蛮幽鬼【梅田芸術劇場メインホール】

上演が発表された時は「猛烈に観たい!」けどあまりにも発表が前過ぎて、上演時の自分の状況が全く読めず、見送り…先に始まった東京公演の評判も悲しくなるので、目に触れないようにしていました。 が!幸運にも大阪公演のチケットをオペラグラスいらずの、花横(花道があったらね)という素晴らしいお席をGETする事が出来まして急遽遠征!

情報シャットアウトで辛抱強くゲキシネ公開まで待つつもりだった故に、公演パンフレットで開演直前に「あ~“岩窟王”がベースになってるんだぁ」と知った次第。 パンフレットに、いのうえさんが書かれているNHK【日本巌窟王】(1979年放映)って当時、ウチの家族は夢中で観てましたっ! ホントにものすご~く面白かった!! 主演の草刈正雄さんよりも、“激しいキザ男”を演じていた志垣太郎さんが我が家では大人気で、当時“キザマン”とあだ名して毎週放映を楽しみにしてました…懐かしかぁ~♪

舞台観劇が叶わなかった【五右衛門ロック】を先日ゲキシネで観た時「客演が多すぎると新感線の役者さんたちの出番が削られて消化不良になるなぁ~」と思いました。 客演役者に見所を個々に与える為か?なんかすご~く散漫な印象が強く、生で観たら違ったのかも?…ですが、そんな感じでひどく残念だったので、今作品もその事をちょっと危惧しての観劇だったのですが…そんな心配は不要の面白さでしたっ!! 大好きな、じゅんさんも右近さんもまことさんも適材適所、見所も相応にあって◎

開幕前にスクリーンに映し出される文字は…【蛮記】→【蛮記】→【蛮記】と幕が上がる前に次第に変わっていくんですね。 ロビーにあったブロンズ像?も開演前は顔にマスクが…で、幕間にはそのマスクが取れて…と細かな演出も面白い!って、あの像自体は舞台には出てこないんですね。 土門のイメージ像なのかしら??? 幕が上がる前からテンション↑↑↑な仕掛けもウマイなぁ~。

まずは客演陣の感想から…。
堺雅人さん、稲森いずみさんは私、生の舞台では私、初めて拝見。♪

堺雅人さん@サジはあの声の持つ印象からは想像出来ないほどクリアにスコーンと通る舞台声なんですね!(舞台出身ですものね)どんなに早口でもクリアに聴こえてビックリ! サジは当て書きなんでしょうけど、あの謎な微笑みをず~っと浮かべているのは顔の筋肉が硬直しないのかしら? 常時笑顔がスッ消えてクワッと目を見開いて言う迫力は血の気が引くような怖さがありました。 “見得を切る”ようなクローズアップ効果というか、惹き付けられるというか…。 一番ゾッとしたのは、親友を殺したのは実は…ってトコですね。 正常な人間の心を持っていない所が彼の悲しい所なんだろうけど。 衣装のシルエットがそうさせるんでしょうけど、殺陣はスピーディーなれどキレが今ひとつに見えるんです。 あのシルッエットがスリムな方が体の線が見えて“キレ者”って感じがしてイイような気がしたんですが…それがひどく残念。
対して、何度も舞台を拝見してる安心感のあった上川隆也さん@伊達土門/飛頭蛮が役作り故の低い声多用の為か?時々聴こえずらかったり、チラリと聴いた久々の歌声も劣化している印象で…個人的には消化不良でちょっと残念。
稲森いずみさん@京兼美古都は「顔ちっちゃ!」 スラリとした長身美女なのは判ってましたけど、舞台に居並ぶとその長身と小顔っぷりが一層でした。 ラストの凛とした大君風情は相応でしたが、声が低いだけで今ひとつあの国の民として彼女の声に説得力かなかったように思えたのはあくまでも私的感想。
早乙女太一くん@方白/刀衣は、殺陣も踊りもさすがですが…もうそろそろ違うタイプのお役で拝見したいですね。
山内圭哉さん@稀浮名のキャラがすご~く好きでした。 優柔不断なプレイボーイでズルイ男っぷりがなんとも上手く、スキンヘッドと後頭部からの蔦のようなタトゥーのヴィジュアルがナイス☆ このタトゥーはちょっとウィーン版エリザベートの衣装を思い出しました(蔦=腫瘍=悪いモノに浸食されている)

そしてお目当ての劇団メンバー陣は…。
橋本じゅんさん@稀道活は国崩し的なスケール感もあってイイ! コール&レスポンス、あれだけ声を張り上げて毎回とは…よくノドつぶさないなぁ~。 五右衛門…に続いて、じゅんさん大活躍ですね! 「南海のフェリー乗り場に居ただけだよぉ~」と時事ネタも。 右近健一さん@鳳来国の大王はその出だけでクスクス笑ってしまう~。 全てにおいてラブリー過ぎだろっ!  高田聖子さん@ペナンはさすがに達者だ! お腹をボリボリ掻きながらジョントラボルタよろしく“サダデーナイト・フィーバー”ポーズでニカリと決めちゃうポーズに爆笑。 あれで姫って☆ モロ肌脱いだ聖子さんに「おぉ~鍛えてるう~♪」 村木よし子さん@稀浮名の妻・鹿女完全に大阪のおばちゃんを誇張した出で立ち。 これは東京公演でもそうだったのでしょうか? 女を捨てた演技に「お前の芸風はソレでイイのか?」のツッコミには激しく笑ったけど「彼女の高槻の実家へ送り届けて」とかご当地ネタでのいじりは笑えるツボでした。 でもって稀浮名を追い回していた三人の女の子は【美女と野獣】でガストンを追い回すシリイガールズそのものでしたね♪

舞台美術は…冒頭、雨のように星が降ってくる様子は綺麗だったぁ~☆ あんなに降ってくるのを実際目にしたら、この世の終わり的な感じがして怖くなってしまうだろうけど…。
今回一番感心したのは、屋上で星を見て友人が叫び声を聴いて驚き、階下に下りて行く階段~下の階へ下る見せ方! そして同じく幽閉されていた牢屋から地下に掘った通路を下りて行く見せ方! すごい!感動!ホントに下へくだっているようで、潜っているようで…スゴイ工夫だなぁ~♪
第二部開幕前の幕前解説と注意事項アナウンスは元四季の女優さん。 劇団四季開口法バリバリのしゃべり方で客席が湧いたけど…「やっぱ、演ってた本人たちも不自然に思ってたのね」と苦笑いの一幕でした。 新感線を観る客層と四季観る客層ってカブらない印象だったから、笑いが取れていたのに驚いた~(ま、私みたいのも居るけどね)

総括としては大物客演が多かったのに、劇団員とのバランスが上手い具合に取れた娯楽作品☆という印象。 いや~、面白かった!!!

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