六月博多座大歌舞伎・昼の部【博多座】

今日は学生さんの団体さんが凄く多くて、館内がワッサワッサ! スケジュール的には昼の部の観劇になっちゃうんだろうけど、初めての歌舞伎観劇だとしたら、ちょっと長過ぎる〜と思う、昼の狂言立て。 学生にはイヤホンガイドを強制的に貸し出して観劇してもらったら、もう少し舞台を楽しめると思うんだけど…(見える範囲の学生さん、結構爆数!) 700円の出費で、保護者が出してくれた高いチケット代もより有意義になるかと〜。 今、テレビアニメ【カブキブ!】の放映中で、劇中に【車引】や【藤娘】はチラッと出てくるから、そこから興味を持って観劇に臨んでいる生徒さんも居るかも♪

あと、前回観劇時に口上の襖絵(ってか背景画)に感動して、作者の作品紹介パネルが展示している旨をスタッフさんに教えてもらうも、場所が判らず帰宅…で、本日発見! 館内レストラン【花幸】の入口に、昨年の歌舞伎座の襖絵が紹介されているコーナー?あり。 レストラン利用者にしか分からないのはもったいないと思うのだけど…。 “日本画家・朝倉隆文”さん、これから作品を追っていきたい画家の一人に♪

車引

残念ながら休演の獅童さんの代役で、夜の部の【連獅子】に続いてこの演目も親子共演! 歌之助さん@杉王丸は変声期で、声が安定せずで、本人はすごく頑張っているのにちょっと気の毒。 体格もすごく細いので祈るような気持ちで観てしまう〜。 福之助さん@桜丸が声がとてもイイ! 歌舞伎らしい…というと語弊があるかもだけど、節回しとか抑揚とか、すごく耳に心地良い☆ 所作は橋之助さん@梅王丸が丁寧。 いつも思うけど、登場からず〜っと正座している牛車の脚役の方、いきなりたってスタスタ…ってよく歩けるなぁ、と感心(ソコ?!) 獅童さんの代役で芝翫さん@松王丸

藤娘

菊之助さん@藤の精。 気が付けば…ものすごく久し振りに藤娘を鑑賞。 前段で散々、学生団体にイヤホンガイドを薦めておきながら、借りていない私。 藤娘ばかりは「借りときゃ良かった!」と後悔〜。 所作、表情ひとつひとつ凄く丁寧な印象で魅入られ“躍ってる”というより“歌ってる”というような印象を受けました! 以前は「キレイ!可愛い!可憐!」って印象が個人的には強かった菊之助さんの舞踏、妖艶さというか…艶っぽさが加わった!

毛谷村

英彦山…って事でちょっと親しみを感じる演目。 菊五郎さん@毛谷村六助×時蔵さん@お園と、嬉しく豪華な配役ながら、襲名披露公演にあって地味目な感は否めない〜。 團蔵さん@杣斧右衛門の登場に「あれ?團蔵さんに似てるけど…誰?」 …って、夜の部へのご出演がなかったから、今公演のご出演を知らずにビックリ! 安定の東蔵さん@お幸権十郎さん@微塵弾正実は京極内匠渋い豪華配役☆ お園に小脇にかかえられてブンブン振り回される弥三松くん、しばらく頭が下になって抱えられていた時間があって、黒衣の補助があってもハラハラしたけど、そこは役者! じっとしながら、解放されてフラフラする演技が本物で多いに客席の笑いを誘ってた!

河内山

すみません! 苦手演目のひとつ…だけど、ココまで長く感じた【河内山】もなかったかも〜。 【毛谷村】〜【河内山】って、観劇体力の消費ハンパない!
癇癪持ちの殿様を演じたら天下一品☆と、勝手に思っている梅玉さん@松江出雲守に、スッキリとした福之助さん@近習頭宮崎数馬は職務に燃えるフレッシュマン、って感じ。 歌之助さん@腰元浪路は見た目、なんとも可憐で初々しい腰元だけど、変声期の声がなんとも気の毒で女形の声を作ることが出来ず残念! 声が安定したら是非また拝見してみたい! 橘太郎さん@番頭伝右衛門は安定のラブリー番頭さん♪ 鴈治郎さん@高木小左衛門で、スッキリとしたお侍の役所は久々拝見したような? そして芝翫さん@河内山宗俊は…う〜ん。 襲名披露公演としては、もっと他のお役で拝見したいものがあったのになぁ(個人的には!)。

