壽初春大歌舞伎・夜の部【大阪松竹座】

七段目【祇園一力茶屋の場】

秀太郎さん@遊女おかる。 上方式はお着物が胴抜きなんでそうで、ん~♪カワイイ☆ 翫雀さん@寺岡平右衛門との兄妹って…珍しい、ヒジョ~に珍しい。 「お供が叶った♪」と喜ぶ様は「反応早過ぎっ!」と突っ込みながらも愛らしい(贔屓目です、ハイ) 壱太郎くん@大星力弥は、はんなり~とした色気があってイイ。 眼福、眼福♪  実はこの段、一番インパクトあったのは…太夫さん(お名前失念!)がスキンヘッドになってた事! 一体いつ頃から…。

八段目【道行旅路の嫁入】

藤十郎さん@戸無瀬×扇雀さん@小浪×翫雀さん@奴可内…という関西成駒屋・親子三人の舞踏って近年では珍しいですよね! 常磐津舞踊にて。 母娘がセリ上がって来ると「あら?綺麗…」って、ホント今公演の扇雀さん、綺麗です。 拵えの市松模様の道中合羽は目にも華やか☆ 東海道を西に向かう様は背景の絵にも様々な工夫があって、松林がスライドINしたり、琵琶湖が…富士山が現れたり、花嫁行列が後方に通ったり(←NHK人形劇みたいだった)、最後に城が見えたり…と一緒に旅している気分になれて楽しい♪ ほろ酔いの戸無瀬が“娘踊り”をするのがなんともラブリーで、親子三人並べてまじまじと見てみても「藤十郎さん、一番若いかも?」ってな錯覚が~。 翫雀さん@奴可内、似合うなぁ。 昼の部でも気付いてましたが…やっぱり、またちょっとふくよかに…ですよね?

十段目【天川屋義平内の場】

天野屋利兵衛は男でござる」のセリフで有名なこの場、関西では戦後初の上演という事で、我當さん@天川屋義平は初役との事。 ココから討ち入りの合言葉が【天】【川】となったんですね。 私はもちろん初めて観る段です。 松之助さん@おその父了竹がマンガみたいな強欲爺で笑える反面、その娘・吉弥さん@女房おそのの哀れっぷりが際立ち印象に残りました。

十一段目

【柴部屋本懐焼香の場】が面白かった! 師直の首を位牌の前に据える…とは、なんとも生々しい演出ですが、まずは最初に師直に斬りつけた翫成さん@矢間重太郎、次に早野勘平…という事で彼の財布と共に勘平の妻の兄である翫雀さん@寺岡平右衛門が焼香をすると皆が泣き出し、どこまでも“義”を通している四十七士に改めて感動させられました。 3階席までお香の香りが立ち上ってきました。
今公演で初めて観た“上方式の忠臣蔵”。 いや~、面白かった♪ ホント面白かった☆ 他の演目でも“上方演出”で観てみたくなりました。 2010年、イイ“歌舞伎はじめ”が出来ました。

壽初春大歌舞伎・昼の部【大阪松竹座】

毎年恒例“歌舞伎はじめは松竹座”って事で2010年もやって参りました~♪
演目が発表された時は「年のはじめに忠臣蔵って…汗」 しかし“上方ゆかりの俳優陣による上方演出”と聞けば、テンション急上昇↑↑↑ 上方式の通しは何年振りの上演なんでしょう? 私、初めての観劇です。 今回観て改めて『47という数字にこだわった』その数字が随所に散りばめられた演目なんだな、と思いました。
口上人形って…夜の部までぜ~んぶ紹介するんでしたっけ? 考えてみれば通しの【仮名手本忠臣蔵】自体、久々の観劇だったので「あ、そうだった~」と思い出す箇所も多々。 指、綺麗なのネお人形さん♪

