六月大歌舞伎・夜の部【博多座】

博多座開業一周年! 関係者でもナイのになんだか感慨深いものがありました! 去年同様、初日前の“船乗り込み”は大盛況でした♪
今回は【昼の部】しか観劇を考えてなかったんだけど、 友達に【魚屋宗五郎】を薦められて、一幕見券に初挑戦! 行って良かった~♪(夜の部一【俊寛】/二【二人椀久】/三【魚屋宗五郎】) 古典歌舞伎にますますハマる博多座2年生の私でした。

鳥辺山心中

ん~、またしても有名な心中もの。 博多座の意向?松竹の意向? 歌舞伎の演目ってどうやって決めてるんでしょうか? ちょっとしたアクシデントで同僚の弟を切ってしまい、自責の念にかられて自殺を決意した半九郎さん。 それに恋仲の遊女が「私も一緒に連れてって」となってゆく…。 なんでそんな事で人を切るのかなぁ? 何も心中しなくてもねぇ…と、思いながらも、月夜に心中の為にさまよう二人のシーンに見とれちゃいました♪
梅玉 (菊池半九郎)/時蔵(お染)/歌昇(坂田源三郎/芦燕(父・与兵衛)/東蔵(お花)/左團次(坂田市之助)

藤娘

雀右衛門さん@藤の精! よく日本人形などで見かけますよね♪ 娘の姿をした“藤の妖精”が舞い踊る様はホントのにお人形のよう…。 とにかく、藤のデザインが細部にまで施してある着物が素敵! 刺繍とかスゴイ! オペラグラス越しに凝視していたら…熱で曇って大変でした。

うかれ坊主

富十郎さん@坊主 「ん~、あの小太り体型がキャラとマッチしていてナ~イス!」だなんて人間国宝に向かって失礼な私! 舞踊であんなに笑ったのは初めて!
うすい着物一枚だけの衣装で、様々な表現をするって難しいんだろうなぁ…と素人ながらに思いました。 なんかごまかしが効かないというか…。 トボケた表情と飄々とした動きで笑えました。

河内山

お坊さんでも悪事を働く人って…いるんですね(^_^;) 宗俊の頬にあるホクロがなんとも胡散臭い雰囲気をかもし出してナイスでした! 悪事がバレそうになっても、居直って堂々とし凄んだ挙げ句に「馬鹿め~!」とひと言。
お大名に向って、ひょうひょうと悪事を働く様は…痛快?なのかなぁ? いや~、とにかく吉右衛門さんのホクロのインパクトが強すぎて、今イチ感想が~(^_^;)
吉右衛門(河内山宗俊)/左團次(高木小左衛門)/信二郎(宮崎数馬)/玉太郎(腰元浪路)/吉之丞(後家おまき)/芦燕(北村大膳)/東蔵(和泉屋清兵衛)/富十郎(松江出雲守)

魚屋宗五郎

博多座で初めて夜の部【幕見】をしました! 宗五郎さんの妹は奉公先でお手討ちにあってしまいます。 しかし、それは裏があると知った宗五郎さんは、 禁酒の誓いも忘れ大酒をあおり、奉公先にどなり込んでいきます。 大人しい宗五郎さんがお酒を飲んだとたん、豹変する様がとにかくオモシロイ! 酒乱気味の勢いでおエラ方に楯突く様子を必死でいさめる女房おはまは…素晴らしい! よく出来た女房だなぁ…と感心してしまいました(^_^;) どの演目でも“酩酊の様子”は単純に笑えて楽しいですね♪
富十郎(魚屋宗五郎)/時蔵(女房おはま)/信二郎(小奴三吉)/玉太郎(茶屋娘おしげ)/歌江(菊茶屋女房)/東蔵(浦戸十左衛門)/松江(召使おなぎ)/左團次(父太兵衛)/吉右衛門(磯辺主計之助)

二月博多座大歌舞伎・夜の部【博多座】

十五代目片岡仁左衛門襲名披露! 初日を迎える前の1/30に、仁左衛門丈ご一行様が博多座の すぐ目の前にある 博多川端商店街を“お練り”。 その後、博多っ子の総鎮守“櫛田神社”にて「公演成功祈願」の為、 参拝されました♪  残念ながら私は行けませんでしたが、 そりゃもうスゴイ人・人・人だったそうです。 人力車に乗った仁左衛門丈が商店街を駆け抜けると…おばさま方の 「キャ~ッ」という黄色い歓声が! ウチの母親もそのひとり。 しっかり手ぬ ぐいをGETしてました…。

彦山権現誓助劒 毛谷村

おぉ“彦山”だ! またまた九州が舞台の演目だ♪
女ながらに武道の達人、お園さん。 敵だと思って切り掛かった相手は…なんと許嫁の六助さんだった~、というお話。
とにかく六助さんが許嫁と分かってからのお園さんの豹変振りが笑えます。 臼なんて片手でヒョイヒョイと動かせちゃう怪力のお園さんのいじらしい乙女心と行動が爆笑です。
芝翫さんのコミカルな演技って初めて観たので感動しました!
富十郎(毛谷村六助)/橋之助 (微塵弾正実は京極内匠)/ 芝翫(お園)

