二月大歌舞伎・昼の部【博多座】

三津五郎襲名披露公演ラスト! 『21世紀最初の襲名披露公演』と銘打って全国をまわってきた 公演も大劇場ではこの博多座が最後の公演となりました。 昨年よりPRの為に何度も来福されていた三津五郎さんの意気込みに 応えて、博多座周辺は町あげてのお祝ムード♪ 私個人としては“翫雀さんご贔屓一周年公演”で…またしても 通ってしまいました~。

神霊矢口渡

“時蔵さんオンステージ”と言わせていただきましょう!
『かわいい時蔵さん』『色っぽい時蔵さん』『激しい時蔵さん』…お話が進むにつれ、その感情の移り変わりを見事に演じ分けグイグイと舞台に引込まれました! 私自身はこの演目を観るのは今回が初めてでしたが「お舟ちゃんを演じるのは時蔵さんしかいない!」と思ってしまうほど心打たれました! ひと目ボレでうっとりする様がコミカルで笑いを誘う分、後半の愛する人を守る為の命をかけた真剣な立廻りは「頑張って!頑張って!」とせつなさに胸が痛くなり、その激しさに圧倒されました。 我當さん@頓兵衛は、娘の命もお構いなしの強欲さの所作がコミカルで愛らしくさえありました。 壁を切り崩して家に入る…という大胆な行動に出たかと思えば、埃やススを草で払う…などの細かい演出には感心しました!  我當さんのコロッとした体型と(失礼!)チョコチョコっと歩く様、子供のように悔しがる様はハマってました♪ 弥十郎さん@六蔵の“おちゃっぴい”ぶりは、体躯がイイだけにより“まぬ け”ぶりが際立っていたように思えました(失礼?!)
時蔵(娘お舟)/我當(渡し守頓兵衛)/秀調(新田義峯)/上村吉弥(傾城うてな)/弥十郎(下男六蔵)

吉野山

鴈治郎さん@静御前は花道の出で振り向くと…大きな拍手! さすがの圧倒的な存在感なのですが、その表情はとても初々しくて可愛いらしく驚かされました! 初音の鼓の音を聞いてスッポンより三津五郎さん@忠信が登場し「待ってました!」の大喝采! キビキビとした小気味いい踊りが観ていて心地よかったです♪ 二人で“男雛&女雛”の型をキメると大きな拍手が起こりました。 そして…私のお待ちかね!翫雀さん@早見藤太の登場! 花四天を従えながらもオトボケな愛すべきキャラは「これぞ翫雀さん!」って感じのハマりよう♪
見事な桜が咲き誇る吉野山のセット、清元の鮮やかな緑の裃、義太夫の桜裃。 目にも耳にも本当に華やかな美しい舞踏で、何度観ても新鮮な感動があり大好きな舞踏です。
三津五郎 (佐藤忠信実は源九郎狐)/鴈治郎(静御前)/翫雀(早見藤太)

人情噺文七元結

さすがにこの演目での名コンビ、菊五郎さん@長兵衛田之助さん@お兼の夫婦ぶりは実に絶妙! 大いに笑わせてもらいました♪ 時蔵さん@角海老女房お駒は心の広いキップのいい姉さんを貫禄充分に(^o^)v 辰之助さん@文七は回を重ねる度に「あなぁたぁ~」「なぁ~に、よろしいんでございますよ」のコミカル度が増してすごく面 白く、売上金を取られて身投げしようと気が動転している男の様がよく伝わってきました。 松太郎さん@家主の仕切りぶり、團蔵さん@ 角海老手代藤助の「あなた怒っちゃイヤですよ」の好演が印象に残りました♪ 終演後、観客が「あ~、面白かったネ」「笑った、笑った」って口々に感想をべながら劇場を後にする光景が多くみられました(^o^)v
菊五郎(左官長兵衛)/田之助(女房お兼)/團蔵(角海老手代藤助)/時蔵(角海老女房お駒)/松也(長兵衛娘お久)/辰之助(和泉屋手代文七)/彦三郎(和泉屋清兵衛)/三津五郎(鳶頭伊兵衛)/松太郎(家主甚八)

二月博多座大歌舞伎・夜の部【博多座】

十五代目片岡仁左衛門襲名披露! 初日を迎える前の1/30に、仁左衛門丈ご一行様が博多座の すぐ目の前にある 博多川端商店街を“お練り”。 その後、博多っ子の総鎮守“櫛田神社”にて「公演成功祈願」の為、 参拝されました♪  残念ながら私は行けませんでしたが、 そりゃもうスゴイ人・人・人だったそうです。 人力車に乗った仁左衛門丈が商店街を駆け抜けると…おばさま方の 「キャ~ッ」という黄色い歓声が! ウチの母親もそのひとり。 しっかり手ぬ ぐいをGETしてました…。

彦山権現誓助劒 毛谷村

おぉ“彦山”だ! またまた九州が舞台の演目だ♪
女ながらに武道の達人、お園さん。 敵だと思って切り掛かった相手は…なんと許嫁の六助さんだった~、というお話。
とにかく六助さんが許嫁と分かってからのお園さんの豹変振りが笑えます。 臼なんて片手でヒョイヒョイと動かせちゃう怪力のお園さんのいじらしい乙女心と行動が爆笑です。
芝翫さんのコミカルな演技って初めて観たので感動しました!
富十郎(毛谷村六助)/橋之助 (微塵弾正実は京極内匠)/ 芝翫(お園)

十五代目片岡仁左衛門襲名披露 口上

ずら~りと一列に並んでの姿は圧巻! 硬い挨拶が続くのかと思いきや「お兄さんからは酒で随分鍛えていただきまして…」と仁左衛門さんが苦笑いする口上も続出。 あれ…頭巾を被るのは…女形の方って事ですか? ちょっと疑問。
片岡孝夫改め片岡仁左衛門/幹部出演

封印切

恋仲の遊女の身請けの為と恋敵に対する見栄の為に預かっていたお金に手を付けてしまい、心中の道を選んでしまう…という、あれよあれよと不幸な方に転がってゆくお話。
忠兵衛さんの気の弱そうなヤサ男ぶりがハラリと落ちた前髪に現れてナイスです! 仁左衛門さんの舞台を観るのは初めてだったんだけど、あーゆー線の細いヤサ男を演じたら天下一ではないでしょうか?! 場の勢いから思わず小判の封印を切ってしまって、小判をハラハラと落とす名場面 では拍手喝采でした♪ そんなに意地を張らなくてもねぇ…。
仁左衛門(亀屋忠兵衛)/秀太郎(傾城梅川) /我當(丹波屋八右衛門)/宗十郎(井筒屋おえん) /富十郎(槌屋治右衛門)

三人形

「浅葱の幕が切って落とされる」という手法を初めて観ました! 一瞬にして美しい絵巻模様のような舞台に引込まれてしまいます♪ 奴ってもっと体格のごっつい人がするイメージがあったので、八十助(当時)さんがされるとは意外でした。 でも、まるでフラメンコか?!と思わせる軽快なステップを踏むには、重量 がある人だと辛いのかも…ですね。
演題通り、三人は“人形”のように綺麗で、特に孝太郎さんの傾城は、まばゆいほどでした♪
八十助(奴)/孝太郎(傾城)/橋之助(若衆)

そして…残念ながら【昼の部】は観劇叶わず。 演目は一【宮島のだんまり】/二【馬盗人】/三【寺小屋】/四【桜門五三桐】。 後に馬盗人のキュートな翫雀さんを見逃したと知り、大いに地団駄踏んだのでした!