大 序

左右に引き開ける上方式の幕は黒地で、上手に【大手】下手に【笹せ】という二つの文字が大きく配してあり、これは当時のご贔屓筋から送られた幕を模しているそうで。 そういえば幕のセンター開けも独特なちょっとづつ開ける方法でしたね。
藤十郎さん@高師直孝太郎さん@顔世御前を見て股間を押さえる…なんて露骨な演出はデフォルトでしたっけ? その助平親父っぷりが、その後のふてぶてしい憎らしさに輪をかける感じで面白い。 今公演、四役で奮闘の藤十郎さん…タフぶりにミョ~に説得力があります(もう少し他の若手に役を回してあげればイイのに…と正直思いましたが~) 進之介さん@足利直義って…口跡悪すぎで、何を言っているのか聴き取れナイ。 進之介さん、今公演ご出演はこの幕のみ、ってどうよ?!汗 翫雀さん@桃井若狭之助って珍しいなぁと思っていたら18年ぶりとの事。

三段目

扇雀さん@塩冶判官。 スッキリとしてて綺麗です。 個人的にはここ数年、中村屋一門色とヤリ過ぎ感が濃くなった扇雀さんに『苦手~』と感じる事が多く敬遠しがちでしたが、今公演はイイ! 思えばお父さんとお兄さんと、ガッチリ組んだ公演を拝見するのも久々かも…

四段目

【通さん場】は、やはり息詰めて観ちゃいますね。 切腹って日本だけなんだそうで? “腹の中に魂がある”という観念から、という事はこの度イヤホンガイドにて知りました。 裃姿のまま腹這いでビタン!と腹這いで突っ伏す扇雀さん@塩冶判官の様に驚きました。 壱太郎くん@大星力弥は、まさに今この時、この役がピッタリ☆な配役で若さ=美しい♪ 藤十郎さん@大星由良之助“が主君の血を舐めて復習を誓う“”という鬼気迫る演出にビックリ!
【城明渡しの場】は、上方色が色濃く出ていてその違いに興奮。 花道引っ込みの幕外に三味線さんがお一人登場で、余韻の残る印象的な場に

五段目

翫雀さんが定九郎?!びっくり」 今回一番のサプライズキャスティング・翫雀さん@斧定九郎☆ かくいう私は翫雀ファンですが…そのニンではナイだろう事はよく分っているので、この初役を“不安八分、期待二分”な感じで拝見したのですが…なるほど!納得! まるで清水の次郎長のような股旅姿で、夜道を急ぐ翫哉さん@与市兵衛を花道から「お~い、ちょっと、ちょっと~」と追っかけてきて、気さくに話しかけるイイ人風情の出。 イヤホンガイドに解説に『もっさりとした定九郎』と言われ「それってどうよ?」と突っ込みを入れながらも妙に納得。 「五十両~」どころかしゃべる、しゃべる! 金を奪い取ろうとすると、与市兵衛が“この金がいかに必要か?どうやってつくったか?”と切々と訴えるの様を、うっとおしそうに聴き流しながら、ヤブ蚊に刺されてパチン☆パチン☆と叩く様はご愛嬌☆ しかしアッサリと殺して唱えた念仏が「何妙法蓮華経…陀仏~♪」という超テキトーさで笑う~。 で、アッサリと鉄砲玉に当たって命を落とすとはなんともマヌケでまたしても笑える。 「んな、アホな~」か「なんじゃ、こりゃ~」って倒れて欲しかった(爆) こんな笑える【二つ玉の場】初めて☆

六段目

孝太郎さん@一文字屋お才なんですね~(てっきり秀太郎さんかと) ちゃきちゃき店を切り盛りする…というよりは“おっとり”した感じがあって、私は好きでした。 しかし孝太郎さん、昼の部のみのご出演とはなんとも勿体ナイ!! 橘三郎さん@原郷右衛門薪車さん@千崎弥五郎が、来訪の途中に子守り娘に道を尋ねたり、藤十郎さん@勘平が幕切れに竹三郎さん@母おかやに紋服を着せかけてもらうのは上方のみの演出なんですってね。