十五代目片岡仁左衛門襲名披露 口上

ずら~りと一列に並んでの姿は圧巻! 硬い挨拶が続くのかと思いきや「お兄さんからは酒で随分鍛えていただきまして…」と仁左衛門さんが苦笑いする口上も続出。 あれ…頭巾を被るのは…女形の方って事ですか? ちょっと疑問。
片岡孝夫改め片岡仁左衛門/幹部出演

封印切

恋仲の遊女の身請けの為と恋敵に対する見栄の為に預かっていたお金に手を付けてしまい、心中の道を選んでしまう…という、あれよあれよと不幸な方に転がってゆくお話。
忠兵衛さんの気の弱そうなヤサ男ぶりがハラリと落ちた前髪に現れてナイスです! 仁左衛門さんの舞台を観るのは初めてだったんだけど、あーゆー線の細いヤサ男を演じたら天下一ではないでしょうか?! 場の勢いから思わず小判の封印を切ってしまって、小判をハラハラと落とす名場面 では拍手喝采でした♪ そんなに意地を張らなくてもねぇ…。
仁左衛門(亀屋忠兵衛)/秀太郎(傾城梅川) /我當(丹波屋八右衛門)/宗十郎(井筒屋おえん) /富十郎(槌屋治右衛門)

三人形

「浅葱の幕が切って落とされる」という手法を初めて観ました! 一瞬にして美しい絵巻模様のような舞台に引込まれてしまいます♪ 奴ってもっと体格のごっつい人がするイメージがあったので、八十助(当時)さんがされるとは意外でした。 でも、まるでフラメンコか?!と思わせる軽快なステップを踏むには、重量 がある人だと辛いのかも…ですね。
演題通り、三人は“人形”のように綺麗で、特に孝太郎さんの傾城は、まばゆいほどでした♪
八十助(奴)/孝太郎(傾城)/橋之助(若衆)

そして…残念ながら【昼の部】は観劇叶わず。 演目は一【宮島のだんまり】/二【馬盗人】/三【寺小屋】/四【桜門五三桐】。 後に馬盗人のキュートな翫雀さんを見逃したと知り、大いに地団駄踏んだのでした!

〈開場披露〉柿葺落大歌舞伎・夜の部【博多座】

いよっ! 待ってました!
く~っ、この日をどんなに待っていたことか…。 同じ思いだった人、一度歌舞伎を観てみようという人、一度博多座に行ってみ ようという人。  それぞれの思いが重なって、チケットが殆ど完売状態だったようです。 それだけ地元の期待は、そりゃ~もう大きいゾ! これから博多座でどんな素敵な演目が観れるのか楽しみです♪(残念ながら【昼の部】チケットは入手出来ず未観劇)

恋湊博多諷

やはり「博多」という事で柿落としにはこの演目をぶつけてきたのでしょうか?
舞台上には博多座の大きな舞台に映える迫力ある船がバーンとすえられいて、 最後にはその船先が客席に向かって回転するという大仕掛けに お客は拍手喝采! これからの博多座の開業の船出をも感じてしまいました! 團十郎さんの迫力あるイメージと海賊・九右衛門の熱いキャラがあいまって、すごくインパクトのある船長で、ラストの豪快な見得は鳥肌モノでした♪ くせ毛の人はアウトローな生き方をしているキャラが多いような気が…?
團十郎(毛剃九右衛門)/扇雀(傾城小女郎)/時蔵(奥田屋女房お松)/鴈治郎(小松屋宗七)

京鹿子娘道成寺

最初っから、こんな有名な女方舞踏が観れるなんて幸せ♪ 次々と小物や衣装を替え艶やかに踊る様にウットリ…。 とにかく“色”に引込まれて見入ってしまいました。 今までは、ただなんとなくTVの劇場中継とか観てたけど、イヤホンガイトという強い見方がいれば、所作の意味も解ってより楽しめるんですね♪
鴈治郎(白拍子花子)

弁天娘女男白浪

く~っ、これまた感涙ものです! 有名な五人揃い踏みが生で観れてもう大感激! お揃いの着物と思っていたら、それぞれの個性に会わせた柄になっているですね!
しかし…順番に口上を言ってピタッとポーズを決めた後、微動だにしない様は 観ている方が辛かった。というかスゴイなぁ…と思いながらも思ってしまった。 これからの気迫というか、意気込みというか、そのあでやかさに大満足。 弁天小僧の菊五郎さんがタンカを切るところはスカッ!としました♪
菊五郎(弁天小僧菊之助)/左團次(南郷力丸)/時蔵(赤星十三郎)/翫雀(忠信利平)/三津五郎(浜松屋幸兵衛)/團十郎(日本駄右衛門)

残念ながら観れなかった昼の部は…【葛の葉】/二【勧進帳】/三【源氏店】です。

※【補足】柿葺落大歌舞伎の“葺”は誤用らしい…と、『演劇界』1999年7月号での劇評で野村喬氏が書いている。