エビータ・千穐楽【福岡シティ劇場】

福岡シティ劇場杮落し公演の翌年の1997年、2作品目として上演されて以来の…福岡では実に13年振りの上演となる【エビータ】。 そしてこの度、本日の公演をもって劇団四季専用劇場としての役目を終えました
前上演作品の【クレージー・フォー・ユー】では衰退した劇場をなんとか立て直そうと奮闘する主人公で、今作【エビータ】は野心を持って挑んだが力尽きた主人公で…というのが、なんとも皮肉な巡り合わせ…。
今公演が全7公演と発表され、東京では【サウンド・オブ・ミュージック】上演中…とあらば「こりゃ夫人、来るな」と思っていたら案の定。 野村さんが福岡の舞台に立つって…何年振りの事なんでしょう? 前作で加藤敬二さん、今作で野村玲子さん…と二大看板俳優(劇団によると看板俳優というのは居ないらしいが)の登板で劇団の本気度が伺えましたが“時すでに遅し”! 最期の華と散りました。
私自身【エビータ】は2005年の新演出となった時に秋劇場で観て以来久々の観劇で、福岡で観るのは初めて。 「セリフまでも全部歌だったっけ?!」っていう軽い驚きがありましたが、意外と演出や美術は覚えているもので記憶を辿りながらの観劇となりました。 常設劇場としてのシティ劇場最後の観劇という事と相まって、自分の気持ちも感極まるのかな?と思いましたが…残念ながら2005年に観た時の感動を越えるものではありませんでした。

野村玲子さん@エビータ  野村さんの舞台を拝見したのは2005年【李香蘭】以来でしたが、その時にすでに“もう歌は厳しいなぁ~”という印象だったので、ものすご~く危惧していましたが「思ったよりはマシだった」…って失礼ですが、正直な感想です。 ヴィジュアルは「…の割には大変お綺麗」で、ドレスからのぞくデコルテや二の腕にも衰を感じる事がなく、その女優魂とヒロインオーラに感心。 いまだ李香蘭ではその少女時代に“ワカメちゃんミニスカ”で熱演されている現場を一度でも目撃してしまうと、エヴァの少女時代なんてなんら違和感はありませんぞ!(無理矢理納得) ただ目をカッと大きく見開いて一点を凝視する表情が多く「目が乾かないのかな?」って心配になるくらい瞬きも少なくて…次第に「顔が…怖いよぉ~」。 あれはエヴァの野心溢れる様を表しているのでしょうか? 【共にいてアルゼンチーナ】は、残念ながらアルゼンチン国民のような、気持ちを寄せて聴き入るには至りませんでした。

芝清道さん@チェ お待ちしておりました~! 今回の撤退は福岡出身の芝さんにとってもいろいろと考える所がおありだったのではないでしょうか? シャウト系のナンバーはホント耳に心地良い♪ 何も言う事はありません。 最後に拝見出来て嬉しかったです…。
金田俊秀さん@ペロン 野村エヴァとのツーショットは“若いツバメ”のように見えて仕方がなかった…けど、ヴィジュアルも歌も満足。 主役級の男優の退団が相次いだ現在、次々とタイトルロールを引き継ぎ演じていらっしゃるのも納得。
カーテンコールは翌朝の新聞に『12回も繰り返された』との記述あり。 しかしながらそこは劇団四季。 いかに『これにて撤退』な千穐楽といえども、お決まりのポーズをただ繰り返すだけの…いつものカテコだったのは言う間でもありません。 せめて『さようなら福岡』的な横断幕でもあるのかな…と思ったものの、そういった類いの物は劇場内にも一切なし。 赤字が脹らんだ…とは言えど『劇団四季初の専用劇場14年間の歴史に幕』なんだから、何かあっても良さそうなのに、去るとなったら一銭もかけたくナイようで…なんだかなぁ。
(終演後入場口のドア越にに芝さんと渋谷さんがサプライズ登場したらしい)
最後は愚痴になってしまったけれど、この14年間で一体何回くらい私は足を運んだのでしょう?…と思うと、完全な思い出となってしまう事に一抹の寂しさは拭えません

劇場 キャスト
エビータ:野村玲子/チェ:芝 清道/ペロン:金田俊秀/マガルディ:渋谷智也/ミストレス:高木美果

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