芸術祭十月大歌舞伎・夜の部【歌舞伎座】
仮名手本忠臣蔵 五段目・六段目
歌舞伎座での仁左衛門さん@勘平は20年振りとの事ですが…私は今年1月松竹座で拝見して間もないので、その有り難み?が、なかったのはちょっと残念? 今回改めて拝見し“東西折衷型”というような印象を漠然と受けたのですが、どうでしたか。
菊之助さん@お軽。 仁左衛門さんとの夫婦は初めてだそうですが…残念ながら、主君の大事に忍び会ったのが仇となってしまった今の境遇…というようなラブラブ夫婦ぶり(と言うのもちと違うけど)が感じられない。 綺麗だけど情が薄い感じで。 表情も声も冷たいのかなぁ? 綺麗なんだけど。
今回、改めて感じたのは“おかや”の重要性。
家橘さん@おかやは…なんと言うかちょっと元気? 悲壮感が足りない感じで与市兵衛を殺した事を疑う本人に面と向かって疑う様、その疑惑を千崎弥五郎(権十郎さん)と不破数右衛門(弥十郎さん)に切々と訴える様にはあまり心動かず、最後でいつもボロ泣きしてしまう…悲劇性が際立たない印象。
痙攣しながらも仇討ちに加われた事に喜び笑顔を浮かべながら絶命する勘平には、涙腺が緩むものの、その側ですがって泣いているおかやが“嘘泣き”しているみたいで(毒舌)残念。
余談ですが…猪。 昔の劇場舞台サイズであの走り回りっぷり、だったそうですが、現代のあの歌舞伎座サイズでは昔の2倍以上もの距離になっているそうで…お疲れさまです。 あの体勢、辛いですよね~。
髪結新三
ホトトギス、初鰹、目に青葉(=植木鉢)…で、初夏ですよ~♪と言われたところで、いつも思う事だけど、季節に合った演目で観たいよ!と諦めちゃいるが、今回ばかりはすでに肌寒い季節なだけに改めて思ってしまいました。
魚屋は錦弥さん。 鮮やかな鰹さばきに前席の外国のお客さんは大喝采でした♪
このところ世話物への挑戦が続いている幸四郎さんですが、今回は初役の新三。 ポンポンポン!と威勢のイイしゃべりっぷりと、スパッとした江戸っ子風情はいかがなものか?と興味津々で観劇に臨んだのですが…「意外とイイ!」(何様な言い方でホントすみません) セリフはクリアに聞こえて来ず、顔の表情の変化も見て取りにくいのだけど…意外とイイ! 髪結いの場面は大袈裟な手つきでその作業工程を楽しませ、小悪党な風情もキラリ☆ 市蔵さん@下剃勝奴とのやり取りも軽妙。
新三を呼びにきた丁稚?の男の子がセリフをかみながら「将来は役者になるんだい!」とで言ったら…「セリフを間違えるようじゃダメだな」と幸四郎さん@新三が返したのには客席大ウケ。 これはアドリブのようでしたが…だとしたらその機転に拍手! 幸四郎さん、面白いじゃない♪(また失礼発言)
そして弥十郎さん@家主長兵衛! この二人が絡んだ舞台…って私はあまり拝見した事がないんですが、これがまたイイ♪
大きな体をちんまりと折って、小判を一枚づつ大切そうに数える様にお金への執着振りが感じられて◎ 家主の狡猾さとそれに振り回される新三&勝奴の「???」ぶりは、どなたが演じても笑えて好きな場面だけど、このキャスティングもなかなか。
宗之助さん@おきく。 久々にデフォルト宗之助さんを観た!という感じでした~(なんじゃそりゃ!)
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