六月博多座大歌舞伎・夜の部【博多座】

八代目・芝翫、四代目・橋之助、三代目・福之助 、四代目・歌之助と親子4人での襲名披露という大変おめでたい公演! 昨秋からスタートした襲名披露興行は東京、大阪に続いての博多座公演。 かつては博多座は一番最後に周ってくるって感じだったけど、近年はわりと早めになっているような? 初日に鏡開きが行われたのは、博多座ではちょっと珍しいかも。
開幕直前に、残念ながら獅童さんの休演が発表となったものの、なかなかお目にかからない配役となり、私的には思わぬ楽しみもあり。

そして本日は【着物の日】。 いつも以上に開場直後、ロビーにおけるお弁当購入の混雑ぶりが激しく、モッシュ状態。 あれ、どうにか列を整備出来ないかな? 並んでても、いつも横入りされて購入の度に不快な思いをする〜。そして今回、そのモッシュをやっと抜けてフラフラしていたら和小物販売の主人に「ちょっと貴女!」とバックヤードに後ろ向きに拉致られ…帯を直された。いや、直していただいた! モッシュで引っ張られて帯のタレが落ちてしまっていたの事に全く気が付いていなかった! 恥ずかしい…そして本当に有難うございました!ご主人。 私、手先を取り過ぎ?! 気付けば帯締めもポロリとなっていて、すれ違いざまのご婦人から無言のジェスチャーで指摘された。 いやいや、油断ならんな! 着物好きの集いに参加するのは!

輝虎配膳

THE時代物。 気位が高くて癇癪持ち的なお武家様を演ったらピカイチと勝手に思っている梅玉さん@長尾輝虎。そして老女方の難役“三婆”のひとつ魁春さん@越路。魁春さんの演じるお役っていつも感情の起伏が解りにくい印象だけど、こちらはいつも以上に含みもあって更に難解な印象。 菊之助さん@お勝は吃音なので、琴を演奏し、輝虎の怒りを鎮めようと試みるのは、その必死さがすごく伝わってくる好演。片手で弾きながら、片手で押しとどめて…器用だな! 歌舞伎の演目には、吃音や“持病の癪が…”って、わりとよく出てきますよね? 児太郎さん@唐衣は可憐(最後まであの女方さん誰?と気が付かなかった!) 獅童さんの代役で、鴈治郎さん@直江山城守。そして…何故これを襲名披露公演でかけたのか?ナゾ。

口上

下手より、梅花梅玉魁春児太郎歌之助福之助橋之助芝翫藤十郎時蔵鴈治郎菊之助東蔵菊五郎。 背景絵は朝倉隆文さんによるクールな日本画(風神雷神?)と両袖には成駒屋グリーンに巨大な白ヌキの成駒屋紋が抜いてあり、今までに見た事ないスタイリッシュな美術! イヤホンガイドも筋書きも手にしていないので、この背景になった背景(ややこしい!)は解らず…だったのですが、オシャレ!カッコイイ!素敵☆ 居並ぶ手前の役者衆よりも目が釘付けになってしまった! 朝倉氏の絵は劇場毎に違うそうで、ぜひとも全部観てみたかった! 図録みたいなの出ないかしら? 口上で印象に残ったのは児太郎さん。 現在も元気にリハビリに励んでいる父・福助さんのエピソードを披露し、ウルッときてしまった。 本来ならば7代目歌右衛門襲名披露公演が先に行われていたでしょうし…。 福助さんはリップサービスでなく本当に博多座がお好きで、特に印象に残っているのは2004年2月公演【お染の七役】。 この際に【KABUKI NIGHT】にて、俳優祭や中村座よろしく拵えの役者さんにロビーや客席で接する機会を設けてくれて、常に「歌舞伎に馴染みの薄い九州のお客様にどうやって楽しんでいただけるか?」を模索されていた様がすごく嬉しく有り難かった! 児太郎さん、近況有難う。下手に一人控えし梅花さん。巨大紋が衝立屏風みたいで絵的にカッコイイ。 魁春さん、目の化粧、赤過ぎね?

祝勢揃壽連獅子

芝翫さん@狂言師後に親獅子の精に、橋之助さん+福之助さん+歌之助さん@狂言師後に仔獅子の精。 改めて豪華です! そして成駒屋さん、ホントに嬉しいだろうなぁ…(重責ですが)と、しみじみ。 三兄弟仔獅子、出の花道七三で止まってすぐの高速バック引っ込みの際、ちょっと前屈みになって右肩に後ろ毛をひっかけて引っ込むのは初めて観た!事故防止の為? 過去にも複数仔獅子の場合やってたのかな? 三人を鳥屋口で受け止めてストップさせるのって、どうやってんだろう? 私、間狂言の配役を把握していなかったので、松江さん@萬年坊VS亀鶴さん@長楽坊のひと段落で親子獅子を待っていたら、花道から時蔵さん@慶雲阿闍梨+梅玉さん@昌光上人。 ん?んんん?と、舞台に目を移すと藤十郎さん@文殊菩薩が舞台中央からババーンとセリ上がってきたではありませんか!(久々にお出ましになった天照大神みたい) ご、豪華〜☆ 勝手に藤十郎さんは口上のみのご出演と思っていたので、ビックリ嬉しい♪ 毛振りは意外にも歌之助さんが安定していた印象。 梅玉さん、目の化粧、変。

