第五回・浪花花形歌舞伎(第二部)【松竹座】

月 業平吾妻鑑
萩の花が一面に…というのは珍しいですよね。 日本の美男の代表・在原業平の東下りを題材に東六合での行く末を思う道行きの様子を語る舞踏で私、初めて拝見。
進之介さん@在原業平薪車さん@舎人太郎吾…と、男前が二人並んでの舞踏は通常だと「眼福☆眼福♪」となるんでしょうけど…あの~、その~、進之介さん冷や汗 以下自粛。
今公演で【双蝶々曲輪日記】が一番面白かったです! あまり上演されない【難波裏】によって、濡髪長五郎が何故あそこまでに至ったのか?という事がよく理解出来て【引窓】がより一層感動的なものになっていたかと。 翫雀さんも三役で大奮闘で大満足♪

 角力場
私、翫雀さんのファンになったのはこの山崎屋与五郎であふれる愛嬌を拝見し…なんで、とにかく楽しみにしていたのですが、今公演ではつっころばしな部分はそのままなれど、バカっぷりが押さえられていて(難波裏に続くからか?)大関の羽織を二人で羽織ってウキウキと歩く…という大好きなシーンがカットになっていたのは個人的には残念でした悲しい シリアスおぼっちゃん設定になってました。
でっけぇ~大関
で…特筆すべきはなんといっても亀鶴さん@濡髪長五郎でしょう! 細面でスレンダーな亀鶴さんが関取最高位の大関(この当時は)?!って配役を聞いた時は驚きましたが…拵えの工夫もあって実に“でっけぇ”感じが出ていて、すっごく良かったです。 元来、声がイイ方ですが、声もズッシリと重く響いて安定してましたね~。 角力小屋からの出の風格は立派。
対する翫雀さん@放駒長五郎は…現役小兵力士、と言っても通用するくらいなんの違和感もなく~汗(元・智の花くらい?) もうちょっと濡髪に対して対比的な若々しさがあれば良かったな~。

強風 難波裏
私、いつも【角力場】の濡髪と【引窓】の濡髪って、同一人物よね? なんであんなに境遇が変わってるんだろ~?と物語の大筋をきちんと把握してナイもんで疑問だったのですが…今公演にて「なるほど~、ガッテン!」 ま、大筋を頭に入れて最初から観とけよ!って事なんですが~汗 武士というだけでそんなにエラいんかい!という不条理を感じて憤ってしまいます~。 大関という厳ついガタイながら、キビキビと立ち廻る様は亀鶴さん@濡髪ならでは…でしょうか?
壱太郎くん@藤屋吾妻翫雀さん@山崎屋与五郎。 親子で初の恋人役になるそうです。 そういえば壱くんのお母様であり翫雀さんの奥様は…吾妻徳弥さんである訳で、お二人にとっては“吾妻”ってなんだかな~って感じだったのでは?と思ったりして。 壱くんでここまでセリフと演技が要求されるお役で拝見したのは初めてですが…硬っ! 表情が全然変わらないまま、とにかくセリフをこなしている感が否めず、この恋人二人の危機感が今イチ薄い感じだったのは残念。 今後に激しく期待してます!

