新秋九月大歌舞伎・昼の部【新橋演舞場】

これ…12月に書いてます冷や汗
な~んか気が乗らなくて放置して、気が付けば年末汗
もはや記憶も朧げなので観劇レポートは書けませんが、“個人の観劇記録”としてUPしときます。

源平布引滝

★ 義賢最期 ★ 竹生島遊覧 ★ 実盛物語
ファンでなくとも…海老蔵さんの【義賢最期】と聞けば観る前からワクワクし、期待通りのヴィジュアルの美しさに満足。 芝居は…ん~、あまり特筆する記憶が残っておらず~。
【竹生島遊覧】は初めて観た…はず。 面白かった! けど…具体的な記憶が~冷や汗

枕獅子

時蔵さん@傾城弥生後に獅子の精に、松也くん×梅枝くん@禿
この二人の並びの女形って六月博多座大歌舞伎で観たばっかりで印象が強かったけど、やはり梅枝君の“儚気美人さん”に見とれました。
しかし「父と息子、揃って女装して共演って…どうよ?!」とフト思ってしまう私は、まだまだ未熟者ですな汗

五月大歌舞伎・夜の部 【新橋演舞場】

おばけ 通し狂言 東海道四谷怪談
演目が発表された時「絶対観た~いっっっ!!」「楽しみ~っ☆」と大興奮したものの…チケット発売日に取りそびれてしまい汗…「そのうち戻りのチケットが出るさ~」と遠征間際までWEB松竹をチェックしてましたが、希望の座席は戻らず~悲しいで、予算オーバーのお席で観劇。 とにかく人気公演でしたね~♪
意外にも…吉右衛門さん@民谷伊右衛門、福助さん@お岩様、両者初役との事! 実は私、生の舞台で今作品を観たのは橋之助さん×勘三郎さんが唯一なので、比較がそれだけ…となるのであしからず。
今公演では【仮名手本忠臣蔵】の世界を用いた外伝という位置付けと、“鼠”というモチーフがそこかしこにあしらってあるという事がよく解った舞台でした。 なんたって今年は子年であり、福助さんは年男、季節もピッタリ~で絶妙のタイミングでの上演です。
お話の舞台は四谷であるから【甲州街道四谷怪談】と本来ならばなる所を、【東海道四谷怪談】としたのは『このお話はフィクションです』っていうメッセージを鶴屋南北がこめて付けたタイトルだそうですね(今回イヤホンガイドの解説で初めて知った次第汗

よつばのクローバー 吉右衛門さん@民谷伊右衛門
スッキリとした冷酷な二枚目で、15、6才の乙女(伊藤家娘・お梅)が一目でポ~ッと熱を上げてしまうほどの色男…という感じには遠く“色悪というよりは実悪”な印象の、どっしりとした大きさを感じる悪者ぶり。 このお話の伊右衛門とお岩様って…年齢設定はどのくらいなんでしょうか? 民谷伊右衛門には“キレる若者”ってイメージが私はあるので、吉右衛門さんには“もっさり感”が気になりました汗(あくまでも個人的な感想) 冷酷無比でカミソリの刃のような…触ればシュッと切れてしまうような鋭利な鋭さと狡猾さはなく…“大親分”というような太い印象を私は受けました。

よつばのクローバー 福助さん@お岩様
怖い…恐ろしいお岩様でした。 まさに“怪談”でした冷や汗
好みの問題ですが…お岩様って、観客が彼女に対して「なんて不運で可哀想な女なんだろう…」と感じて心を寄せ「伊右衛門ヒドイ!」「伊藤家許せん!」って…そういう対比が際立った方が面白いと思っているので、福助さんのお岩様にはそれが全く感じられなかったのは戸惑いました汗 コレは…もしかしたら今公演とは違った伊右衛門や伊藤家の人々(伊東家ぢゃナイよ!)との組み合わせだったら、また違った印象のお岩様になっていたのかもしれません。
私の涙腺決壊ポイント、持ち去られる蚊帳にすがって爪がはがれるところは…その後の痛がる演技がすご~く細かくて良かったです。
お岩様に武家の娘だった…という品が感じられず、伊右衛門に甲斐甲斐しく尽くしている様は、媚びているように見えてしまい(私は)、少しもお岩様に対して同情的な感情を抱くことがなかった故に、薬を服用~絶命までの一連がひたすら“怖い”に終始した印象。 薬って…一旦全て手のひらに出して口に入れるのが定番ですか? 「そのまま口に注ぎ入れた方がこぼすことなくキレイに飲めるのに~」と思う私汗 薬の効き始めがちょっと判りにくく、唐突に顔を痛がり始めるのには戸惑いました。 鉄漿を付ける様はホラーな上、髪梳きで「あぁ~っ」と悶えるのも不気味すぎ。 突然「宅悦さぁ~ん」と大声を上げて客席に笑いが起こるのは定番の演出なんでしょうか?
【四谷怪談=お岩様=オバケ=怖い】という世間一般のイメージにはピッタリな福助さん@お岩様ではなかったかと汗
私、お岩様が首からかけている紐は…何の意味だったかすぐ忘れてしまう汗ので今回は記述しておきます(麻で織った紐=安産の魔除け・長くて生みやすい、麻のように長くて丈夫に育ちますように、というお守り)

