三月大歌舞伎・夜の部【歌舞伎座】

坂田藤十郎と市川團十郎という大名跡が、歌舞伎の歴史上初めて江戸で同じ舞台に!』という事で話題となった今月歌舞伎座公演。 昼の部【一谷嫩軍記 陣門・組打】と夜の部【京鹿子娘道成寺】がその共演の舞台。 前楽と千穐楽に観劇出来ました♪

強風 鈴ヶ森
え~っと…前日まで今回の江戸上がりの為に片付けておかなくてはいけない仕事で、バタバタしてたうえ、早朝上京で「これは絶対ヤバイな…」と思っていたら、案の定…気絶(殆ど全篇)。 元々、暗いし雲助は汚いし~、で苦手な演目なのですが汗
芝翫さん@白井権八は…御年80才ながら17才の前髪の男子を演じる…とは歌舞伎ならでは!ですよね~。 女形さんがこのお役をされる時の着流しは鶸色が多いと思うのですが、芝翫さんが黒だったのは意外。 そういえば芝翫さんは口上の時は立役の正装ですよね。 元々のお名前からの由来によるものなのでしょうか? この辺りがまだまだ勉強不足な私です汗

段四郎さん@飛脚早助(段四郎さんの韋駄天走りが観れるなんて♪)、左團次さん@東海の勘蔵彦三郎さん@北海の熊六という豪華な配役…なのに私は観ていない。 情けない…悲しい 富十郎さん@幡随院長兵衛の「お若けぇ~の、待たっせぇ~やし!」は、さぞ耳に心地よかったかと~(聞けてナイ私)

桜 京鹿子娘道成寺
坂田藤十郎喜寿記念』と銘打った今公演。 実は…6月の博多座でも観れる事を観劇後に気がつきました~汗 只今、桜が満開のお江戸。 やっぱり季節に合った演目が観れる…ってのはイイですね♪(真夏に【紅葉狩】とか拷問に近いものが~)
ゾロゾロと登場の所化は豪華総勢22名。 翫雀さんとご長男の壱太郎くん扇雀さんとご長男の虎之助くん…と山城屋さんをもり立てる成駒屋ファミリー大集合で、さぞ藤十郎さんも嬉しいことかと♪ “まいづくし”で頑張る虎之助くんの背後でニコニコと心配そうに見守る翫雀さん、このツーショットが激しくツボでした☆ その翫雀さん「あの白拍子はそこもとに似ているような…」と所化仲間に言われて「自分でも鏡を見ているような…」とは爆笑♪
藤十郎さん@白拍子花子は…ご覧になった方、皆さんそう思われたと思うのですが「あの若さに改めてビックリ!」 なんなんでしょうか?あの若さは! 花道で化粧直しをして…その餅紙を捨てる(客席のお客様へ投げる=プレゼント)という趣向は初めて見たような? 2006年7月の松竹座で拝見した時のお着物もお召しでしたが、今回…多分初めて拝見した感のある、黄色地の火炎太鼓柄! これがすっごく素敵☆ 手拭い撒きは後に所化’sも手伝って出血大サービス。 最後は三段ではなく二段で…これは女形だから、という配慮との事で驚かされました。
花四天の花道での“とうづくし”で「今日は私の誕生日、これほんトウ!」と言った方はどなただったんでしょうか? 笑いをこらえているお囃子方の表情を見るのも楽しかったです~。後ろ姿
團十郎さん@大館左馬五郎照秀が押戻しで華を添えます! やっぱり成田屋さんは隈がホント似合うなぁ~(綺麗だし)と錦絵のような役者ぶりを堪能。 しかしあのヅラ、後ろ姿が間抜けで笑えました~♪

熱燗 江戸育お祭佐七
初めて観て…あまりの後味の悪さに、夜の部はど~んよりと帰路に着きました汗 世話狂言の名作との事ですが、どの辺りがウケている演目なんでしょう?
時蔵さん@芸者小糸の出のあのお着物! も~う、なんてお似合いなんでしょう♪ 私、女形さんの中で芸者姿が一番粋でピカイチ素敵と思っているのが時蔵さんなんですが、この千鳥模様の留紺色のお着物は絶品でした☆ 美しい…。
踊り屋台での出し物【お軽勘平】では、芝のぶさん@お軽! 思いもかけない嬉しいお役にテンションが上がりまして…私、舞台写真お買い上げ。 なんて可愛いんだ芝のぶちゃん♪(鷺坂判内はどなただったんでしょう?)
團蔵さん@倉田伴平って…こ~ゆ~イヤな奴を演らせたら團蔵さんの右に出る者は居ないんじゃないかしら?と思うほどの今回もハマり役。
家橘さん@おてつは不気味な怖さが漂っていて怪演! あの…前髪の一部をねじって後ろに結わえているヅラって初めて見ました。 不思議な髪型~。
仁左衛門さん@鳶頭勘右衛門は、ご出演を全く知らなかったので「あら、あのカッコイイ人は?」と出にビックリ~。 なんかすごく裏がありそうに見えたのですが…そのまんまでしたネ汗
菊五郎さん@お祭佐七は、今回初役との事。 「てやんでぇ!べらぽうめぇ!」「火事と喧嘩は江戸の花」ってな粋な江戸っ子風情は充分でしたが、それ故のあのラストは…どうよ? 家に返したばかりの小糸をすぐさま迎えに行くのは格好悪いなぁ~けど~と散々迷う様がなんともチャーミング♪

