六月大歌舞伎・昼の部【歌舞伎座】

輝虎配膳

歌舞伎座では33年振りの上演で、梅玉さん@長尾輝虎、秀太郎さん@越路、時蔵さん@お勝はいずれも初役との事。 私はもちろん初観でした。
【歌舞伎の三婆】のひとつといわれる、秀太郎さん@越路(【近江源氏先陣館】微妙、【菅原伝授手習鑑】覚寿に並ぶ)は、気位の高さや内に秘めた心の葛藤などが感じられ目を閉じて座っていても威圧される感じ。
その母を手助けしようと言葉が不自由ながら、琴を弾いて助ける時蔵さん@お勝は健気。
梅玉さん@輝虎は短気な様が滑稽にさえ感じられ、ものすごい枚数を着込んだ上着を何枚も次々と脱ぐ演出がすごく面白かったです。

素襖落

私、冠者の衣装って大好きなんです! 色の美しさ、艶やかさ、大胆な柄でいて、モチーフの細やかな描写や組み合わせ デザインの勉強になります。
歌舞伎の演目には、酩酊してしでかす失敗を笑うものが多いですよね。 これを観るにつけ「お酒って、そんなに美味しいんだ…」と下戸の私は、その浮かれぶりに少しうらやましく思ったりします。
吉右衛門さん@太郎冠者は体躯がよく、普段はドッシリと構えているイメージが強いだけにコミカルな部分が余計に面白く感じました。
富十郎さん@大名歌昇さん@太刀持鈍太郎のラスト追い回しも楽しい、楽しい♪

封印切

染五郎さん@忠兵衛歌舞伎座で初登場とのこと。 美しく、けど可笑し味のある…という風情はとても良く出ていましたし、実際ニンだと思います けど、ちょっと堅い印象が残りました。 関西の方からご覧になって、あの関西弁は○だったのでしょうか?
しかし前半のノーテンキなコミカルな部分と、後半の仁左衛門さん@八右衛門に煽られて激情にかられてしまう部分の落差は◎ 半ベソをかきながら「ココお金があるやないか」と八右衛門と張り合う部分は、子供のようでした。
孝太郎さん@梅川。 しばらくご無沙汰だった忠兵衛が久々に井筒屋に顔を出した時の、弾けたような喜びや、秀太郎さん@おえんの計らいで忍び会う際に、忠兵衛がスネてみせる様に本気で心配する様が“恋する乙女”が全開で微笑ましい♪
だからこそ封印を切ってしまった忠兵衛が彼女をせかして新町を出ようとする際に「そんなに急がなくても…」と言うような、彼の立場に立って物を考えている余裕がナイくらい自分の気持ちに盲目的な所が、腹立たしい感じを覚えさせられました
秀太郎さん@おえん。 絶品ですね! もう観ているだけで安心しきりで、顔がヘラ~ッとなってくる私です。 店の裏で忍び会う二人の間に「バァ」と割って入る時、どうしても一緒に言ってしまうんだなぁ。
仁左衛門さん@八右衛門。 もう言う事はありません。 秀太郎さんと仁左衛門さん…やはりこのお二人が同じ板で並んでいると“上方風情度”が一気に上がる感じでした。

新口村

雪深い村の情景にあって、中比翼の真っ黒な着物が映える梅川と忠兵衛の幕開けは美しい~ 梅川の鴇色と赤の襦袢の色より一層映えて印象的。
染五郎さんって…綺麗ですね。 改めてそう思わされる美しさでして、仁左衛門さん@孫右衛門の姿を家屋から障子を少し開けて覗き見る様に胸を打たれました。 この演出って、私、今回初めて気がつきました。 ホントに、じ~っと見ているんですね。
孝太郎さん@梅川の「自分の為にあなたの息子をこんな目に…」という、孫右衛門に対するすまない気持ちが表情のひとつひとつにこもっています。 目隠しをして我が子と抱き合う孫右衛門の背後から、その目隠しを思い切って取ってしまう、小さな決断の際にキラリと光る強い意志の目つきが大好きでした。
仁左衛門さん@孫右衛門。 またしても何も言う事はありません。 あえて…なら花道の出の細かい演技に泣きました 歌舞伎座の外は真夏日でうだるような暑さの中、孫右衛門の出だけで一気に雪国にワープした感覚でした。
ラストの道行では子供を使っての遠見…って、必ずって訳でもナイんですね。

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