よつばのクローバー  段四郎さん@直助権兵衛
意外にもカラッした小悪党の軽やかな小気味良さに驚きました! つい最近も“韋駄天走りの段四郎さん”に驚かされましたが…なんだか最近若返っていらっしゃいません?

よつばのクローバー 伊藤家の人々
この公演ならでは!の大抜擢も楽しみのひとつ…ですが、この伊藤家の人々が今ひとつ弱く、常軌を逸した狂った残酷な人々の体が薄いので、お岩様への同情の念もあまり感じられなかったような~。 京妙さん@お梅は…可愛くないのは致命的(ゴメン!本当にゴメン!) 伊右衛門の見た目の格好良さだけにボ~ッとなっている15、6才の青い小娘風情の無垢な残酷さが欲しいと思うのですよ汗

よつばのクローバー 歌六さん@按摩宅悦
ボンの周りに飛ぶ蚊を団扇で追い払う演技が細かい! 蚊が…見えます! 今公演では毎回達者な演技に感嘆させられます。

五月大歌舞伎・昼の部【新橋演舞場】

今回の遠征は…近年稀にみる“キツキツ詰め込み観劇遠征汗 3泊4日の上京日程を確保する為、直前まで…これまたキツキツ詰め込み仕事で、バッタバタ~。 故に危惧していたけど…予想通り「せっかく頑張ってやっと観に来れたのに、なにやってんのよ?!私~悲しい」という気絶っぷりの昼の部。 遠征一日目の本日は新橋演舞場に缶詰。 昼夜入れ替え時に“眠眠打破”をグビッと服用して眠気撃退!…のはずが、あんなに楽しみにしていた夜の部【東海道四谷怪談】も、どうやら断片的に観てないところがある模様汗
新橋演舞場の【五月大歌舞伎】の筋書きって…今年から歌舞伎座と同じサイズに小さくなっちゃたんですね。 筋書きって観る度買う事はナイけれど、何故かしら今公演は毎年購入しているんで…大きさがバラバラなのは困る~汗
で、巻末の子役紹介で、須田あす美ちゃんが掲載されていてビックリ~びっくり あす美ちゃんは歌舞伎だけでなくミュージカル、芝居と博多座では常連の福岡の子役なんですが…お江戸にまで上がって舞台に立っていたとは初めて知りました。 これって、もうかなり前からなんでしょうか? す、凄いなぁ~(確か同じく博多座常連子役・森山優里ちゃんも歌舞伎座への舞台出演済み) 東京だったら…それこそ劇団に所属している子供とか沢山いるだろうに、わざわざ博多くんだりから~、って二人とも凄いです拍手
しか~し! そのあす美ちゃんの役はWキャスト。 昼の部【一本刀土俵入】の娘お君なんですが…私が観たこの日があす美ちゃんだったか否かは不明。 あの聞いたことがある愛らしい声と目の細さはそうかなぁ~とも思ったけど…確信は持てず~汗