月 引窓
福岡では“博多三大祭り”のひとつとして【放生会】がありますが“ほうじょうや”と読みます。 一般的にはこの演目のように“ほうじょうえ”が普通かと思うのですが…福岡以外に“会=や”と読む所はあるのでしょうか?
孝太郎さん@女房お早がイイですね。 単に私が翫雀さんと孝太郎さん夫婦…というコンビが大好きだからなおさらそう思ったのかもしれませんが。 ホントに仲の良い夫婦で、郭上がりながらお姑さんともすごく上手くいっているほのぼの家族っていう空気感がとても良く出ていて…ここにお尋ね者となった濡髪が突然転がり込んでくるからして、この悲劇性が際立つ感じが強くなった印象を受けました。
しかしお早さん、神棚へのお供えはお幸さんの補助ではく、あなたがしてあげてくださいっ! ご高齢ですからちょっとした転倒が大変な事になりますからね…。
竹三郎さん@母お幸は意外にも今回で二度目との事ですが、この手のお役はさすが~とひたすら感動。 感情の移り変わりが激しく忙しいのですが、それが自然な流れだけに泣かされます。 息子・濡髪のどっしりとした歩き方を真似てみせるおちゃめぶりもあり♪
扇雀さん@平岡丹平愛之助さん@三原伝造を母親の小屋で休息させた後、いそいそと喜びいさんで小走りに家に入り…あわてて武士らしく振る舞う翫雀さん@南与兵衛後に南方十次兵衛の愛嬌にニッコリ。 今三役された中で一番好きでした。 “玩辞桜十二曲の内”という事でお家芸のひとつ。 本公演では初めてとの事ですが、今後は持ち役のひとつとなるのではナイでしょうか?と嬉しく思えた好演♪
通して…なにより亀鶴さん@濡髪長五郎今後のお役の可能性をすごく楽しみに出来る好演でした!
血止めや傷止めに墨を塗る…っていうのはこの時代一般的だったんでしょうね?(火傷=アロエ、みたいな?) ホントに止まるのかな?って試したくはありませんが~汗

第五回・浪花花形歌舞伎(第一部)【松竹座】

今年で5回目となる今公演。 私にとっては好きな役者さん大集合!なので『4月は松竹座遠征』が恒例となり毎年楽しみにしている公演のひとつ。
しかしながら~毎年ひとつは復活ものや新作をかけていたのが今公演ではなく、公演が始まった当初〈Aプロ〉〈Bプロ〉と同一演目を配役替えでやっていた試みなども、いつの間にやらフェイドアウトしてしまって…演目発表後今イチ遠征に乗り気ではなかったのですが、今回は翫雀さんのご長男・壱太郎くんが初参加!という事で、どんな新風を吹き込んでくれるのかに期待して足を運びました。
「こんなキャパで、こんなメンバーの、チャレンジ歌舞伎をこんなお財布に優しい価格で観れるなんて…うらやましいっ」とこの時ばかりは関西地区の方をホントに羨ましく思います。 しかし「さすが大阪!商売人!」と思ったのは、ロッカーに入らないコロコロ(=旅行キャリーバック)を総合カウンターに預けたら…お金を徴収された事! 他の劇場では軒並み無料で、未だかつて有料だった事がなかったのですっごく驚きました汗

 道行恋苧環
定式幕が引かれると「あれ?葵太夫さん、先月懐かしんだ“あぜ道カット”じゃナイじゃ~ん」とちょっと残念…ってチェックポイントはそこかい汗 葵太夫さんを今公演でお見かけするのは珍しいような?
壱くん赤姫
壱太郎くん@入鹿妹橘姫は、打ち掛けを取ると…「か、可愛い~っ☆」「お人形さんみた~い☆」 体は華奢なうえ顔の造作、特に横顔がまだ子供であどけなさが残ってるんだけど、こんな年相応のピチピチの赤姫って久しく観てなかった汗から見入ってしまいました~。 “こなす”のが精一杯、という感は否めませんでしたが「あの壱くんが~、壱くんがぁ、立派になって…」と親戚のおばちゃん状態で感慨深く拝見。 孝太郎さん@杉酒屋娘お三輪、扇雀さん@烏帽子折求女と居並ぶとすでに一番背が高く…けど一番顔が小ちゃいのはさすが現代っ子?! このまま背が伸びたらどっちに進むのかな? 楽しみでなりません!
“初役にチャレンジ”という方が多いのも今公演の特徴ですが、孝太郎さんが女形の大役【妹背山婦女庭訓】のお三輪へ!という事で期待に胸膨らませての観劇。 その孝太郎さん@お三輪は、求女に結んだはずの苧環の糸が切れていた事に気が付いた花道での引っ込みの「ハッ」とした表情が印象的でした。

