御名残三月大歌舞伎・一部【歌舞伎座】

遠征二日目の本日は第一部を観劇。 コート不要の陽気で「暑い!」。 歌舞伎座館内は軽く冷房が入ってましたが、立見も出るほどのぎゅうぎゅうな幕見席は「蒸す」感じだったのでは?!
当初、さよなら公演記念品として“歌舞伎座記念切手シート”を買う気マンマンだったのですが…ふと冷静になって「切手シートって…買ってどうするよ?」と思い、迷いに迷って“ザ歌舞伎座”な手ぬぐいを購入。
大好きな“おめで鯛焼き”は連日賞味で食べ納め。 工事で閉館中はどこぞで営業しないのかしら? 大好きなんです、コレ。

加茂堤

何故かしら観る度に梅玉さん@桜丸×時蔵さん@八重の夫婦です。 いやこのご夫婦の組み合わせ、すっごく好きなんで嬉しいんですけど。
友右衛門さん@斎世親王×孝太郎さん@苅屋姫カップルを微笑ましく、しかもイライラとジレて「たまらん、たまらん!」と夫婦して熱に当てられて浮かれる様が毎度笑えます。 ラスト、時蔵さん@八重が牛車の牛を懸命に引っぱる様には牛とのかけあいに毎度ニッコリ♪
秀調さん@三善清行の道化ぶりも笑えるだけに、この後に起こる悲劇への落差が大きく、改めてより残酷に思えました

楼門五三桐

吉右衛門さん@石川五右衛門です! でっけぇ~! 圧倒的な存在感で、もうそこに鎮座しているだけで満足♪
歌六さん@右忠太×歌昇さん@左忠太の兄弟でチラッと出演の捕り手を…だなんて、なんて贅沢☆ 菊五郎さん@真柴久吉

女 暫

2007年の團菊祭で萬次郎さん@巴御前での観て以来の観劇。 あまりかからない演目なうえ、玉三郎さん@巴御前という事でものすっごく楽しみに観劇。 三階席からの観劇だったので、残念ながらせっかくの花道での楽しいいろいろが全く観えませんでしたが、そこは脳内変換で補う私
板の上はそれはそれは豪華で~♪ 個人的には松緑さん@轟坊震斎×菊之助さん@女鯰若菜が嬉しい。 そして個人的なサプライズは寿猿さん@根井行親! 寿猿さんがまさかこの座組に御出演とは思いもよらなかったので「ん?寿猿さんに似てるけど…?寿猿さん?!」な驚きと嬉しさがありました。
玉三郎さん@巴御前のツラネは耳に心地良い♪ 今月は覚寿を先に拝見していたので、その艶やかさも一層際立って見えました。
吉右衛門さん@舞台番辰次です! 引かれた幕内からススッと進み出るとドヨッと客席が揺れました。 六方の踏み方を戸惑いながらも習って披露し…恥ずかしがっての引っ込み。 豪華で楽しい、楽しかった♪
それでは現歌舞伎座よ、私はこれにておさらばでございます~

御名残三月大歌舞伎・三部【歌舞伎座】

菅原伝授手習鑑・道明寺

十三代目・片岡仁左衛門十七回忌】+【十四代目・守田勘弥三十七回忌】の追善狂言という事での上演。 故に玉三郎さん@覚寿という配役にテンション↑ そして仁左衛門さん@菅丞相、秀太郎さん@立田の前、我當さん@判官代輝国と兄弟そろい踏み+孝太郎さん@苅屋姫=松嶋屋ぷちオールスターズ☆
丞相と苅屋姫の親子対面をさせたいと様々に立ち回る秀太郎さん@立田の前の必死の様や、申し訳なさから流罪の原因となった娘・苅屋姫を折檻する玉三郎さん@覚寿。 どちらの気持ちもすごく良く解るだけに悲しくなってくる…と同時に、結果的には「軽卒だった」と批判される苅屋姫の恋にも同情してしまう。
苅屋姫、そして彼女を庇う立田の前と二人の娘を涙ながらに杖で打ち付ける覚寿。 悔しさと申し訳なさと…まるで自身を打ち付けているかのような苦悶の表情と絞り出す声には惹き付けられました。 玉三郎さんの老け役って最近よく拝見するようになりましたが、覚寿の気品と風格はさすがだなぁ~と。
丞相の木像って、丞相自らが彫ったものだったんですね!…という事は、何度も観ているくせに初めて知りました。 書も彫りも…って芸術的才能も豊な方なんだ。 後にこの木像を形見とし、後世まで残すもの…という芸術作品まで昇華させているんですもの。
時平から菅丞相殺害の命を受けた彌十郎さん@立田の前の夫・宿禰太郎市蔵さん@贋の迎い弥藤次。 元女房の立田の前をアッサリと殺す非道ぶりに驚く~! “鶏が水中の死骸の上で鳴く習性”って…ホントですか?! 残忍な場ですが、ここの美術の工夫が面白かった♪
序幕からひたひたと迫る幾つもの“別れ”が毎回ズシーンと胸に迫る一幕ですが、豪華配役で殊更心に響いた今観劇でした。