 毛谷村
気が付けば、結構久し振りの観劇となる毛谷村で、弥三松秋山悠介くん高橋飛和くんWキャストで…本日はどっち?!)の可愛らしさにノックアウト☆ よく目にする弥三松よりも更に小さい印象で、亀治郎さん@お園が短剣をかざして小脇に抱えた際、一生懸命脚をプルプルさせながらすがっているのが可愛くて、可愛くて~♪ うっかり取り落とされた後の、受け身~くるりターンもお上手!
六助って、朴訥としていてドッシリとした丸い体躯で垢抜けない人…というイメージがあるのでスマートでお洒落さんな染五郎さん@六助ってどうなんだろう?と構えてしまいましたが、と~っても良かった! 正直者でユーモアの解るお人好しの優しい若者、という感じが全面に出ている六助でした(力持ちの剣の達人には見えないけど…汗) それぞれのキャラクターのと間合いが良く、いつも以上に魅力的な六助に感じました
急に女房気取りで飯の支度をした亀治郎さん@お園が空焚きする釜を見て、慌てて庭先の手水鉢に浸す所。 アレって最初は釜の下半分が赤くなっていて、しばらくして鉢から取り上げると冷えて黒くなっている→「おぉ~!どんな仕掛け?!」という驚く細工があると思うのですが、今回はナシ。 役者さんによって違うものなのかしら?
いつもこの演目を観て思う事。 “怒り爆発!”な六郎が庭先の石を踏んで地面にめり込む~という「どんだけ力持ちなんだよっ!」な仕掛けですが…この為だけに舞台全体を舞踏の時のようにカサ上げしているんでしょうか?
亀治郎さん@お園は、許嫁と分かってからのしおらしくなって迫る様が…ちょっと怖い汗 ヒタヒタと忍び寄るヘビのような感じで~。
吉之丞さん@一味斎後室お幸は何度拝見しても笑える。 六助とのお金の投げ合いの素早い動きの落差はツボです。

よつばのクローバー 藤娘
やはり季節に見合った演目ってイイですね。 舞台いっぱいに咲く藤の花とその精の艶やかさに暗転から一転パッと明かりが入った瞬間に「わぁ~、キレ~イ☆」と客席から歓声が上がりました。 福助さん@藤の精は海老反りが具合がスゴイ上に形が綺麗ですね~。 上手、下手、中央と藤娘の精がニッコリ微笑んで挨拶するのは…笑顔が“ニタリ…と”怖いよぉ~冷や汗

よつばのクローバー 三社祭
染五郎さん@悪玉×亀治郎さん@善玉という踊り達者な若手コンビ…という事で、特筆すべきものはなく演目を観たまま素直に楽しむという感じ。 何故かしら、ここ最近頻繁に観ている印象の演目です。

よつばのクローバー 勢獅子
歌昇さん@鳶頭×錦之助さん@鳶頭、というこの二人の組み合わせは珍しいですよね? 特に錦之助さんがこういう粋でいなせ江戸っ子風情で…って初めて拝見する印象でもあり、目に新鮮☆ 改めてスッキリと美しい二枚目だなぁ~と見とれるものの、踊りとなると、ん~と汗 歌昇さんは観ていて気持ちがスカッとする踊りっぷり。

おにぎり 一本刀土俵入
意外にも、吉右衛門さん@駒形茂兵衛は初役との事。 しかし今回の演舞場公演は昼夜共に「これぞ吉右衛門さん!」「中村吉右衛門を観た~♪」という満足感を個人的には得られず…ちょっと消化不良でした悲しい
朴訥としてデッカイ体躯と情けな~い様が茂兵衛にピッタリで、後半の博徒となり颯爽とした姿への変身ぶりにスカッとするものの…う~ん。 これは好みの問題かと汗 おにぎりを頬張るあどけなさは“裸の大将”を彷彿とさせる愛嬌にニッコリ。
芝雀さん@お蔦がイイ! 今までも「芝雀さんのアバズレ女がこんなにイイとは~♪」とビックリした事は何度もあるのですが(私が芝雀さんの役所に対して持っているイメージとは違うので)その中でも最たるものでした! こんな雰囲気も出せる方なんだぁ、改めてビックリしたものの、目が黒めがちなので表情の変化が解りにくいのがちょっと残念。
お金や簪をもらった茂兵衛が「これじゃぁ、姉さんが困るんじゃ…」という問いに対して「年がら年中困っているから、あってもなくても同じさぁ~」という気だるい投げやり感がなんとも良かった。 だって、こんな素敵なセリフがあったとは初めて気付いたくらいだもの~汗(恥ずかしながら) しかしお蔦さん、この時24才とは…恐れ入りましてございまする~。
あと印象的だったのは…
芝喜松さん@安孫子酌婦お松が、すご~く汚くてリアル(褒めてます!)
冒頭に売り歩く【奥州弥太郎虫】って何のお薬なんでしょうか?
上手の柵や土手の書割りがミョ~に写実的で目を引かれました♪

