義経千本桜・夜の部【歌舞伎座】
四幕目 木の実・小金吾討死
扇雀さん@主馬小金吾。 若さゆえの短気さと血の気の多さ…のようなものが見てとれて、ここ最近拝見した扇雀さんの立役のお役の中で、一番印象に残るものとなりました。 追っ手に囲まれる立廻りでの小道具の竹林。 その竹がなぎ倒された…かと思うと起き上がりこぼしのように、ビュンと立ちあがってくる仕掛けが斬っても斬っても減らない追っ手をイメージさせて面白かったです。
仁左衛門さん@いがみの権太を拝見するのは…多分、初演の金丸座を除いてはラッキーにも全部拝見できているかも♪ 今回の柿本明久くん@善太郎は、すっごく小さくて幼くて、善太郎のあどけない感じが数倍増し! 仁左衛門さんの目尻も…いつも以上に下がってます?! いがみの権太も人の親、我が子が可愛くて仕方がない様が今まで見たどの公演よりも強く感じ、だからこそ後半の悲劇にこの時点で胸が締めつけられました。 秀太郎さん@権太女房小せんと親子三人での花道の引込み、良かったなぁ~。
ところで、小せんの営む茶屋の椅子の上にイラストのヒョットコのような愛嬌ある置物が乗っていたのですが…あれは煙草盆? あのセットのにあの小道具って初めてみたような…。
五幕目 すし屋
孝太郎さん@お里は、いつも以上に積極的でビックリ! イイところを邪魔された兄に対しての「ビビビビィ~」は、ホントに怒りの熱視線ビームが出ているようで権太を焼き殺しそうな勢い。 やっぱりこ~ゆ~お役の孝太郎さんは大好きだわ♪
時蔵さん@弥助のスーパー非力ぶりは充分に笑え、しかしながら上座に上がって振り返った時には見事なまでに三位中将維盛になっていたこの切替の素晴らしさにうなりました。 所作で表情で、ハッキリと判るんですよね…スゴイ。
内侍親子として我が妻子を差し出す権太の様。 夫・父親を見上げる小せんと善太郎の眼差し。 今までは腹を刺された権太の瀕死の告白から涙…でしたが、今回は縄をかけられた状態での花道登場でダダ泣き…でした。
大詰 川連法眼館・奥庭
四の切の音羽屋型は何度も拝見していますが、やはり今公演は序幕で感じた菊五郎さん@狐忠信の重さが気になりました。 スピィーディーさを要求する訳ではナイのですが、緩慢な印象がぬぐえず~。 「お父さんとお母さんと一緒になれて良かったネ」と、観ていて一緒に喜ぶような爆発の喜びも残念ながらなく。 体力消耗が相当激しいんでしょうね…。
お気に入りの荒法師’sは軽やかステップで素晴らしくアクセントになっていたかと。 いつも思うのですが、あの拵えは…どうよ? 何からイメージしてああなってる訳? 好きですけど♪
奥庭は本当に久し振りに拝見だったので面白かったです。 残念ながら上演を知らずか?帰途の便が急ぐのか?わらわらと帰る観客続出で、視界を遮られつつの観劇だったのですが… 「歌舞伎観た~♪」って満足感に満たされる(幼稚な感想ですんまっせん!)、通し上演ならではの一幕ですね。
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