朧の森に棲む鬼【新橋演舞場】

染五郎さん×劇団☆新感線の生の舞台は…実は2003年9月松竹座での【阿修羅城の瞳】以来2度目の観劇。 自分でも結構観ているような錯覚を起こしてましたが生の舞台となると…でした。 『新橋演舞場でお正月公演』って、新感線スゴイですね~。
今回、終始気になったのは音量のバランス。 オープニングからの大音量は慣れているとはいえ、今回は少し下手寄りの…センターからズレた席での観劇だったから、なおさらそう感じたのかもしれないけれど、音楽・セリフともに音のバランスが悪く、心地悪かった~汗
今作品は“大人のいのうえ歌舞伎”としては初のオリジナルだそうで、以前の作風や演出とは趣きが違うところはあれど、オリジナリティ溢れる魅力はそのまま健在。 以前感じた“チャンバラ”は“殺陣”になっていた…という感じを特に強く受けましたし。
いつもオープニング~タイトルの見せ方には感嘆するものがありますがこれはもちろん期待を裏切らず「くぅ~っ!カッコイイ~っ☆」 今回全編を通して印象的だったのは本水の使い方。 歌舞伎や他の舞台でも使用はよく目にしますが…あんな使い方をするとは~!!! 舞台美術全般も期待以上で、特にラジョウのセットが洋画と絡んで面白かった♪
朧たち
今回の戦国時代劇で、染五郎さん@ライ【リチャード三世】と【マクベス】を足したような極悪人。 二つの国が争う乱世の中、森で3人の魔物に出逢ったライは、命と引き換えに王の座を持ちかけられたうえ、魔剣“オボロの剣”を与えられる。 この魔剣を武器に様々な嘘と謀略を駆使して、乱世をのし上がって行く…というキャラクター。
最初はただの軽薄な嘘つき男が魔剣を手にして振り回され、策が功を奏する度に自信とドス黒いや野望を抱き欲望のまま突き進む様は恐ろしく、自分を慕う者も平然と裏切り斬り捨てる形相はさながら“鬼”のよう。 染五郎さんの色悪は歌舞伎では観たことがあるけれど、どこかお上品さがあって「ゾゾゾ~」というものは感じた事がなかったので、今回の国崩し的な大悪役+色気のハマりっぷりには正直ビックリ! 早速歌舞伎でもそんなお役を拝見したくなりました。
他はその他の役者さんについて…
阿部サダヲさん@キンタ これは儲け役だけど、このような役は阿部さんがすご~くハマりますよね。「俺はバカだからバカにされたことはあっても、他人のことをバカにしたことねぇ!」ってセリフは全編通して一番心に残ったセリフでした。
秋山菜津子さん@ツナ 女が惚れる女、って感じのカッコイイ女を演じたら…これまたハマる方ですね。 旦那からの手紙を声に出して読むライに「飛ばして!」っていうのが絶妙の間で相当笑えた~♪
田山涼成さん@イチノオオキミ へちゃむくれ具合が愛らしい☆ 全編ドロドロした陰鬱な中、唯一ホッとするラブリーキャラを好演
この日の日替わりネタは…『まんだらけ』と『蹴り上げたら二度と戻ってこない蹴鞠を買いに行こう!』『遊べないじゃないかっ!』でした。
個人的には、橋本じゅんさんのご出演がなく…「寂しいんじゃなぁ~い?」
出来ることならあと数回、舞台の進化を観てみたかった!と思わされる興行側の漲るパワーに圧倒された完成度の高い…それでいて映像作品を観ているみたいな感じでもありました。

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