わらしべ夫婦双六旅 【新橋演舞場】

ちょうど時間がポッカリ空いて、ふと見たWEB松竹に戻りが1枚出ていたので…うっかりポチッと押してしまいましての観劇と相成りました汗
2月の新橋演舞場=中村勘三郎さん×藤山直美さん』というのが定番化している…というのは、今公演を観るまで知りませんでした。 ちなみに昨年は【殿のちょんまげを切る女】で、中島淳彦さん作×ラサール石井さん演出も引き続き…との事。
お話の舞台はわずか15年間という時代ながらデモクラシー、第一次世界大戦勃発、関東大震災…と激動の大正時代。 バクチ好きな象牙職人・六助(勘三郎さん)と夫を心から愛する妻・おいち(直美さん)が戦前後の景気の波にもまれながらも♪つくつくどん♪とサイコロを振って、身の振り方を天に任せ、明るく逞しく生きていくお話。 ここに、これまたバクチ好きでお人好しの質屋の旦那(上島竜兵ちゃん)としっかり者の妻(余貴美子さん)夫婦、旅一座の御一行様(天才歌手=矢口真里さん)、借金取りの面々が絡んでドタバタと賑々しい日本縦断の旅模様を描くのだが…。
ん~と…総括として「面白くなかった」
公演期間中はほぼ連日満席で大盛況のようでしたが、お芝居として、作品としての魅力がなかった汗
時事ネタ(中国産餃子、賞味期限、どげんかせんといかん、船場吉兆の囁きおかみetc.)をふんだんに取り入れ、竜平ちゃんはお決まりギャグを披露し、直美さんは「この人の喜劇センスはホント凄いっ!」という笑いのツボを手堅く押さえており、満員の客席はドッカン☆ドッカン☆と湧き、そのひとつひとつのギャグは単発で笑えるものの、作品全体として通してみた時に…ん~冷や汗
巨大スクリーンに映し出す映像を交えながらの趣向もあり(友情出演:柄本明さん@舞妓)瞬時に新橋~横浜~名古屋~京都~広島~宮崎を旅してみたり、双六の模様を舞台全体にあしらった美術は目には楽しく、特に宿屋の個室それぞれの人間模様の見せ方には惹かれるものがありました。
今作品、一番の収穫は中村小山三さん@六助の父でした! ご出演を知らなかったので、まずは登場に驚き…臨終シーンが本気で心配になるほどの息の乱れっぷりに汗汗 ニンマリとサイコロの目を動かすお化け映像にホッと笑えました~♪
ん~、大変失礼ですが『役者の名前だけで集客した舞台』そんな感じを“私は”受けました。 この作品で言いたかったテーマは…「人生そんなに甘くナイ。ナイけれども明るく逞しく生きて行こう!」って事でOK? 心に響いて残るメッセージが感じられず残念。

五月大歌舞伎・昼の部【新橋演舞場】

鳴神

染五郎さん@鳴神上人初役との事で、これは意外でした! 新鮮に感じた部分が何点があるのですが、そういえば染五郎さんの荒事を拝見した事も…少ないかも。 鳴神上人を演じるには充分(というと何様ですが)かと思うのですが、華奢で線が細いせいか迫力不足な感じ。 しかし勢いあるエネルギーのような、気のようなものがバシバシ飛んで来る感じでした。 破戒僧となり怒りに燃える形相となった時の“百日の毬栗”のヅラは一部が三つ編みになっていたり、ぶっかえりの炎のお着物は色のコントラスが通常より鮮やかなファイヤ~☆で、すっごく派手な印象で、染五郎さんオリジナルでしょうか?
酔いつぶれた時の消し幕があんなに真っ赤!って…他の演目で何かありましたっけ? 個人的なツボは、御簾が上がった際、鳴神上人は祭壇に祈りを捧げている為後ろ姿なんですが、同じ姿勢で裃後見さん(どなただったのか?)が祭壇に向かっているのに笑えました~。
芝雀さん@雲の絶間姫は何度か拝見してますが…ここまで拵えが違うのは初めて拝見した印象。 大振りな花かんざしが前に2本、後ろに2本。 紫の眉隠し頭巾(なんていう名称か知らないです~)は小振りで、眉は通常の触角眉でなく、頭巾には隠れることなく出ていて優しいげな横眉で可愛い。 で、後ろの髪はロングポニーテールが紫の布で覆われています。 拵えだけでも随分印象が変わるなぁ…という驚きがありました。 勅使を受けた“出来る女スバイ”という機敏さよりは、「騙してゴメンネ。でも勅命だからやらなくっちゃいけないの~」という、そんな感じの姫でした。
芝雀さんって…若手の立役さんと組んでも年齢の差が全く気にならない不思議さがあるなぁ、といつも思うのですが、今回その印象を更に強くしました。