 三笠山御殿
太夫さんと三味線さんの裃の家紋は…何ですか? 私の席からで判別不可だったのですが…鶴? どこの家紋か気になりました。
進之介さん@蘇我入鹿。 え~っと…第一声で椅子から転げ落ちそうになりました冷や汗 この言葉の使い方がこれほど適正に使われる事もそうそうナイかと思われるほど、まさにそうでした汗 スゴイものを観た…。 確かに役者さんとしてはチャレンジ公演の意味合いは強いですけど…お客はお金を払って観に来てる訳ですから、最低限の相応のモノはプロとして披露する必要はあると思うんですが~。 梨園に生まれる=歌舞伎役者、という宿命を受け入れてこの道に進んだからには例え不器用だとしても、もう少しなんとか~汗 進之介さん、歌舞伎好きじゃナイのかな?と思えたり。
脇では亀鶴さん@宮越玄蕃薪車さん@荒巻弥藤次がビシッ☆と締めてくれました。
愛之助さん@漁師鱶七のこしらえが私、好きなんですよね~。 あの團十郎格子の長袴ってカッコイイ! 「やっとことっちゃ~ うんとこな~」と弾んで大の字に寝るのは…全身打撲ってなくらいの豪快さに「痛そぉ~汗
楽しみにしていた翫雀さん@豆腐買おむら、下駄の音がうるさいくらい大きくて時々セリフがかき消されていたのが残念。 福々して愛らしい~♪(←多分、恐ろしく贔屓目) 笑いもバッチリ取って充分なごちそうになっていたかと☆ 「あばよ!」ラブリ~ときめき(←間違いなく贔屓目)
官女たちのお三輪ちゃんへの仕打ちは劇団四季ミュージカル【ユタと不思議な仲間たち】の冒頭のいじめシーンに匹敵するくらい、目を覆いたくなるシーン。 しかもこちらの方がネチネチと無駄に?長~いので、観ているとホント辛くなって「早く終わらないかなぁ~」と毎度思う悲しい 古典の本に沿っての演出でしょうけど、今公演くらい時流に合わせて一部はカットしても…と思ったり。 そしたらチャレンシ公演にならないのか?!
また、このいじめられっぷりは今まで拝見したどのお三輪ちゃんよりも、今公演の孝太郎さんが一番!に感じました。 健気でいじらしい感じがそう思わさせのか?表情が大きくてすごく解りやすいからか? しかし、独断場での語りが続くと…甲高い声がちょっと耳障りに聞こえてくる事が気になりました。
「糸が切れくさって~」「壊しくさって~」「盗みくさって~」って物言いに対して毎度客席に笑いが起こるのに戸惑いましたが…。 愛之助さん@金輪五郎今国刺されてからの顔は、まぶたに水色のシャドウを入れるんですね! 孝太郎さんって“目力がある”んだなぁ~と、刀が刺さったまま薄れゆく視力と意識の中でキッと見据える眼差しに惹かれました。 11日に拝見した時は三方が滑ってしまって、空手チョップで叩き割っていたのが…なんとも勇ましかったです(瀕死の状態なのに)
官女の長袴でトンボを次々と切って、愛之助さん@金輪五郎今国に切り掛かっていた方! 回転時の頭の位置がすごく低いし、袴が柵や鴨居にひっかかりそうで、観ていてすっごく怖かったです~。 特にトンボが上手い方が担当されているんでしょうけど、ドキドキしちゃいました冷や汗
この演目、お三輪ちゃんが散々頑張ったのに、ラストはなんで君がイイとこさらっていのくのさ!と毎度思わされる金輪五郎今国のラストのキメっぷりと、『爪黒の鹿の血と嫉妬の相をした女の生血を混ぜ、それを笛に注いで吹くと入鹿を倒せる』って…どんな理屈やねん!とザ・歌舞伎の「んな、馬鹿なぁ~汗」っぷりに苦笑させられる幕切れに満足させられるのは…なんでだろ?