十二月大歌舞伎・夜の部【歌舞伎座】

他の観劇スケジュールの兼ね合いから…多分初めて?の歌舞伎座初日観劇となりました(残念ながら昼の部観劇は断念!)

寺子屋

意外にも勘三郎さん@松王丸歌舞伎座では初めてとの事。 松雪に迫力ある鷹をバーンとあしらった羽織の背刺繍は「スカジャンにしたらさぞ怖いだろうなぁ~」という迫力が汗 しかし、福助さん@千代も…ですが、心に響くのはなかったです。 泣けない。 亀蔵さん@涎くり与太郎は想定内の愛らしさ☆ 松也さん@御台園生の前の咳の仕方、上手いなぁ(かつて喘息児童だった私) 海老蔵さん@武部源蔵勘太郎さん@戸浪は「若いなぁ」という印象でしたが、勘太郎さんは健闘では。 海老蔵さんは、単体で強すぎる…周りとの調和が取れてナイかと。
いつも思うのですが捕手の方々、あの長~い時間を蹲踞しているのは辛いだろうなぁ…。

粟餅

今回初めて拝見。 立役二人が揃いの拵えで…というような舞踏は珍しいのでは? 江戸時代の風俗を垣間みれる、短いながらも歯切れの良いキビキビした舞踏。
三津五郎さん@杵造の達者な踊りはもちろん、橋之助さん@臼造もそれに続き、曲芸を混ぜながら餅をつく様が楽しい。 粟餅の色は黄金…という事から“こがねもち=小金持ち”として縁起がイイとの事。 なぁ~るほど♪

ふるあめりかに袖はぬらさじ

歌舞伎座での上演は今回が初めてとの事。 私は作品自体、初めての観劇となりました。 面白い!…けど~長い。 これ1本、単独でかけてもいボリュームですが『今月の歌舞伎座だからこそ!』の豪華配役は見逃せません。 しかし長い…。
玉さん@お園
元来、玉三郎さんのはすっぱな…仇っぽい色気のあるお役ってすごく好きなのですが、今回の芸者お園を拝見し、そのコメディジェンヌぶりに驚嘆! 大変大変失礼ながら…ホントに上手い役者さんなんだなぁ~と感動(失礼すぎ汗) いや…“玉三郎さん=神秘的な美”という事で、高尚な芸術の域となり『玉三郎さんだから凄いんだろうなぁ…』と、実は上手いのか?否か?という事がよく解らないまま、その世界観に飲まれてしまう感じが多いのですが、今回ばかりは私にもハッキリと解ります。 玉さん、上手いっ!(失礼again汗) 玉三郎さん@お園何かしゃべる度にドッカン☆ドッカン☆と客席が笑いで湧く…というのは、なんとも新鮮な体験でした。 特に亀遊と藤吉のラブシーンに「お邪魔さま~」と襖の影から割って出るのは最高に笑え、「あたしゃ、男はもう懲り懲り」と言いながらもサラッと翻ったり、『この人、ホント酒好きだよ』と思わせる様は楽しい、楽しい♪

