二月花形歌舞伎・昼の部【博多座】

男の花道

私、藤十郎さんでしか拝見した事がなかったので「上方歌舞伎の看板役者の役を猿之助さんが?」という違和感が強かったけど、2010年5月の名古屋・御園座で初演して以来、ここ数回はずっと猿之助さんが演じているようですね。 竹三郎さん@加賀屋東蔵がお一人で“上方の空気”を作っていらっしゃった…という印象。 やはりお話は素晴らしい作品のなので、私、案の定ガーガー泣いてしまった! 劇中劇的な趣向は劇場全体の客席を使って工夫されていて面白かった。

猿之助さん@加賀屋歌右衛門。 何を演じてもソツなく上手いので何も不満はないけど、藤十郎さんがねっとりし過ぎている分、ドライな印象。 特に舞台の途中で玄碩先生の危急を知らさせる下りはもっとた〜ぷりと演じて欲しかったなぁ。 わりとアッサリ手紙を手に取るんだなぁ。 しかしドライに感じる分“男の友情”というのは際立った感あり(ねっとり藤十郎さんはちょっとBL風味も感じた)

平岳大さん@土生玄碩は、頭の固い融通の利かない無骨なキャラを好演…だけど、歌舞伎か?と言われれば“時代劇のお芝居”という印象。 過去に観た玄碩先生は、いずれも“ちんまり丸い野太い”方が演じられていたので、スマートな玄碩先生は新鮮。 歌右衛門とがっちり交わす握手には“二人の絆・友情”が感じられ、【ワンピース】がオーバーラップ☆ しかし…あえて平さんである意味は見受けられなかった印象

艶姿澤瀉祭

ここは博多新劇座か?!」と思った! 宝塚的なレビューショーをしてみたかったのね…とは思ったものの、“ザ・大衆演劇劇”歌と踊りのレビューショーって感じ。 博多券番風情で居並ぶ笑三郎・梅丸・米吉・笑也に、かつては“澤瀉三姉妹”とその美しさを評されていた二人に『熟々女に可憐な芸者が挟まれてる!』と月日の残酷さを思ったり〜。 そして平岳大さんのフラメンコは「これ、いろいろと拷問やろ」と手に汗握って見入ってしまった! バラを加えてフラメンコを踊って…客席に投げるとか!(バラの着物で) 公演前のインタビューで平さん「猿之助さんはいろいろと試練を与えてくださる」。 …って、過酷すぎるだろ、猿之助さんよぅ!