團菊祭五月大歌舞伎・夜の部【歌舞伎座】

傾城反魂香

梅枝くん@土佐修理之助は生真面目で初々しい感じ。 私、修理之助と又平は同い年くらいの同期、という認識がなぜかあったので驚いた。
三津五郎さん@又平は、死を覚悟して今生の名残りに…と、手水鉢に絵を描こうとする時、手に筆を持ちボーッとしている様子(心ここにあらず的な)が、うつろな目が印象的で、時蔵さん@女房おとくが、その様子に気付き、筆に墨をふくませて持たせて優しく持たせてあげる所に涙
名字を許されてからの喜びいさんでのお着替えは「見て見て」「いいでしょ」ってな感じが微笑ましく、無邪気に喜ぶ夫の着替えをかいがいしく手伝いながらも、ふと涙をぬぐう様、泣き笑いの表情が実に素敵な女房ぶり
喜びの舞で出だしの鼓の調子が合わず、たしなめる夫と合点とうなずく夫婦間の空気も実にイイ感じで、二人の心に寄せて「ホント良かったネ~」と一緒に喜べる印象。

保名

夜の部二つ目の演目、舞踏二本立ては将来の團菊対決。 どちらも初役とのことで、期待が高まる~♪
物狂いの象徴でもある“狂い笹”の替わりに恋人の小袖を羽織ってひきづり、鬢バラのかつらに病鉢巻きとくれば…菊之助さん@ 保名、麗しさ充分。
保名は…いつも彼の素性が気になっていたのだが“天文博士の弟子”という身分である事を今回知った。 やはり?ロマンチストな男性の要素を多分に秘めているキャラクターなのだろうか?
♪その人影に露ほども似た人あらば教えてよ~♪と、本来なら前半は死んだ恋人を想うあまり夢うつつで意識が朦朧としている…という表情であろうが、菊之助さんは最初から恋人の死を認識して悲しみの舞を舞っている、という印象。 終始目が覚醒している、意識がはっきりしている感じが強い。 よって“物狂い”の印象は薄かった。 面白かったのは、長袴を前後に一本に伸ばし、まるで板の上に乗っているような…心のバランスを懸命に取っているような印象を受けたこと
途中参加の望月朴清さんの鼓が圧巻!

藤娘

立役の海老蔵さんが、生粋の女方舞踊に挑む。 この後のパリ公演でも披露だそうで。 海老蔵さん@藤の精…って私、海老蔵さんの女形って初めて拝見。 ん~、感想を文章にするのが非常に難しい エラそうですが「海老蔵さん、頑張ってた」という印象。
藤のカーテンからヒョイと覗く様や娘の恥じらいの部分は…体の造形的、雰囲気からどうしても厳しく“妖精”な感じはナイ。 扇子の開き方が豪快でビビる事も多々。 しかしながら、藤音頭では軽快に、男を知る前と後との踊り分けや扇を使って格子から覗く様などは強く印象に残った。
便箋 大津絵とは…
江戸時代、人々の往来で賑わった東海道の宿場町、大津で生まれた民画で、鬼の念仏、藤娘、鷹匠、座頭、槍持奴などがあり、それぞれの画題に応じて護符としての意味も持つ絵。
中でも【藤担ぎ娘=(藤娘)】は『娘に良縁が授かる』というご利益があるらしく特に人気が高かったとか。

黒手組曲輪達引

セットでちょっと疑問だったのが…手前には睡蓮が終わりかけている様で、奥には桜が満開の様子が描かれているところ。 季節は…春?
矢ガモの【2001年宇宙の旅】~【恋のダウンロード】までは、ちょ~っとお遊びが長過ぎる印象だったが、そこは“團菊祭”。 お祭りですからイイんです! 菊五郎さん、やりたかったんだろうなぁ…汗 私的にはイヤホンガイドの塚田さんが「これは仲間由紀恵withダウンロードの…」とうやうやしく解説していたのが激しくツボだった~☆
【助六由縁江戸桜】の登場人物を使って世話物に仕上げた河竹黙阿弥のパロディ狂言なので「あ、コレはアノ部分だ」などの発見も楽しいが、私の大好きな朝顔仙平は普通の武士の拵えで、ちと残念(亀蔵さん)。 あの超ド派手朝顔コーディネイトが好きなので。
本家?では、助六の兄(曾我十郎)として白塗りのイイ男な白酒売りですが、橘太郎さん@白酒売は、貧しい老人風情で“白さけの言い立て”を。 橘太郎さんのあのコロンとしたほんわかな愛嬌ある雰囲気が大好きなのですが…おヤセにいらっしゃいますよね? 品切れの事を「山でございました」と言うんだ~?!
名物?“股くぐり(助六のみ)”は、扇であおぐ、お祓い、カーリング…など、本家と同じように笑いを取るところ。
“短気を意見の封印”として刀を簡単に抜かないように刀のツバに結ぶのは面白い。
立廻りでは、菊五郎さんの家紋・重ね扇の形をつくったり、ラストの屋根上では5月だから“鯉のぼり”?をあしらっていて、歌舞伎の立廻りの型の美しさを堪能。 さすが菊五郎劇団!
菊五郎さん番頭の権九郎花川戸助六は、実に鮮やかで楽しいものだった☆

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