石 橋

鷹之資くんは、この演目で平成13年4月の歌舞伎座で初舞台(当時・中村大)を踏んだ思い出の演目でしょうし、あれから9年後、現歌舞伎座さよなら公演で上演とはこれまた大きな思い出となる事でしょうね。 一観客の私がこんな気持ちになるんですから、お父様の富十郎さんはいかばかりかと~。
能の【石橋】をベースとした舞踏劇。 しっかりと丁寧にピシッ、ピシッと踊る鷹之資くん@童子実は文珠菩薩の姿に「お稽古、相当頑張ったんだろうなぁ」と感心させられましたが、ピタッと静止する事が出来ずにグラグラ~と度々なるのはちと残念でした。 影のようにピッタリと寄り添って踊る富十郎さん@樵人実は獅子の精との“連れ舞”っていうのかな?見応えがありました。
他は松緑さん@男某錦之助さん@修験者幸四郎さん@寂昭法師
しかし…鷹之資くん、ちょっと太り過ぎじゃ~(後日、国立劇場で奮闘する橋之助さんのご子息にも同じ感想)

御名残三月大歌舞伎・二部【歌舞伎座】

来月のさよなら公演がホントの最後ではありますが、私にとっては今回の遠征で現歌舞伎座が見納め。 人の多さは予想はしていたものの…ここまで多いとは!とビックリでした(幕見席の列もスゴイ事に!) 歌舞伎座前でも、館内でも写真を撮っている方が多かったのは印象的。 私もお気に入りの場所や「新しくなったらこんな所はなくなるだろうな」な場所を幕間に撮ってまわりました。 久々、筋書きも購入したし~♪

菅原伝授手習鑑・筆法伝授

記憶を辿ると…多分、おそらく、私は初見の演目のような? 【道明寺】【寺子屋】への理解がより深まる段なんですね。 すごく面白いのに、何故あまり上演されないんだろ? “学問の神様”として祀られる菅原道真が書道の大家であり、その置かれた立場等がよく理解出来ました
東蔵さん@左中弁希世がなんともラブリー♪ こんな道化役的なお役で拝見するのは珍しいのでは? 自信家で自惚れが強く、館の腰元にも手を出す様がなんと可笑しく「こんな奴に筆法伝授は誰だってイヤだよな~」な人物。 机に縛られて折檻の様は笑える。 改めて…東蔵さん、好きだわ~☆
梅玉さん@武部源蔵芝雀さん@戸浪の夫婦(=美形な夫婦) その出からして夫婦の境遇が伺え、仁左衛門さん@菅丞相との対面は固唾を飲んで見守る…といった感じ。 希世のあからさまな嫌がらせに耐えながら、筆法伝授された嬉しさでテンション↑…かと思えば、勘当は解かれず↓…と感情の揺れが激しく男泣きに悲哀がにじむ。 「伝授は伝授、勘当は勘当」厳しいです!

