法界坊【大阪平成中村座】

平成中村座への遠征の機会をず~っと伺っていたものの、なかなか都合が合わず悔しい思いをで見合わせておりました。 平成13年の【義経千本桜】の試演会の様子を伺っていましたので「今度、小屋が建ったら、何処の地でも遠征して試演会まで観る!」と心に決めていましたので、念願叶ったり!だったんです♪
「小屋自体は“八千代座”みたいな昔の芝居小屋の再現なんだろうなぁ…」と、イメージはできていたんですが、開演前や幕間などにも役者さんが客席や小屋の外までこしらえのまま出てきての楽しい演出には驚かされました♪ 特に【夏祭浪花鑑】なんて、小屋の外で喧嘩が始まって…それが舞台の開幕へと繋がるのでたまりません! “芝居を楽しんでもらおう”という興行側の熱い思いがひしひしと伝わってきましたが…ホントは演じるご本人達が一番楽しんでいるのではナイでしょうか~♪という感じでした。

法界坊

前回の舞台を映像で観てはいたのですが…やっぱり“ライブ”は違う! “笑い”を含めた演出はそのまま踏襲されているのですが、また笑えました。
今回はやはり“二人の怪優”に目が釘付け!  まずお一人目は…亀蔵さん@番頭正八。 前回より更にパワーアップした弾けぶりで、その様子は“エクソシスト状態”と称されていました?!
悪事をとがめられてハッ!と口を閉じるところでは両頬をリスのようにパンパンにふくらませるのですが、漫画キャラのようなお顔で大爆笑! 扇雀さん@おくみさんへの迫りぶりは、もう…常軌を逸しているとしか~。 で、その後に勘九郎さん@法界坊と熱烈な熱いキス! 舞台に上がると人格が変る…という役者さんは数多くいらっしゃるでしょうけど、亀蔵さんはその最たる部類に入るのでは?!
そして…お二人目は笹野高史さん@山崎屋勘十郎。 まずは“中途半端な白塗り”で笑いを取り、側転で身のこなしの軽さで驚かせ、そして“連続カンニングペーパーの場”?!では共演者達をも笑いに引込んで、場内は大爆笑! 毎回、どこかしら意表をついた所にカンペを仕込んでいるらしく、取り上げられても次から次へと出てくる出てくる~。
テレビではあまりコメディタッチのお役で拝見した事がなかったので、驚きでしたが…“54歳”という年齢に一番驚きました?!
あと、芝のぶさん@野分姫は、浮世離れしたおっとりした雰囲気がよく出ていて好演でした♪
法界坊名物?“日本一低い宙乗り”では、上手の一番端のお席だった私の上に勘九郎さん@法界坊&野分姫の霊が垂直に降りて来て…私、スッポリとお着物の中に入ってしまいました!
法界坊と野分姫、二人も殺されてしまうお話なのに…「あ~、笑った、笑った~」という感想で…いいのかしらん?

双面水照月

橋之助さん@甚三郎女房おさく。 私、自分の記憶によると…橋之助さんの女形って映像でも観た事がなく、今回が初見でしたので衝撃的でした!
スッポンは人力なのでカクカクカク…と上がってくる様が、なんか“ゼンマイ仕掛けの人形”をイメージさせ、より妖気を醸し出していたような印象を受けました。
今回、衣装の細部まで観る事ができましたが、霊とおくみ、松若のお着物の紋は三人が手にしている“葱籠”なんですね! 細かいなぁ…。
いつもながら小山三さんのソツのない素晴らしい後見に見入ってしまいました。