三郎(奥方玉の井)

御所五郎蔵

初めて観たので、何もかも楽しめました♪o(≧▽≦)b♪
両花道の出での勢揃い。 七五調のセリフの掛け合いの… なんと耳に心地の良いことよ~☆  粋でいなせな“チーム五郎蔵”の艶やかなお着物に対し、 “チーム土右衛門”の地味な色調。 視覚的な対比も 美しく楽しめます♪
時蔵さん@傾城皐月はとても立派で、愛する夫を救う為 わざと愛想づかしする様の苦しい胸のうちが痛いほど 伝わってきました…(T-T) 孝太郎さん@傾城逢州は、その親切が仇となる儚さを 表情からも見てとれて「この人は悲しい事になるんだろう なぁ…」と最初から推測できてしまいます。 花魁のヅラでのけぞって首を振りながら五郎蔵を止めるのは… 「首、ツラかろうなぁ…」と思ってしまいました(>_<) 花魁道中、殺し場…。 それぞれに溜め息ものの美しさでした。
“チーム土右衛門”の門弟はその憎々しさがユーモラス♪ 『寿司を食べるなら“すし幸”で』『芝居を観るなら博多座で』 とご当地ネタも (* ̄m ̄)
切り口上で幕が下りた後の、第一声は… 「仁左さまカッコイ~っ!!!」・:*:・( ̄∀ ̄ )。・:*:・
仁左衛門(御所五郎蔵)/時蔵(傾城皐月)/孝太郎(傾城逢州)/男寅(梶原平蔵)/愛之助(新貝荒蔵)/亀三郎(秩父重介)/亀鶴(二宮太郎次)/坂東吉弥(花形屋吾助)/彦三郎(甲屋与五郎)/左團次(星影土右衛門)

六月大歌舞伎・昼の部【博多座】

昨年雨の為に中止になってしまった“船乗り込み”は、晴天の下5/29に行なわれ、沿道には約4万人の人がつめかけ大盛況!
仁左衛門さんが久し振りの登場でしかも4役、そして博多座初初お目見えの仮花道! そして今年が菅原道真公が“天神様”になられて1100年という事で太宰府天満宮も協賛という話題が豊富な今公演でしたが…。 残念ながら船乗り込みの盛況ぶりをそのまま客席へ…とはいかず、2階客席は出演陣に対して「もう、ホントごめんなさい…」と言いたくなるような状況で悲しくなりました。 やはり“日本一高い観劇料”という事、上演時間に関係なく均一料金の幕見…という事で連日でも通 いたい歌舞伎ファンはもちろん、「船乗り込みで見て面白そうだから今度の歌舞伎を観てみようかな?」と思った人まで敬遠される結果 となったと思います。松竹オンリーの劇場でナイから仕方がナイのは解るけど『地元歌舞伎ファンの育成』という役割も博多座は担っていると思うんだけど…と、お客ながらもいろいろと考えてしまった今公演でした~。

頼朝の死

信二郎さん@畠山六郎重保。 職務を見事に果たしたとはいえ 誤って頼朝を斬り、死に至らしめてしまった事。 そしてその事実を包み隠し続けなければならないという事に もがき苦しみ、その身の置きどころのなさに常に死に場所を 探し続けているという、その悲哀が観ていて胸が痛くなるほど 伝わってきます。 いや~その悩む表情のせつない美男子ぶり といったら〜♪ 富十郎さん@尼御台所政子から、小周防を斬るように目で 命じられた時の驚きと心の葛藤の様は、素晴らしかったです!!! 孝太郎さん@小周防。 序幕での“恋する乙女のいじらしさ”が 表情や動きのひとつひとつに見てとれて…♪  自分の愛する人が頼朝を斬り、その原因が自分だという事だと いう事が判ってからが…ちょっと…。 梅玉さん@頼家。 もう、何から言えばいいんだか!! 今さらその素晴らしい“非運なロンリー貴公子”ぶりを語る 必要もナイでしょうけど…泣きました~(T-T) 後半は目がウルんでしまったので舞台がボーッとしか見えず、 表情がハッキリと見る事が出来ずに残念! 観客はそれぞの立場にたって、胸が痛くなる素晴らしい舞台でした!
梅玉(源頼家)/信二郎(畠山重保)/孝太郎(小周防)/男寅(小笠原弥太郎)/亀寿(藤沢清親)/亀三郎(棒谷重朝)/坂東吉弥(中野五郎)/彦三郎(大江広元)/富十郎(尼御台所政子)

