三谷文楽in博多座 其礼成心中【博多座】

2015年12月を最後に博多座で文楽公演が上演されなくなった後、多分…それ以降、他の劇場でも観劇スケジュールがなかなか合わず、文楽を観劇していなかった私。 久しぶりの文楽観劇! しかも“三谷文楽in博多座”とあれば期待値更にUP↑ 博多座公演は3日間、4回公演で本日は千穐楽☆ 満員御礼の客席2階で観劇。 博多座での文楽公演を初めて2階席で観劇したけど、三谷文楽ならではの舞台演出に助けられてストレスなく観れた♪ 多分、古典だといろいろ見切れていたかと〜。

歌舞伎では何度となく観ている【曽根崎心中】と【心中天網島】。 お話はそのヒットの裏で繰り広げられる曽根崎の普通の人々の人情物語で、2012年東京・パルコ劇場での初演との事で以後再演を繰り返している人気作。 これ、以後歌舞伎で両演目を観たら、セットで思い出して笑ってしまいそう…。 人形の表情が、古典よりも豊かに見える不思議。

ストーリーの組み立てが秀逸☆  饅頭屋の娘と天ぷら屋の息子の恋、二度目の再起を願って心中を試みる夫婦の可笑しみ。 淀川への投身の演出はビニールを使って水を表現し、6人の人形遣いさんが全身で表現するもがく夫婦を演じ、その必死な動きから“生への強い執着”がかえって強く感じられ面白く印象的。

カーテンコールがあるのは驚き! 日頃は古典芸能を粛々と演じている演者の皆さんが、笑顔を浮かべてフレンドリーに客席に手を振る様にニッコリ☆
三谷文楽、他作品があるなら是非観てみたい!

劇場
博多座
日時
2018.8.19(日曜日)/11:00〜

博多座文楽公演・昼の部【博多座】

竹本義太夫300回忌】【近松門左衛門・生誕360周年】の今博多座公演。 昼夜ともに近松作品でしたが、やはり油が観たい!って事で昼の部のみ観劇して、本年の観劇納め。
虫干しがてらに着物を着て行ったのですが、舞台がはねて博多座を後にすると…結構な土砂降り。 洗える着物にしといて良かった…。 帰宅後、洗濯機に直行!でした。

文楽を楽しもう

豊竹靖太夫さん解説。 これから観劇する演目のあらすじをツラツラと。 なんの笑いの要素もヒネリもなく淡々と舞台中央で棒立ちで語るのみ。 以前の人形や太夫、三味線の実演解説ならともかく、これって…必要? 昼の演目は共に人形遣いさんの運動量が半端ナイなぁ~と感動☆

女殺油地獄

この演目って文楽と歌舞伎、どっちが先にお芝居として上演されたんでしょうか?
吉田和生さん@お吉の子供って3人居たんだ?! 「帯解いて~、へべ脱いで~」って言うあのお嬢ちゃんだけかと思ってた! お吉と与兵衛の浮気現場か?と色めき立つ吉田玉也さん@豊島屋七左衛門にやはり笑いを誘われる~♪
桐竹勘十郎さん@河内屋与兵衛の…とにかく、どうしようもないクズ男な感じ(チンピラ風情)がちょっとした動きの隅々に出ていて「なんでこんな男の我がままに善良な人々が不幸になってしまうのよ~!」と理不尽さに憤り倍増。 しかも!筋書きに『その後のお話』が紹介されており、これは初めて知ったのですが「クズ過ぎるだろ、与兵衛!」 本当の悪党というのは存在するんだなぁ…と思ったり。
最大の関心事『殺し場の油はどう表現するのか?』 もちろん液体が使用される事はありませんでしたが、油でつるつると足元が滑る表現には「おぉ~っ!」と客席からどよめきが出るほど見事。 人形遣いの3人の連携がこれほどスピーディーで見事な動きは感嘆の連続! シュルリ~ツルリ~と凄いフリ幅でスライドする人形は観客は楽しいけれど、人形遣いさんは相当な運動量だろうなぁ~。
いや~、面白い! これは通って何度か観てみたかったなぁ。

日高川入相花王

これって顔がパカッと割れて鬼女に変るもんだとばかり思っていました。 舞台いっぱいはためく波幕の合間をバタフライなみのダイナミックな泳ぎで川を渡る豊竹清十郎さん@清姫。 黒い振袖から白い大蛇の衣装に早変わり~という趣向でしたが、これは人形自体を交換する、って感じなんでしょうか?

博多座文楽公演・夜の部【博多座】

2012年の今年もその年の観劇納めは【博多座文楽】でした。 『クリスマス寒波にご注意を!』と天気予報で散々脅されていた連休の週末でして、着物で行こうと思っていたものの断念。 昼の部は観たことがあった演目ばかりだったので【阿古屋】目的で夜の部のみの観劇。
残念なことにお二人が休演で代役が(【絵本太功記】夕顔棚の段・尼ケ崎の段 妻操=桐竹紋壽→吉田勘彌/【絵本太功記】夕顔棚の段・尼ケ崎の段 妻操→竹本千歳大夫→豊竹英大夫) 今年も客席のあちこちで関西弁が聞こえてきました。 毎年、博多座文楽は豪華出演者ズラリですから遠征の方が多いんですね。 地元民で幸せ☆
博多座文楽公演、一時期は3日間6公演あったものの、本年も2日間4公演のみ。 でも今年は文楽協会への補助金支給問題でいろいろハラハラ心配したから…公演があっただけで『良し』としなくては。

