五月大歌舞伎・昼の部【新橋演舞場】

敵討天下茶屋聚

この演目好きなんですが、あまり回数を観ていないし、珍しい通しという事で久々にイヤホンガイドを利用。 すると…会員カードがIC化されて残りの回数や、利用履歴が印字されなくなってしまったとは残念~。 あの利用履歴って思い出になってイイんだけどなぁ~。 カードの利用は頻繁じゃないので、残数が窓口じゃないと判らないの不便だなぁ~、利用者にとっては改悪だなぁ~、カードのデザインも可愛くないし~。 愛用されている方、どうですか?…ってこれはすでに先月からだそうで、きっとひとしきり終わった話題なんでしょうね。
悪党ながら愛橋のある安達元右衛門と、悪の首領である東間三郎右衛門の魅力的な悪の二役を松本幸四郎が初役で勤める』『この二役を一人の俳優が演じるのは天保年間以来』という話題の舞台でしたが…結論「別に二役やらんでも…」 なんか、せっかくの通しなのに幸四郎さんの度々の登場に、人物相関図が混乱してきて物語の繋がりが解るどころか「かえって、よ~解らん!」
今回、附け打ちがひどく耳障りに感じたのですが、これは湿度のせいでしょうか? すごく音が乾いている感じでなんだかカンカン響くだけで耳に不快でした(初めての経験)

彌十郎さん@安達弥助錦吾さん@奴腕助って、お二人とも奴って珍しいですよね! 幸四郎さんも然り。 見所のひとつ【屋根から進入の場】(←勝手に命名) 私、ず~っと“ひょうたん棚”と思っていたら、イヤホンガイドで“朝顔棚”って言ったような? 足の踏み外し等は、残虐ながら可笑し味のある殺し場は息をのみます。
漆黒の闇夜、河原の小屋は…この場のみ竹本が入って、暗く寂しく歌が響いてより一層雰囲気が。 梅玉さん@早瀬伊織×錦之助さん@早瀬源次郎美しい兄弟…ってこのお二人が兄弟って珍しいですよね? 甚だしい零落ぶりながらも強い志を糧に生きながらえている様が伝わってきました。
芝のぶさん@茶屋娘相変わらず可憐で☆可憐で♪(40過ぎのおっさんとは思えない!) 酒を飲んで暴れる客に困り「誰か~!」と助けを呼ぶと、今までひと一人っ子いなかった人がワラワラと思いっきり沢山出てきたのは笑った~。 皆、可憐な娘さんが心配だったのね☆ 分かるわぁ~。 お酒好きの失態はよくある演目ですが、泥酔状態で籠に乗っての去り際「お酒のお足は?」と問うと籠から出た足をさして「お足はそこに~」というのがなんともトンチが効いている♪
梅玉さん@伊織×幸四郎さん@東間三郎右衛門善×悪の対比の見得が絵面にバシッと決まる様を観て「あ~、やっぱり歌舞伎はコレが気持ちイイ☆」と再確認。 幸四郎さん@安達元右衛門が花道で刀の刃に付いた血を脱いだ草履で拭くのはなんとも不気味で強烈な印象として残りました。「不憫だなぁ~」と刀を肩に担いで横向きにおどけてみせる様は人を小馬鹿にしていてなんともイラ立たせる。 これぞ端敵!
ほったて小屋からババーンと登場☆は紫の着流しで幸四郎さん@東間。 元右衛門とは対照的な色悪ぶりで、地蔵を蹴倒し(なんてバチ当りな!)、刀を突き刺して見得キマリ☆ これは絵のように本当に綺麗で印象に残りました。 花道引っ込みは黒幕が切り落としとなって、月夜の明かりに照らされて響く尺八の音がなんともイイ(陰惨な場ですが)
でもって錦吾さん@奴腕助が主人の、おうむのなぞりをして引っ込み。 ちょっとコミカルなお役の錦吾さんが新鮮☆
惨殺された兄の遺体をむしろに載せズルズルと舞台袖まで引っ張っていく錦之助さん@源次郎。 こ~ゆ~遺体処理?(って言う?)は初めて観たような?
…そんな深刻の場面に通りかかった吉右衛門さん@人形屋幸右衛門はさすがの存在感。 …ながらも「いやいや~、そんなに都合良くこんな人が通りかかるなんて」と久々に芝居に突っ込んでしまいましたっ
いわゆる成敗の場で成敗コスチュームに身を包んだ錦之助さん@源次郎は…あれ?前髪ですか? いくつの設定なんだろう? 幸四郎さん@元右衛門は成敗チームに囲まれると「お懐かしゅうございます~」「白い装束がよくお似合いで…」となんとも人を食ったような可笑し味がありながらなんという悪党ぶり!と怒りを覚える感じ。 いつも思うのですが…女性がもつ刀ですが懐中刀でなくてあ~ゆ~時にもっている刀、短か過ぎません? 身の丈にあった長さなんでしょけど非力な上に、あの長さの距離があったら絶対不利だろうと常々思っているのですが~。
最後に「二役にしたが為にせっかくの通し狂言がかえって筋が混乱」 大事な事なので二回言いました。