ヤマトタケル(考察:タケルとタケヒコ) 【博多座】

博多座初日、三階席からの観劇で舞台がすごく遠く感じられ(スーパー歌舞伎は=舞台セットはシンプル+衣装は豪華絢爛なので)疎外感があったうえ「あの豪華衣装を間近で見てデザインの細部チェックをしたいっ!」という衝動にかられて、1階A席突発した本日は二回目の観劇であります。
2005年公演時には遠征観劇スケジュール上、段治郎さん@ヤマトタケルしか拝見出来ず「え~っ?!段治郎さん@タケヒコ、すっごくイイのに観なかったんですかぁ~???冷や汗」と当サイトにお越しいただいた段治郎ファンの方に言われて、どよ~んと落ち込んだものでした。 …ので、今博多座公演でリベンジ!です。
段治郎ファンとしては主役で拝見出来る事は…そりゃ~、もう「謳凌に続いて、再びこんな日が来ようとは~」と嬉しくはありますが、率直な感想として『右近さん@タケル×段治郎さん@タケヒコの方が好き!』でした。
段治郎さんはタケヒコの方がニンであり、彼の魅力が充分に活きているかと。 やたら爽やかで耳に心地が悪かった(聞き慣れないので)小碓命のセリフ回しが汗大碓命やタケヒコでは安心してその口跡の良さを堪能出来る事からも明らか、かな? 宙乗り前のラスト花道七三での「さようなら~」というのは、なんとも軽くて座りが悪く…あの~、その~、間抜けな感じは最後まで変わらず汗 「天翔る心、それが私だ」は、それまでの演技と繋がって説得力のあるものとしては心に響くことがなく、唐突な印象が否めなかったのは残念。 ただ…笑三郎さん@倭姫が言う「そなたはこの地上に間違って生まれた一羽の鳥なのだよ」という清廉潔白な純な真っすぐさはダンジロさん@タケルの方に説得力があったかと。
以下、二人のヤマトタケルの比較考察↓↓↓

