七月大歌舞伎・昼の部【松竹座】

昨年の11月、南座の顔見世からスタートして各地を巡っていた襲名披露公演がよ~やく地元、大阪・道頓堀の松竹座に戻ってきました!
初世坂田藤十郎がこの地で和事芸を、上方歌舞伎を創始。 231年振りに“平成の坂田藤十郎”として復活し、この度のお披露目であります。
上方歌舞伎不遇の時代の間もずっと応援をされてきた地元ファンにとっては喜びはひとしおだった事でしょうね。

輝虎配膳

昨年、六月歌舞伎座にて『歌舞伎座では33年振りの上演』という事で、滅多に上演の機会はナイんだなぁ…と私、有り難く初観劇の演目だったのですが、こんなにすぐまた観れるとは~!
【歌舞伎の三婆】のひとつといわれる越路は竹三郎さん。 前回拝見した時は秀太郎さんでしたが、今回は言葉が不自由ながら琴を弾いて母(越路)を助けるお勝を健気に。「越路を演じられる役者さんが二人も同じ板で…」と、なんだか贅沢な気分。
竹三郎さん@越路は、凛とした強さ…よりは、心の葛藤の部分が強く伝わってきた印象であり、それを助ける秀太郎さん@お勝の琴の音はちょっと泣いているように感じました。
楽しみにしていた我當さん@輝虎の“たけのこ脱ぎ(?)”は、残念ながらありませんでした。「も~う、メチャメチャ怒ったゾ!」という様と、彼の癇癪具合が伝わるし…なにしろ笑えるので、あの上着を何枚も次々と脱ぐ演出はあってほしかったなぁ。 上方はしない演出なのかしら?
進之介さん@直江山城守。 なんだか台詞の間?抑揚?が不思議で違和感が~。

連獅子

今遠征で何が楽しみって、コレです、コレ! この親子の連獅子です! 過去にも何度か演じられているんですが、観劇の機会に恵まれず今回がお初の私。 幕見を含めて2回拝見。
お囃子連中の皆さんの裃の家紋がズラリと“寒雀”だったのに嬉しくて涙。
「壱くん、なんてまぁ…立派になって…」と親戚のおばちゃん状態で終始ウルウル。
谷底に仔獅子を突き落とした時の翫雀さん@親獅子の心配そうな表情には胸が痛くなり、水面に映る親獅子の顔を見て喜びいさんで谷を駆け上がってくる壱太郎くん@仔獅子の愛らしさと躍動感は、他の役者さんで何度も観ているというのにボロボロ泣いてしまいました。
ご贔屓のお家の“親子連獅子”とは、こうも感動するものか!と驚き、自分のハイテンションぶりにも驚き…観劇後の脱力感はスゴイものが~。
今回の間狂言はいつもの“宗論”ではなく、狂言の【蟹山伏】を元にした“修験者”。 昭和43年以来の上演だそうで、私はもちろん初見。 翫雀さん曰く「今後もこの形で」との事。
あらすじは…
清涼山の麓の村に獅子が出て、田畑を踏み荒らして村人たちが困っていました。
そこでこれを修験者に合力をもって獅子を封じ込めてもらいたいと村娘たちが探していたところ、酒に酔ったなんとも頼りない修験者に遭遇。 そこで彼にお願いするのだが
…というもの。
連獅子に村娘(鴈乃助さん&扇乃丞さん)…と女性(ホントは男だけど)がこの演目に絡むのがなんとも不思議な印象で新鮮。 また愛之助さん@修験者の「いろはにほへと~」と胡散臭い祈祷ぶりも笑えます。
牡丹の花に戯れ遊ぶ親子獅子の様は微笑ましく、毛振りのそれぞれのタイミングを知らせる翫雀さんのドン!という足音は迫力満点(ちと恐い)。
まだ同じリズムで揃っての毛振り…とはいきませんが、気がノッていました!
「翫雀さんって、カッコイイのね」って、言った友に告ぐ。 何を今更~「知らんかったと?カッコイイとよ!」

口上

壱くんが並んでます! それだけでジ~ンときていたら…「あれ?扇雀さんは?」と今更、気がついた私。
お父様の悲願の坂田藤十郎襲名。 その披露公演をこの道頓堀で!…なのに居ない(勘三郎襲名披露巡業へ) ちょ~っと…あの~、その~、かなり複雑な心境でありました。

夏祭浪花鑑

まさにこの季節、この地でのお話を、藤十郎さん@団七九郎兵衛を初役で!というなんとも嬉しい趣向。 襲名披露で初役って…ここ最近の襲名で他の方でされた方、いらっしゃいましたっけ?
今年5月新橋演舞場で観た時に、大詰の「わっしょい、わっしょい」に激しく違和感を感じて、不完全燃焼だったので、早く上書きした所にきて“上方”にこだわった演出と聞けば期待も高まっての観劇。
今回は原作を尊重して序幕は“春”。 皆さん着物も袷で、美術ものどか~な、うららかな陽気が漂っている感じで目に新鮮。
ひと言「藤十郎さん、若い」 団七って、結構ジャンプするところがあるけれ無問題。 片足立ちでも軸がブレる事なく綺麗に型が決まって…“一生青春”です。 団七って“スッキリしたイイ男”なイメージですが、藤十郎さんは…なんでしょう?やっぱり“こってり一途”でしょうか。
仁左衛門さん@一寸徳兵衛とお揃いの色違いの格子の浴衣、お揃いの柄の扇子での2ショットは、それだけでジーンとするものがありました。
そして今回はなんと段四郎さん@三河屋義平次! “鶏ガラのようにヤセて垢まみれ”という義平次の風貌は、更におヤセになっている印象の段四郎さんに違和感がなかったのには驚き。敵役では数多く拝見しているものの、このようなタイプのお役では初めての拝見だったので。
「悪い人でも舅は親。 親爺どん、許してくだんせや~」と絞り出すように叫ぶ声と「チョイヤサァ~、チョイヤサァ~」という群衆の声のトーンの落差に、団七と一緒にハッとさせられました。
竹三郎@おつぎの、菊五郎さん@お辰に対するライバル心がメラメラと~可愛かったです。

団七&徳兵衛

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