五月大歌舞伎・夜の部【新橋演舞場】

歌舞伎座が閉場して、初めてのお江戸上がり。 故にあの建物がすっかり姿を消しているのを目の当たりにしたのも初めて。 ニュース映像を見たり、話に聞いたりはしてたけど…改めて大きな存在だったんだなぁ~と、今更ながらしんみりして新橋演舞場へ。

籠釣瓶花街酔醒

この演目、実は生の舞台では吉右衛門さん@佐野次郎左衛門しか観たことがなく“次郎左衛門=吉右衛門“な私。 今公演では明治時代から上演の絶えていた場面を百有余年ぶりに復活!…という事で観劇決定☆
で…芝居が進むにつれてなんか違和感。 ん?んんん?…「そうだった!歌六さんと歌昇さんって播磨屋になったんだ!」  昨年、新橋演舞場【秀山祭九月大歌舞伎】からの事で激しくもう今更な話題なんでしょうけど、播磨屋さんのお二人を拝見するのは私、これが初めて。
珍しい通しでの上演。 幕開きは松林でうたたね→夢落ち~。
段四郎さん@佐野次郎兵衛が、乞食に身をやつした元・妻?現・妻?の歌江さんを非情にも斬り殺す様があまりにもあっけなく驚き! 自分の奥さんがそんな状況に居る事をどうも思わないのかよ…ってこれでキャラクターが解りやすくもあるのでしょうけど。 あんまりだ!(久々力強い感じの歌江さんを拝見したのでアッと言う間の退場に涙)
秀太郎さん@高松安之進妻おとし壱太郎くん@娘お千代の母娘はそんな綺麗な格好で、こんな時間にこんな場所を通るなんて…盗賊に襲われる率100%だろ!
雲助の皆さんはいつも思うけど…ホントに臭ってきそうなくらい汚い。 これって衣装さんや床山さんの手数がかえってかかるような気もしますが、どうなんでしょう? 歌六さん@都築武助はめっちゃ弱々しいのがツボに入る~☆(最近は矍鑠とした老人ばかり拝見してたので新鮮)

久しぶりに拝見した芝翫さん@立花屋お駒声が弱々しくて小さい上にがっつりプロンプが入ってて、さっぱり聴こえず。 芝翫さんのセリフを受けて応える相手のセリフでその内容を推測する…という感じでしたが、芝居はたっぷり感があってさすがの貫禄と存在感
福助さん@八ツ橋の前板帯って、あんなに大きな…リボン結びみたいなデザインでしたけ? 花道での微笑みは「ニタァ~ッ」ってお歯黒も手伝ってなんともゾゾゾ~って鳥肌が! 捕って食われるか?と思った…怖い、怖すぎる~(今回の観劇、最後まで悩んだのは八ツ橋が福助さんだったから)
吉右衛門さん@佐野次郎左衛門の「どうか察してください~」とデレデレな様は「なんであの八ツ橋に?」と思いながらも微笑ましくって笑えます。 キセルを手の功に押し付けられてアチッ…で嬉しそうなMさは、でも冷たくしすぎるとキレる怖さも潜んでいるわけですね~。 現代の事件でも「まさかあの人が!」って人が犯人な事、多いですものね
間夫にピッタリの涼やかな良い男・梅玉さん@繁山栄之丞もなぜ彌十郎さん@釣鐘権八の言う事を疑いもせず、すっかり信じるのさ~。 今回主人思いの歌昇さん@下男治六と懐が深いイイ女・また芝雀さん@九重がすっごく良かった! 悲劇的なラストへと向かう物語の中、二人が僅かな救いでした。 対照的に魁春さん@立花屋おきつは淡々としすぎ(ビジネスライクに徹してるのか?)
ラスト屋根の上の立ち廻りは傾斜が急で観ている方もちょっとハラハラ。 火事の時用の火消し水が屋根上のタライに入っていて、それを蹴り倒し本水が流れるのは面白い演出でした。
しかし…通しで観て物語の流れの理解が深まったものの、やっぱり何度観ても後味が悪いお話だなぁ、という印象は変わらなかったです~。