青りんご ヴィジュアル
二人の違いが一番顕著に出ている部分ですね。
「ダンジロさん、綺麗~☆」と見惚れる事度々ですが、それもタケヒコの方が魅力的に映りました。 タケルをサポートする包容力も見た目に説得力がありますし。 思うに、ダンジロさんって…目が万人に愛されるキャラクターの目ではナイなぁ~と(個人的に) 怖い、っていうか…色悪とか敵役とかに合っている目といいますか。 目が細いから、目の表情が判りにくいので、感情が入ってくると三白眼ぎみで怖く見えるんですよね~汗 故に、尾張の国造に対してのチクリと刺す嫌味も効いていて笑えます。 私、段治郎ファンではありますが“主役で輝く人というよりは脇でキラリと光る人”なんだろうなぁ…と再認識してしまった感もありますです、ハイ汗
対して右近さんはパッチリ☆キラキラの大きなお目目で、表情が解りやすく愛されキャラに適しているかな、と。 五月人形の金太郎さんみたい…と言ったら解り易いでしょうか? 蝦夷へ赴くタケルの元に押し掛けてきた弟橘姫を「では共に参ろう♪」とアッサリ態度を翻し“ヒシッ”と二人抱き合う可愛らしさに客席から笑いが起こるのは右近さん@タケルならではの魅力。 しかし右近さん@タケヒコの時は、今ひとつタケルとの違いが明確に見えず「タケルの為なら命を投げ出すこともいとわない」という主君を敬い慕う従者には見えず、“二人タケル”な印象だったり~汗
小碓命~大碓命の早替わり立ち廻りでは、御簾の中に姿を消しつつヅラをはずしにかかっている様がバレバレなダンジロさん汗に引きかえ、右近さんは流石の余裕でした。
熊襲での踊り女での舞は、「どうみても男だろ!」と2mはゆうにあるダンジロさんの無理ある女形…ってか女装(貴重だ!)に対して、右近さんは笑顔も可愛くて無理なく安心して観れる感じ。 でもダンジロさん、随分踊りが柔らかくなりましたね♪ ホッ悲しい
青りんご 演技
段治郎さん@タケルは、ひたすら父親の愛を求め、望郷への念を切々と訴えるので、その事自体はすごく心に響くのですが、あまりにも強調されているので、自分を慕うものを犠牲にし、独自の文化や暮らしを築いて生きていた人々への侵略の色が濃く見え、自己中心的な感じにも思えてきた時もありました。 タケヒコの言う「あなたにはどこか寂しい影がある」という部分はピッタリ。 だからこそなのか?段治郎さん@タケルの時の方が、倒される側の最後の言葉がズシ~ンと胸に響いて聞こえてきた印象でもありました。
対して、右近さん@タケルは、熊襲や蝦夷、伊吹山の山神を次々と征伐してヤマトの国の統一、という大きな目的に向かって歩みを進める、部下を付き従えるリーダー然とした部分がきちんと根底に見えてくる印象。 「天翔る心、それが私だ」に違和感はなく。
青りんご 立ち廻り
中学の頃はアクション俳優やスタントマンになりたくてJACを受験合格した過去があるダンジロさんは、“本領発揮!”とばかりに長身の体躯を活かしたダイナミックさとスピィーディーなもので迫力があり、いやゆる“チャンバラ”な感じ
対して、右近さんは“舞っている”ような優美な印象を受ける殺陣
蝦夷での火攻めでの草を刈る所作や、炎の旗を旋回させる立ち廻りにも顕著に現れていて面白い♪
青りんご 宙乗り
今回、実は…ちょっと引いてしまったのが宙乗り冷や汗
歌舞伎でナイ舞台で、いわゆるフライングものをよく目にするようになったから…なんですが、改めて“歌舞伎の宙乗り”というのは「いいですか?今から宙乗り始まりますよ!いいですか?行きますよ!」という感じの大袈裟なお膳立てがあって「ほら!スゴイでしょ!これが宙乗りですよ!感動的でしょ?スゴイでしょ?」というような、すっごく押し付けがましい印象を持ってしまいました。
…な事は置いておいて~汗
二人の飛び方も顕著に違っていて面白かったです! 段治郎さん@タケルは、大きな鷲のような鳥が羽根を広げて大きく旋回するような、悠々とした感じなのに対し、右近さん@タケルはパタパタと羽ばたく感じで…「飛び方も体サイズに合った演じ方なんだなぁ」と思いました。
今博多座公演では、段治郎さん@タケル×猿紫さん@ヘタルベ右近さん@タケル×弘太郎さん@ヘタルベは…昼の部=金田龍之介さん、夜の部=猿弥さん、というキャスティングでした。
ヘタルベはお二人とも好演で特にどちらが…という事もなく。 帝は猿弥さんのどっしりとした存在感に驚きましたが、カーテンコールでタケルを許す芝居では金田さんがさすが!の細かさで「タケル、良かったね~」と嬉しくなりました。
歌舞伎でのWキャスト、古典ではなかなか観る機会がナイのですごく新鮮で面白かったです♪

