新・三国志II【博多座】

前回のPart1は“大千穐楽”という事もあって、遠征組も多く、熾烈なチケット争奪戦のうえ、補助席、立見席…と観客も興行主も大変な騒ぎでした~。 今回は翌4~5月に新橋演舞場にて2ヶ月の凱旋公演が控えていましたので、パニックにはならなかったようですが…それでも、連日大入りのようでした。 昨年末より体調を崩されていた段四郎さんの代役で金田龍之介さんが登場。 戦う女形・武旦はこの公演よりWキャストとなりました♪
平成15年には新橋演舞場でPart3が2ヶ月間上演され、その後すぐに博多座へ登場します! なんか… スゴイぞ博多座!

一幕

新橋演舞場で5月に観ていたのですが、その後、御園座~松竹座と経て、かなり演出が変わっていて楽しめました♪ 特に初見では今イチそのキャラクターに馴染めなかった笑三郎さん@ 祝融は“恋する乙女”色が強くなって、かわいらしくなっていた事に驚きました! 寝所で孔明に拒否されて、ふくれっつらで足をブラブラさせるだなんて(*o*) 博多座公演では、祝融に対する客席の反応ってスゴク良かったと思います。 九州女と気質が似ているのでしょうか♪ 戦う女形・武旦は今公演から沙立金くんに加えて馬笑くんがWキャストとして加わりました。 シャープな沙くんと柔らかい感じの馬くん、さすがの立ち廻りで圧倒されました! !

二幕

『泣いて馬謖を斬る』にふさわしい、孔明の愛弟子・馬謖の演出になっていました♪ 功を急ぐあまりに惨敗する前は、特に目立った活躍もなく「そこまで号泣しながら斬るような武将なの?」と疑問を感じていましたがこれにて解決! 一幕でも、敵軍や戦法を孔明に進言する場面 が増え、孔明との師弟関係も解りやすくなっていました。 初めての大役を立派に果そうと、一人いきがる様子は◎だったけど、猿也さん@王平とは、ただ仲が悪いようにしか見えなかったのは残念! 処刑のシーンは特に変化はなかったけれど、処刑台に立って振り返りセリ上がって行く所の表情は◎ “星になる”にふさわしい、まるで悟りを開いた僧のような感じでした。
そして…馬謖を失った猿之助さん@孔明の心の痛み・苦しみがとても増していて、心を打たれました。

三幕

歌六さん@関平の、死を覚悟したセリフに泣けました…(T-T)  今年2月の松竹座から私の中で歌六さん、赤丸急上昇!なんです(*^-^*)  天水城での本水を使っての立ち廻りも、全身全霊の気迫がスゴクて感動しました! でも、亀治郎さん@安仁は気合いが入っている時とそうでナイ時の差が激しくて、観ていてとても残念だったな…。 孔明の命がつきる“五丈原”での夕日 ~夕暮れは「博多座が一番キレイ!」でしょう、多分!と思うほど♪ バックスクリーンに映し出されたその鮮やかな色から日の落ちる様までの色の変化がなんとも自然で美しかったです。

市川猿之助・二月大歌舞伎【松竹座】

南総里見八犬伝

スーパー歌舞伎では観た事があったのですが、古典では今回初めて! 私、笑三郎さんは“年配の落ち着いた女性”しか印象になかったので、発端での赤姫姿(伏姫)は衝撃的(*o*)
里見のお家の敵である段治郎さん@山下定包は八犬士が力を合わせて倒そうとする“大きな敵”といった風情が感じられ良かったです♪
残念だったのは、猿四郎さん@犬川荘介弘太郎くん@犬江親兵衛の描かれ方があまりにもサラッとしていて、気が付けば「あら?八犬士がもう揃ってるの?」って感じでしたσ(^_^;) 時間の関係なんでしょうけど、もうちょっと…ね? 弘太郎くん、頑張ってました♪
しかし、この演目の“殊勲賞”はなんと言っても歌六さんでしょう! 金鞠大輔後にヽ大法赤岩一角実は猫の怪と全く違った役を演じ分け、亀治郎さん@犬村角太郎の一族を滅ぼそうとする妖猫では、猫の華麗なステップと怪の妖術でヘヴィメタのライブ並みの迫力か?!(こしらえとかネ)
大詰での立廻りは春猿さん@犬坂信乃が久々の立役で観たので、その力強さが印象的♪ おまちかねの猿之助さん@犬山道節の宙乗りは昨年7月歌舞伎座で観た“葛籠抜け”再び! 八犬士に取り囲まれた段治郎さん@山下定包、最後はセンターで大きな見得。 立派だ…