あやめ浴衣

初めて観た舞踏。 夏に紅葉狩…なんて事もザラなんで、その季節にピッタリの演目が上演されると「四季がある日本ってイイな♪」と思ったりします。
芝雀さん歌昇さん錦之助さん…ってこのお三人チームの舞踏は初めて観たような?で目にすごく新鮮でとっても綺麗。
三名板付きで大セリ上がりはとても艶やかで、陰惨な幕切れだった第一部のお芝居の気分も晴れやかな打ち出し。
下手にお囃子連中と琴が控えてましたが、琴の弾き手が女性な事はよくありますが黒御簾内での演奏しか聴いたことがなかったので表舞台への登場に驚きました。
しかし…役名が“若い女”“若い男”って、どうよ?

五月大歌舞伎・昼の部【新橋演舞場】

金閣寺

葵太夫さんの髪型が変わっていた!! センター分けではなく、色もグレーに。 「私、そんなに歌舞伎の舞台観てなかったっけ?」と思うくらい、お弟子さんしかり、お囃子さんしかり、イヤホンガイドの解説者しかり…初めて目や耳にする方々が多い印象。 私、歌舞伎観劇がかなりご無沙汰だったようです冷や汗
吉右衛門さん@松山大膳は、国崩し+色気があって「さすがだなぁ~☆」と雰囲気に呑まれながらウットリ。 なんでも東京では今公演が初めて演じるとの事。 「でっけぇ~!」
芝雀さん@雪姫の“爪先鼠”は人形振りにて。 口上が入り、髪飾りも特有のものでカクカクと動く様に合わせてチラチラ☆キラキラと揺れて可愛らしい☆ 足は…裾の部分が袋状になっていて、そこに突っ込んで?いるんでしょうか?! 人形という事で全く足先を見せない工夫なんでしょうけど…不思議。 足さばきはホントに足遣いの人が動かしているような見た目で見事でした!! しかし本来なら足音を鳴らす足遣いさんは下手に腰に手を当てて一人客席にお尻を向けて下手に立ちダンダンと踏みならすんですね! 今まで人形振りは何度も観ているけど…皆こういうスタイルでしたっけ? 芝雀さんだからえらく注目して観てしまった故の気付きかな? 動きが派手だから活発な姫様にみえた印象もって…。 特に井戸端に腰かけてコックリするのは可愛くて面白い♪
花吹雪が大量すぎて、汗が流れる姫のお顔に何枚も張り付き、パッカリ抜いた衣紋の間には積もる積もる~汗 お疲れさまでした…と言いたくなりました。

心猿

面白い! あの三番叟とかが被っている帽子は“剣立て烏帽子”って言うんですね。
馬の早替わり(引き抜き)って初めてみましたっ! スゴイ、スゴイ面白い~!!!!! 白馬(神馬)~茶色の暴れ馬にアッという間に大変身~☆

近江のお兼

【心猿】からの引き抜きでの上演は17年振りとの事。 来月博多座でも観れるんですが…実は私、初見でした。 福助さんなら“力持ちの女性”って感じも出てましたけど、七之助さんはどうかな?

らくだ

私は2003年6月の博多座公演以来の…久々の【らくだ】観劇です。 今回はビックリな事に皆さん初役とのこと。 でもって一番驚いたのは由次郎さん@馬吉って事! なんか…こ~ゆ~お役をされるイメージがなかったので(私が勝手に)とにかくビックリしました。
吉右衛門さん@紙屑買久六がキュートなのは想像出来たけど、歌昇さん@瀬戸川の源七の“江戸っ子だ~い!的な、あ~ゆ~お役はホントにビリッと決まりますね。 カッコイイ!(しかし私の中で武士の拵えナンバーワンは歌昇さん)
段四郎さん@家主女房おいくの強欲ばあさん振りが、大人しい印象で今ひとつ面白味に欠けたのは残念。