菅丞相を務められる…という事で1月末に太宰府参拝に来福された仁左衛門さん。 その際には地元紙に“飛梅の横でニッコリ仁左さん”な穏やかな笑みをたたえるお写真が掲載されましたが、今月の舞台にはその穏やかさは皆無で、“凛とした神々しい空気を纏う”様に目が引きつけられました。 何もセリフを語らず、佇んでいる時にはその表情や動きから菅丞相の心情が伺える…というのは凄いなぁ、と。 そして所作を含めて全てが美しい。 宮中に参内するために整えた身仕度から冠が落ちる…不吉だ。 この時まで動きが少ないだけに「ハッ」とした大きな表情の変化に惹き付けられました。 息子・管秀才を源蔵夫婦に託す様で、立場上勘当は許さないけど源蔵を信頼している様や、その心情を理解し管秀才を必死に守る夫婦に涙
それにしても時平、そして寝返った希世の奴~! ホント嫌な奴!!

弁天娘女男白浪

とにかく豪華です。 今までで観た中で一番豪華な配役です。 “歌舞伎座さよなら公演”ならではです☆
浜松屋での菊五郎さん@弁天小僧菊之助は「あ、あら~。ちょっと…かなり~」な娘ぶりで、ヴィジュアル的には予想外に相当厳し~いっ。 …ですが正体を表してからは無問題。 吉右衛門さん@南郷力丸は貫禄ありすぎやろ! 「お嬢様、お嬢様」とご機嫌を伺う様がなんだか新鮮でした。
おっちょこちょいなラブリー番頭を演じさせたらピカイチ☆な橘太郎さん@番頭・与久郎に満足、満足。 私にとって現歌舞伎座ラスト公演で橘太郎さんの番頭が拝見出来たのはすっごく嬉しかったです。
菊之助さん@浜松屋倅・宗之助團蔵さん@鳶頭の清次東蔵さん@浜松屋主人・幸兵衛…お店の中も豪華です☆
左團次さん@忠信利平梅玉さん@赤星十三郎幸四郎さん@日本駄右衛門との五人衆のつらね。 目にも耳に心地良く、セリフのひとつひとつに聞いてて首を振っちゃいそうでした。
観劇中「豪華だ…」と何度つぶやいた事か!…な一幕でした。

五月大歌舞伎・夜の部【歌舞伎座】

恋湊博多諷 ~毛剃~

この演目を観るのは実に博多座開業公演以来!!! つまりは10年振りに“生・毛剃”です!
團十郎さん@毛剃九右衛門はやはり“でっけぇ~”。 待ってましたの「よかよか~」は相も変わらず大迫力で拍手喝采☆ やっぱり愛嬌のあるスケール感を感じさせるのは團十郎さんならでは!だよな~と再確認。 藤十郎さん@小松屋宗七ナヨナヨっぷりは最初笑える…んだけど、終いにはイライラさせられるヤサ男。 上手いなぁ~藤十郎さん(人間国宝に失礼すぎな私!)
菊之助さん@傾城小女郎艶っぽいけど“宗七の女房”然としている、肝のすわった感じがキリリと素敵☆ 秀太郎さん@奥田屋お松の女将っぷりは、やはり絶品☆大満足(ホントおばちゃんにしか見えん!)
…で~、演目としてはさほど印象に残らないのは何故だろう?汗

夕立

初めて観た演目。 私【網模様燈籠菊桐(通称:小猿七之助)】も未だ観た事がナイんです。 最後に上演されたのはいつでしょうか?
大筋を知って観る舞踏だからか?情景がすごく解りやすくてエロい。 菊五郎さん@小猿七之助時蔵さん@御守殿滝川(ってどっちも男だよ!改めて)は色悪と艶っぽい姉さんで退廃的~

神田ばやし

宇野信夫さんの作品だそうですが、この演目も私、初めて観ました。
とにかく海老蔵さん@桶屋留吉のキャラクターがツボ! 気弱でオドオドして…でもどこか憎めない気のいい青年って、こんなお役の海老蔵さんって珍しいですよね。 粋な二枚目はもう当たり前すぎ面白くないから、「へぇ~意外!」ってなこんなお役でどんどん観てみたい。…って言ったら海老蔵ファンの方には不満でしょうか?汗 コレ、機会があれば…いかにもイイ人そうな翫雀さんで拝見したいなぁ~と思ったりしたのですが、海老蔵さんだからギャップがあって楽しめたのかもしれませんね♪ 「毎日見ている顔だから、改めて見なくても~。」「そんなにイイ男じゃありませんよ。」…って、コレはやはり本当にイイ男が言って面白いセリフとして生きるんでしょうね?
人の疑いというモノは口で言うほど濃くなる』 イヤな目で人を見る…っていうのがクド過ぎで、テーマとして言わんとする所は解るけど個人的にはちょっトクド過ぎて嫌な感じを最後には受けました~。
三津五郎さん@家主彦兵衛の達者な演技にもうなりました~(早合点し過ぎだっての!!)