鬼平犯科帳(大川の隠居)

「大好きなお頭に生で会える日が来ようとは…」という感動が。 しかもシリーズの中でもお気に入りの1本【大川の隠居】の舞台化なものだから…私、観劇前から異様にテンション上がってました! が、同時にあの鬼平をどのように歌舞伎仕立ての舞台化にもってくのか?という不安もありました。 しか~し、それは危惧に終わり「よくまとめて作ってあるなぁ~」と感心しきり。
まずは幕開きの大川のセットが素晴らしく素敵に作ってあって、水上を行き交う船の再現もお見事拍手
歌昇さんはTVシリーズでは平蔵の忠誠心厚い与力・小林金弥を好演されていますが、今公演ではなんと!平蔵の下働きの一員・小房の粂八でご出演という嬉しい御馳走
舞台化の話を耳にした時に、真っ先に気になったのは船頭友五郎はどなたが…?でしたが歌六さんとは~! 老齢ながらも船頭として現役で働いている様は軽やかな船上の身のこなしからも伺え、同時にかつてのお務めの腕もまだ衰えちゃいない…という事を様が見て取れ、なるほど納得なキャスティング。 まるで【チキチキマシーン猛レース】のケンケンか?!ってな独特な笑いはなんとも独特な魅力。 酔いが進んで、平蔵を目の前にして“鬼の平蔵”の悪口を言う様は真剣そのもの。 だからこそ友五郎の言葉にいちいち敏感に反応する吉右衛門さん@長谷川平蔵の様がたまらなく可笑しい。
「思わぬ人との巡り会わせ(出逢い)が人を変えていく」という言葉がズシンと心に突き刺さる。 舞台でも度量の深い、素敵なお頭でした。
福助さん@久栄は…仲睦まじい夫婦っぷりは良かったのですが、色気がありすぎる印象。 松江さん@同心・木村忠吾。 これは尾美としのりさんの印象が強烈なので難しそうだなぁ…と思っていたのですが、松江さん、お見事です! 三枚目、これからもバンバン演じていただきたい!と思った好演でした。 笑った~♪
もちろんラストの“大川の隠居”、一瞬のお出ましは見逃しませんでしたよ☆
今後も【一本眉】とか【兇賊】など、人気の高いお話の舞台化も期待できる…かも?と思われる良く出来た舞台でした。

釣女

お頭→醜女。 吉右衛門さんのこの変身ぶりがたまりません!! スゴイ、スゴイです、吉右衛門さん! 「長谷川平蔵改め醜女」ってか?この流れがスゴすぎます~。 前の幕の演目とココまで違うタイプのお役を演じる事って…役者さんも楽しそうです(大変でしょうけど…)
釣女
錦之助さん@大名某はスッキリと美しく楽しげに踊っていらっしゃる様に見とれていたら、どこからか「錦ちゃん、ステキ~っラブ」との声が。 ハッとすると…その声の出所は吉右衛門さん@醜女。 毎日の芝居でいろいろと言ってらっしゃるのでしょうが、あまりにも可笑しくて…錦之助さん、必死に笑いをこらえて踊っている様子に、観客も笑いが止まらない~。
その醜女はでっけぇ~!…なのに超チャーミングなんですけど~。 太郎冠者を見つめる熱い視線がたまらない♪
で、特筆すべきは歌昇さん@太郎冠者。 踊りもスッキリと気持ち良く、なんといっても演技、特に表情が抜群で、醜女の可笑し味を素晴らしく引き立てている印象。
冷静に考えると「人は見た目で判断しちゃいかん!けしからん演目だ!」となるんでしょうけど…単純にガハハと大笑いして幕、でイイのでしょう、きっと。