劇場 キャスト
ヤマトタケル:右近/タケヒコ:段治郎/ヘタルベ:弘太郎/:金田龍之介

KABUKI NIGHT Vol.7 【博多座】

「やはり前回のみ“特別”で終わってしまったか…悲しい」という印象の今イベントの客入り具合に、一抹の寂しさを感じながら「ま、本来の動員数に戻っただけさ!」と気持ちを立て直す私汗
熊襲国の屋台セット前に右近さん、段治郎さん、笑也さん、猿弥さん、笑三郎さん、春猿さん…とゲストがズラリだったんですが、暗幕前に木組みのセットが組んであるからして舞台が暗~いうえに、ゲストの皆さんはモノトーンのお召し物ばかりだったので、色彩的にすっごく寂しくて華やかさに欠けたのはひどく残念。 スーパー歌舞伎のゴージャス衣装あってのあのセットでしょうから…ネ。 スクリーンを使っての趣向が多かったにせよ、照明も全体的に暗めで…なんかな~汗
前回と同じく、ゲスト本人が選曲したBGMに乗って花道から一人ずつ登場! 猿弥さんの【8時だヨ!全員集合!】の♪エンヤ~こらやっと…♪は客席手拍子で盛り上がりました~☆ 猿弥さん、期待通り多々お笑いネタ提供で笑わせていただきました。 段治郎さんは【必殺仕事人のテーマ曲】だったのですが、花道途中で両手で顔を覆ってしまい「恥ずかしい~、失敗したっ」と。 ビシッと細身のスーツで決めたヴィジュアルとはかけ離れたリアクションは…あの~可愛らしいんですけど!
まだ初日開けて間もない、という事でネタバレに配慮しながら…という事や、スーパー歌舞伎自体をまだご覧になった事がナイ…という方もいらっしゃるので、やんわりとぼかした説明や何度も重複してしまう“解るような解らないような”説明に間延びした印象があり、もたついた進行で、一人がしゃべっている時には他のゲストは手持ち無沙汰な感じで気の毒だったな…と。
内容は…登場人物相関図を使ったストーリー解説と各々の役所の解説『ヤ・マ・ト・タ・ケ・ル』という各々の文字を頭につけたPR短文をゲストが作成&発表三者択一クイズ大会質問コーナー…というような内容。
クイズ大会では『Q.今月4月に誕生日なのは?』→『A.笑也さん』という事でバースデーケーキ登場のサプライズあり☆
質問コーナーでは、各人のプライベートが垣間みれたのですが「ええっ?ホント?」「信じられな~い!初めて知った~!」と、他のゲストの回答を聞いて一人だけすっごく驚いていた春猿さんが面白かったです(猿弥さん曰く「お前が知らないだけで、あと皆知ってるよ!」) でも一番驚いたのは『旅先には必ず10個程度バッグを持っていく』と答えたあなたが一番「信じられな~い!」んですけど汗 右近さん曰く「彼は“女優”ですから!
会場には歌舞伎をご覧になったことがナイ方3分の1、スーパー歌舞伎をご覧になった事がナイ方3分の1…という事で、この方々の動員が呼び水となって、今月博多座公演の成功となりますように!
さて、次回のKABUKI NIGHTは…確実に軽~く1年以上ナイのよね悲しい