幸助餅

大好きなこの演目が博多座でかかるなんて!「ありがとう!そして、ありがとう!」 獅童さん休演により、亀鶴さん@関取雷五良吉、橘太郎さん@女房おきみという配役で私的には「ありがとう!そして、ありがとう!」 鴈治郎さん@大黒屋幸助×橘太郎さん@女房おきみ、観る前から分ってたけど、やっぱりコロコロ福々な夫婦でめっちゃ可愛い!たまらんっ! 二人のイチャイチャに割って入る児太郎さん@妹お袖と一緒に後ろから「ばぁ!」ってしてみたい!
解りやすいお話に客席の反応も大変良く、幸助さんが贔屓の関取について語る様がヒートアップすると生温かい笑いが起こり、うっかりお金を渡してしまうと「あっらぁ〜あなた…しょんなかねぇ(←仕方がないね)」という大きなため息が(爆!)亀鶴さん@関取雷五良吉、元々声が太くて低くてイイ方なので、無理に潰した感じでなくても十分貫禄のある関取の声。そして存外、拵えも大きく作ってあって周りとの身長差が素晴らしく出ていてデッケェ!立派!亀鶴さんって痩せている印象だったのでビックリ(実際ちょっと太りましたよね?) 魁春さん@三ツ扇屋女将お柳は珍しく(失礼!)気持ちが表情に出て、情に厚い女将で良かった♪

二月花形歌舞伎・夜の部【博多座】

雪之丞変化

珍しく千穐楽観劇! 公演半ばで観劇すると通ってしまう危うさも感じて、先月の遠征で懐が寒い今、あえての千穐楽で!
でもって「あれ?私【雪之丞変化】って初めて観るんだっけ?」というなんともおトボケな感想。 なんかもう昔の資料映像やら写真やら、やたらと目にしていたので澤瀉屋の【雪之丞変化】、観た気になってました! 失礼!

昼の部共に録音の効果音やBGMも使用。 宙乗りあり、古典歌舞伎の劇中劇ありというのは今、雪之丞作品における猿之助さんの趣向との事。 筋交いの宙乗りは凧からの〜傘で、花道七三からの〜鳥屋口かと思いきや、七三戻り…と予想を裏切り、猿之助さんは@中村雪之丞×闇太郎の二役を行ったり来たりの早変わりで目まぐるしい! 日頃から兼ねている役者さんって、その違いがハッキリ出てより楽しい!

米吉さん@軽業のお初がすっごくイイ! これまで楚々とした姫や可愛い娘役でしか拝見した事がなかったので、すっごく新鮮! ムチッと丸っこい体型も色っぽさがあり、どことな〜く容姿が似ている弘太郎さん@むく犬の源次との掛け合いも楽しく、蓮っ葉な物言いやあっけらかんとした様子、喧嘩っぱやい姉御肌の様子が素晴らしくハマって好演!
ずっと澤瀉屋を応援してきた身にとって、月乃助さんや春猿さんが新派へ、右團次さんが髙嶋屋に…と寂しい思いが続いてたけど、久々に「この役者さんの舞台、ずっと追ってみたい!」という役者さんを発見!そんな感じ。 いや〜、前々から可愛いとは思ってたけど、それだけじゃないっていうね、声もイイし。 楽しみが増えた!

で、驚いたのは男女蔵さん@土部駿河守後に土部三斎。 今までここまでの大きな敵役で拝見した事がなかったからか?は「左團次さんに声がソックリ!」で驚いた。 梅丸さん@三斎娘浪路、ひたすら可憐♪ 平岳大さん@孤軒先生は「ん?この演目は出演なし?」と思った頃に登場。 先生のいろいろな実験で、切口上で出てきた“爺さん”は若者だったらしい、との事で客席が湧いた。

二月花形歌舞伎・昼の部【博多座】

男の花道

私、藤十郎さんでしか拝見した事がなかったので「上方歌舞伎の看板役者の役を猿之助さんが?」という違和感が強かったけど、2010年5月の名古屋・御園座で初演して以来、ここ数回はずっと猿之助さんが演じているようですね。 竹三郎さん@加賀屋東蔵がお一人で“上方の空気”を作っていらっしゃった…という印象。 やはりお話は素晴らしい作品のなので、私、案の定ガーガー泣いてしまった! 劇中劇的な趣向は劇場全体の客席を使って工夫されていて面白かった。