五月大歌舞伎・夜の部【新橋演舞場】

五月の演舞場が吉右衛門さんの責任公演になってから、おそらく欠かさず観ている(多分)私。 今年も楽しみに足を運びました♪
今回昼夜観て思った事は「年数を重ねて一座としてのチームワークが整った」って印象を強く受けました。

鬼平犯科帳【狐火】

歌舞伎版となった鬼平は上記の理由で全て観ているけど…今回はお頭の活躍が少ない印象なんですが…ご覧になった方、いかがでしたか? 「鬼平は皆さんすでにご存知でしょうから…」という事が大前提で話が進むような、ちょっと不親切な感じ受けました。
錦之助さん@兄・又五郎染五郎さん@弟・文吉は、父親が殺しはしない情けある盗み働きをする【狐火】。 その教えを受け継いでいる兄と、兄の存在を疎ましく思い、父の教えに背き殺しをもしてしまう盗み働きしてしまう弟の葛藤を中心に描いた世話物。 今回は染五郎さんの好演キラリ☆で、密偵の段四郎さん@彦十歌昇さん@粂八歌六さん@源七は安定。

お染の七役

久々…博多座以来の観劇。 正直、観るのダルイなぁ…汗(観るのも体力勝負だからね)と失礼な事を思っていたのですが(長時間だからね)と思っていたけど、やっぱり観てみると面白い。
早替わりは何処で変わって何処から登場…って全て知っているのに面白いし「おぉ~っ」と声が出てしまいますね♪ 特に後半でスレ違いざまに二人が入れ替わる“昆布巻き”は、恐ろしく鮮やかで客席がどよめきましたが、あまりにも早替わりが頻繁すぎる為から、途中から変わるたびにクスクスと笑いが起こるのが…気になりました汗
福助さんの奮闘振りには毎回拍手~☆…なんですが、明らかにやり過ぎ、クド過ぎ冷や汗 特にお六は気持ち悪い~。 あ~ゆ~お役は福助さんの得意とする所だけど、あまりにもニタ~リ、ニヤリともったいぶってて…とにかく生理的に受け付けられなかった。
染五郎さん@喜兵衛は…特に印象に残らず。 「タニシの木の芽和えさぁ~」ってセリフ、なんであんなに耳に残るんだろう? お気に入り☆
芝のぶさんは昼は歌舞伎座、夜は演舞場と今月はかけもち奮闘なんですね。 お七との“客席お散歩“は残念ながら一階席じゃなかったので客席後方の時は全く見えず、聴こえず~。
フグにあたって死ぬ丁稚どん(役者さんどなたでした?)の頑張りはすっごく伝わってきたけど…今ひとつ硬い。 もっとまぁ~るい大らかさがあった方が私は好みでした。
この演目、今度は他の役者さんでのお七で観てみたい!!!

新秋九月大歌舞伎・夜の部【新橋演舞場】

こちらも同じく12月に書いております…冷や汗
観劇記録、観劇記録~φ(..;)

加賀見山旧錦絵

昼の部は歌舞伎座で奮闘していた亀治郎さんが演舞場かけもちで夜の部はお初。 亀治郎さん@お初の初役時、拝見しましたがそれ以来二度目…というのが意外でした。 あの時は翫雀さん@岩藤がお目当てでしたが、最後は亀治郎さんが全部持ってっちゃった~という強烈な印象が残ってます汗
今回も…あくまでも個人的な感想ですがやっぱり“出しゃばり感”が否めなかったです。
時蔵さん@尾上vs海老蔵さん@岩藤は…時蔵さんの“儚気で品ある悲壮感”が素敵でした♪

色彩間苅豆

これが打ち出しだと…劇場を後にする足取りがいつもど~んよりします冷や汗 セットが大掛かりだからか? この演目って何故かしら夜の部最後、って事が多い印象なんですが…どうでしょう?
海老蔵さん@与右衛門亀治郎さん@かさね
海老蔵さんはホント色悪は似合いますね! 芝居で気になる所があっても、それをねじ伏せてしまうオーラ?なのかな…ありますね。 これが“スター性”ってもんでしょうか?
亀治郎さん@かさねは、最初から怖かった汗 ねっとりとした女の情念みたいなものが立ち上ってる感じで、出の恋しい人を慕って追いかけてきた若い娘の初々しさが感じられなかった汗
「亀治郎さん、あなたが上手いのは分かったから」「もう分かってるから…」と言いたくなる“どや顔”のかさねでした汗