梶原平三誉石切

注目していた“石の手水鉢切り”の演出は、スパッと二つに切れた その間から仁左衛門さん@ 梶原平三景時が飛んで前に出てくる…と いったものでした♪ 仁左さま軽いステップ~(^o^)v  「剣も剣」「斬り手も斬り手」…「役者も役者」と私が何回か観た中では残念ながら 大向こうは続きませんでしたが(心の中で言ってみました♪) 「仁左さまカッコイーーーーーーッ!」な華やかさでした(*^-^*) 孝太郎さん@梢坂東吉弥さん@青貝師六郎太夫の親子のなんと 微笑ましいことよ~♪ 梢ちゃんは「刀の目利き宜しくネ♪」 って梶原に微笑みかけるトコと、手水鉢を斬った梶原の裃を そそと直してあげるトコがたまらなく可愛い~っ!♪o(≧▽≦)b♪  客席からも「うわぁ、かわいい~」って声が何ケ所も聞かれました! 親子二人で喜びいさんでいそいそと…の花道の引込みには ニッコリでした(^o^)v “二つ胴”での松之助さん@囚人剣菱呑助は、ポッチャリなのに ゲッソリやつれメイクで、まず見た目で爆笑!(殺されるのにネ) お酒の銘柄づくしの台詞は流れるような名調子でお見事~!
仁左衛門(梶原平三景時)/坂東吉弥(青貝師六郎太夫)/孝太郎(梢)/愛之助(奴菊平)/亀寿(川島八平近重)/亀三郎(山口十郎政信)/宗之助(岡崎将監頼国)/亀鶴(森村兵衛宗連)/左團次(大庭三郎景親)/男寅(俣野五郎景久)

京人形

時蔵さんが綺麗なのは知ってました。 ええ、知ってましたとも! でも「時蔵さん、キレーーーーーーーーーーーーーーーーイ!!」と 叫びながら大濠公園3周くらいまわってしまいそうなくらい、 時蔵さん、綺麗でした♪ 「こんなに綺麗な時蔵さん、観たことナイ!」ってくらい綺麗でした。 もうね、箱の蓋が開いた時、その美しさに息を飲んだっていうか 止まったというか~。 観ている側も瞬きの回数が減ってしまうし、 すごい集中力で見入ってしまうから、体に力、入っちゃうし…で、 終わった後の脱力感はスゴイものがありましたσ(^_^;)
富十郎さん@左甚五郎と大工達の立ち廻りは“天王寺屋”と書かれて 家紋も入った法被を着ての大工道具使ってのモノ♪ しつこいようてすけど…時蔵さん、綺麗☆
富十郎(左甚五郎)/愛之助(奴照平)/亀鶴(栗山大蔵)/歌江(女房おとく)/亀寿(娘おみつ実は井筒姫)/時蔵(京人形の精)

お祭り

「歌舞伎界きってのイイ男」「日本一のイイ男」…お相手・西形節子がお送りしました~、の イヤホンガイドの西形さんのかなり私情が入っているかと思われる解説にも納得!  とにかく「仁左さまカッコイーーーーーーッ!」です。 花笠を下手に向って投げる様は“ジュリーのよう”…?! 舞台の提灯には【二引き】【五枚銀杏】【博多座ロゴマーク】が 描かれていて、セットも華やかでした(^o^)v
仁左衛門(鳶頭松吉)