舞台となる横浜の岩亀楼は実在した遊郭。 外国人相手の遊女“唐人口”も抱えていた為、和洋折衷の洒落た造りだったらしく、今で言う建物のバックステージツアーのようなものが当時行われていたとの事。 現存していれば…さぞ観光地として賑わったでしょうね~。
物語の発端はお園の同僚の遊女・七之助さん@亀遊と、医者を志す通訳・獅童さん@藤吉の恋模様。 このお二人が好演! 特に七之助さんは、今まで拝見した七之助さんのお役の中で“一番イイ!”と思いました。 床に伏した幸薄い遊女風情がバチッ!とハマって儚さ満点☆ なので、後にその死について攘夷派志士を煽るためのねつ造話としてでっち上げられ、それを商売に利用しようとした岩亀楼の主人に【烈女亀勇自決之間】まで拵えられる様は大変哀れで滑稽に映ります。
『一つの湯呑み茶碗を二人で回し呑みすると別れる』といういわれから、そうする時は茶碗のフチを指で弾いてから相手に渡す…という事は、私初めて知りました。 現在もそうですか?
亀遊が自ら死を選んでしまったほど屈辱だった唐人口。 【唐人お吉】で有名ですが、“らしゃめん(羅紗緬/洋妾)”とも呼ばれ、忌み嫌われていただけにお手当は日本人口の3倍もあったそうです。 私、この度イヤホンガイドの解説により羅紗緬の語源を知りました。 ビックリ…。  福助さん@マリアをはじめとする女形さんのグロテスク・ファッションショー?!は、かなり引くものがありました汗 新悟くん@ピーチの猛烈アピール(巨乳です)は、お父様・彌十郎さん@イルウスは全力で拒否していた様に笑えましたが~。
猿弥さん@幇間和中。 やっぱりあ~ゆ~拵えの猿弥さんは山城新伍にソックリ!
勘三郎さん@岩亀楼の主人は、ひょうひょうとした面白さはあるものの、もっと悪どく嘘話に加担したひとりとして小賢しい部分が見受けられた方が良かったような? 時折、お園が主人を操っているようにも見えてしまって…(実はそうなのか?!)
上演時間21時を過ぎても登場しない段治郎さんに「もしや休演か?!」とハラハラしていたら…よ~やく登場(話を知らないので役所が解ってナイ汗
尊王攘夷派の私塾・思誠塾の門下生たちがお園の嘘を見抜い詰め寄る様の緊張感は痛快! 各々のキャラクター設定も明確で楽しく、勘太郎さん@飯塚はなんともラブリー♪ 門之助さんって、現代調?のセリフの声はすっごく男前なのには驚きました~!
「私の言う事はみんな本当だよ…」「あれから5年、藤吉は今頃アメリカで何をしてるんだろう」というラストの余韻はなんとも心にしんみりと広がりました
…しかし長い汗

秀山祭九月大歌舞伎・夜の部【歌舞伎座】

阿古屋

久々に拝見! 岩永左衛門って体格がイイ方がするイメージがあったので、段四郎さんを楽しみにしていました。 なんだか可愛いし、コミカルさがより際立った感じもある上「芸で大きく見せるっていうのはこういう事なんだなぁ」と思わされた岩永左衛門でした。
吉右衛門さん@秩父庄司重忠は意外にも初役との事。 度量の深い名裁きが出来る人物である事を、その佇まいだけで感じられた好演。
玉三郎さん@阿古屋は、もうあえて何も言う事も…。 胡弓の音が一番好きです、私。

身替座禅

「まぁ~た、身替座禅かぁ…」とかなりウンザリな心持ちで観劇に臨んだんですが…面白かったです! 歌舞伎は役者を観る演劇と言いますが、なるほど言い得て妙!だなと実感。
思えば私、團十郎さん@山蔭右京は初めての拝見で(13年振りとの事)、あの朴訥した愛嬌がこうも可愛らしく右京さんにハマるんだ!とビックリ~。 色気が全くナイのも新鮮でしたが、とにかくカワイイんですもの~♪
染五郎さん@太郎冠者。 私、染五郎さんのこ~ゆ~、情けな~い感じのお役って大好きなんです。 さすがにウマイっ!

二條城の清正

“清正役者”と言われた初代吉右衛門の為に書き下ろされた作品だそうで、私、この度初めて観劇。 加藤清正所持の懐刀の写しを初代が譲り受けたものを今回の舞台でも使用する事も話題。
お互いの腹の底を探り合う駆け引きの芝居なので、物語を頭の中に入れて集中しておかないと…危うく置いて行かれそうになりましたっ汗
吉右衛門さん@加藤清正は豊臣秀吉への恩を忘れず、その一子・福助さん@秀頼に病の身ながら必死に仕えるダンディでカッコいい…ヴィジュアル系爺さん(失礼!) 豊臣家の取り潰しをもくろむ左團次さん@徳川家康からの二条城への誘いに同行し、主君のピンチを救う。 その堂々たる弁舌と対応の重厚さに清政の人柄が偲ばれました
ラスト、帰途の船上での親子のような情愛が通い合う清政と秀頼にホロリ。 夜が明けて、城が見えて来る感動的なラスト(城の書割りはショボイ汗)に余韻が残る…。気になる額
で、こんな感動的な船上のラストシーンなのに、一番気になったのは福助さん@秀頼のヅラ! あの前髪…っいうか、おデコ…っていうか~冷や汗 富士額じゃなくって完全な弧を描いた前髪で…アレってどうよ? 目が釘付けになってしまって困りましたよ、あたしゃ! ちょっと前に某アイドル歌手がデジカメの広告で舞妓さんに扮していた時のヅラに感じた違和感に…似ている~。

