スウィーニー・トッド【北九州芸術劇場】

東京公演を観劇された方からの「面白い! 再演があったとしても市村×大竹の共演なんて何年先になるか判らないから、今公演絶対観ておくべき!」との大プッシュを受けて、北九州公演、行って参りました。
観劇を終えひと言…「勧めてくれてアリガトウ♪」
ミュージカルと言うには、曲が難しすぎて(セリフの延長的な歌多し)耳に心地良く残り、観劇後もつい口ずさんでしまう…というものでもなく、だからと言ってストレートプレイとして舞台にかけると…それもまたヘヴィ過ぎていただけナイような。 『ミュージカル=歌を堪能』という人には不満が残るでしょうが、芝居として素晴らしい娯楽作品となっていて『ミュージカルとは芝居あっての歌』なんだ…と思いました。 役者の歌唱力はもちろん必須ですが、演者としての表現力の重要さを改めて知ったと言いますか…。 今主演コンビの演技は絶賛に値するのではないでしょうか?
かなりブラックなお話ですが、どこかしら“河竹黙阿弥もの”に似た印象を受け、ヘヴィなんだけど後味が悪くナイ…とでも言いますか。 いや、悪いけど…後を引かずカラッとしている…と言いますか???
ロンドン市内の?工場の…耳を突ん裂くようなサイレンの音は、終始観る側に不安定な落ち着きかない気持ちにさせ、なんとも言いようのナイ暗い影を助長するかのような印象的な使い方。 設定は18世紀末のロンドンだけど、陰鬱とした湿気と悪臭が立ちこめているようなセットは、19世紀以降の産業革命での大気汚染のような…そんな淀んだ空気が支配しているような印象。 ここに登場する人々は活気や大陽の光からは無縁のようであり、顔色が悪すぎる~!…って、このメイクは『死者の怨念』というテーマなんだそうで。
舞台上のセットの位置を、方向を替えるだけで、次々とシーンがスムーズに転換し、観る側にその情景イメージの膨らみを持たせ…『これが宮本亜門が称される訳か?!』と感嘆(実は私“初・宮本亜門”)
しのぶ@ミセス・ラヴェット市村正親さん@スウィーニー・トッド 理不尽な理由で、幸せな家庭を引き裂かれた上、15年間の流刑。 復讐の鬼と化した男の怒りと悲しみを静かに、そしてある時は爆発させ…それでもお笑いも忘れずに、という緩急自在とでも言うのでしょうか? 歌で、というよりは“演者”としての市村さんに感動
大竹しのぶさん@ミセス・ラヴェット ご覧になった方誰もが「大竹しのぶ、ってスゴイ役者なんだ!」と思ったはず! 私“初・生・大竹しのぶ”だったのですが「こういう人の事を役者と言うんだ」と感嘆しきり。 ガサツで、品がなく、貪欲で残忍…なのに、なんであんなにキュートなんですか~??? しまいには、あっけらかんとした逞しい生命力を持った魅力的な女性として観客の心をガッチリと捉えてしまいました。 歌は思ったよりは…でしたが、そんな事よりとにかく演技が~、役者ぶりが~凄いです、この人!
ソニン@ジョアンナ
ソニンさん@ジョアンナ 評判は聞いていましたが…「驚いた!」 高すぎる声と独特の歌い方でセリフとしては聞き取りにくいものの、上手いです。
この歌唱法は『ジョアンナ=籠の中の鳥=小鳥のさえずり』みたいな、世間から隔離された不安定な精神状態を意図している…んですよね?多分。 ちょっと…なつメロ【月がとっても青いから】の菅原都々子さんを連想しちゃいました~冷や汗 ですから、彼女の普通の歌い方?を是非聴いてみたい!と…今後、他のミュージカル作品へのご出演が楽しみになる好演でした。
あとは…
武田真治さん@トバイアスは、そのキャラクターを的確に表現! 城田優さん@アンソニーは、登場人物の中で唯一“正常値”にあり、かえって難しい役所だったかと。 立川三貴さん@ターピンの鞭での自虐は【ダヴィンチ・コード】のシラスを連想させて、マジ恐かった~。 キムラ緑子さん@乞食女の、実は…に「ハッ!」と胸を鷲掴みにされました。  斉藤暁さん@ビードルの眉がツボでした!

鉛筆今年12月全米公開予定で只今撮影中の映画【スウィーニー・トッド】! またしてもティム・バートン監督×ジョニー・デップ主演の強力タッグとあらば、面白くない訳がナイですし…今舞台と見比べて観るのが今からすっごく楽しみ♪
そう言えば…大竹しのぶさん@ラヴェット夫人を観ながら「ヘレナ・ボナム=カーターみたいな髪型だなぁ(@ジェームス・アイボリー監督一連の作品)」と思っていたら…映画では、なんと!そのヘレナがミセス・ラヴェットを演じるそうで☆ うっふっふ~♪

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