加賀見山再岩藤

傘を手に岩藤が宙乗りをするという事と“骨寄せ”を『こつよせ』って読む事を今回初めて知った…というくらいしか前知識がなかったので、とても観劇を楽しみにしていました♪
次から次へと早替わりを繰り返す猿之助さんのパワーに圧倒されっぱなし!  見せ場(1)“骨寄せ”の趣向はおどろおどろしくも楽しく、花道での“骸骨の引っ込み”があるなんて大興奮! 見せ場(2)“ふわふわ”と言われている岩藤の亡霊の宙乗り♪ 満開の桜を見渡しながら桜吹雪きに吹かれ、楽し気な表情と足の運びがたまらなく面白い!o(^o^)o
春猿さんは、多賀家の乗っ取り企み、当主に色香で取り入るお柳の方では、計算高い色っぽさにクラ~ッと(^∇^;) 病を患う花園姫の可憐な美しさにポワ~ンとなってしまいまして…スゴかった! 欣弥さんは、違った雰囲気の役を何役もされていて、その変身ぶりが楽しかったです♪

気が付けば“初・松竹座遠征”! これから何度この道を通うのでしょう…。

二月大歌舞伎・夜の部【博多座】

良弁杉由来

またまた人間国宝に対して大変失礼ながら「鴈治郎さん、ウマイっ!」そう言わずにはいられませんでした! 序幕での匂い立つような美しい渚の方から一変、子供を鷲にさらわれて30年もの時を経た姿への、その変化の見事さに驚愕しました。  施しを受ける身となった老婆での花道の出では、思わず「この手につまってください」と手を差し伸べたい衝動にかられるほどの、おぼつかない足取り。 「これがあの渚の方?」と目を疑うほどの、こらしえだけでない激変ぶりに「鴈治郎さん、スゴイなぁ…。ウマイなぁ…。」と失礼な感想を持ちながら、ボロボロ泣いてしまいました。 スゴイ役者さんだ! 翫雀さん@蝶々売おかん、ふっくらとしていてとっても可愛い~♪ 二月堂のセットはさすがに素晴らしかったです。
鴈治郎(水無瀬後室渚の方) /菊五郎(良弁大僧正)/翫雀(蝶々売おかん)/正之助(船人清兵衛)

十代目坂東三津五郎 襲名披露 口上

大劇場では博多座が最後の襲名披露公演という事で…皆さんすでにネタ切れ!といった感じで、いたって真面 目な口上でした。 残念!(^∇^;) 以下、笑えたコメントをご紹介♪
翫雀さん「NHK 朝の連続テレビ小説“おていちゃん”で共演」
田之助さん「楽屋でオムツを取り替えていた」
菊五郎さん「昼の部も観てね♪」「夜は宣伝部長として中洲にてご活躍されています」
八十助改め三津五郎・鴈治郎・彦三郎 ・正之助・ 辰之助・翫雀・時蔵・田之助・我當・萬次郎・ 秀調・團蔵・菊五郎