秀山祭九月大歌舞伎・昼の部【歌舞伎座】

初代吉右衛門さんの俳名の“秀山”からその名を取った【秀山祭】。 昨年の9月に続いて今年で二回目となりまして、当代吉右衛門さんの奮闘公演を楽しみに今年もお江戸上がりとなりました。
今回も都合上、昼夜1日通し観劇…だったのですが、つ、疲れた~汗 いつも以上にヘヴィでした~汗 …というのも1つ1つの演目の上演時間が長い上、集中力を要する狂言立てだったからかと。 出演役者は豪華!演目も見応え充分!…なのに、何故かしら地味な印象だった(私は!)のは、不思議~。

竜馬がゆく

ニヤリ歌江さん司馬遼太郎のベストセラー小説をベースに、坂本竜馬が勝海舟に出逢う迄を描いた新作歌舞伎。 染五郎さん@龍馬は3年前にテレビ時代劇でも演じていらっゃる上、新作という事で…昼の一演目ながら、ズシンと見応えのある「日本の夜明けが見えるぜよ!」というような爽やかでスケール感のある幕切れが印象的に好演。
染五郎さん@竜馬は、ヒョウヒョウとして人懐っこく真っすぐな夢見る若武者、という感じがとても良く出ていて、コミカルなやりとりでは客席の笑いを存分に取る楽しさ。 ただ、いつも思うのが、声をツブシやすい方のようで?今日もいささか聴き辛かったのが残念。
武士の格好をさせたら歌舞伎役者の中ではNo.1じゃないかしら?と個人的には思っている歌昇さん@桂小五郎、そして、最近次々と大きなお役で好演を重ねていらっしゃる歌六さん@勝海舟がどっしりと構えて、これから大きく動きだす日本の未来の船出を感じされる…またこの続きを観てみたい!と期待させる幕切れとなっていて面白かった♪
他には歌江さん@すぎの細かい演技にクスッと笑わされ、宗之助さん@池田寅之進の立役に驚く! 宗之助さん自体を久々に拝見したのですが、立役でも前髪と四天王、所化くらいしか拝見した事がなかったので、こんなタイプの若武者のハマりっぷりと、その声の良さに感動~! 種太郎くん@中平忠一郎の儚い感じも◎
特筆すべきはラストの舞台美術。 勝海舟の屋敷~桂浜~夜明け…というこの居所変わりは素晴らしかった~拍手

熊谷陣屋

残念ながら見所のひとつである、花道の出が見えるお席ではなかったのですが…ズッシリとドッシリと拝見。 印象としては吉右衛門さん@熊谷直実人情厚い人物像が滲み出ているような。 表情の下に感情をグッと押さえてポーカーフェイス…な直実を演じる方が多いと思うのですが、吉右衛門さん@直実は、わりと気持ちが表情に出ていて解り易い。 陣谷に押しかけてきた福助さん@相模に対する反応と対応とか、我が子を犠牲にしてしまった悲しみとか。 僧形となっての花道の引込み「十六年はひと昔…。夢だ…」とその場で泣き伏してしまいそうな表情と絞り出す声で、胸が締めつけられました~悲しい
福助さん@相模は、今まで拝見したどの相模よりもかなり積極的な…この当時の武将の奥方としてはかなりアクティブな印象を受けました。

二人汐汲

私、実は【汐汲】って観たことナイんです~。 写真などでは頻繁に目にする機会があるのに、何故だか…で、今回を通常版と比較は出来ないのですが、目に美しく楽しめる舞踏ですね。
今回は玉三郎さん@松風福助さん@村雨の海女姉妹。 どちらも腰ミノと塩汲み桶がなかったら白拍子のような美しさで、とても海女には~汗
この美人姉妹に愛された在原行平って一体どんなに魅力的プレイボーイだったんだろう?と想像しながら観るのが楽しかったです♪