鴛鴦襖恋睦~おしどり~

今月の歌舞伎座公演の中で一番好きでした♪
かつて“平成の三之助”と呼ばれたお三方が久々に?そろい踏み~で、花形の美しさが堪能出来た1本。 松緑さん@股野五郎の赤っ面の力強さ。 菊之助さん@遊女喜瀬川/雌鴛鴦の精海老蔵さん@河津三郎/雄鴛鴦の精の鴛鴦の精はため息が出るほど美しくみとれてしまった~。 ホント綺麗…。 あの鳥の羽をデザインしたぶっかえり仕様の着物、色も柄もホントに素敵でした~☆ 「若いってソレだけで美しいなぁ…」と、おばちゃんは思った次第。
二人並んで三段(二段だった?)に上るラストって初めて観たような?

五月大歌舞伎・昼の部【歌舞伎座】

“歌舞伎座さよなら公演”が決まった時は「よぉ~し!コレは頑張って通うゾ!」という心づもりで懐具合を算段しながら待機していましたが…いざフタを開けてみると、あまりにも王道な演目で、鉄板な配役で…遠征の触手が動く公演が皆無冷や汗 役者の皆さんも“最後の歌舞伎座に出たい”からなのか、出演人数が多いため、例えご贔屓さんが出演されていたとしても「コレだけの為には遠征出来ないよなぁ~」なチョイ役だったりで…遠征心が動かない。
…とは言え『5月は演舞場も歌舞伎があってるし♪』って事でこの度は遠征。 しか~し! よ~く見てみると“團菊”が揃う演目はなかった…しまった汗汗汗

海老蔵さん@鎌倉権五郎は、歌舞伎座での海老蔵襲名公演以来、実に5年振り。 その時に感じた可愛らしさ…は、すでになく、他を威圧するオーラが放出~。 セリフを言う自分に酔っているような抑揚の付け方は相変わらず何を言っているのかさっぱり聴き取れナイけれど汗見た目の美しさ“ザ・歌舞伎”な錦絵のようなヴィジュアルには見とれます。 “荒事の成田屋、ここにあり~”な存在感抜群の様式美はさすが
翫雀さん@鹿島入道震斎がラブリ~♪ 亀三郎さん@埴生五郎、やっぱ声がイイ♪

寿猩々

富十郎さん@猩々vs魁春さん@酒売り。 富十郎さん=キヒキビ舞踏、ってな印象が強い私にとって千鳥足でほろほろと陽気に踊る様が新鮮でした☆

手習子

芝翫さん@娘お駒。 う~ん…やっぱりいくら人間国宝の芸をもってしても“可憐な少女”というのには厳しいなぁ…と汗 いろは歌に合わせ華やいだ雰囲気は感じるものの…汗

盲長屋梅加賀鳶

菊五郎さん@竹垣道玄はビックリな事に初役との事。 強欲で、したたかで、ちょっぴりユーモラスな雰囲気に加えて、まとわりつくような…ネットリとした感じを受けたのは私だけ? 一度噛み付いたら離さない~みたいな。 時蔵さん@お兼って珍しくないですか? 梅枝くん@お朝はイイ娘ぶり♪ 梅玉さん@日蔭町の松蔵團蔵さん@御神輿弥太郎ってこのお二人は抜群に鳶姿が似合うなぁ~と個人的に思っています(武士姿のピカイチは歌昇さん)

戻駕色相肩

この舞踏は初めて観ました(多分)
松緑さん@浪花の次郎作菊之助さん@吾妻の与四郎さんの駕舁きコンビが、尾上右近くん@禿のたよりと一緒に廓自慢☆ …って今ひとつ印象に残っておらず…汗