め組の喧嘩

鳶と力士の大喧嘩! 出演者も相当な数になるわけで…まさか博多座でこの演目がかかるとは思っていなかったから、すごく嬉しかったです! 三津五郎さんはちょうど一年前の歌舞伎座で、め組辰五郎を初演されたそうですが、粋でいなせな風情がバッチリとハマってて、気持ちが良かったです♪ 私個人としては清水大希くん@又八に釘付けでした(^o^)v 何をやっても可愛いくて目が離せません! お決まりの、着物の裾をパッと払ってあぐらをかく様に客席は湧く湧く♪ ちゃん思いのラブリーな倅を好演してました。 大詰の喧嘩は“三階さん大活躍”!  もう、どこ観てイイんだか!って感じで、どの役者さんも大奮闘。 梯子を使わずに助走をつけて屋根に跳び乗る鳶チームには毎回ハラハラ! 全員成功すると拍手喝采~でした(^o^)v
千穐楽は幕見をしたのですが、梯子を挟んで鳶と力士が押し合う場面。 後方にある2つの小屋に梯子ごと突っ込み穴を開けてしまうパフォーマンスもありました♪
この演目でのツケ打ちの方、今公演で腕がひと回り細くなったのではないでしょうか?σ(^_^;)
三津五郎(め組辰五郎)/時蔵(辰五郎女房お仲)/彦三郎(四ツ車大八)/團蔵(九竜山浪右衛門)/菊五郎(炊出し喜三郎)/鴈治郎(尾花屋女房おくら)/翫雀(おもちゃの文次)/辰之助(め組柴井町藤松)/我當(江戸座喜太郎)/亀蔵(葉山九郎次)/清水大希(辰五郎倅又八)

二月大歌舞伎・昼の部【博多座】

三津五郎襲名披露公演ラスト! 『21世紀最初の襲名披露公演』と銘打って全国をまわってきた 公演も大劇場ではこの博多座が最後の公演となりました。 昨年よりPRの為に何度も来福されていた三津五郎さんの意気込みに 応えて、博多座周辺は町あげてのお祝ムード♪ 私個人としては“翫雀さんご贔屓一周年公演”で…またしても 通ってしまいました~。

神霊矢口渡

“時蔵さんオンステージ”と言わせていただきましょう!
『かわいい時蔵さん』『色っぽい時蔵さん』『激しい時蔵さん』…お話が進むにつれ、その感情の移り変わりを見事に演じ分けグイグイと舞台に引込まれました! 私自身はこの演目を観るのは今回が初めてでしたが「お舟ちゃんを演じるのは時蔵さんしかいない!」と思ってしまうほど心打たれました! ひと目ボレでうっとりする様がコミカルで笑いを誘う分、後半の愛する人を守る為の命をかけた真剣な立廻りは「頑張って!頑張って!」とせつなさに胸が痛くなり、その激しさに圧倒されました。 我當さん@頓兵衛は、娘の命もお構いなしの強欲さの所作がコミカルで愛らしくさえありました。 壁を切り崩して家に入る…という大胆な行動に出たかと思えば、埃やススを草で払う…などの細かい演出には感心しました!  我當さんのコロッとした体型と(失礼!)チョコチョコっと歩く様、子供のように悔しがる様はハマってました♪ 弥十郎さん@六蔵の“おちゃっぴい”ぶりは、体躯がイイだけにより“まぬ け”ぶりが際立っていたように思えました(失礼?!)
時蔵(娘お舟)/我當(渡し守頓兵衛)/秀調(新田義峯)/上村吉弥(傾城うてな)/弥十郎(下男六蔵)

吉野山

鴈治郎さん@静御前は花道の出で振り向くと…大きな拍手! さすがの圧倒的な存在感なのですが、その表情はとても初々しくて可愛いらしく驚かされました! 初音の鼓の音を聞いてスッポンより三津五郎さん@忠信が登場し「待ってました!」の大喝采! キビキビとした小気味いい踊りが観ていて心地よかったです♪ 二人で“男雛&女雛”の型をキメると大きな拍手が起こりました。 そして…私のお待ちかね!翫雀さん@早見藤太の登場! 花四天を従えながらもオトボケな愛すべきキャラは「これぞ翫雀さん!」って感じのハマりよう♪
見事な桜が咲き誇る吉野山のセット、清元の鮮やかな緑の裃、義太夫の桜裃。 目にも耳にも本当に華やかな美しい舞踏で、何度観ても新鮮な感動があり大好きな舞踏です。
三津五郎 (佐藤忠信実は源九郎狐)/鴈治郎(静御前)/翫雀(早見藤太)