團菊祭五月大歌舞伎・夜の部【歌舞伎座】

女暫

十七世市村羽左衛門七回忌追善狂言】です。
羽左衛門さんは…博多座開業の翌年の仁左衛門さん襲名披露公演で博多座ご出演予定が体調不良により休演となり、ついに一度も博多座の舞台に立たれる事なく…という経緯が(確か宗十郎さんも)。 その時に目にした“休演のお知らせ”の貼り紙を残念に見た事を思い出されます。 あれから早くも七回忌、なんですね…。
文字通りあの【暫】の女性版で、鎌倉権五郎景政の役回りを演じるのは萬次郎さん@巴御前(義仲の愛妾)。
舞台の何処に居並んでいらっしゃってもセリフを一言発するだけで「あ、萬次郎さんだ♪」と判る特徴ある声と大きな目がトレードマークな女形さん。 そしてインターネットが世に普及し始めてから間なしに、歌舞伎普及の為のご自身のサイトを開設(【KABUKI for EVERYONE】)されていた萬次郎さんを「ナウな(死語!)歌舞伎役者さんだ~」と、私の中では歌舞伎にハマった初期の段階ですぐお名前を覚えた方でもあります。 近年で一番印象に残っているお役は2006年3月のPARCO歌舞伎【決闘!高田馬場】のおウメで…正直、他には特に汗
“橘屋の総力を結集”で臨んだ今回の追善公演には、萬次郎さん@巴御前、お兄様の彦三郎さん@蒲冠者範頼、弟君の権十郎さん@清水冠者義高の三兄弟でご出演。
暫って…ストーリーを語ると超単純なものだけど、それをあんなに時間をかけて大仰に、艶やかにたっぷりとお芝居するんだから、ん~、歌舞伎だ!
恥じらう引込みが独特の女暫は、三津五郎さん@舞台番前今までの勇ましい勢いは何処へやら?で愉快で楽しい掛け合いでした♪

雨の五郎

先月の浪花花形歌舞伎で拝見した進之介さん@曽我五郎のお着物が「白で珍しい~☆」と思っていたら、今月の松緑さん@曽我五郎も!で驚きました。
柔らかみのある部分とキリリとした部分のメリハリがとてもよく効いていて気持ちが良かったです。

赤ちゃん 三ツ面子守
三津五郎さんの女形自体、私はあまり拝見した事がなく、目にも新鮮でしたが…三津五郎さん@子守、確かに少女でした! やはり上手い踊りというのは観ていて気持ちがイイですね。 おかめ~恵比寿~ヒョットコのお面をとっ替えひっ替えで次々に踊り分けるのって…「今、何のお面付けてるんだっけ?」ってならないのかしら?と無粋な考えが過っちゃいました。 観ている側はひたすら楽しかったのですが、後見さんとの呼吸もすっごく神経使いそうです~。

め組の喧嘩

粋な江戸っ子・又ちゃん今公演では菊五郎さん@め組辰五郎時蔵さん@お仲夫婦の一人息子・又八を虎之介くんが! 今月、お父さんの扇雀さんはご出演ではナイのに一人で出演とは立派!と、もはや親戚のおばちゃん状態で心配に注目していたら、伯父ちゃんである翫雀さん@おもちゃの文次との絡みは、すっごく笑顔で元気が良くてニッコリ。 すると…舞台下手の調光室で心配そうに見守る扇雀パパを発見! 一緒に「虎ちゃん頑張れ~♪」と手に汗握りました。 そういえば7月の松竹座へは、今度は壱太郎くんが一人で出演予定。 成駒屋、各々頑張ってます!!
菊五郎さん@辰五郎のピシャッ!と引戸を閉めてピタッと決まる姿は“これぞ粋な江戸っ子”風情にホレボレ。 『火事と喧嘩は江戸の華』って言ったって、命がけとは…恐れ入り谷の鬼子母神。 男のプライドって命よりも重いんですねぇ汗 水杯の数って(叩き割る数)少ないような気がしたのですが、いつも通りでしたか?
菊五郎劇団の勢いある、迫力満点の立ち廻りひとつひとつに大きな拍手! あの小屋の上にいて、飛び乗る仲間を引き上げる人。 ず~っと同じ側の手を使っているので脱臼しないのかしら?と心配しちゃいます(毎日違う人がしてるのかな?)。
でもってラスト。 鳶と力士の間に梯子をかけて仲裁に入る梅玉さん@出し喜三郎。 私、歌舞伎でどの演目のどのシーンを演じてみたいか?と言われれば、この梯子ブラ~ン登場なんです!(もしくは【恋湊博多諷】の毛剃、船首で「よかよか~」) そのくらい好きなシーンなんですが、割って入った第一声がかき消されてしまったのはちと残念。
久々に拝見し、演じられる方は本当に大変でしょうけど…「あ~、やっぱり楽しいなぁ~♪」と。 ニッコリでスカッ!とした気持ちで劇場を出れる好きな演目のひとつです。