ヤマトタケル(初日) 【博多座】

今公演のように主演が右近さん×段治郎さんのWキャストとなったのは2005年公演時からであり、今回はその再演。 博多座で【新・三国志シリーズ】以外のスーパー歌舞伎作品がかかるのも、猿之助さんのご出演がナイのも今回が初めて。 そもそも博多座でスーパー歌舞伎が上演されるのは実に5年振り!…って、もうそんなに経っていたとは驚きです。 私は2005年4月以来の観劇となりました♪
え~っと…「ここまで覚えていなかったとは~冷や汗」と自分の記憶力のなさにほとほと悲しくなった初日観劇となった訳ではありますが、前公演時とは変更になった箇所や追加や削除になったシーン…なんてのもあるんでしょうか?(2005年は初観劇にして1回のみの観劇) ま、初観劇のごとく楽しめてラッキ~♪と思う事にしよう汗 オープニングの廻り舞台~大セリの出のシルエットはどエライ格好良くて鳥肌が立ちました!
全体の印象としては前回と大差はナイものの、段治郎さん@ヤマトタケルは、より繊細で純な感じになっていた印象。 ひたすら父親の愛と故郷を求め、笑三郎さん@倭姫にすがって泣きじゃくる様は子供のようで「なんて真っすぐな心を持った素直な人なんだ…」と嫌味なく納得させられ、自分を慕う女性を次々と受け入れる可笑し味(これは今回顕著☆)も併せ持つ、という魅力的なヤマトタケルとなっていました。 ただ…やっぱり“やたら若者ぶった爽やか口跡”に耳が慣れるまで時間がかかります! 白鳥姿で宙乗りとなる前の「さようなら~」って、なんだか…なんか…あの~、ちょっと間抜けな感じなんですけど~汗 墳墓上に登場時は「ダンジロさん、顔ちっちゃ!」「一体、何頭身なんだよっ?」ってな驚きもありました。
よつばのクローバー右近さん@タケヒコのご活躍を拝見し「タケヒコってイイ役じゃ~ん!」と気付かされ、まだ観ぬ段治郎さん@タケヒコを一日も早く拝見したくなりまして、予定外のチケット追加してしもうたぁ~汗(千穐楽しか手持ちがなかったので)
よつばのクローバー猿紫さん@ヘタルベは、可愛いですね♪ 動きも表情も愛くるしいですね♪ ひたすらヤマトタケルを慕い付き添う様は健気で、その死を悼む様は好演。
よつばのクローバー門之助さん@皇后/伊吹山の姥神は、どちらも女性なのに…やたら勇ましくてドスが効いているのは何故?
よつばのクローバー笑也さん@兄橘姫/みやず姫を拝見し「笑也さんってスーパー歌舞伎の人だな」と改めて思いました。 スーパーだと古典でどうしても…となる所は気にならず、ただあの容姿の美しさと女性にしか聞こえない美しい声を楽しめるな…と。
よつばのクローバーカニ&タコ兄弟・猿四郎さん@熊襲兄タケル喜猿さん@熊襲弟タケル。 客席多いに湧きましたね~♪ 喜猿さんは初めて拝見でしたが、タケルという名前を託して絶命する様は好演でした!
よつばのクローバーみやず姫の父母・猿三郎さん@尾張の国造寿猿さん@妻って…あんなにコミカルでしたっけ? 同じく、門之助さん@伊吹山の姥神猿弥さん@ 伊吹山の山神(+鬼’s)も! 大いに笑いました~☆
改めて附け打ちさん、大変です! 特にヤイレポ&ヤイラム兄弟vsタケル&タケヒコの一戦まみえるフラッシュライトでの立ち廻りは…腕に相当な負担となりそうな~汗
そしてカーテンコール。 「もしかしたら…」という淡い期待をしていたのですが、叶いました! 二度目のカーテンコールで舞台中央に猿之助さんが! 私、ブワッと目から涙が溢れ出てしまって…ボロボロ泣いてしまいました悲しい 猿之助さんが舞台から遠ざかったのは、ここ博多座での【西太后】(2003年11月)でお倒れになってから…だったので、博多座には何かしらのトラウマがあるんじゃないかしら?もう博多座には来ていただけないのではないかしら?と勝手に思い心配していたし、“生・猿之助さん”を拝見したのは、ホントにその公演以来でしたから…涙腺決壊!でした。 いつまでもいつまでも猿之助さんの舞台復帰、楽しみにお待ちしております!
しかし…気が付けば手元にはまだ3枚のチケットが汗 ちょっとヤバイかも~冷や汗
だってやっぱり衣装が豪華で目に楽しくて、あれは舞台近くのお席で観たいと思うもの~。 スーパー歌舞伎って、舞台セットは黒一色とかシンプルだから3階席だとちょっと寂しくて疎外感があるのよね…(←激しい言い訳)

劇場 キャスト
ヤマトタケル:段治郎/タケヒコ:右近/ヘタルベ:猿紫/:金田龍之介