人情噺文七元結

さすがにこの演目での名コンビ、菊五郎さん@長兵衛田之助さん@お兼の夫婦ぶりは実に絶妙! 大いに笑わせてもらいました♪ 時蔵さん@角海老女房お駒は心の広いキップのいい姉さんを貫禄充分に(^o^)v 辰之助さん@文七は回を重ねる度に「あなぁたぁ~」「なぁ~に、よろしいんでございますよ」のコミカル度が増してすごく面 白く、売上金を取られて身投げしようと気が動転している男の様がよく伝わってきました。 松太郎さん@家主の仕切りぶり、團蔵さん@ 角海老手代藤助の「あなた怒っちゃイヤですよ」の好演が印象に残りました♪ 終演後、観客が「あ~、面白かったネ」「笑った、笑った」って口々に感想をべながら劇場を後にする光景が多くみられました(^o^)v
菊五郎(左官長兵衛)/田之助(女房お兼)/團蔵(角海老手代藤助)/時蔵(角海老女房お駒)/松也(長兵衛娘お久)/辰之助(和泉屋手代文七)/彦三郎(和泉屋清兵衛)/三津五郎(鳶頭伊兵衛)/松太郎(家主甚八)

十二月大歌舞伎・昼の部【歌舞伎座】

華果西遊記

昨年12月の再演でしたが、私は初観劇。 これでもか!これでもか!と繰り出す“蜘蛛の糸”の雨と、京劇チックな棒を使ったアクロバットや手品、子供達による孫悟空の分身に客席は湧きました。 猿弥さん@猪八戒は“ニンに合った”…と言ってイイのでしょうか? コミカルな演技で大いに笑わせてもらいました♪ 個人的な感想としては「この演目はもういい…かな?」(^∇^;)

弁慶上使

團十郎さん@弁慶の花道の出は圧巻でした! こしらえの大きさと豪華さもさる事ながら、團十郎さんの圧倒的な存在感の大きさに、客席が「おぉ~」とどよめきました。 この演目では“荒事”というような大きな立廻り等はありませんが「さすが荒事の成田屋」って感じでした!
館に腰元として仕える七之助さん@しのぶを尋ねてくる芝翫さん@母おさわ。 その母の明るいおしゃべりぶりが実に楽しいく、後半の悲劇への展開が際立ちました。 主君の為とはいえ、初対面で実の娘を殺さなければならなかった弁慶。 18年振りに夫に会えた嬉しさと同時に娘を失った悲しみにくれるおさわ。 父親の顔を知らずに息を引取ったしのぶ。 「生涯に一度しか泣かなかった」弁慶の豪快な大泣きぶりに涙を誘われました…(T-T)

末摘花

玉三郎さん@光の君の美しさと勘九郎さん@末摘花の恵まれない容姿の対比は笑いを誘うものでしたが、末摘花「心の美しさ、いじらしさ、健気さ、一途さ」が素晴らしく、光の君だけでなく観客は皆、彼女をかわいらしく思った事でしょう。 福助さん@侍従の姫様への忠誠心、芝のぶさん@侍女・狭霧の超現実的な立ち振るまい、勘太郎さん@惟光のナイスな受け答え、それぞれが役にぴったりハマって素敵でした。 3年振りの逢瀬の後、塀の陰からの玉三郎さん@光の君を見送り、團十郎さん@受領・雅国に嫁ぐ決心をするラストは…私、しばらく立ち直れないくらい号泣してしまいました!

浮世風呂

とっても観たかったんです、猿之助さんの【浮世風呂】♪ ニワトリの鳴き声と共に朝日が湯気がたった風呂場に差し込む演出が素敵! 湯気がもうもうとたつ闇から一転、明るい風呂場で猿之助さん@三助正吉が働き始める。 そこへ、三助を見染めた亀治郎さん@なめくじが現れて、口説きにかかる…という楽しい舞踏。 写真で観たり、話しに聞いたりしてはいましたけど…なめくじがあんなにセクシーとは! くねくねとした独特な動きと色っぽい視線で三助に絡む様は「きゃ~っ♪」って感じ(*^_^*) 塩をかけられてのスッポンでの引っ込みも楽しかったです(^o^)v

胸いっぱい!お腹いっぱい!って感じの“大満足の歌舞伎納め”となりました!