吉例顔見世大歌舞伎・昼の部【歌舞伎座】

「マー君の初舞台の日の為に!」…と“マー君貯金”をして楽しみにその日を心待ちにしていましたが…思いのほかアッという間にきてしまいました! 「時が経つのは早いわねぇ…」と、まるで親戚のおばさん状態で、マー君の成長ぶりを嬉しく、しみじみ思いながら…自分も確実にその分年を経たことは、棚に上げている私です。
11月、という事で歌舞伎座は【吉例顔見世大歌舞伎】。 正面玄関には樽が積まれ“初代・片岡千之助初舞台”という事もあっていつもより華やかな感じの印象が♪

箙の梅

“新歌舞伎=梅玉さん主演”…という図式が何故かある私。 今回もやっぱりもちろん?そうでして…梅玉さん@梶原源太景季。 上演は実に40年以上振りというこの演目は、私もちろん初見。
お話の舞台は源平争乱の時代で、偶然我が家を通りかかった鎌倉方の風流な若武者・梅玉さん@梶原源太景季に一目惚れしてしまった孝太郎さん@梅ヶ枝の悲しい恋のお話。
「一目惚れ、しかも今逢ったばかりの人の為に、今まで慈しみ育ててくれた親の忠告も聞かず命まで落とすなんて…」と、「そんなんあり?!」な、まぁ、かなり極端な行動に走るヒロインには全く共感できませんでした。 が、箙に梅の枝を差して戦う景季を見て「そんな洒落っ気のある奴は大した奴だ」と斬らずにおく、我當さん@平重衡の度量の深さの方が「洒落てるなぁ~」と思わされ、キャラクター設定が面白いお話でした。
“梅”がキーとなって物語が進行するのですが、ハラハラと本物のように散る花びらをみて「小道具さん、イイ仕事してますねぇ」と感心しきりでした。 ものすごく自然で、美しかったんだもの あの、梅の枝…毎回ひとつひとつ手作業で制作されてるんだろうなぁ…。

葛の葉

久々に生の歌舞伎の舞台を観て、涙ポロポロ…でした。 鴈治郎さん@女房葛の葉が子供と別れて森に帰り、何度も何度も家の方角を見やるところは…完璧に涙腺を刺激されて、も~うダメでした。 私、やっぱり“鴈治郎さんの”が好きです。
女房葛の葉はふっくらとした優しい母であり、妻である様子がみてとれ、家族にかける愛情の深さがひしひしと伝わってきました。 この演目の最大の見せ場である、障子に歌を書くところは、今回の童子の子役さんの可愛いあどけなさが手伝って、より悲しい感じが際立っていた印象を受けました。
翫雀さん@安倍保名は「大人の男性で、そんなに風車が似合うのは“風車の弥七”か、翫雀さんくらだわね」と思う似合いぶり?!…すみません、贔屓目です。 前半の「なんで女房殿が二人?!」と、ちょっとコミカルな笑いを誘うシーンと最後の別れで、まるで今にも走り出して女房を追いかけてしまいそうな悲痛な心の叫びの落差があって、と~っても良かったです。
個人的には久々に左團次さんを拝見できたことも嬉しかったです(@信田庄司)

積恋雪関扉

吉右衛門さんと福助さんが共演の舞台って…私自身、実はあまり観た記憶がなく、吉右衛門さん@関大伴黒主福助さん@小町桜の精が並んで立った時「あら…」となんだか不思議な感じを受けまして、かなり見入ってしまいました。
実は福助さんって、弾けるお役の時しか「上手いなぁ」と思ったことがなかったので、今回、吉衛門さんとの気と気のぶつかり合い!のような舞台を拝見し、考えを改めさせられました。 迫力、ありました~。
魁春さん@小野小町姫富十郎さん@良峯少将宗貞という豪華な配役。 しか~し、今遠征で一番気絶していた時間が長かったような気が…(故に感想の内容も薄いのであった)

松栄祝嶋台・お祭り

初代片岡千之助初舞台
初日開けてから、観劇のこの日まで…いろいろと舞台の様子は伺ってはいましたが「百聞は一見にしかず!」 も~う、あの愛らしさは文章では上手く表現できないのが歯がいいくらい、可愛かったです☆
浅黄幕が切って落とされて、仁左衛門さん@鳶頭のカッコいいスッとした踊りを観ようと、孝太郎さん@芸者の艶やかな姿を観ようとも…うわの空。 「早く千之助さんを観せてくれぇ~!」とジタバタしていたら…シャリーン☆ 揚幕が開くと花横の客席からは一斉に「うわぁ…可愛い~っ」! ピョコピョコとリズムを取るような足取りで、千之助さん@若鳶、花道からの登場です♪
客席の視線を独り占めの千之助さんですが、大変お行儀よく、しっかりとお芝居をなさってて、とっても驚きました! 何より素晴らしかったのは“笑顔のタイミング”! この演目だけに華を添える、愛之助さん@若い男との立ち廻りをしっかり決めた後に…ニコッ。 型が決まって…ニコッ。 この笑顔のタイミングが絶妙で、観客全員がノックアウトです☆ 「“可愛い”という言葉は、こ~ゆ~時に使うのが正しいんだわ!」と思ったくらい。
口上では、お爺様とお父様のご挨拶をしっかり受けて「片岡千之助です! 宜しくお願いします!」と。 「う~ん、するする、お願いされちゃいますよ~!」と、もう半パニック状態に近い心情の私。 舞台終わって、グッタリしていた自分に笑えました。
初舞台にしてあの度胸と、お客の心をグッとつかむ笑顔。 今後のご活躍が楽しみでなりません。
まーくん祝い幕
写真は萌黄色を基調とした可愛い祝幕と、歌舞伎座内に掲示してある“ご挨拶”パネル。 沢山の方が足を止めて「可愛いねぇ」と笑顔で読まれてました。

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