文楽を楽しもう

今回の解説は豊竹咲甫大夫さん。 淡々と「今からご覧に入れます演目は~」という解説と、「この博多座公演のパンてレット、良く出来ているので買ってね」という、あっさりトークで終了。

火の見櫓の段

この演目に初めて触れたのは映画【BU・SU】(市川準の映画監督デビュー作/脚本は内館牧子)。 映画のストーリーは全く覚えてないのですが、主役の富田靖子が【八百屋お七】を演じるシーンが強烈な印象として残ってて…「なんだろ?あれは?」 で、歌舞伎に触れるようになって「あれは“人形振り”で文楽が元なんだ」と理解。 でもってその文楽のこの段を観たのは…映画を観てからかれこれ何年後になるでしょうか? それから今日で何度目の観劇となるでしょうか?
やはり何度観ても暗闇にパッと映えるお七の麻の葉の段の振袖の赤と青、ダラリと広げられた文と雪の白の色彩の対比は美しく、必死で梯子をのぼる吉田一輔さん@娘お七に「頑張れ、頑張れ!」と観てしまう演目(その後は死罪が待っているのだけど)

新口村の段

歌舞伎では大好きな演目(毎度泣かされて辛いのですが) 人間が演じるのと、人形が演じるので…ここまで差がナイ事を感じたのは初めてかも
やはり吉田玉女さん@孫右衛門が目隠しをして豊松清十郎さん@亀屋忠兵衛を抱きしめていると、吉田和生さん@遊女梅川がハラリとその目隠しを取るシーンが感動的でした。

阿古屋琴責の段

遊君阿古屋桐竹勘十郎さんが主遣いで、左手遣いさん、足遣いさん、お三方とも“顔出し+裃正装(←って言うの?)”でした。 未だに疑問なのですが、人形遣いさんの『顔を出す出さない』『裃正装するしない』ってのは役の大きさによって、決まっているのでしょうか? 三人ともに…というのは初めてみたような? ま、それだけ大役って事ですよね阿古屋。 実際豪華に着飾った人形は大きくて重そうでしたし~。 やはり人形遣いさんも琴・三味線・胡弓を練習されるんでしょうね。 私の座席からは床全体が見えなかったので【琴・三味線・胡弓】を黒衣さんが出し入れするのは見えれども、演奏する様が見えず残念! お一人が3つ全てを演奏されていたのでしょうか? 楽器ごとに奏者が交替だったのでしょうか? 吉田玉志さん@岩永左衛門は歌舞伎の方が人形振りになっているから、よりコミカルですね。 拍手、拍手で大感動・大満足☆ 今年も素敵な観劇納めが出来ました。

博多座文楽公演・夜の部【博多座】

今年で7年目の今公演。 よってこの7年間の私は『観劇納めは博多座文楽公演で』という事で今年も納めて参りました。 今年は夜の部のみの観劇。
公演期間は3日間・計6公演というのが定着していたのですが…今年は来月の仕込みのせいか?2日間・計4公演と残念ながら短縮に。

文楽を楽しもう

今回の解説は豊竹呂勢大夫さん。 勘十郎さん以外の解説は初めてです。 『文楽とは…』という解説ではなく、博多座文楽公演を初回から振り返ったり、今公演で上演する演目の見所の解説でした。 呂勢大夫さんもお話がお上手♪

弁慶上使

歌舞伎では私の“気絶演目”のひとつ。 苦手意識があるからか…やっぱり気を失っていた箇所が~。
やっぱり吉田玉女さん@弁慶は大きな人形ですね。 立ち廻りの時の運動量が、動きの振り幅が半端ナイ! 玉女さんの表情はクールなんですが、お顔には大粒の汗が。 人生で二回しか泣かなかったという弁慶の男泣きを竹本文字久大夫さんが語りますが、その表情を人形と交互に見ていると(テニス観戦のような感じ)手に力が入ってしまいました。 ふたつの首を携えて去っていく姿が様が印象的でした。

曾根崎心中

映画【最後の忠臣蔵】で象徴的に使われていた本作。 昨年映画公開時に無性に観たかったので、博多座での上演が決まった時はガッツポーズでした☆
お初、歌舞伎では藤十郎さんでしか観たことが…でしたが、近年はお初にリアル年齢が近い壱太郎くんが演じる機会も増えてきましたね☆ 人形だと…お話のはじまりは更に“少女”な感じで、終盤につれて“女”に変化するようで不思議でした(表情は変わらないのにねぇ~)
最大の関心事は、縁の下に居る豊竹呂勢大夫さん@徳兵衛が自殺を決意した事を竹本津駒大夫さん@お初に伝える…彼女の足を取って自分の喉元に当てるアレは『足のナイ、女人形ではどう表現するんだろう?』
「?!」…「足、あるんかいっ!!」と思いっきり心の中で突っ込み入れちゃいました。
曾根崎の森での道行きは幻想的な舞のような感じで綺麗☆
来年の博多座文楽公演は…公演期間が3日間に戻っているとイイな…と願いつつ2011年観劇納め終了。