猿之助さん@加賀屋歌右衛門。 何を演じてもソツなく上手いので何も不満はないけど、藤十郎さんがねっとりし過ぎている分、ドライな印象。 特に舞台の途中で玄碩先生の危急を知らさせる下りはもっとた〜ぷりと演じて欲しかったなぁ。 わりとアッサリ手紙を手に取るんだなぁ。 しかしドライに感じる分“男の友情”というのは際立った感あり(ねっとり藤十郎さんはちょっとBL風味も感じた)

平岳大さん@土生玄碩は、頭の固い融通の利かない無骨なキャラを好演…だけど、歌舞伎か?と言われれば“時代劇のお芝居”という印象。 過去に観た玄碩先生は、いずれも“ちんまり丸い野太い”方が演じられていたので、スマートな玄碩先生は新鮮。 歌右衛門とがっちり交わす握手には“二人の絆・友情”が感じられ、【ワンピース】がオーバーラップ☆ しかし…あえて平さんである意味は見受けられなかった印象

艶姿澤瀉祭

ここは博多新劇座か?!」と思った! 宝塚的なレビューショーをしてみたかったのね…とは思ったものの、“ザ・大衆演劇劇”歌と踊りのレビューショーって感じ。 博多券番風情で居並ぶ笑三郎・梅丸・米吉・笑也に、かつては“澤瀉三姉妹”とその美しさを評されていた二人に『熟々女に可憐な芸者が挟まれてる!』と月日の残酷さを思ったり〜。 そして平岳大さんのフラメンコは「これ、いろいろと拷問やろ」と手に汗握って見入ってしまった! バラを加えてフラメンコを踊って…客席に投げるとか!(バラの着物で) 公演前のインタビューで平さん「猿之助さんはいろいろと試練を与えてくださる」。 …って、過酷すぎるだろ、猿之助さんよぅ!

新春浅草歌舞伎・昼の部【浅草公会堂】

なんと!私【新春浅草歌舞伎】、初めての観劇。 1月にお江戸遠征は何度もしてるけど、いろいろなタイミングが合わず毎年見合わせ〜、今遠征でやっと壱くんが出演の昼の部のみ観劇。 浅草公会堂内に足を踏み入れるのも初だったけど、とっても観やすいですね♪(三階席だったので階段が思いのほか大変でビックリ!) 女性スタッフさんは着物姿で素敵☆華やか♪(ご本人たちはいろいろと大変でしょうけど) 「せっかくお正月に浅草に来たんだから♪」と観劇後、空港に向かう前にコロコロ引いて立ち寄ったら…考えが甘かった! もの凄い人で本殿に行き着けず断念!残念!

観劇前に劇場外で今公演ポスターや招きを見て、私が歌舞伎を観始めた当時とは出演メンバーがガラリと入れ替わっている事にしみじみ「若い…」

お年玉の【年始ご挨拶】、本日は梅丸さん。 5年連続の浅草歌舞伎出演という事だけど、若い!可愛い!綺麗!五月人形みたい! それもそのはず、今月9日の成人式の新成人だそうで♪ しばらくは女形で拝見したい愛らしさ☆ これからがホント楽しみ!

傾城反魂香

壱太郎さん@又平女房おとくは猿之助さんに教わったそうで、安心して観ていられる女房ぶり。夫をサポートするしっかり妻、というよりも可愛らしさが際立った印象。
巳之助さん@浮世又平後に土佐又平光起は“悲壮感漂う又平”。 観ていて重過ぎて辛かった。 「 かか。ぬ、抜けた!」からの打って変わってのハッピーエンドへの流れを持ってしても、観劇後に「良かったねぇ」というカラリとした心持ちにはならず。巳之助さん、硬派な印象が強いからかなぁ?
梅丸さん@土佐修理之助は、又平との対比が見た目もキビキビとした動きや話し振りも鮮やかでキャラクターが際立った印象。大谷桂三さん@土佐将監光信がビックリするほどセリフが棒で聴き取り辛い。

吉野山

松也さん@佐藤忠信実は源九郎狐は初役とのこと。 狐の所作は大振りな印象で“子狐”っぽさはナイ。 壱太郎さん@静御前との“女雛男雛”は絵になる☆「ご両人!」
巳之助さん@早見藤太は踊りはさすがに達者なもののコミカルさにやや欠ける印象。 やっぱ硬派な印象が強いからか?…というのは私だけかも、なのでスミマセン! 初春に相応しい舞台を満喫♪